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[イノ友]月光

 心がざわめいて寝付けない。
 息苦しい部屋の中に風を通すために上げた御簾の向こうでは、憎らしいほど明るい月が手をかざしていた。
「君が呼んだのかい」
 届くはずもない相手に声をかけるように、長く焦がれ続けた空の玉を見上げる。
 しかし、いつもと様子が違う。
 あれほど恋い焦がれた夜空の真珠が、今夜はまるで寂しげな己の姿を模しているように思えて、苦い笑いが込み上げる。

 神子殿の世界では、あの月は日の光を受けて輝いていると思われているらしい。月自体が光るわけではないから、満ち欠けを繰り返すのだと。ならば朔は日の光を見失った沈黙の時なのだろうと、妙に得心がいく。
 やはりあの月は私自身の姿とも言えるだろう。
 日の光を求めて、焦がれて。
 それでも自分で近づこうとはせずに、付かず離れずを繰り返す。
 温かい光に心を溶かされて、また見失って凍り付いて。懲りもせずに次を待ち焦がれる。
 もどかしく日々を繰り返すだけの‥‥。

 今は、朔か。
 こんなに君が遠い。

 凍てつきそうなほど、心が闇に支配される。

 明日は逢うことが叶うだろうか。
 もう、他の誰にも溶かせない、この心を‥‥君に気付かれないように暖めて、いつまで保つことができるだろう。
 いっそ消えてしまおうか。
 気を抜けば絶望に食われそうな想いを断ち切るように、御簾を下ろして淀んだ空気を抱きしめた。

遙か1 ≪御品書≫

長編【酔恋譚】 ~Suirentan~ 本編20話+外伝 [友雅×鷹通]

遙か1【白虎掛算】 [友雅×鷹通]or[鷹通×友雅]

遙か1【無限の間】 地天白虎以外。酷く雑食。


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遙か1【無限の間】 ≪目次≫

雑食物書きなので、呆れるほどカップリングが飛びます。
許容範囲内のものだけ選んでお召し上がりください。


[友雅×頼久]

侵蝕軽い遊び。別口のネタだったんだけど、相手を頼久に据えたらこうなった。
囚われの身ラクガキ祭り便乗。縛っちゃう辺りで頼久の負けは確定。
ご褒美 *上の続き。頼久相手だと容赦ないです、少将殿(笑)
忠義にあらずラクガキ祭り便乗。友雅殿、ちょっと真剣。

[頼久×友雅]

情人 **下克上。頼久が友雅を呼び捨てるという特殊な状況で‥‥エロくなりました(土下座)
月光の君 *友雅を抱く頼久の恋心。相手に知らせぬ心の一つや二つはあります。

リバなんだけど、世界は分ける感じで。上下が固定したら動かない二人の印象です。
書き手的には「どっちから切るか」ってだけの話なんだけど。
しかしこの二人は際限なくエロくなって困ります(真顔)止める要素が無いんだもんっ。


[頼久×天真×頼久]

雪降る夜にどことなく頼りない大型犬@頼久が可愛くて仕方ない天真の話(笑)
心配無用天頼かと悩んだけど、体力残ってたら襲われそうな展開だから(プッ)
吹雪の熱 1この時点では確かラブコメ風味なんだけどなー(遠い目)
吹雪の熱 2 **書いてたら天真が攻めになってしまったYO!!
吹雪の熱 3 *てなわけで頼天にバック。頼久が壊れてるのは{考察}に繋がるらしい。
吹雪の熱 4 **3の続き。コトの最中でも壊れない天真は、ある意味不憫だ(笑)

完全リバカプ。
同じ話の中で上になったり下になったりするので、上下固定の人は読まないでください。
頼久の壊れっぷりと、どこまでもマトモな天真の組み合わせが、俺的にツボ。


[イノリ×友雅]

桃の花けっこー本気で好きなんですよ(真顔)
風邪台風☆台風くらいじゃ恋の炎は消えないぜー(マテ)
記憶喪失台詞と効果音だけの遊び。友雅はイノリに勝てないと楽しい。
膝枕いいよもう、イノリの男気に甘えてろ、オマエは(笑)
船遊び見かけより大人なイノリと年相応に子供な友雅って感じ♪

友イノには成り得ない、久々に上下固定のカプ。
友雅がイノリ敷いたら犯罪でしょ?(ニコッ)イノリの男気にキュンキュンしてる友雅萌え(真顔)


[イノリ×頼久]

こんな雪の日は 1現代パロでイノ頼。イノリサイドから。
こんな雪の日は 2頼久サイド。風呂でゆだりながらモダモダ悩んでた本当のところ。
こんな雪の日は 3 **イノリサイド。洗面台で立たせたまま困らせたいという妄想(笑)

何かの間違えから盛り上がってしまったカプ。
意外とツボだった‥‥‥。orz


[アクラム×詩紋]

ヒトジチLife 1神子の代わりに攫われてみる。
ヒトジチLife 2 *やっぱりご飯は大事。てゆかお館様、それじゃセクハラです!
ヒトジチLife 3 ***意外と詩紋キュンはエロでもいけr(黙れ)
ヒトジチLife 4 **詩紋が男前に見える罠(そうでもない?)
ヒトジチLife 完結編 **やっと完結。エロが無くてゴメンナサイ(土下座)

詩紋キュン最強伝説とも言われた、超茨カプ(笑)
こんなに書きやすい子とは思わなかったよ。BLの詩紋って好き。


[友雅×帝]

生身 *下克上というほどの激しさもない。友雅が珍しくマトモ(え)

帝と友雅はどちらが上か!というクダラナイ話で相棒と盛り上がりました(笑)
オイラは友雅が上だと想像しやすいので、こっちに一票。


[友雅×天真]

水上我欲ラブコメ。企画モノ。もっと喧々囂々したかったのに意外と甘かった。

別に天×友でも問題はないんだけど(ってゆかこの段階では天友なんだけど)ベッドの上まで想像するとエロエロ少将の方が楽しそうだとか(撲殺)ハグッ


[頼久×詩紋]

困らせないでラブコメ。詩紋キュン最強伝説。コイツに頼久が勝てるわけがない(笑)

精神的には120%詩紋×頼久(笑)
頼久って放っておくと勝手に不幸になるから、このくらい強引に引き上げてくれる子だと安心だなー。


[天真×永泉]

武士だと思えラブコメ。天真と永泉で遊んでみようという企画(笑)オロオロ萌え。

今一つ噛み合わない感じが堪らなく好き(笑)
無遠慮な天真が永泉様にはピッタリだと思うんだよ!!(誤解です)


[×頼久]

飢餓感※壊れてます。兄上×頼久を前提に、頼久総受けっぽい話になるねーって辺りの話。

頼久は壊れてるのが標準って気がする。(→×頼久考察
相手が神子殿なら強くもなるけど、BLでトコトンいっちゃう頼久も好き。


[頼久×鷹通]

白と黒 *ラクガキ祭り便乗。いきなりぶっ飛びすぎのパラレルエロです。鷹通がこんなだったら困る。

真面目に書いたら楽しそうなカプ。
だけど幸せな感じに持っていける自信がないので保留中。



 
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[イノ友]船遊び

 あんなの乗りたいとか言ったら、またガキ扱いされんじゃねーかと思ってた。
「船遊びか‥‥楽しそうだね」
「んじゃ、乗ろうぜ!?」
 だけど解っちまったんだ。
 大人げもなくとか、また余計なこと考えながらオマエがソワソワしてるの。
「いや、私は‥‥」
「オレが乗りてーんだよ、付き合え、友雅!」
「‥‥やれやれ」
 不承不承と言いたげに付いてくる友雅の足取りは軽い。
 子供の付き合い。
 君が乗りたいのなら。
 そんな言い訳がオマエに必要なら、そんな時くらい子供でいい。
「なっ、楽しいだろ?」
 こんな形の船は、初めて漕いだ。
 あっちの世界の船なら漕ぎ方くらい知ってるけどさ。‥‥友雅だって、同じだろ?
 だから係員のおっちゃんが笑うのも聞かずに「オレが漕ぐ!」って宣言して、友雅を向こうに座らせた。
 まぁ漕ぎ方を知ってたとしても任せるつもりなんかねぇけど。

「‥‥気を、使わせたね」
「何の話だ?」

 すっとぼけて見せたけど、気付いてくれたのは少し誇らしい。
 他の誰に「ガキだ」と笑われてもいいんだ。
 オマエが、オレのこと‥‥ちゃんと見ててくれる。
 それだけで。
「んなこといいから、見てみろよ。ほら」
 桜の木が、湖に突き出るように伸びてる。
 その下に入って船を止めると、友雅の目が輝いた。
「絶景、かな‥‥‥」
「だなっ」
 さーすーが、元貴族。
 サラサラと呟くように歌なんか詠んじまう辺りが、カッコ良いつーかワケワカンネェけど。
 水面に落ちた花びらを拾ってご満悦な友雅は、なんか可愛い。
「青空に桜が映えて、美しいね」
 欲しがるように手を伸ばす友雅の方が、よっぽどキレイじゃん。
 そんなこと言えねーけどさ。
「あっちの方の木も見に行くか」
 ここまで来れば、ちょっとくらい船が揺れても岸から見えないだろ。
 オレの前でくらい『大人のフリ』やめてもいーんだぜ?
「‥‥代わろうか?」
「ん?オマエがどーしても漕いでみたいって言うなら、代わってやらないこともないけど?」
 だから言えよ。
 ここまで来てカッコつけてないで。
「ふふ、君には敵わないねぇ。‥‥船酔いなどさせぬように善処するよ」
「んなもん、するかよっ」
 ほら、と明け渡した席に座った友雅は、子供みたいにワクワクした顔で水しぶきをあげた。

[イノ頼]こんな雪の日は 3

 どこか、嫌がられてるようで怖かったんだ。
 だって男だぜ?
 オレは頼久が好きで好きでタマンナイけど、頼久がオレをどこまで欲しがってるのかなんてワカンネェ。
 ただ初めてそーゆーことになった時、アイツは‥‥凄く凹んでて、死にそうで、オレはもう無我夢中でアイツを抱きしめてた。
 痛いだろうなって思うのに、そんなことしてる時だけ余裕が戻ってきたみたいに笑うし。なんかオレ、アイツの自虐に付き合ってるみたいで胸クソ悪かったもんな。
 だけど‥‥失いたくなかった。
 そんな簡単に壊れちまうもんなら、せめてオレの腕の中で壊れりゃいいって思ったんだ。
 どんな姿になっても抱きしめてるから‥‥大好きだから。
 欲情して熱い息を吐いてる頼久は、キレイだった。
 口じゃ「はしたない」だとか「幻滅しただろう」とか色々言うから、否定するのに必死でろくなこと云えなかったけど。

 正直、まだオレがアイツを抱いていいのか、自信がない。
 身体だってアイツの方が全然デカイし。
 なんかたまに、大木に引っ付いてるセミみたいな気分になるし。
 頼久が本気になったら、オレなんか泣いてるしかできないんじゃないかって気分にもなるけど。
「頼久、誘ってる?」
「ああ」
「そっか」
 釣り合わなくても。笑い話みたいでも。
「嬉しい。なんか俺、お前のこと、今までよりもっと好きになったぜ!」
 お前のことを一番幸せにできるのはオレだって、それだけは自信をもって云えるから。
 ‥‥‥いいよな?

 風邪なんて引かねぇように足元の水滴まで全部取ってたら、長い髪をワシワシ拭いてる頼久の股間が気になった。
 これってやっぱり欲情してんのかな‥‥。
 普通さ。
 こんな張りつめてパンパンになってたら、それなりの顔をするもんだろ?
 呑気に髪なんか拭いて、アタリマエみたいに我慢してる頼久が、ちょっと憎たらしい。
「なあ頼久。‥‥‥今日は雪の中立ってて寒かったなぁ」
「イノリ‥‥‥すまん‥‥」
「別にそんなに怒ってるワケじゃねぇけど、罰ゲームしてもいいか?」
「罰、ゲーム?」
「そう!だってほら‥‥頼久、お仕置きされたがってるみたいだし?」
「そんな」
 図星指されて真っ赤な顔。
 だいたいコイツ、責められてる方が安心するよーなトコあんだよな?
 チラッと目線を飛ばすと、ブツはさっきより元気になっちまって。
 辛いだろ。
「いいじゃん。お前はそこに立ってるだけでいいからさ」
「は?」
「そこに立ってるだけでいいの。壁に寄りかかってもいいぜ?だけど、鏡から目を逸らすのは反則な」
 解ってんだか解ってねーんだか、生返事で立ち尽くした頼久の身体を、好きなように嬲り始める。
「‥‥ハッ‥‥んー‥っ」
「膝がガクガクいってるぜ。まだ胸しか触ってねぇのに」
 言ってからキツク吸い上げると、泣きそうになって全身を硬直させてる。
「これ以上、なにを」
「ほら、ちゃんと立ってる約束だろ?」
 膝が笑って今にも座り込みそうな頼久を攻め立てるように、舌を固くして突起を弄ぶ。
「んあぁっ」
 無意識に手が行っちゃうのかな。
「触ってほしい?」
 股間を隠した頼久の指を一本ずつ外しながら、意地悪く囁く。
 困り果てて首を振るよーな素直じゃない恋人には、ちゃんと教えてやらなくちゃダメか、やっぱり。
「そっか。じゃ触んないで、舐めてやるよ」
 ちゃんと言わなくちゃ誤解されちまうんだぜ〜ってコト。
「ひあぁっ、イノリ!」
 根が生えたように一歩も後ずさらない頼久は、身体を支えるために洗面台に手を付く。バカの一つ覚えみたいに鏡を見つめたまま。
「そんなに近くで見たかったのか」
「違‥‥っ」
 弁解したくてオレの顔なんか見ちゃって。
 ほら、ダメだってば。
「そのままでいーけど、目は逸らすなよ」
 怯えるように視線を戻した頼久には見えてるよな。オレがいつも、どんだけヤバイ顔を見せられてるのか。
 そんな色っぽい顔してストイックなこと言われたら、ただの拷問だぜ?
「あ‥‥やっ、‥‥くぅ」
 小さく小さく鳴きながら、だけど頼久のモノはドンドン大きくなってくる。
 あと筋一本擦ったら、爆発しそう。
 その状態でちょっと放置して、すっかり背の低くなった頼久の後ろに回る。
「ア、ア、‥‥イノリ!」
 触れるだけで全身がビクビクしてる。
 助けてほしいって一言すら云えない不器用な恋人が、可愛くてしゃーないぜ、まったく。
「出したい?」
 意地悪く聞いてやったら、ウッと言葉に詰まる。
 まだシラフ。ダメな奴だな〜。
 クスクス笑って、壊れそうなソレをパックリくわえると。
「ダメ、だっ、今は‥‥それはっ」
 うるせーぞ?
 反論するようにキツク吸い上げて、唇で扱き上げる。
「うあ‥‥っ、イノリッッ」
 逃げる腰をギュッと引き寄せて、そのまま飲み込む。
 コクン。
 コクン。
 コクン。
 放心する頼久を苛めるみたいに、舌で扱き上げて。
「飲むな‥‥っ」
 屈辱なのか羞恥なのか、いやたぶん罪悪感かなんかで涙を零してる頼久に、イライラして。だけど可愛くて。
「罰ゲームだって言ったじゃん?」
 赤い目で睨み付ける頼久は、だけど怒ってるワケじゃない。
 困ってるんだろーな。
 やっぱり足は根が生えたように動かなくて。
 目が合った途端、また馬鹿正直に鏡を見つめて。
「そんな切ない顔で怒っても、迫力ねーし」
 用意してあった油を指に落としてから、一本一気に中まで入れる。
「つあっ、‥‥ダメ、だ、イノリ、そ‥‥ひあっ」
 いつもより素直に鳴くのは、自分の顔見てるせいだろ?
「駄目、汚いか‥‥っああ、やあぁ、やめ‥‥っ」
「心配しなくても、やめないから」
「ふ、あっ」
「啼いてな?」
 引き締まった尻を両手で開いて、躊躇いもせず顔を埋める。
 舌先を尖らせて中を探ると、段々と頼久の抵抗が薄れていく。
「あ、ああ‥‥‥イノリ‥‥」
 壊れたかな。
 諦めたかな。
 優しくてストイックな頼久は、格好良くて好き。
「ん‥‥‥んフ‥‥ッ」
 だけどさ?
 こんな時だけ素直で弱いお前って、スゲー可愛くて。
「‥あ‥‥‥」
 横目で鏡を確認すると、崩れ落ちそうな頼久が視界に飛び込んできた。
 その弛みきった口元が僅かに動いて。
「‥‥‥‥もっと‥‥」
 ほら。
 こんな可愛くなっちまうくせに、隠すなよ。

 洗面台に縋るように姿勢を保ってるせいで、腰の位置が低い。
 ちょっと無理すりゃ届いちまうかなー。
 早くでっかくなりたいな、なんて一人で笑いながら。

 潤みきったお前の中に、ゆっくりと沈みこんだ。

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