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[頼天]吹雪の熱 4

「んっっ」
「息を吐け。腹に力が入ると、怪我をするぞ」
 そんなこと言ってもな!
「ん、‥‥あ」
「そうだ。そのまま私の肩に縋っていろ。そのうちラクになる」
 そんなの信じられない。
 いっそ‥‥こんな泣きたいような感覚なら、痛みの方がマシだ。
「あー‥‥、あ、あー‥‥‥っっ」
 静かに息を吐けない。
 バカみたいに声が出て、その度に頼久の目尻が下がる。
 くっそ!
 どうせアレだろ?可愛いとか思ってんだろ?わかるよ、俺がお前のそんな声聞いて思うくらいだから。悔しいな、まったく。
 二本、三本。太く固い指が時間をかけて其処を押し広げていく。
「も‥‥っ、ムリ!」
 涙が止まらない目を片手で覆いながら首を振ると、本当に身を引くからタチが悪い。
「冗談だろ」
「いや‥‥ムリをすることではない。お前を壊したくない」
 ウルセっつーの。
「壊せるもんなら壊してみろよ。こんな身体して、そっちのがよっぽど壊れてんだろーが!」
 頭にきて跨った。
「天真!?」
「お前のソレが治まるまで抜かないっ。俺が気絶するまで抱いてろっ」
 ズブズブと侵入してくるモノが、内蔵を押し上げる。だけど‥‥変に器用な指先より、ずっと心地よかった。

 喧嘩腰のやりとりも引いて、妙に静かな部屋。
 頼久は不安げに俺の顔を見てから、ホッとしたように笑った。アタリマエだ、そんな簡単に傷ついてやるもんかよ。
 少し痛い。
 かなり苦しい。
 それでも‥‥そんな感覚さえ、なぜか心地よかった。
 慣れた頼久の身体と違って、ゆるい動きにしかついていけないけど。
 それでも‥‥なんだか。
 胸で息をしていた頼久が、大きな溜息を吐いた。
「なんだよ、そんな幸せそうな顔をして」
「ムリを強いてすまない。‥‥確かに幸せだと感じてしまった」
「ばーか」
 そこで謝るな、この木偶の坊。
「お前に幸せとか言われて、俺が不機嫌になれるわけないだろ」

 ホント、馬鹿みたいだなぁ、俺たち。
 繋がりながら笑ってる。
 男同士でさ。気色悪いっつーの。
 幸せだとか満足だとか、真顔で言っちゃって。
 なあ、頼久。

「天真‥‥‥天真‥‥っ」

 ハイハイ。人が白けてる時に、そんな夢中で貪んなよ。笑っちまうだろ。
 困った奴だな。


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