「んっっ」
「息を吐け。腹に力が入ると、怪我をするぞ」
そんなこと言ってもな!
「ん、‥‥あ」
「そうだ。そのまま私の肩に縋っていろ。そのうちラクになる」
そんなの信じられない。
いっそ‥‥こんな泣きたいような感覚なら、痛みの方がマシだ。
「あー‥‥、あ、あー‥‥‥っっ」
静かに息を吐けない。
バカみたいに声が出て、その度に頼久の目尻が下がる。
くっそ!
どうせアレだろ?可愛いとか思ってんだろ?わかるよ、俺がお前のそんな声聞いて思うくらいだから。悔しいな、まったく。
二本、三本。太く固い指が時間をかけて其処を押し広げていく。
「も‥‥っ、ムリ!」
涙が止まらない目を片手で覆いながら首を振ると、本当に身を引くからタチが悪い。
「冗談だろ」
「いや‥‥ムリをすることではない。お前を壊したくない」
ウルセっつーの。
「壊せるもんなら壊してみろよ。こんな身体して、そっちのがよっぽど壊れてんだろーが!」
頭にきて跨った。
「天真!?」
「お前のソレが治まるまで抜かないっ。俺が気絶するまで抱いてろっ」
ズブズブと侵入してくるモノが、内蔵を押し上げる。だけど‥‥変に器用な指先より、ずっと心地よかった。
喧嘩腰のやりとりも引いて、妙に静かな部屋。
頼久は不安げに俺の顔を見てから、ホッとしたように笑った。アタリマエだ、そんな簡単に傷ついてやるもんかよ。
少し痛い。
かなり苦しい。
それでも‥‥そんな感覚さえ、なぜか心地よかった。
慣れた頼久の身体と違って、ゆるい動きにしかついていけないけど。
それでも‥‥なんだか。
胸で息をしていた頼久が、大きな溜息を吐いた。
「なんだよ、そんな幸せそうな顔をして」
「ムリを強いてすまない。‥‥確かに幸せだと感じてしまった」
「ばーか」
そこで謝るな、この木偶の坊。
「お前に幸せとか言われて、俺が不機嫌になれるわけないだろ」
ホント、馬鹿みたいだなぁ、俺たち。
繋がりながら笑ってる。
男同士でさ。気色悪いっつーの。
幸せだとか満足だとか、真顔で言っちゃって。
なあ、頼久。
「天真‥‥‥天真‥‥っ」
ハイハイ。人が白けてる時に、そんな夢中で貪んなよ。笑っちまうだろ。
困った奴だな。