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[×頼久]飢餓感

 与えられる刺激。湧き上がる悦楽。
 激しく攻め立てられながら、朦朧とした意識の中で短い夢を見た。
『兄上‥‥』
 口走りそうになった名前を、苦く飲み下す。

 これが本音か。

 吐き捨てるように項垂れながら、身体は軽い絶頂を迎える。
 どうしてこれほどまでに男の身体が恋しいのかと‥‥女を愛せない身体なのかと諦めもした。
 違う。違うのだ‥‥私は、私は‥っ。

 あ な た に 愛 さ れ た か っ た の だ。

 溢れた涙を快楽のためと決めて、優しく抱き留める腕の中。
 前後も解らなくなるほど強烈な飢餓感に襲われる。
 何をしても届かない。
 疼き続けるこの身を持て余して、ただ生きていくのだ、これから先もずっと。
 貴方が与えてくれた命なれば、捨てること叶わず。
 欲に溺れて、命を繋いで。

 兄上。兄上。兄上。兄上‥‥っ。

 誰か私を、穢して。
 この傷みを忘れるためならば、どんな仕打ちにも耐えるから。
 どうか私を‥‥‥‥。