元ネタはお友達のSS。初めの方の台詞は殆どもらってます。天真サイドだったから頼久サイド書いてみた。で。間違ってエロまで突入したとか。ダメな子でスミマセン(土下座ゴリゴリ〜〜)
「うー‥‥‥‥‥寒い‥‥寒すぎる‥‥ヤバイ‥‥」
ほらまた、そんな無防備な。
「‥‥天真。うるさい」
「あ‥‥‥?」
「寒いのは分かるが、そんなにぶつぶつ言うことはないだろう」
「俺、寒い言ってた?」
「‥‥‥は?」
あきれて、二の句が継げない。
念仏のように唱えていたソレを、無意識と言うか‥‥まったく、お前という奴は。
「お前、寒くないのか?」
「寒くないことはないが…」
むしろ暑いのだと告げれば、熱でもあるのかと騒ぐだろうか。
こんな時、傍に友雅殿がいれば、酷く意地の悪い病名を付けてくださるものだろうが‥‥いや、私とのこんなやりとりでさえ素直にむくれる天真になど、とうてい聞かせられるものではないな。
「こら、そんな顔をするな。もうすぐ交代の時間だ」
いつからこんなに囚われてしまったのか。
慣れぬ寒さに震えてなお凛と伸びる背を見つめる。
不機嫌な横顔さえ、ただ愛しくて。
さもすればフラフラと引き寄せられそうになる己を、嘲笑う。
「‥‥あとで、温めてやる」
言葉の意味を量りかねて時を止めた、無防備な額に、唇を寄せる。
数瞬を置いて、湯気を噴きそうに温度を上げた姿。
今、何を思った?
茶化しもせず抵抗もせず、ただ熱を上げるのか。
こんな獣のような男を、野放しに‥‥?
己の中で暴れるものを必死で抑えながら、歯軋りをする。
長い長い長い数瞬。
交代の者に早口で引継を済ませ、天真の手を取ると。
「なんだ頼久、お前も寒かったのか」
などと呑気に笑いかける。‥‥頬を僅かに歪ませて。
「寒くなどない」
噛みしめた歯の隙間から言を紡ぐと、生まれたての雛のように頼りなげな視線が、まっすぐ向かってきた。
反らすことなど不可能だろう。
堪えられる気がしない。これ以上、どうあっても。
限界と、思う。
はぐらかすことなど‥‥できるはずも。
お前の声も姿も何もかもを、全ての者から隠すように、私以外の誰にも触れぬように、人の住まぬ離れまで連れ歩く。
「頼久‥‥‥」
天真は、この強引な流れに逆らうどころか、力を注ぐように手を握りしめた。
後ろ手に戸を閉めた私と、そこに重い錠をかけた天真と。
願いは、一つ所にあったのだろうか‥‥。
飢えた獣のように、首筋に歯を立てる。
冷えきった肩を味わう私の髪を、天真の指が宥めるように梳いていく。
「立ったまま強引に食われてもいいけどさ。‥‥一応、初めてだし。柔らかい場所まで運ぶ気とか、ない?」
呆れたような言葉とは裏腹に、火照った顔がクスクスと笑う。
すまない‥‥‥。
謝る言葉も不自由なまま丁寧に身体を抱えあげると、熱い頬が首筋に寄り添った。
「なんか言えよ」
促されても、こんな時に伝えるべき言葉を何一つ持たない私は。
「‥‥‥‥天真‥‥」
小さくその名を呼ぶことしかできずに。
お前の鼓動に支配されるのは、この吹雪のせいだろう。
全てが閉ざされた空間だから‥‥きっと。
「受け止めてやるよ、お前の全部」
屈託ない笑顔に、到底勝てそうな気がしなかった。