なんかコイツって、勝手に落ちる時あるよなー。
いつでもピンと張った背筋が丸まって小さくなって胸の辺りに擦り寄る頼久は、まるで大型犬が猫みたいに甘えてきたような違和感だ。少し切なくて、だけどなんか嬉しい。
俺が、守ってやれる。
そういう感じが、やっぱり嬉しい。
不安な時に不安な顔をする。
そういうアタリマエのことが苦手だった頼久が、俺の前でそんな無防備な顔をしてみせるのは、もしかして『信頼』ってやつなのかなーなんて思えば、頬も弛むってもんだ。
大丈夫。
俺は、ここにいるから。
無意識に呟いた台詞に弛む肩が愛しい。なんかもー可愛く思えて仕方ない。なんて、こんなこと口に出したら怒んだろーなぁ‥‥。
「なぁ、頼久。静かだと思ったら‥‥ほら、雪」
カーテンの隙間でフワフワと白いのが踊ってる。
「ああ」
興味なさそーに相槌を打ってるのは、まだ俺の思考パターンを理解してないってことだな。
「雪、積もったら、寒いだろ?」
「そうだな?」
不思議そうに見上げた頭を落として、バッと立ち上がる。
「‥‥‥‥天真?」
「ほら、早く布団に行こうぜ?‥‥凍える前に♪」
上機嫌で手を引いて、戸惑う頼久を寝室に拉致する。
無駄に不安がるお前も好き。だけど。
俺の腕の中でゆるゆるになって、なんにも考えられなくなる瞬間は、もっといい。
「て、天真‥‥?」
困ったように赤くなる顔は、見ないフリで
「ほら、早く脱げよ」
意地悪言っても。
「‥‥‥急かすな」
どっか嬉しそうな頼久は。
可愛い、なんて口に出さないのが難しいくらい、可愛くて仕方ないんだーって。
これは俺だけの秘密にしておこうと思う。