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遙か1【白虎掛算】 ≪目次≫

[友雅×鷹通]

落とし人 *バトンからの派生ネタ。SFチックなパラレル。
遠く及ばぬ・・・ *両想いのガチンコ(笑)コトこれに関しては、負ける気はないらしい。
情思の果てスミマセン、壊れてます。たぶん鷹通でなく書いた私が。orz
学園パロ **相棒からのリクエストでエロエロな友鷹(笑)白衣の友雅が保健室に。
囚われの身ラクガキ祭り便乗。半分から下が頼久バージョンのブツもあるらしい(笑)
愛された痕ラクガキ祭り便乗。短いデス。
愛しき温もりラクガキ祭り便乗。帰りたくない日は、言い訳が必要です(どんなルールだ)
我慢できない *ラクガキ祭り便乗。イラストとニュアンスが違ってスマヌ。
融愛 *ラクガキ祭り便乗。愛しすぎて優しくなれない壊れ気味の少将殿?
痴情 *ラクガキ祭り便乗。鷹通故障中。メンタルエロ。
終わりなき接吻ラクガキ祭り便乗。痴情の続きネタ。壊れてる鷹通を見ても純愛モノ(笑)
独占欲 *譲葉のイラストから生まれたエロネタ。鷹通が攻めてますが指されてまs(黙れ)

特に酔恋譚と繋がらないSS。
やっぱり友鷹は譲葉から派生してるネタが多いような気がする。
意外と一途よね、ウチの相棒(←俺が無節操すぎだとか)


[鷹通×友雅]

冬の桜 *意外と鷹通から迫られたら嬉しいんじゃないかと(真顔)

ウチの子達は容易にひっくり返ります(真顔)リバOKな神子殿だけ、どうぞ。
もちろん友×鷹とは別次元の別世界ってことで。


上から古い順に並んでいます。下に行くほど最近のものです。
* が多いほど危険物。
 
 
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[友天]水上我欲

 なんでこうなっちまうんだ。
「天真、あれは‥‥?」
「あれはボートつって、手漕ぎでこの辺プカプカするだけの乗り物」
「湖に小舟‥‥風雅な遊びだね」
 気色悪ぃっ、んなキラキラした目ぇすんなっ!!
 絶対、お前となんか乗らないぞ。
「天真」
 コラ、手ぇ引くな。
「・・・・・」
 期待の籠もった目で見るなーーーーっ。
 なんでいっつもベラベラ喋りまくる癖に、こんな時は黙ってんだよ、何も言わなきゃ反論もできないだろ、このクソオヤジ!!
「い、一回だけだぞ」
「すまないね」
 手に持った扇子をパッと開いて、口元を隠して笑ってる。
 こういう所に、あの頃を思い出して‥‥不意に。

 男同士でボートにのってる寂しい奴らだと思われないように‥‥間違ってもコイツが、そんな好奇の目で見られないように、グイグイとパドルを漕いでいく。
 岸から充分に遠ざかった辺りで顔を上げると、驚くほど近くに友雅の顔があった。
「な、なんだよ。ボートの上じゃ危ないから、ちゃんと座‥‥」
 目の前に広がる鮮やかな扇子の柄。
 こっちに来てから一度も交わしていなかった‥‥キス。
 遠く離れた岸からも、俺を隠すように。
「私は何処へも行かないよ」
 僅かにもボートを揺らすことなく席に戻った友雅は、不意にそんなことを言う。
「何の話だよ」
 ああ、そういえば武官だとか言ってたか。
 意外と運動神経はいいんだよな。
「儚いものを見るような目をしていたから‥‥ね」
「うるせー」
 どうしてこんな妙なところが鋭いんだか。
 そんなことを聞いたら、俺のことを見てるからだとか好きだからだとか、恥ずかしい言い回しで口説き倒されるんだろう。冗談でも勘弁してほしい。
「帰れとは言わないのかな」
「言うか」
 あかねが蘭と一緒に、こっちの世界に帰ると決めた時‥‥正直、俺は向こうに残るつもりでいた。
 蘭が戻れば、不安要素は何もない。
 後は好きに決めろというなら、俺は‥‥。

「天真、私と付き合ってくれないか」

 は。
「はあっ?」
 何言ってんだっつーか、なんだそりゃっ。
「おや、違ったのか。こちらでは恋仲になるために、そのような言い回しを使うのだと聞いたのだが」
 何の話だよっ。
「ってゆーか、恋仲って今は違うのかコラ」
 お前が言ったんだろ、俺に興味があるからこっちに来るって。恥ずかしげもなく龍神脅してまで付いて来たんじゃねぇか。
 俺が残れば済むことだったのに。
「ふふ。今のは告白だと思って良いのかい」
 誘導尋問かよっ。
「今さら言わせんなっつってんだ、恥ずかしいとか無いのかお前にはっ」
「無いね」
 くっそーーーー。
 あまりの悔しさにパドルを水面に打ち付けていたら、濡れる濡れると笑ったままの友雅に手を取られる。
「これでは岸に着く頃には濡れ鼠になってしまうよ」
「転覆しないだけ良いと思え」
「いっそ転覆させてしまおうか」
 クスクスと笑いながら「君となら溺れてみたいものだ」なんて、どこまで本気か知らないけど。
「ばぁか。溺れるなら、俺の中だけにしとけ」
 笑い飛ばしてくれるだろうと油断して、どっかで聞いたような恥ずかしい台詞を吐いた俺の前で、怖ろしい変化が起きた。
「あ‥‥赤くなんなーーーっ」
 本気に取る馬鹿がどこにいるっ。
 見てる俺の方が恥ずかしいだろコノヤロウ!
「不意打ちは心臓に悪いものだよ‥‥」
 汚れるからやめとけって言いたいような場所にクテッと腰掛けて俺の足に凭れてる友雅を、不覚にも『可愛い』だなんて思ってしまう脳味噌がオカシイことは、とっくに自覚してる。
 ‥‥‥くそっ。
 おかしかろうがなんだろうが、世間の常識とどう食い違おうが。
「ぅん‥‥っ」
 目隠しの扇子はいらない。
 誰に見られても、何を言われても、俺はお前が好きだし可愛いし惚れてるし‥‥‥どこへも帰さない。
 鬼にも、龍神にも、誰にも渡さない。
「傍に居ろ」
 触れたら消えそうで、無駄な距離を置いてた。
 確かに此処にいると確信できるまで、朝は怖くて‥‥いつも、いつもいなくなる夢ばかり見て。
「何処へも行かぬと言っているだろう?」
 宥めるような声に泣きそうになりながら、フワフワ遊ぶ髪を抱いて、不安定なボートの上で体温を分け合う。

 口を開けば憎まれ口ばかり。
 青物の野菜が嫌いで、酒と果物に目が無くて、晴れた日は意味もなく窓辺でニコニコしてたり、地震に怯えたり。
 あの頃見てた完璧な男は誰だったんだろーなーと笑えるほど、普通な友雅に、病気かってくらい惹かれてる。

 いつもお前のワガママに付き合ってんだ。
 一つだけ‥‥俺が、ワガママ言ってもいいよな?
「いいから、傍にいてくれよ」
「‥‥ハイハイ」
 呆れたように呟く友雅は、なんか幸せそうな顔で笑ってた。



創作企画で「キャラ・シチュ・決め台詞」をアミダで決めて、指定通りに書いたもの(笑)
ちなみにオイラが引いたのは
--
・キャラ→友雅
・シチュ→湖のボートの上で
・決め台詞→付き合ってください
--
相手は自由だけどBL指定。
なんせ引いたのが友雅だったから、そのまま書いたら余裕過ぎてツマンナイかなーってことで初書きの友天にしてみた。
好きなカプだけど、書く機会がなかったからさ。

捻らず素直にサクサク書けました。
天真はBLになるとスゲー弄りやすいです。マトモだから。

[鷹友]冬の桜

 貴方が私を愛しているなどと、なぜ思うのでしょう。
「鷹通‥‥花盛りとは、このことと思わぬかい?」
 見目麗しい女人の群れを見てクスクス笑う貴方を、冷めた目で制しながら。
「あちらから見れば、貴方こそが華でしょうに」
「おや、言うようになったねぇ」
 周りに人が溢れる中、私などと座を共にするだけでも、何かと勘ぐられるのではないかと心配になるほど艶やかな華として在る貴方が、こそりと。
「‥‥‥私には君こそが、麗しい華なのだが」
 どこまでも本気を知らせぬ言を紡ぐものだから。
「それはそれは。お目が狂われましたね」
 私は、本気にしないことが精一杯なのだと‥‥、いえ、この方は全てを知った上で、私をからかうのだろう。
 私が揺らぐ姿を楽しみながら。
 それでも決して、常識を良識を、この性に刻まれた宿命を裏切ることなどないと確信した上で。

 それだけが貴方の誤算なのだと、知りもせずに。

--

「珍しいね、こんな時間に」
「ええ。まさかこのような時間に貴方が自邸にいらっしゃるなどと、想像もしておりませんでしたが」
 何を望んだわけでもなかった。
 その残り香を探すように足を向けた先に、何故か貴方がいらして。
 まだ咲かぬ庭の桜を、まるで背伸びでもするようにジッと見つめていらしたから‥‥そんな無防備な姿を見ては、声をかけぬ訳にもいかず。
「一献、付き合っていくだろう?」
 当然のように誘う友雅殿に驚いたなどと、口にするわけにはいかなかったが。
「‥‥ええ」
 本当は、声の出し方を忘れるほど驚いていたのですよ。

 月夜に浮かぶ貴方が、今にも消えてしまいそうで。
 あまりにも儚げに、あまりにも苦しげに、あまりにも‥‥あまりにも幼く、縋るような瞳をしていらしたから。
 私は、我を忘れて。
『抱きしめたい』
 などと、思ってしまったのです。

 まったく、どうしたものか。
 溜息を笑い飛ばすように後へと続き、人払いを済ませた部屋で「さて」と振り返った貴方に、想いを確信することになろうとは。
「鷹通‥‥?」
 不思議そうに問いかける貴方は、どうしてか、私を振り解こうとしない。
 まるで真冬の気紛れに騙されて飛び出した蝉を見るように、興味深げにみつめているだけだ。
 それならそれで、かまわない。
 誤りを誤りと認めず、鳴ききってみせましょう。
 私を留め立てする気配もなく腰を落とした貴方を組み伏せて、その肌を解いていく。
 うっとりと呼気を乱す肢体は、私のものより遙かに強く力に溢れているというのに‥‥色事に小慣れた様子で震える身体。きっと一夜の戯れと割りきって愉しんでいるはずの、嬉しげな笑顔。
 どれも全てが、私の望んだものであるというのに。
 足りなくて。
 焦燥感は募るばかりで。
「友雅殿‥‥っ」
 浅ましい我が身を嘲笑う余裕すらなかった。
「クッ‥‥‥‥鷹、通。‥‥ン‥、そこは‥‥ァッ」
 赦されるままに押し開いた身体は、その余裕と裏腹に。
 まるで何も知らぬと。
 ‥‥それが自然なのだと気付かぬ私が、どうかしている。
 あれほど女性を大切になさっている友雅殿が、どうしてこのような行為を知っているなどと思ったのだろう。
 未知のソレを高貴な方に教える恐怖に戸惑う私を、強烈な流し目が笑った。
「手を止めてしまうのかい?‥‥さすがにここまで生々しくては、我に返るか」
「苦しくはないかと気遣っただけですよ。その様子では過ぎたものでしたね」
 売り言葉に買い言葉。
 この余裕に錯覚を受けたのだと理解しながら、手を進める。
 苦しげな中に色の混じる声を頼りに、一心不乱に‥‥ただ貴方を手に入れるためだけに。私などの欲のために。
 酷いことを、しているのかもしれない。
 ようやく込み上げた罪悪感すら、感じ入った貴方の声がかき消していく。
 それでも沈みこむ瞬間の壮絶な快楽は。
「友雅殿、申し訳ありません‥‥っ」
 思わずホロリと本音が零れて、腕の中の友雅殿が苦しげに腹をよじった。
「謝るのかい。根性のない」
「そんな、しかし‥‥いえ‥‥っ」
 動けずに固まった腕の中で、皮膚の馴染むのを待ちながら、ゆっくりと姿勢を変えた友雅殿は、貫かれたままというのに‥‥まるで私を組み敷くように上位を取って、悠然と微笑んだ。
「まさかこの私を組み敷こうなどと、なかなか興の入った遊びと思ったが‥‥‥‥違うね?」
 あらためて確かめられると恥ずかしいものだなどと、他人事のように思う。
「ええ。まさか、私が貴方で火遊びなどと。そんな怖ろしい」
 半端に身を合わせたままクスクスと笑い合う。
「本気になったというなら、その方が怖ろしいとは思わないかい?」
「そのようには感じませんね」
「こんなことをして、私が君に背を向けたら、とは?」
「それは当然の結果ですから」
「構わないのかい?」
「困りますが‥‥怖ろしいとは」
 どうあれ私が貴方に触れる機会など、後にも先にもこれ一度。
 ならば何を怖れることがありましょう。
 恋を重ねて、欲を重ねて、それでも飽きたらずに時をも重ねて。今宵貴方を愛しいとまで感じてしまった冬の蝉。
 ならば一夜の狂宴を‥‥鳴ききることなど、理とこそ想いましょうに。
「それでは、私が本気になってしまったと‥‥‥告げたら?」
 しっかりとした腰を抱えて緩やかに動いた私は、思考を止めたままで悦楽ばかりを求めていた。
「ア‥‥アッ、鷹通っ」
 何と言った?
「ア、グ‥‥もっと、深く‥‥っ」
 背中に口付けながら、溢れる涙を持て余して。
 あれは貴方の戯れだと必死で言を否定して、立ち上ろうとする期待を叩き壊して、それでもまだ何かを‥‥夢に見ている。
『私が本気になってしまったと』
 有り得ない。
 それは有り得ない。
 所詮は、冬の蝉。鳴けども鳴けども笑いを誘うばかりの‥‥悲しい恋なのだと。
「鷹通」
 私を跨ぐように足を通した貴方が、少し高い位置から私を抱きしめた。
 その温もりにたがが外れて、涙が止まらない。
 貴方を手に入れる。
 そんな期待が、何より怖ろしいのだと‥‥。
「鷹通」
 労るような‥‥愛おしげにすら響く声を否定したくて、必死で首を振る。
「私は己を、冬の蝉と」
 ああ、唐突に言って通じるわけもないのに。
「‥‥‥私は、冬の桜と」
 溜息のような言葉に、思わず濡れたままの顔を上げる。
 友雅殿は苦笑いをしながら私の涙を拭って、頬を支えながら身を屈めた。
 貴方は、私を、愛しておられる‥‥?
 始めてストンと胸に落ちた、百の言葉より確かな温もりが、そこにあった。
「‥‥もまさ、どの‥‥?」
 混乱するばかりの頭が、言葉を期待している。
 貴方からの恋を。
 なにより怖ろしい幸福を。
「雄々しく狂い咲く、冬の桜かと‥‥。凍える雪を溶かすほどに凛々しく咲き誇る花なら、永劫の冬に凍える心をも、春の日射しの中へと導いてくれるだろう?」

 ほどけた髪を遊ぶように指で梳いて笑いかける貴方は、月明かりの元のそれとは似つかぬほど確かな笑みで、とろけるように首を傾げた。

[頼天]吹雪の熱 4

「んっっ」
「息を吐け。腹に力が入ると、怪我をするぞ」
 そんなこと言ってもな!
「ん、‥‥あ」
「そうだ。そのまま私の肩に縋っていろ。そのうちラクになる」
 そんなの信じられない。
 いっそ‥‥こんな泣きたいような感覚なら、痛みの方がマシだ。
「あー‥‥、あ、あー‥‥‥っっ」
 静かに息を吐けない。
 バカみたいに声が出て、その度に頼久の目尻が下がる。
 くっそ!
 どうせアレだろ?可愛いとか思ってんだろ?わかるよ、俺がお前のそんな声聞いて思うくらいだから。悔しいな、まったく。
 二本、三本。太く固い指が時間をかけて其処を押し広げていく。
「も‥‥っ、ムリ!」
 涙が止まらない目を片手で覆いながら首を振ると、本当に身を引くからタチが悪い。
「冗談だろ」
「いや‥‥ムリをすることではない。お前を壊したくない」
 ウルセっつーの。
「壊せるもんなら壊してみろよ。こんな身体して、そっちのがよっぽど壊れてんだろーが!」
 頭にきて跨った。
「天真!?」
「お前のソレが治まるまで抜かないっ。俺が気絶するまで抱いてろっ」
 ズブズブと侵入してくるモノが、内蔵を押し上げる。だけど‥‥変に器用な指先より、ずっと心地よかった。

 喧嘩腰のやりとりも引いて、妙に静かな部屋。
 頼久は不安げに俺の顔を見てから、ホッとしたように笑った。アタリマエだ、そんな簡単に傷ついてやるもんかよ。
 少し痛い。
 かなり苦しい。
 それでも‥‥そんな感覚さえ、なぜか心地よかった。
 慣れた頼久の身体と違って、ゆるい動きにしかついていけないけど。
 それでも‥‥なんだか。
 胸で息をしていた頼久が、大きな溜息を吐いた。
「なんだよ、そんな幸せそうな顔をして」
「ムリを強いてすまない。‥‥確かに幸せだと感じてしまった」
「ばーか」
 そこで謝るな、この木偶の坊。
「お前に幸せとか言われて、俺が不機嫌になれるわけないだろ」

 ホント、馬鹿みたいだなぁ、俺たち。
 繋がりながら笑ってる。
 男同士でさ。気色悪いっつーの。
 幸せだとか満足だとか、真顔で言っちゃって。
 なあ、頼久。

「天真‥‥‥天真‥‥っ」

 ハイハイ。人が白けてる時に、そんな夢中で貪んなよ。笑っちまうだろ。
 困った奴だな。


3←

[頼天]吹雪の熱 3

 遠い意識の向こうで、低い子守歌のようなものが聞こえた。
 それが頼久の声だと気付いた時、声が泣いていることにも気付いて、なんだか悲しくなる。
 ‥‥‥頼久?
 泣くなとは言わないけどさ、せめて俺が起きるまで待ってろよ。たぶんその頃には涙を消して、当然のように大人びた顔をするお前が憎らしい。
「‥‥‥‥‥兄上‥‥」
 微かに聞こえたソレが全ての元凶なのだとは、この時全く気付かなかった。


 奇妙なほどの温もりに守られていた。
 少し汗ばむくらいの温かさに、今が冬だってことも、今日は最高に吹雪いてるってことも忘れて、気持ちよく身を捩る。
「起きたか」
 え、わっ、なに頼久、裸!?ってゆーか俺も裸っ!?

 あ。いや。
 そうだ確か、そういうことになってたかもしれない。

 回らない頭でジッと見つめると、穏やかな目がそこにあった。
 そう。こんな状況で。
 穏やかな!?
「頼久、お前どーしてこんなっ!」
 すましたってダメだ、腰に当たってるソレが元気すぎんだよっっ。
 ギュッと握ると、ふざけて笑うように身を引いた。
「天真が服を着ければ、治まるのではないか?」
 俺のせいだとか言うか。
「今出したばかりだろーが」
「‥‥‥‥‥ん」
 いっそ素直に信じれば良かったとさえ思う。
 その困り切った顔を知るくらいなら。
「もしかして‥‥‥足りない?」
 そういえば俺だけムチャクチャ搾り取られた気がするぞ。
 まったく、どんな身体してんだか。
「心は足りた。だから‥‥」
「身体は足りてないってことだろ?」
 仕方がない‥‥と下へ動いて、それを口に含む。
「天真っ」
 黙ってろ。こんなの抱えたまま、あんな顔で笑ってんじゃねーよ。
「あ、あ‥‥ク‥‥‥や‥っ」
 初めてでも、なんとなく解る。
 頼久の反応が素直だからかもしれない。きつく吸い上げると、全身を強張らせて堪える。唇で大きく扱くと、息を吸って身悶える。
 裏の筋とか玉とか悪戯でもするような気分で弄ぶと、その度に息とも声とも付かないソレで反応する。そんな頼久に感じて悶える自分が、むしろヤバイ。
「天真、そんな‥‥っ」
 頭をチロチロと舐めたまま、両手で包みこむように扱いてやると、泣きながら達した。

 結構ものすごい量が出たんですけど?

 なぜ元気。
 コレが噂の『絶倫』ってやつか!?
 いや。
 さすがに、変、だろ。
「だから‥‥よせと言ったのに‥‥」
 バツが悪そうに呟く頼久は、そんな自分に慣れているようだ。
 てことは、俺がどーこーじゃねぇよな?
「よくワカンネーけど‥‥辛くないのか?」
「つらい??」
 だってほら、いつまでもスッキリしないで燻ってる状態なわけだし。
 俺じゃ満足させられないのか‥‥。
「そんな顔をするな。私はお前がいれば、他に何も欲しない」
 掛け値なしに幸せそうな頼久を見てると、それでいいのかなと思う。
 だけど‥‥‥どこか意地になる自分もいた。
「頼久。まだ俺のこと、抱きたいか?」
「天真っ!?」
「正直に言え。俺は‥‥お前になら、それもいい」
 この際なんでもアリだ。
 ここまできて怖いものもないだろ。
 そういうのは、ゆっくりでいいと思ってた。だけど今それが必要なら、続けても構わないぜ?
「お前が壊れてしまう」
「バカにすんな」
 若いって強い。
 まだまだ多少の無理なら利くぜ?
「それとも俺なんか抱きたくないか」
「っっ、そんなわけが」
「ならいーだろ」
 否定するわけない。頼久は喉から手が出るほど、この身体を欲しがってる。
「生意気言ったこと後悔させてくれよ?」
「‥‥‥まったくだ」


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