記事一覧

[友鷹]愛された痕

 派手にちりばめられた赤い痣。
 困ったものだと、また一つ溜息をつく。
 髪を束ねて装束に身を包んだ時に外に出る部分を、一つずつ白粉で隠している私。それを知らないわけもないくせに。
 私を試しているのですか。
 誰かに誇示しているのですか。
 恋は密かに。
 邪魔など入らぬよう、用心深く、密やかに。
 だから貴方が意図的に付けた恋の痕は、私以外の誰も知るべきではないのです。

 そんなことを呟きながら、秘密の痕を消していく指先が少し嬉しそうだと‥‥妙なことに気付いて、苦く溜息を吐いた。