2007,11,17, Saturday
――退屈なときは、異なる世界の話をしよう。
という訳で、今度こそ小説本編の感想……の前に、 小説が出るのに連動して、BBプレイ時の日記を微妙に手直し。 具体的に言うと、略してた部分をちゃんと書いてステルス化。 ちなみにステルス内でもまだ略されてるままの部分もありますが、 そこは寛容な大人の精神で理解していただきたく! ……でも読み返してみたら、略した部分補っても 本筋のストーリーが解るように書いてなかったです。 単なる呟きでしかないというか。 ライドウや医龍2並のストーリーの詳しさは期待しちゃいけない。 なので、ここの日記を読んでも 小説を読む基礎知識にはなりませんよー、と。 それでは、 Ready―― た、 楽しい――――!! ものすごい楽しかった! BBの魅力といったら、まずあの世界観だと思うのですよ。 エルフやドワーフやゴブリンやジャイアントやリザードマンや その他色々な種族が1つの街に共存していて、 神と魔法と電話と精霊と自動車と不死の王とスナイパーライフルが 全部一緒くたに存在してる、ごちゃまぜ世界。 そもそも世界観に惹かれてBBをプレイした自分は、 ゲーム中にそういう描写が出て来る度に大歓喜しておりました。 ぶっちゃけ、あの世界を味わえただけで十二分に楽しめたので、 他の何処に欠点があろうとも許せてしまえる位。 と言っても、他の人が挙げてる不満を見ても、 どれも自分は気にならなかった部分だったりして。 何だか書きそびれてたからついでにここで書いてしまえ。 ↓以下ゲームの結末&根幹に関わる部分派手にネタバレ * * * * * * * * * * * * * * 個人的には、不死の王復活は無くて良かったと思ってたり。 ライトファンタジーRPGよろしく登場させてたら、 逆に世界が狭く感じられて陳腐になってた気がするのですよ。 お家騒動に終始したというのも、十二国記的といえば良いのか、 あれはあれで歴史の中の1エピソードを切り取って描いたようで、 結構良い作りをしてると思ったのだけどな。 主人公はあくまで「執事」であって「英雄の末裔」じゃないのだから、 特殊な力の篭っていない只のクイックドロウ1発で最後を締めたのは リック・アロースミスというキャラ的にも合ってるんじゃないかなあと。 BBは直球な熱さじゃなく、熱さはあるけど常に一歩引いてる感じ。 そして、自分はそこが好き。 というか魔王とか創造神とか倒すのはもう飽きたというのが本音ー。 でも兄弟が協力して2人で斑影を撃つルートは欲しかったかなあ。 * * * * * * * * * * * * * * ここまでゲームの方の話題。 そんな訳で、またゴルトロックの話を楽しめると思うと 純粋に嬉しかった。 同時に、世界観だけじゃなく登場するキャラも皆気に入ってたから、 小説でゲームのキャラがほとんど出て来ないのを知って、 かなり寂しかったのも事実ではあるんですが。 ですが。 だからといって小説で面白さが減ったなんて事は全然無かった! ゲームで感じた雰囲気は小説でも変わらなかった。 動くキャラや舞台が違っても、同じゴルトロックの話なんだなあ、 と思うと、とても嬉しかったのですよ。 書いたのがゲームのシナリオと同じ東出氏だって事は、 同じ雰囲気を楽しめた最大の理由なんだと思うのです。 更に言えば、東出氏は安定した文章を書く人だと分かってるので、 不安要素なんてものは最初から全く無いも同然。 ……というか、一番の不安は、設定がゲームの1年後なので ゲームの登場キャラクターがその時点でどうなっているのかという、 内容とは一切関係無い部分でありました。 これは超絶個人的な事情なので自分以外にはどうでもいい事ですが。設定に齟齬が出なくて良かったー。 書いた人が同じ事がこんなに安心できるものだとは思わなかった。 いやもう本当に、東出氏自身が小説書いてくれて良かった。 本当に良かった。 というか、東出氏の文章自体が好きなのだろうな。 世界観が独特な分だけ独自設定も多くて それに関する説明描写もかなり多いのに、 不思議と読むのが苦にならないのは 自分が設定マニアだからって理由だけじゃないと思うんだ。 確かに説明文を読んでて楽しいのは事実ではありますが、 ただの設定垂れ流しになっていないというか、 話を理解するのに必要な情報が、必要な分だけ書かれてる感じ。 あと、東出氏はキャラを立てるのが上手い人だよなあ、と思う。 数えてみたら、名前があってそれなりに登場するキャラが20名程。 それだけの人数が登場して、しかも皆活き活きしてるんですよね。 ……そういう所は、ただもう凄いとしか。 ただし、名前だけがずらりと羅列されて一気に増えると、 個別に登場する度に前に戻ってキャラを確認する羽目になるのが ちょっと困りものといえば困りものかも。 ちなみに、ゲーム中の十貴竜会議のシーンでも 誰かが発言する度にバックログを起動して確認してた過去あり。 あのシーンを最初に見た時は、本当時間かかりました。 でも会議シーンはめっちゃ好き。 ところでBBには、何かのパロディやオマージュと思われるネタが あちこちに”さりげなく”入ってまして、 それを見つけるのが面白かったりする。 東出氏は趣味方面の守備範囲がかなり広いので、 気付いてないネタもかなり多いのだろうなあ。 もし知っていたら今以上に話を楽しめたのかもと思うと、 守備範囲の狭い事がちょっとだけ悔しかったり。 でもホラー方面だけは駄目です……! それはそうと。 メガロドン、出したかったんだね東出さん。 色々語れるものはあるけど、一番重要なのは、 ちゃんと1つの話として面白いって事。 小説としての完成度が高いのは確か。 だから、ゲームやって面白いと思った人には、 何の迷いも無く全面的に薦められる内容なのは間違いないし (特に世界観好きの人は読まない理由は無い!)、 たとえゲームの方をやってなくても、 こういう設定が好きだと思った人なら絶対に楽しめる筈。 なのだけど、未プレイの人に対しては、100%全力で 面白いから読んで!とは言えなかったりする……。 何故なら、 メインのセルマルートでしか明かされないキャラの設定が まるっとさくっと全面的にネタバレされているから。 ネタバレ気にしなければいい話ではあるんですが、 後からゲームやった時に興が削げる可能性を考えると……。 なので未プレイの人(18歳以上限定)へ。 小説単体でも面白さは保証するけど、 ゲームをフルコンプしてからやった方が絶対楽しめるので まずゲームの方やってください。 あ、先に小説買うだけ買って、ゲームやるまで小説は封印、 ってもアリですよ? ただし18歳未満は興味が湧いても小説読むだけに止めておくべし。 きっと大人しく1年位待てば、PS2辺りに移植されるから。 ……でも誤字とかミスとかが見受けられるので、 もうちょっと待って再版されてから買う方が良いのかも…… いや、そもそも売れないと再版されないし……むう。 とりあえずここまで普通に感想。 ここから、もっと細かい所に突っ込んだ内容行きますよー。 とことんゲームの内容と絡めまくって語りますので、 プレイ済前提、未プレイな人置いてけぼりになるかと思われます。 故に隔離。 という訳で。 冒険物というと知ってるのがインディ・ジョーンズとハムナプトラで、 連想するのは古代遺跡やピラミッドやジャングルや山奥の寺院。 そういえばハムナプトラの主人公はリックって名前だっけ。 閑話休題。 だから海洋冒険物がどんなものかはまるっきり未知の領域で、 propellerオフィシャルHPの内容紹介文を見て 単純に、深海を舞台に謎の生物と凄いバトルをするのかなとか、 何の根拠もないけどそんな感じの話を漠然と予想しておりました。 しかし、実際は半分以上が潜水艦に乗る前の話だったという。 いやね、ハリウッド映画のアドベンチャー物のイメージで、 冒頭にちょっときっかけが描かれて、割と早い段階で海底に到着、 でもって到着後の冒険が話のメインに来るんだと思ってたのですよ。 オフィシャルHPに載ってる、大岩に追いかけられてる挿絵も、 到達した海底遺跡の中でのシーンなのかと。 そしたら、メイン主従2人の登場シーンか! ……でもあの入り方は良いね。 まさに冒険家って感じだし、その時の2人のやり取りで 2人のキャラクターと関係がどんな感じなのかがすぐに把握できた。 というか、オフィシャルのキャラ紹介で一番上に来てたので 主人公はカレンだと解釈してたんですが、 本文中のキャラ紹介を見たら主人公はアーネストなんですね。 が、よく考えなくても、タイトルからして主人公は執事に決まってた。 とまあ、海底での冒険がメインに描かれるという予想は 思いっきり外れた訳です、が。 別方向に燃え滾る要素が入りまくっていた……! 沈没船の調査を隠れ蓑に、裏で密かに進行する、 アーク・メリア軍の新型兵器を巡っての アーク・メリア軍と聖導評議会の争奪戦――! そうなるのか、そう来たか! これに燃えずして何とする。 正直、聖導評議会はゲーム後半があれだったんで 存在がとっても認識から外れてました。 そういえばアーク・メリア支部が一時的に壊滅状態になっただけで、 聖導評議会自体は危うくも何ともなってないんだっけ。 っていうか、出たー! メドラビットの新キャラと新たなエメス・トラブラム一緒に出たー! ところで関係ないけど、プレイ中から思ってた事が。 エメス・トラブラムはどれも体の一部の名前が付いてるんですよね。 一瞬、部位によっては脱力する名前になりそうだと思ってしまった。 ……尻とか(ミカベル的に!)。 そんな名前の武器、いくら威力があっても所持は御免被ります。 とりあえず「惨劇の水晶体」の正体は未だ不明、と。 しかし、メドラビットが種族的に小さめなのを考えても、 「惨劇の水晶体」は相当に大きいような。どういう武器なんだか。 軍は軍で、十貴竜メンバーに軍人がいた程度で ゲーム中ではあまり深く描かれなかったので、 こうやって裏事情が描かれると楽しいなあ。 あの継承騒動の最中も、新型戦車の研究なんかと平行して 裏でガーゴイルの研究もしてたのかと考えると、すごい興奮する。 新兵器というのが対魔銃兵器という事で、 リチャードの名前が出てきたのが嬉しかったです。 そんな感じにゲームでのエピソードがちょこちょこ出てくるのが、 プレイした人間にはなかなか嬉しいサービスではないですか。 っていうか牛タン、あの後どうしたんだろう? 最後の登場の仕方があまりにも格好良すぎて、 行く末の気になるキャラ筆頭なのです。 幸せになってくれているといいなあ、と思う自分は牛タン贔屓。 名前が出てきて嬉しいといえば、シャルマ・モーターカンパニーも。 ……ホープの惨敗記録はED以降更新されたのだろうか? 個人的にはセルマにアタックし続けてくれた方が面白いのだけど。 いや、ほら、コゼットフラグらしきものが立ったっぽく見えたけど、 小説のコゼットはそんなのがあるような描写が全然されないから。 でも一番気になるのがギリィ。 冒頭の描写がどう見ても「空歩き」。 まさか、本当にスカイウォーカーだったり……? 予想外だった事がもう1つ。 戦闘がほとんど無い。 これは本気で予想外すぎた。 ゲームの方が冒頭から橋上戦だったりしたから、 戦闘シーンはあると確信してたというか、 むしろ無いなんて考えてもいなかったのですが。 特に、アーネストの戦闘は絶対にあると思ってたので。 ナイフ使いのワータイガーなんてどんな戦闘スタイルなんだろうって かなり楽しみにしてたので、見られなかったのは残念。 ここは2巻に期待。 カレンがあれだけ腕を信頼している位だから、 体の頑丈さだけが売りでなくて、戦闘能力自体も高いと思うんだ! なのに、戦闘シーンが無いのに気付いたのは半分を過ぎてから。 あまりにも出てこないから、残り頁数が少なくなってくるにつれて 段々不安になっていったのは秘密。 で、発生した最初の戦闘が、潜水艦VSメガロドンって。 流石深海。何が起こるか分からない。 というか、ここはメガロドン3体相手でも楽勝なイエスラスの性能に 驚く場面なんだと思った。 いやいや、今回の肝はむしろ対人戦だろう。 終盤でやっと始まった、と思ったら…… コゼットーッ!! コゼットのピンでのバトルだーッッ!! 人気投票で「もっとコゼットの戦闘が見たい」と書いた甲斐があった! とはいえ、今回の主は冒険家だから、 明確な敵が存在しない以上、戦闘が無いのは自然なのですよね。 代わりにキャラ同士の会話シーンが多いのが嬉しい。 という訳で、ゲームの方の主従コンビも皆大好きだけど、 こっちの主従もなかなか素敵。 カレンはもっと周囲を振り回す系なキャラを想像してたら 意外にもしっかりした性格だった。 冒険家としてしっかり独り立ちしてるし、 自分の置かれた立場とそれに伴う責任をきっちり理解してて 行動している所が、何というか……凛々しい。 かと思えば妙に勝気な所なんかもあったりして。 ホワイトビューとの会話の応酬とか、 ホワイトビューの反応まで込みでかなり楽しいです。 でもさ、タンクトップとショーツだけの姿を平然と晒すのは ちょっとどうかと思うよ。 それを目の前にして平然としてるアーネストもなあ……。 っていうか、着替えまでさせてるなんて出てきたからびっくりだ。 流石にリッくんはそこまでやってなかった。 ……でもそういえば、リッくんも割と平然としてたんだっけ。 執事って人種は強い精神力を持っているんだなあと思いま…… ……雪はヴァレリアの姿に興奮してそうだった。駄目じゃん。 一方のアーネストの方はといえば、 少なくとも押しの強いタイプには見えなそうなイメージだったけど、 実際そんな感じで、まさに「気は優しくて力持ち」なキャラでした。 それどころか、執事なのに笑顔が苦手で口下手、って。 カレンが思ってたよりも真っ当な性格だったので、 そう理不尽な目に遭う事もなさげ。 むしろ、カレンの方はアーネストを危険な目に遭わせたくないのに そういうのを押し切ってカレンを守る為に全てを賭けてそう。 ある種盲目的と言っても過言ではないかもしれないけど、 カレンと出会った時のエピソードがあるから とても一途にひたむきに感じられてしまうのでした。 リッくんがパーフェクトに出来た執事だったのに比べると 色々足りてない部分がありますが、 それがどうにも可愛いと思えてしまうのはどうしたら良いものか。 ああもう、本当にどの執事も主大好きだなあああ! っていうか2人の会話の雰囲気がすごい好きなんですが! 何だかほんのりラヴ? アーネストの方はそういう感情とは違うものっぽいけど、 カレンの方は、コゼットによればかなり意識してるというから。 そう思うと、カレンのアーネストへの態度が どれもこれも可愛く見えてきてたまりません。 しかしアーネストに対するコゼットの感情がなあ。 コゼットの好みは「優しい性格」なんですかね? 唐突にアーネストとの話が出てきたので戸惑ったですが。 ……「愛人ポジション」という単語が頭をよぎりました。 あと関係ないけど、コゼットがそういう事を考えてる時に セルマを引き合いに出してたのが嬉しかったと、正直に言います。 そうかー、そんなに分かりやすかったかー。 良いコンビといえばもう1組の主従もいい味出してるよね。 ワイズマン六十三世と、その執事・ゴブリンのジーバス。 こっちは凸凹コンビと表現するのが相応しい感じ。 ジーバスの飄々としたキャラとステキツッコミが楽しすぎ。 登場しなかったタイプの主従ですよね。 2人のやり取りには和ませてもらったです。 というか、ワイズマンの初登場シーンがインパクトありすぎで笑った。 その後のジーバスのクリティカル脅し文句と合わせでステキ。 本当、いいコンビですミスティック・ワン主従。 あとは初登場のインパクトといえばホワイトビューも。 第一声で強烈な印象を植え付けてくれました。 ガラさんというダンディの次はこれかー! でもこのトカゲさん、いまいち正体不明なんですよね。 アーネストとの関係が気がかりで仕方ないんですが。 そしてそれ以上にお腹の具合が気がかりです。何食べてんだ。 けど、やっぱりゲームやった人間に嬉しいのは、 ゲームの方のキャラが登場する事な訳で。 挿絵で登場自体は既に分かっていたとはいえ、 セルマが出てきたのはやっぱり嬉しかった! 登場はたったの数頁だけだったけど、 ちゃんとミスティック・ワンをこなしてるみたいで、安心した。 ちなみにリッくんも一緒に登場したけど、 たった2頁の登場で出来る子っぷりを見せつけてました。 リッくんが三人称視点で語られるのも何だか新鮮でいいなあ。 アーネストの同級生って形で雪が出てくるのは予想してなかった。 というか、アーネストは白手の学院出てたんですね。 出自ははぐれだけど、執事としてははぐれではなかったんだなあ。 ……キャラは語るとキリがなかった。 本当に、キャラ皆良すぎるんだ! ゲームで説明されなかった設定も色々出てきて、 ある意味ゲームの設定の補完資料集にもなってるかも。 ただ、ですね……。 設定が濃い分、 もしかして東出氏、自分で作った設定忘れてるんちゃうか的な所が ゲームやってるとどうしても気になるのです。 や、ゲーム内だけでも矛盾はありましたけど。 一度しか通してプレイしていないので、単なるこっちの記憶違い、 実際は矛盾してないのかも知れないんですが……うーむ。 例えば、 ・アーネストは魔法の才能が無いから銃弾の召喚ができない →リッくんも同じように説明されてた気がするけど、 普通に銃弾召喚してる。 だから、召喚は本人の魔力を使うのでなくて 何かを媒介にしてるんだと思ってたんですが。 ・ゲームの1年後なのにセルマが18歳 →ゲームでも18歳だった。 小説の設定が7月で、ゲームでは確か初秋だったから 誕生日が夏なら矛盾はしないけど。 ・コゼットの年齢そんなに低かったっけ? ・カウラの名字は「アガスティア」。 ・ワイズマンの在住国名って「ソレイシア」でしたっけ? ……気になる。 気になるといえば誤字。 どころか、文節まるごと消えてる部分があるんですが。 文脈からして明らかに足りない。 折角のリッくん&セルマの会話シーンなのに、 地の文が抜けてるのか単なる削りミスか、 間に何も挟まずに同じキャラの台詞が2連続になってたり。 一部、文法ミスもあったし。 とはいえ、その程度のミス全部ぶっちぎれる位 内容そのものが面白いので、気にしない! で、思うんですが。 アーネストが走ったの、登場シーンだけじゃね?
| http://haruka.saiin.net/~summon_bullet/fdtd/log/index.php?e=75 |
| Work::Bullet Butlers | comments (x) | trackback (x) | |