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[景譲]貴方の玩具

 何か、おかしい。
 あれほど執拗に求めてきた腕が遠のいて、不自然な距離を取り始めたのがわかった。
 景時さん、俺は貴方にとって、もう不必要な人間なんですか。
 何かの気紛れかとは思った。
 何も生み出さない不自然な関係。解っていながらこの手を伸ばしてしまった俺を愛しげに抱く腕は、あまりにも幸せすぎて、現実味に欠けている。
 気紛れでもいいと思った。
 新しい玩具をバラす時のように、貴方が嬉しげに俺を抱くから。
 貴方が俺に飽きて消えてしまう日を少しでも遠ざけたくて、そればかりに必死で、俺は何かを間違えてしまったんだろうか。
 執拗に求められた身体が、慣れない行為に悲鳴をあげている。こんなものは貴方を得られる幸福になど、比べる対象にすらない。
 貴方の玩具でいい。
 壊れるまで、この欲が・・・貴方を求める欲が、完全に壊れてしまうまで。抱かれていたかった。貴方の物でありたかった。

 引き際なんて知らない。元より刹那的なこの想い。もう俺は、貴方の居ない世界で生きていける気がしない。
 景時さん。
 景時さん。
 景時さん。
 せめて俺の、息の根を止めて・・・。


 変に思い詰めたのがいけなかったのか。
 迷惑だろうと解っているのに、無意識に職場にまで足を運んでしまった俺を、貴方は亡霊でも見たような顔で見つめている。
「どうして・・・譲くん」
 言葉にならず、手を伸ばす。
 何を言えばいいんだろう。考えても考えてもマトモな言葉は出てこない。
 これではワガママな子供だ。
 自分の欲求を押しつけるばかりで、貴方に迷惑ばかりをかけて。
 俺は、狂っている。
 ・・・そう、狂っているんだ。
 急に気持ちが鎮まった。狂ってしまった自分。あとは無惨に捨てられるまで、惨めに縋ればいい。貴方が気紛れで、もう一度求めてくれるかもしれない。もう一度、赦してくれるかもしれない。
「欲しいんです・・・もう一度抱いてくれたら、俺は消えますから。一度だけ・・・」
 その言葉に眉をひそめた貴方は、洗い上がったタオルを括る紐を取り出して、器用に俺を縛り上げていく。身動きが取れないばかりじゃない。身じろぎするたびに紐が擦れて、困る。
 こんな。
 貴方に触れられてもいないのに。
 冷ややかな視線で犯されるだけで、どうにかなってしまいそうで。
「景時さん、どうして・・・」
「・・・もう、逃げられないようにね」
 逃げる?
 俺が、貴方から?
「君がこんな所にまで来てしまうから」
 呻くように呟いた言葉は、どう理解していいんだろう。
 いけない。冷静になれない。
 これではまるで貴方が俺を欲しがっているようにしか。

 そんなはずがないのに。

「嫌、かい?」
 わけもわからず首を振る。
 飛び散った雫は、涙なのか・・・?
「景時さん、俺はまだ貴方に求められていると勘違いしていいんですか」
「勘違い・・・そうだね『まだ求めている』んじゃなくて」
 少し乱暴に、顎をしゃくられる。
 苦しげに見つめてくる視線は、見慣れた欲情の熱に潤んで・・・。
「いつでも、際限なく、君が欲しいんだ」
 深く口づけられて、身も心も貴方に溶けていく。
 安堵感なんて、そんなレベルじゃない。どこまで信じていいのかすら、読みとれない。
 ああ、もう、これが嘘でも。
 この逢瀬の後、どんな地獄へと突き落とされようと構わない。貴方が俺を求めている。そんな夢に殺されるなら、もう・・・なんでも、かまわない。
「愛しくて、愛しくて、この欲で君を壊してしまいそうだと思ったから」
 笑ってしまう。
 壊してほしいと・・・ただそれだけを願っていたのに。
「だから俺から逃げたんですか」
「そうだよ。これ以上君の傍にいれば・・・きっと俺は」
「っあ・・・あ・・」
 いきなり沈み込んだ質量に息が詰まる。
 背を反らせて力を逃がしながら、手酷い痛みに酔いしれる。
「譲くん・・っ」
 貴方の想いに気付かなかったことが罪なのか。
 甘美な痛みに翻弄されて、その瞳を覗くことすら叶わない。
「ひっ、ああああ・・・っ」
「このまま君を啼かせて繋いで、俺以外の誰にも見えない場所に閉じ込めてしまいたい」
 布の海から手拭いのようなものを拾い上げて、俺の視界を塞ぐ指。
「や・・・景時さん、そん、な。ああっ」
 貴方を見つめていたいのに。
「君が逃げるのなら、いっそこの手で殺めてでも」
 殺意を感じる指先に身を任せる。
 貴方になら殺められたいと、分不相応な望みを抱きながら。

 フッと笑った気配がした。
 目を閉じていても判る。自嘲的な笑み。
「何も欲しがるまいと思っていたよ。俺みたいなダメな男に、愛を求める資格なんてあるわけがない」
 吐き捨てるような響き。裏腹に、深くなる契り。
「うあ、あ・・・・あ・・」
 言葉は無力と知りつつも、貴方に声をかけたいと祈ってしまう。
 この身では拭えない傷と知りつつも、貴方を抱きしめたいと願ってしまう。
 こんなに深く繋がっているのに、どうして貴方の孤独を拭えないのか。俺には何が足りないのか。ぶつかりあいながら、すれ違う想い。
「手に入れても指の間から滑り落ちる砂ならば、求めることも虚しいだけだと。・・・俺には、それを繋ぎ止める力はないからね」
 拭えない涙を流す貴方。
 透明な雫さえ形にすることなく、こんな時に不自然な笑みさえ浮かべて。
 悲しすぎる。
「かげ、ときさ・・・」
「それでも、君が欲しくなった」
 凛とした音色。
 歌うようにこの身を乞う貴方は、それでもまだその血を止めることもなく。
 諦めに似た笑みを浮かべて。
「もう、どうして良いのか解らない。止まらない・・・止められないんだ、譲くん」
 意識が飛ぶかと思った。
 強く捉えられて、早く深く何度も貫かれて、力を逃がすことも呼吸をすることも許されず、その腕の中で踊る。
 貴方の本気が見えた。この身で捉えて、もう二度と逃さない。
「・・ハ・・・ン、ァ・・カゲトキ、サン・・・」
 腕を伸ばして頭を抱き寄せる。
 音にならない涙を声にならない悲鳴を、包み込むように。
 もう二度と貴方が独りにならないように。
「どうして・・・?こんな、酷いことをしているのに」
 戸惑う貴方は、崩れてしまいそうなほど危うい。
 こんなに強い人なのに、自分を信じることも叶わないほどの何に怯えてきたのか、俺にはまだ見えないけれど。
「貴方は、俺が・・・」
 頬を挟んで強引に引き寄せる。
 深い深い口づけを、貴方の魂に誓いを立てる気持ちで。
「っ!!」
「俺が、守ります・・・」
 永久に続く誓い。
 たとえ貴方が俺を必要としなくても、俺の気持ちは変わることがない。

 愛している。
 ただ貴方だけを・・・永遠に。

「貴方は、俺が守ります」

 抱きしめた腕の中、貴方の流した涙が時を刻み始める。
 どこかに置き忘れてきた時間をつれて。
 俺の、この腕の中で・・・。

[景譲]甘い恋の日

 湯煎で溶かしたチョコレートは、アルコールを入れると固まらない。その上に混じり気のないビターチョコを重ねたら、外側がカリッとして、中身はトロッとした大人の味。
 ブランデーもダークラムも合うけど、相手を想えば、やっぱりスッキリと香りの良いオレンジキュラソー。
 今年一番の自信作。
 いや、今まで作った中で、たぶん一番。
 毎年なぜか、なんとなく作ってしまうのは、喜んでくれる人が確かにいるからだけど。
 今年は、いつもの比じゃない。

 景時さんは、きっと喜んでくれる。きっと、喜ばせる。

 手渡した時の照れた笑顔。封を解く時の期待感。箱を開ける時の鼓動。勿体ぶって小さく含む唇。嬉しそうに上がる頬。
 全部欲しい。
 一番の笑顔で、美味しいと言わせたい。

 たかだかチョコレートを作るだけで、こんなに本気になる自分は、どうかと思う。
 女の子の行事なのかもしれない。
 可愛い少女がやれば微笑ましい光景なのかもしれない。
 ほんの少し心をくすぐる劣等感。
 それでも。
 ただ、自信を持てる「料理」で…貴方を笑顔にしたいだけ。
 ムキなる自分は、少し愛しい。


 カチャ


 玄関の鍵が小さく立てる音を聞いて、前掛けを外す。
「美味しそうな匂いがするね〜♪」
 楽しそうな足取りで近づく気配に向き直る。
「ただいま、譲くん」
 行事の意味を知ってて、全身で期待して広げる腕に、飛び込んで。
「おかえりなさい、景時さん」
 幸せな瞬間を一番の特等席で眺める贅沢。

 差し出した包みに、心底嬉しそうに照れ笑いする貴方。
 無言でリボンをゆっくりと解く、子供みたいな瞳。
 箱を開ける前、無意識で胸に当てた指。
「わぁ」
 小さい歓声と、食べてもいいの?と見つめる顔。
 鼠みたいに小さく囓るから、作りたてのチョコレートが指を汚して。
 慌てて全部口に入れるもんだから、言葉にもならずに。
「んー…!!」
 身振り手振りで、美味しい美味しい美味しい!!なんて伝えてくれる。
 一番の笑顔。

 俺は、今また、貴方を好きになった。

 バレンタインのチョコレート。…好きですなんて、言えない。
 もう、好きですじゃ、足りない。
 愛しくて恋しくて貴方の全てが欲しくて。
 指先を汚した甘いものを舐め取ると、少し驚いた顔の貴方が、すぐにクスッと笑った。
 片付ける暇もなかったキッチンの、固まらないチョコレートを指に絡めて……俺の唇につけては舐め取り、はだけた首筋を、胸元を、脇腹を、汚しては…キスをして。
 全身から、甘い匂いと…気化したアルコール。
「んはぁっ」
 いきなり沈みこんだ質量に背を反らすと、覗き込んだ顔が幸せそうに笑った。
「ほら、まだあるよ、譲くん」
 差し出された甘い指に……貴方に酔いながら。
 一番に幸せな、甘い恋の日を過ごした。

[景譲]二股な譲(パラレル

もらった二股バトンから派生したお遊び。
譲が望美と景時に挟まれてオロオロしてる学園モノです。
特殊なパロなので、以下設定。

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設定
・質問の特質上、年齢は無視。3人は同い年で同じ学校に通っています。望美ちゃんと景時さんは同じクラス。譲くんは隣のクラスです(※譲が望美を『先輩』と呼ぶのは、そのまま残します。これ変えちゃうと雰囲気が出ない)
・譲くんはずーっと幼なじみの望美ちゃんのことが好きで好きで好きで好きで壊れちゃいそうでしたが(笑)昨年度クラスメイトだった景時さんとの間に、いつの間にか友情以上の何かを感じるようになってしまいました。景時さんは譲くんのことが大好き、いやいっそ愛してます(笑)今までポヤ〜ンと「譲くんは傍にいてくれる」と思っていた望美ちゃんは、突然のライバル出現に内心アセアセです(笑)
・そんな折り、学校の中で流行りだしたチェーンメールのようなもの…。これは譲くんの本音を聞く絶好のチャンスである!!と意気込んだ二人は今、譲くんの机を囲んで(まるで三者面談のように)向かい合っています。
・依然フワフワと立場を決めかねている譲くん、大ピンチ!!!
・望美ちゃんがこっちを向いてくれた。それが嬉しくてたまらないのに……景時さんの視線を感じると、過去の恋情は全て「なかったこと」にしたくなる、この気持ちはなんなのか。
・景時さんに甘く囁かれると泣きそうになる。なのに応えようとするたび、望美ちゃんの笑顔が泣き顔が憂い顔が浮かび……心が千々に裂かれそうな気分になるのは、何故なのか。

さあ、答えていただきましょう。


「 譲 く ん、ど っ ち が 好 き な の ? 」

> ひとーつ。
> 辞書を忘れて来ちゃった!!
>『望美ちゃん』と『景時さん』、どっちに借りる?

 辞書を忘れて……?
 それじゃ、景時さんに相談をするでしょうね。
「どうして〜っ。即答ってあんまりだよ、私そんなに頼りにならない?」
 頼りにならないというより、頼りにしたくないんです。いつでも貴方に頼られる存在でありたいのに……いや、それ以前の問題だな。貴方に「忘れ物をしました」なんて言えませんよ、恥ずかしい。
「俺になら、言えるの?……それってちょっと期待して良いのかな?」
 そういえば……景時さんに弱味を見せるのは、何の抵抗もない。いつも気付くと寄りかかっているような気がする。なんでだろう…。
「ああっ、理由なんか考えなくていいからね。頼りにしてよ。なんでもしちゃうからさ?」


> ふたーつ。
> 宿題やってきてない!!
>『望美ちゃん』と『景時さん』、どっちに写させて貰う?

 この質問は、有り得ませんね。
「……そうだね、譲くんが宿題忘れたなんて」
 はい。写す暇があったら、自力で終わらせます。
「ハハハ……俺が写させてもらうなら、いつものことだけどね…」
「私も……」


> みっつー。
> 週末に『望美ちゃん』と『景時さん』からデートのお誘い。どっちに行く?

 先に約束をした方と……というのは、ダメなんですか?
「ん〜。この場合は、誘われただけで『どっちとも約束まではしてない』ってことじゃないかな。だから譲くんが選んでいいんだよ」
 それにしても…内容で選ぶとか…。
「ふぅん、それでいいの? それじゃ譲くんにとって、より魅力的な誘いをした方が勝つことになるのかい」
 いえ、けしてそんなわけじゃっ。
「だったら選ぼうよ。同じ内容で同じ日に俺と望美ちゃんが譲くんを誘ったら、譲くんはどっちに行きたいの?」
 えっと……それは…。
(………デートの誘い? 貴方から、デートの誘い…? 貴方から、二 人 き り で デートの誘い? ←※トラウマスイッチ作動中)

 すみません。……先輩と。


> よっつー。
> ギュッてしてもらうなら、『望美ちゃん』と『景時さん』、どっち?

 だ…っ、抱きしめてもらうってことですか?
「そうよ〜。なに狼狽えてるの?」
 いえ、だって、そんな…っ。
「過剰反応するってことは、その辺に弱いってことかな?」
 ち、違いますよっっ(←墓穴掘った)
 なんで二人とも躙り寄ってくるんですかっ、もう俺帰りますよっ。
「譲くん、逃げるの!?」
 ピクッ(基本的に逃げるのはイヤみたいです)
「そうだよ〜、ほら座って。…逃げる時は、一緒に逃げてあげるからさ?」
 …………え?
「なんでもないよ。……本当に抱きしめたくなるね、君は」
「そーいえば、譲くんに抱きしめられたことはあったけど、逆はなかったよね。なんかいつも避けられてた気がするぅ……ムゥ…」
 だって、それは…っ。
「望美ちゃん、それはちょっと酷だよ。譲くんにも男のプライドはあるわけだからさ?」
「んー。ってゆーか、スキンシップ全般を避けられてたような気がしてきたのよ。これって嫌われてるってことじゃないの?」
「さあ…どうかな。ふふ。俺としては、そういうことにしておきたいけどね?」
「どういう意味?」
「好きすぎて、止 ま れ な く な る ってことだって、あるじゃない」
 ………っ(////)
「譲くん、この質問は俺にしとかない? ソンナトコも含めて、抱きしめてあげるよ」

 ………………………………はい(//−//)


> いつつー。
> 耳元で愛を囁いてもらうなら、『望美ちゃん』と『景時さん』、どっち?

 どんな質問ですかっっ(←壊れてきた)
 もう嫌ですっ、俺帰ります。
 ガシィッ(←二人から両脇を固められた)
「そんなこと言うと、いっせーの!で両側から囁くわよ?」
「望美ちゃん、ナイス!俺もそれがいっかな〜って思ってたトコだよ♪」
「本当に譲くんのことになると意見が合いますねっ」
「そ〜だね〜♪」
 嫌です、聞きたくないっ。そういうのは二人きりの時にそっと交わすものですし、どちらかが希望してそれを叶えるという形はオカシイんです!!
「ふぅん……不意打ちなら、いいってことね?」
「二人きりの時だね、覚えておくよ」
 っっっっ!?(//□//)


> むっつ−。
>『望美ちゃん』と『景時さん』、どっちに本命チョコあげる?

 チョコ……ですか、作りますよ、いくつでも…。orz
「手作りしてくれるの?感激だな〜」
「でも、本命チョコって一つだよね。…毎年私が貰ってた気がするけど」
「そっか。じゃ、今年は俺が貰ってもいいかな〜?」
「ヤーですっ。今年のチョコは絶対欲しい!!」

「てゆーか、普通は、望美ちゃんがあげるんじゃないの?」

 ガガンッ。
「あ、そーですね……そーいえば…」
 かっ、景時さんっ、貰ってくれますよねっ(涙)
「もちろんだよ〜。嬉しいな、譲くん♪」(←確信犯)


> ななつー。
> 結婚するなら『望美ちゃん』? 『景時さん』?

「これは私だよね、男同士じゃ結婚なんかできないもんっ」
「法律で認められなくても、神様に誓って、一緒に住むくらいならできるよ」
「だって景時さんには、譲くんの子供、産めないでしょ?」
 コ ド モ !?
「あ、そっか〜。う〜ん、惜しいなぁ〜。俺も譲くんの子ダッコしたいしなぁ〜」
「ほらっ。だから私が結婚して生んであげますよ、譲くんの子」
 ウ ン デ ア ゲ マ ス !?
「あ、あれ…? 譲くんっ、譲くん、しっかり…っ」
「キャアッ、…ゴメン、刺激が強すぎた…?」
「アハハ。これじゃ子供はいつになるかな〜」
「気長にいくもん。…それまで、こうやって二人でからかっていられるでしょ?」
「そだね〜♪」


> やっつー。
> 結局どっちが好きなのさ?

「困ったね〜。答える人がこれじゃあ」
「……譲くんって、自分から向かってくる時はエネルギッシュなんですけど」
「そうそう。全身の毛穴から『好き』が溢れて飛び散るくらいの熱量だよね〜♪ だけど受身は苦手なのかな。もしかして『自分が愛される』って構図を覚悟してない…?」
「…………たぶん」
「アハハッ、それは望美ちゃんが悪いんじゃないかな。ちゃんと返してあげなくちゃ〜」
「だって、この強さで向かってくるんですよ? 私まで返したらどんなことになるかと思ったら、知らない振りを通すことくらいしかできなかったんですよ。一度受け止めたら絶対に裏切れないしっ、相当の覚悟がいるんだから!」
「そうかもね」
「そうですよ」
「今は、覚悟、してるの?」
「どうかな。……景時さんは?」
「どうだろうね〜。俺は裏切り者だから…ね。逃げる時は、追って来れない場所まで一気に逃げるし」
「逃げちゃうの?」
「ん〜。逃げなくていいようにしていかなくちゃとは、思うんだけどね…」
「でも本気になった譲くんから逃げ切れる人なんかいるのかな」
「さあ?……譲くんになら、追っかけられてみたいけど」
「こ わ い で す よ ?」
「恐くてもいいよ。本気で…殺されるくらい本気で、愛されちゃうんでしょ?……そんな恐怖なら味わってみたいもんじゃない」
「ん?……もしかして景時さん、愛に飢えてます?」
「さあ、どうかな。…そうかもしれないね」


 殺したいくらい本気で愛してもいいんですか。
 壊れるほど盲目に、ただアナタだけを求めてもいいんですか…?
 ……言えない。
 口にして、離れてしまうのは怖ろしすぎる。
 口にして、壊してしまうのは悲しすぎる。
 もう少し今のまま、このまま、いさせてください…。もう少しだけ…。

[景譲]酷い遊び

 はじめは、ちょっとした遊びだった。
 仲間に冗談で着せられてしまった女物の着物。なんとか趣味の悪い余興からは抜け出してきたものの、いざ脱ぐ時になって、よくある『アレ』をやってみたくなったというか…景時の反応を見てみたくなったというか。
 譲は、そんな自分に苦笑いしてしまう。
 それでも何故か、二人きりの時ならば、こんな倒錯した遊びも楽しいと思ってしまうのだ。同じ性別…不自然な交わりを続ける『情人』との関係に、疑問を感じないわけではないが。男である自分が女の役を持つことに、違和感を持たないわけではないが。
 相手が景時であれば、何もかもを許してしまいたくなる。
 困ったものだな。
 こんな自分の変化すら、今は楽しい。
 矛盾も不安も、景時の前に立つと掻き消えてしまう。…まるで自分が消えてしまうようで、怖くもあるけれど。
 いっそ、消えてしまえたら、いいのに…。
 どこかでそんな願望を感じながら。

「俺は男ですから、少しくらい乱暴にしても大丈夫です。変に謝られたりすると、こっちが恥ずかしいですから」
「御意~♪ 譲くん、ノリノリだね。じゃ、いくよ?『よいではないかよいではないか~』あっ、譲くん怪我しなかった?今、変な風に手ぇ付いたよね」
 オロオロオロ。
「……ですから、…大丈夫、だと…」
「ゴメン…。やっぱり心配だよ。帯で遊ぶのはやめよ?」
 そう言いながら景時の身体が後ろに回り込んで、袷の間から少し乱暴に胸を弄り始める。
「え…っ、景時さん、なんで…」
「ん~?だって譲くんは、少し乱暴な方が感じちゃうんでしょ?だったらほら、怪我しない方法で……奪うから」
 紐を解かないまま着物を分けて、強引に指が入り込んでくる。
「あ……ダメ、そんな……景時、さ…ぁんうっ」
 抵抗も虚しく腕を押さえ込まれて、床に押し付けながら、まだ慣れていない場所を貫かれた。
「景時さ、ん…っ、………あぁ…」
 痛みは相当なものだろうに、譲は恍惚とした表情でそれを受け入れる。
 そして抵抗できない自分をこそ恥じるように、顔を逸らす。
「むりやり奪われると、感じちゃう…?」
 少し意地悪な気分になって耳元に囁くと、熱を帯びて潤んだ瞳が見つめ返した。

「……………イジワル……」

「言ったでしょ、俺は優しくなんかないよ、譲くん。……そんなに気持ちよさそうな顔をすると、もっと酷いことしてみたくなるじゃない…。悪い子だね」
 そう言うと、挿し貫いたまま強引に足を掴み上げ、身体半分を宙に吊り上げた。
 譲の身体は後頭部と肩…肩胛骨の辺りまでしか地に着いていない。
「あ…ぐっ………ん…っ、っあああぁ」
 上から叩きつけるように腰を打ち下ろされる。
 繋がりの深さに眩暈を覚えて腰を逃がそうとしても、足首から吊り上げられている状態では避ける術もない。
 あんまり快感に我を失いそうになり、譲は初めて怯えることを覚えた。
 見上げれば、残忍なまでに整った顔が、悪びれもせずに笑っている。
「苦しくて痛いのが、そんなに好き?……今さら怯えた顔をして、譲くんは俺をどこまで壊せば気が済むのかな…」
 うっすらと灯る、憎しみの炎。
 忌々しげな舌打ちの後、乱れた髪をかき上げて、苦しげな唸り声が名を呼んだ。
「譲くん…。君を、壊してしまいたいよ」

 君ノ瞳ハ、狂気ヲ煽ル。

 無慈悲にも抉り込んだ質量に身を裂かれながら、いっそこんな…非現実な陵辱こそが、自分を救うような気がして。
 振り回されて情の熱を叩きつけられてる間は、悪夢も…過去の悲恋も、全てを忘れられるような気がして。
「あ、あっ、ア、んああっ。景時さん……景時さ、ああああっ」
 我を忘れて嬌声を上げながら、屍のように身を投げた。

 全て貴方の思うがままに。
 俺を支配して……この苦しみから逃れさせて…。

 撒き散らした白い雨が譲自身を汚していくのをボンヤリと認めながら、その身体に己の熱を全て打ち付け、注ぎ込み……ようやく身体を解放する。
 ……床に投げ出された、小さな影。
 常に何かを抱え、何かに怯え、何かに耐える……美しい人。
 壊したいのは、彼が人知れず抱える強大な影。
 自分が抱えるそれにも似た、しかし全く非なるもの。
 真っ直ぐな心に『死の影』にも似た不安を抱き、自虐的な程に肌を求める、悲しい恋人。
「まったく、参っちゃうね。…ほんの遊びのつもりだったのにさ」
 日常の他愛ない交わりの中に、時折こんな、残酷な影が差す。
 全てを手放ししっとりと横たわる恋人を、軽々と抱き上げ、寝所へと運ぶと、無惨に汚れた身体を…顔を、そっと清めた。
 浅い眠りの中で悪夢にうなされる人。
 せめて今だけは……ゆっくりと休めるように。
 心ばかりの結界を張り、包み込むように身体を添える。
 今だけは、俺の腕の中でだけは、君の寝顔が穏やかでありますよう。

 祈りにも似た口づけを落とし、罪深い恋人は意識を手放した。
 
 
 
 
 
 
 
小説TOP目次
 
 

姫はじめ、景時バージョン(笑)
こちらはエロエロ設定になっております。ヘタレ攻めですが、さすが地白虎ってことで物凄いスタミナですね~。朝まで付き合える譲くんの体力と愛にも、かなり呆れますけど。わはは。

[景譲]白き道化師

「こっち向いてください。俺は、あなたが好きなんだ」

 何を言っているのだろうかと思った。
 それは俺が君に乞うべきものであって、返されることなど有り得るはずもなく……あっていいはずもなく。永遠に隠しておくべき感情だと気付きながら、それを打ち明けたのは…。
 壊シテ、シマイタカッタ、カラ。
 手に入るはずのないものだと知りつつもなお、求める心が止まらないなら。
 二人きりの時に。
 心優しい譲くんが、誰の目も憚らずに俺を切り捨てられる時に。
 ……壊シテ、ホシカッタ、カラ。
 俺という存在を全て否定して、もう二度とそんな無防備な姿で俺の前に立つことの無いように。信頼など持たずに……俺がどこまで狡くて酷い男なのか、君が知る前に、俺を存在ごと切り捨ててくれるように。
 心でそれを願いながら、それでも君を求めることをやめられない、無様な自分。君の優しさに縋り付いて、一寸の光を見るように君との未来を求めてしまう、情けない自分。

 想いを告げた時、確かに見えた狼狽の色は、否定の意味を持っているはずだった。自分で仕向けた答えに、それでも身を千々に引きされるような痛みを覚えて、自分の滑稽さを呪った。
 どうして、こんなにも、譲くんが欲しいんだろう。
 どうして、こんなにも、本気になってしまったんだろう。
 どうして、こんなにも、俺はカッコ悪いんだろう…。
 自分で書いた戯曲の上で、無様に踊る道化師。
 恥ずかしくて苦しくて…最後まで演じきることもできずに背を向けた俺を、どこまでも真っ直ぐで真剣な声が斬りつけた。


 俺ハ、アナタガ、好キナンダ。


 口の中がカラカラに乾いていた。
『譲、くん………?』
 今ほど呼びたいと思ったこともないほど愛しい名前が、風に乗ることもなく。
 …キン……と、張り詰めた耳鳴りがして。
 涙すら忘れた俺は、生真面目な決意を称える強い瞳だけを見つめていた。
『ホント……?』
 苦しくて苦しくて苦しくて、たまらなかった。
 今の言葉が風のイタズラなら……二度と立ち直れない。
 ゴメン。
 俺は君を幸せにできない。
 ゴメン……ゴメンね。それでも、君が欲しい。君だけが欲しい。

 一瞬の出来事だったのかもしれない。
 時が止まった俺の目には、焦れるほど長い長い一瞬。

 ゆっくりとゆっくりと近づいた譲くんの身体が、俺の全てを許すように、その腕で、その胸で、この身を包んで髪を撫でて……熱に冒されたように掠れた声が、耳元で何度も俺の名前を呼んでいた。
 名前の間に何度も入る吐息……よく聞くと、それは言葉で。

 …スキ……。

 もう、何も言えない。
 譲くんに触れたくて伸ばした指が、捕らえられて、絡み合って、解けない。
 夢中で触れた柔らかい唇を、何度も何度も啄むように味わう。そっと差し入れた舌先が譲くんの温度と絡み合って、現実離れしたような淫猥な水音を立てる。力強く抱きついた腕に引き寄せられて……ふと、残酷な欲に支配された。
 譲クンヲ、奪ッテシマオウ。
 この汚れた身の下に組み敷いて、逃げられないように…君を汚して。どこへも飛んでいかないように…君の純白の翼を折って。
 傍ニ、イテヨ。
 君が俺を求めたりするから、もう引き返せない。
 酷いことをするよ?
 そんな……誘うような瞳で、俺を煽るから。
 やめてあげられないよ?
 恨んでも憎んでも、苦痛に歪んだ悲鳴をあげても。
 もう、君は、俺のもの…。
「お布団にいこう。今日は天気が良かったから、ふかふかだよ」
 軽く言った俺を優しく見つめて笑う君は、その言葉の意味を知ってもなお、俺を求めてくる。あまりの愛しさに気が触れそうになる俺を見ないふりで。何度も何度も握り返す指先で、その意志を伝えてくる。
 奪えるものなら奪ってみせろと云わんばかりに。
「景時さん…」
 突然呼ばれた名前にサッと血の気が引く。
「どうしたの、譲くん」
 何もかもが見透かされているようで、可笑しいほど狼狽えてしまう。
「いえ……名前を呼んで、いいですよね」

 恋人の、言葉。

 奪うとか奪われるとか、そんな小さな問題じゃなく……譲くんは俺を求めてくれる。
 理解できない感情に溺れながら、噛みつくように夢中で君を味わった。
 たまらない。
 優しく自然に身を任せてくる君が欲しくて欲しくて、もう一秒も待てそうにない。
「名前を呼べなくなるくらい、深くなりたい」
 できれば交わったまま溶け合って、君になりたいとすら思った。
「俺も……深く、今はもう貴方だけが、ほしい」
 腕を広げて、このちっぽけな俺を包み込む君は、……誰?
 捨て身なほど真っ直ぐに向かってくる心が眩しくて、見つめていられない。目の裏が焼けそうに熱くて思わず伏せた目蓋に、口づけの雨が降る。
 愛しい……狂おしいほどに、愛しい。
 しどけなく解けた衣を押し広げるようにうなじを味わえば、切なげな溜息が部屋を満たした。もどかしく俺の肌をすべる指が胸の上で止まって、静かに鼓動を聞いている……聞かれている。君の名前ばかり呼んでいる俺の心音を。
 たまらなく恥ずかしくて、噛みつくように胸を吸う。
「あっ、…あ……かげ…き…さ…、んああっ」
 誰も居ない静かな屋敷を、君の悲鳴が駆け抜ける。
 そう。声を出していい。
 助けを呼んでも誰も現れないから、すぐに君は気付くだろう。俺が、どんなに酷い奴かってことに。
「あ、あ、あ、…あ…あぁっ」
 舌先で包み込んで転がして、熱を煽っていく。
 甘噛みすれば腰が跳ね上がり、吐息をかければ身を震わせ、時折苦しげに宙を掴む……その仕草が俺の媚薬になることを知らずに。
「ふ……ぅん」
 甘えるような吐息が、凶暴な欲を掻き立てることを知らずに。

 ボンヤリと靄のかかった瞳に欲情しながら、腹を滑り熱源に触れる。
 欲情するはずのない、男の身体。
 譲くんは間違えなく俺と同じ性をもっていることを目の当たりにして、それでも強烈に愛しさばかりが込み上げる。握りしめたそれをゆるゆると扱くことで頬に熱を上げ、焦点の合わない瞳で見つめてくるこの人を、奪いたくて……暴きたくて。
 感じている表情を、どこか冷ややかに観察しながら座り込んでいた俺のソレに、いつの間にか譲くんの指がかかっていた。
 探るように何度か握り返した神経質な指に、甘やかな吐息が止まらない。
「張り詰めてる……。景時さんも、感じてくれているんですね」
 本当に君には驚かされてばかりだ。
 嬉しそうに笑いながらソレを口に含んだ譲くんは、遊ぶように舌を絡ませてから、美味しそうに吸い上げて、愛しげに舐め上げて……顔が汚れることにも頓着せず、楽しげに音を立てている。
 固く固く張り詰めていた欲望は君の姿に煽られて、呆気なく熱を飛ばす。
「うわ。………あ、…どう…しよう」
 自分で仕掛けて飛び散らせた雫に、少し狼狽えている姿を見て、残忍な心が顔を出す。
「………譲くんがやったんだよ。きれいに舐めて、くれるよね?」
 優しげに囁けば、命令に『感じて』しまった視線が乞うように肌を撫でて、従順に頷く。
「はい……」
 茂みに腹に足に散ったものを、丁寧に舐め取って、何も云わずに見つめていた俺に見せつけるように、自分の指に絡んだものまでクチュクチュと舐め上げている。……壮絶な色香を放ちながら……張り詰めて泣いている自分の欲望には目もくれず、熱に浮かされた顔で誘いをかけるから。
「あっ。ああああああ、か、げとき、さ、………うわ…っ」
 たまらず、その肩を抱きしめて後ろから指を沈めていた。
「ダ……ダメ…。ふぁあ…っ」
「どうして?」
「そんな、とこ……汚……ぁあっ」
 指を踊らせて中を探ると、可愛らしい声が溢れた。
「譲くん、よく聞いて…。ここに、俺が入るからね…?」
「んあぁっ」
「ここに沈みこんで、…君を犯すよ」
 耳元で囁いた言葉に真っ赤に熟れて、身悶えている。
 指を増やしてもっと深くを探ることを手助けするように、腰を浮かして肩にしがみついた、可愛い人。
「いい?」
 許しを乞うわけでなく、ただ羞恥心を煽るためだけに紡ぐ台詞。
 それに悦んでしまう君の…涙。
「意地…悪…」
「さて、どうかな。君が許してくれないなら、ここでやめようか」
 やめられるはずもないくせに、スルスルと言葉が滑り落ちていく。
「やめ……ないで」
 言葉ばかりで負けながら、胸を肩にすり寄せて腰を揺らめかせる君は、すごく綺麗。
「犯されたいの?……譲くん、俺は男だよ?」
 ハハ…と、熱い溜息を吐き出しながら、耳元で笑う。
「犯してくださいよ。俺は貴方と……深く、繋がりたいんです」
 これは言葉遊び。
 受動的な台詞で俺を煽って、少し勝ち誇ったような君が、愛しい。
 後ろから抱き留めて前触れ無く貫くと、手を付いて背を反らす……世慣れた娼婦のようにすら見える、その姿。
 圧迫感に苦しんで吐く息は、苦しげなくせに官能的だ。
 前に回した手で譲くんの熱を扱くと、困り果てたように頭を振る。
「やあ……だ、めぇ…」
 苦しくてたまらないくせに。
 黙らせるように深く貫く。無言のまま何度も何度も打ち付けて、腰を回して、腕の中で暴れる人を思うがままに踊らせてみる。
「はあぁ、んっ……あ、んああぁ」
 片手を床に着き、片手で自分の肩を抱きしめながら、快楽に耐える姿がいい。
「譲くん……譲くん…可愛いよ」
 熱に浮かされて何度も囁きながら、本能に身を任せた。
 白濁した熱を譲くんの中に吐き出してから抜きとると、今まで見えていなかった惨状が視界に入る。
「気付かなかったな………何度イッたの?」
 先に極楽を見せてもらったせいで、長々と攻め続けてしまった自覚はあるけれど、それにしても……。一度や二度では、こんな事態にはならないと思えるほどの惨状。
「聞か…ないで、ください…」
 耳まで赤くなる恋人を抱き寄せて、苦しげな吐息ごと絡め取る。
 聞かないよ。
 数えていられる余裕は、なかったもんね?
 肩で息をつく譲くんを残して、敷いていた布を素早く取り替える。

「これで大丈夫だよ。……続き、しよっか」

 腕を伸ばすと幸せそうに飛び込んでくる、恋しいばかりの笑顔。
 静かに押し倒して、足を担いで……今度はその顔を見ながら貫いていく。
「あ……、はぁん…っ」
 掴まる物すらなく不安げな譲くんは、肩越しに布団を掴んで背を反らした。
 段々と身体は馴染んでいくけれど、胸は落ち着かず、求める気持ちは強くなるばかりだ。……壊してしまうかもしれない。そんな恐怖にフと動きを止めると、切なげな目をして頭を引き寄せて、深い口づけをくれる。
「もっと…もっと、貴方を…景時さんを、ください…」
 求めていいの?
 求めてくれるの?
 儚げなほど優しい笑顔を見て、つい込み上げた涙も…手を伸べて拭ってくれるから。
 もう気が遠くなるほど、何度も何度も何度も…すっかり日が昇ってしまうまで、抱き続けていた。

 もう、自分が何に怯えていたのかすら、覚えていない。
 罪に…血に汚れていた自分は、譲くんが全て洗ってくれたかのように真っ白で、ただフワフワと風に揺れている。

 すっかり寝入ってしまった恋人は、身体を清めて綺麗な布団に移しても、起きる気配すらなく。
「………ま、当然だよね」
 幸せに疲れ果てた横顔を指でつつきながら、隣にそっと身を横たえた。
「おやすみ。……愛しい人」
 明日も明後日も何年先も何十年先も、この人の隣に在りたい。

 その為にできることを探していこうと、心に決めた。
 
 
 
 
 
 
 
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姫はじめ、景時バージョン(笑)
こちらはエロエロ設定になっております。ヘタレ攻めですが、さすが地白虎ってことで物凄いスタミナですね~。朝まで付き合える譲くんの体力と愛もスゲエ。若さだよ若さ(嘘)

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