「‥‥‥また、貴方という人は」
呆れたような冷たい視線で見つめながら、私の愛を試す恋人。
「すまないねぇ。ご期待通り、いつも君のことばかり考えているのだよ」
「不埒は許しますが、嘘は許しません。私のことなど顔を見た時以外、思い出しもしないでしょうに」
これは頼久の本気なのだろう。
残念なことに、君だけが君の価値を知らない。
「そういうことにしてあげても構わないがね」
言葉を駆使して宥めても、どうせ君は信じやしない。
ならばその身体に、証を刻もう。
毎日少しずつ。幾年もの年月をかけて、私が君を想う証を。
いつか気付いてくれるだろうか。
君が必要以上に尊く想う男が、ただ一途に愛している人の価値を。
他の何もいらない。
君だけに、私を受け止めてほしいのだと‥‥ねぇ、頼久。
そんなに冷たい瞳で、君自身を傷つけないで。
言葉で語る愛の方が、よほど容易い。