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[友頼]侵蝕

 困ったものだね。
 恋などという果てのない情熱とは『無縁』を決め込んでいた私の懐に、いつの間にか入り込んだ君は‥‥日々、この胸を蝕んでいく。

 ・・・・君ヲ、愛シテイル・・・・

 軽く流してしまいたい。
 そんな願いとは裏腹に、この心は言霊に巣くわれ蝕まれていく。伝えずに溜め込んだ言葉が胸の内側を掻きむしり、痛みにもがく私を不安げな君の瞳が射抜く。
 ああ、そんな顔をしないで。君が怖がるような言葉は、決して外へ漏らすことなく、この胸にとどめておこう。君が私へと何も伝えたがらないように、きっと私もこの傷みに堪えるから。
 いつかそっと受け入れてくれるかい。
 君が無自覚に流す形のない涙を、いつでも拭える距離に在りたいのだよ。
 わからないのかい、頼久。私が想うだけでは、この距離は縮まることがないのだと。音もなく後ろへと下がるその足を君が止めない限り、私は何を手に入れることも出来ない。

 あまり待たせすぎないことだ。
 でないと私は、君を壊してしまうよ?

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