undercords


2010/12/14/(Tue)20:16 
※ほとんど一発書き日記で九弁小話2・13話目

[8/22 04:15am ]

 さっきまで頬杖つき目を閉じながらも会話を続けていた弁慶だったが、次第にその姿勢は崩れてゆき、ついに机に頬を付けてしまったかと思ったら、言葉も途切れはじめ、とうとう眠ってしまったようだった。
「弁慶?」
 九郎が話かけても返事はない。かわりに上がるのは寝息ばかり。もしかしたら寝たふりをしているのではないか、と、最初、九郎は疑っていたが、その寝顔があまりにも、崩れていたので、ああ本当に眠ってしまったんだな、と判断し、椅子に深く座り直して、曖昧に笑みながら彼を見つめた。
「ようやく寝たか」
 当初こそ、彼が寝たら一人で起きていられる自信はなく不安で心許なかったが、さっきの闇雲な彼を見た後だと、さすがに起こすつもりにはもうなれなかった。そもそもどうにも熟睡している様子なので、起こしても速やかに起きてくれる保証もなかったし。
 弁慶は普段こそ、まるで眠っているのか分からないほど整った顔で睡眠をとっているが、稀に、ひどく疲れた時なのか、とんでもない表情で眠ることがある。それを見て九郎はああ、疲れているのか、程度にしかずっと思ってこなかったが、いつだったか、望美がはじめてそれを目にした時、弁慶さんがこんな顔するなんてありえない、と、ものすごく落胆していたことがあって……、しかも望美だけならまだしも、譲や敦盛もたいそう驚いていたものだから、きっとそれほどに珍しい、弁慶らしくない寝顔だったのだろう、と、九郎でもおぼろげに想像はついたものの、だからといって、やはり特異性を感じたことはなかった。
 でも、今はどうしてか……知らない世界に来たからだろうか、そもそも、稀にしかこの顔をみなくなったからだろうか、なんとなく、こんな歪んだ寝顔は弁慶からは想像できない、という気持ちが、本当になんとなくだけど分かるような気がした。
 懐かしいな、と、思う。そういや、九郎と弁慶が特別親しいと望美にバレたのもその時だった。最初は顎が外れそうなほどに望美が唖然としていて、一体何をそんなに驚かれなければならないんだ、と、九郎からすれば不服だったものだけど、こっちに来てなんとなく、その意味も分かったような気がした。
 たったの一年もたってない出来事なのに、ひどく遠くに感じる。まるで今日見た花火のような、刹那で、一瞬の日々。失ったものも多い。……それだけではないと、分かっているのだけれど。
 弁慶は相変わらずに眠っている。九郎はなんでもなく携帯を取り出して、カメラモードを起動して構えた。
 当たり前のように弁慶は気付く気配はない。きっとシャッター音がしても、起きはしないだろう。けれど九郎は、撮影ボタンを押さなかった。
 携帯を再びポケットに収めながら、外を見る。まだ星空だ、だけど今は夏、きっともうすぐ夜が明ける。



ほとんど一発書きと言いながら、最初の頃はちゃんと下書きとかしてたんですが、ここ4話くらいかな、本当に一発書きで書いてて読み返してもいないので文章が酷いことになってて、特にひとつ前とか、今回分も、すごく読みにくくて本当にすみません。そもそも九郎が弁慶と会ったの13〜4、って言ってるんだけど、もうちょっと若かったような気しかしない。
あまりにも申しわけないのでそそくさと次を更新してしまってみました。そのうち小話置き場に収納するときにはちゃんと清書すると思いたい。
多分あと4話で終わります。

2010/12/14/(Tue)01:02 
※ほとんど一発書き日記で九弁小話2・12話目

[8/22 03:50am ]

 弁慶のお陰で九郎の目はすっかり覚めたが、今度は弁慶が眠くなってきたようだった。本人は口にしないが、コーヒーを飲むペースが上がっていることに九郎でも気付いていた。
「そこまで無理する必要もないんじゃないか?」
「いえ、」
 弁慶はすっかりと寝ぼけているように、九郎には見えた。ぼんやりとしている。けれどあいにく、可愛い、と思えることはない。殺気立っていたからだ。
「ここまで来て、寝るわけには」
 九郎を睨みながら弁慶は言うと、とんでもないものを手にしたから、慌てて九郎は止めた。
「待て!!」
「止めないでください」
 しかし掴んだ腕は振り払われて、弁慶は自分のコーヒーにまで唐辛子を入れた。そして飲んだ。
「……うわ」
「……さっきの君の反応を見た限り、もう少し効き目があると思っていたんですが、そうでもないですね」
「もう止めないから寝てくれ弁慶」
「僕の場合は、どちらかというと、薬師をしていた過程で、味覚が壊れたんだと、思いますよ」
 にこりと作り笑顔で弁慶は言う、けれど目は据わったままだ。色々と九郎は困ってしまった。とりあえずこのコーヒーを飲めてしまうのは眠気のせいであるほうが幾分ましだと冷静に思ってしまった。
 はらはらする九郎の前で、弁慶は少し拗ねたような顔をした。
「それにしても、どうして君はそんなに元気なんですかね」
「さあ」
 聞かれても分からないし、そもそも眠い九郎は曖昧に答えると、弁慶は続ける。
「蕎麦の力ですかね、あれは健康食だと聞きます」
「どっちかといえば、年のせいじゃないか?」
 けれど、その言葉には、弁慶は拗ねたような顔のまま、口を閉ざした。
「どうした? 何か変なこと言ったか?」
「いえ、別に僕は普段年の事を気にすることはないですが、たまに、こう、なんだか無性に聞き逃せなくなるな、と思って」
「事実だ、仕方ない」
 九郎は言うも、弁慶はなおもその話を続けた。
「たまに思うんです。もし、僕が九郎よりも3つ年下だったらどうだったのかなって」
「どうでもいいだろう、そんなこと」
 と言いつつも、九郎はふと、年下の弁慶、とやらを想像してしまった。
 九郎が弁慶に最初に会ったのは、13、4の頃だったか。ということは、弁慶は10を過ぎたくらいか、だとしたら、まだ幼子じゃないか。九郎が実際に弁慶に出会った時、彼は既に口が達者で言いくるめられてばかりだったが、10くらいなら、素直で可愛らしかったのではないだろうか、と思えば。九郎は素直に胸の高鳴りを感じた。
 たしかに、それはそれでよかったのかも。そしてそのままそんな弁慶と年月を重ねていくことができたのかも。
 けれど、九郎は、再び想像してしまった。仮に、弁慶が九郎より3つ年下だとしたら、今は20だ。20歳の時の彼を思い出す。あの頃は、平泉で……。
「……どうでもいいな」
「そうですか?」
 不服そうな問いに、九郎はしっかり頷いた。
 だって当時の弁慶ときたら。
「どうせ今と大して変わらない」
 だったら今のままでいい、と、九郎はきっぱり結論付けた。


書いた私もたいがい寝ぼけている

この下であれですがいただいたコメントにお返事です
11日の昼間の方
九郎は多分、自分に非がなければ相手が弁慶だろうと頑なに譲らないんだと思うんですが、ちょっとでも反省すべき点があると謝っちゃったら可愛いなあと、思って、今回はあんな感じで書いちゃったんですが、引かずに言い争いしちゃって、他のお客様にご迷惑ですので、って怒られても可愛いなあと、後から思いました。どっちにしろ九郎は被害者ですが(笑)、きっとそんな九郎だから弁慶も放っておけないんですよね! 可愛いってお言葉嬉しかったですありがとうございました〜!
 ところで書いた人が言うのもあれですが、弁慶のコレクションは私も欲しいです!! ただ弁慶がおすそわけしてくれるかは謎ですがとりあえず自慢話なら聞くからその携帯貸して!!と切実に思います!!



11日の夕方の(返信不要の)方
「僕を一人にしないでください」は、この話では多分、策略成分が多いと思うんですが、何割かは天然も入ってると思います。そんなこといったら九郎がどんなに弱っちゃうか測りはぐってて予想以上に効果が出ていることに気付いていなかったら可愛いなって感じで! もちろん100%素で言っていても素晴らしく可愛いと思われます。にやにやです。
すぐ謝っちゃう方に関しては、書いた私がいうのもあれですが、いい加減九郎も少しは学習すべきだと思いますが、それができたら九郎じゃないよねって説もありますよね! でもとりあえず、弁慶にからかわれ続けることができるって、きっと平和の裏返しなのかな、って気もするので、それはそれで幸せなのかもしれないですね!と、フォローになってるのかなってないのか分からない言葉を付けつつ(笑)、 楽しいコメント私こそありがとうございました!!


拍手もありがとうございました!
多分おそらく今週スローペースですがもうちょっとお付き合いしていただければ嬉しいです。

2010/12/11/(Sat)08:42 
※ほとんど一発書き日記で九弁小話2・11話目

[8/22 03:00am ]

 腕にはめた時計をちらり、と見ると、深夜三時になったところだった。丑三つ時。草木も眠る、と言われている時間。
 今までそこそこ耐えてきたつもりだけど、さすがの九郎でもやはり少し、いやかなり眠くなってきた。睡魔はなかなかに手ごわい相手だ。かつて戦場ではこんなことなかったのに。衰えたか、うつつを抜かしているのか、九郎はいささか自分の弱さに眉を顰めながら、目の前に用意しておいたコーヒーを手にした。
 眠い時にはコーヒーだといつだか譲が言っていた。ひたすらコーヒーを飲むんですと切実すぎる顔で言っていた。一体何にそんなに必死で徹夜しようとしていたのか九郎は詳しいことは知らないが、今自分だってこんなことで必死になっているんだ。譲にだって一度や二度、こんな経験があったんだろう。
 ……と、眼鏡の彼のことを思い出しながらコーヒーを口に含んだ、途端、吹いた。
「ぶっ」
「九郎」
「いやだってお前これ!」
「君が何を言いたいのか知りませんが、だからといって、吹きだしていい理由にはなりません」
「……すまなかった!」
 ふてぶてしい、と思いつつも事実、汚いことには変わりないので、九郎は悲惨なことになってしまった机の上をひととおり拭くと、改めて彼に向き直って、真っ正面から言った。
「で、お前は一体何をした」
 そんな九郎に弁慶も向き合ってきっぱり言った。
「九郎が眠そうだったので」
「だからといってこれ……何を入れたんだ」
「いやだな、ちゃんと食べられるものですよ、唐辛子ですから」
 さらっと弁慶が言う言葉に、九郎はまた口直しに飲んでいた水を吹きそうになった。危ない。
「お前なあ…」
 睨まずにはいられなかった。けど弁慶は、今度は大きな目でじっと九郎を見つめて、
「九郎、僕を一人にしないでください」
などと言う。そんな風に言われると九郎は弱い。多分確信犯なんだろうと思うけど、弱いものは弱い。だから、
「お前も一人だと怖いのか」
「違います、寂しいんですよ、君と一緒にしないでくださいね、九郎」
などと散々に言われても、結局九郎は、む、と、口を横一文字にするだけで、それにとやかく言う事はできなかった。
「……だが、どうにも耐えきれなくなってきた」
ただし、弁慶の暴言と、自分の眠気は別だ。なので、九郎が素直に辛いと訴えると、弁慶は、少し考えた後、
「とはいえ……どうすれば君の目を覚ますことができるか……、ああ、そうだ」
と、笑顔で言って、ごそごそと携帯電話を取り出した。
「君に僕のとっておきのコレクションをお見せしましょうか」
「またなにかどこかの怪しげな曼荼羅とかじゃないだろうな」
「ふふっ、今日は違いますよ……これです」
と、弁慶が嬉々として見せた、その携帯の画面に映し出されていたのは、
「俺か!?」
「ええ。どうぞ、次々と見ていってください」
 そこには九郎が、部屋のソファで昼寝をしている写真があった。いつの間に。思いつつ、次の写真を見る。その次も、次も、見れども見れども、似たようなものばかりで、
「な……なんだこれは」
「見ての通り、君の寝顔を集めてみたものです」
「なっ!!!!!」
 九郎は絶句した。
「しっ、静かに」
「これが落ち着いていられるか!」
 だって、一枚二枚じゃない、少なくとも今10枚は見てきたと思う。九郎は必死にボタンを押し続けた、けれどもいつまでも続く彼のコレクションに、抑えるのに必死だった怒りが徐々に、呆れに変わり、最後には、なんだかとてつもなく気恥ずかしくなって、九郎は結局、全てを確認することも、また、手渡しすることすらできずに、おずおずと机の上に彼の携帯電話を置いた。
 弁慶は変わらぬ笑顔で言った。
「こちらの世界は便利ですね」
「お前もどこへ行っても変わらないな」
「君ほどではないと思いますよ」
 そんな彼にまだ言いたいことがあるような気もしたが、とりあえず目は覚めたから、その点では感謝せざるを得ないな、と、九郎は思った。


なんか私も萌えを持て余してきた

2010/12/10/(Fri)18:05 
 拍手コメントで触れていただいたんで、なに書いたっけ??と思い出すために、自分で書いた夢浮橋のプレイメモを読んできた……んだけど、今読むと、説明不足すぎてなにを言いたいのか微妙に良く分からなくて焦りました。
 こういうところ萌え!って言いたいんだろうなってそういう意図はさすがに自分だから分かるのだけど、どういうイベントだったのかを覚えてなくて……後半は反省したのか、若干説明追加気味なんだけど、最初の方全く無説明なので、これプレイ直後じゃなきゃ分かんないな、と反省したのでした。そのくせなまじ自分でかいた感想なので、なんかすごく私のとっては萌えなことがちらちら書いてあるんだよね。だからますます、説明を激しく要求したくなった。これじゃまるで拷問だ。
 とはいえ、発売直後の、ついでにこのサイト作ってる最中のプレイメモなので、やっぱり時間たってるからだろうね、今と思ってることがちょっと違ってて面白いです。いや違うって言うよりは、今の方が色々萌え幅が広がってるから、多分今やったらまたあの時以上に色々あちこちにやにやしちゃうだろうなー!って思ってる。特に将臣くん周辺かな。
 私の中で将臣くんてずっと、良くも悪くも空気だったんだよね。遙か3ってみんなを助けてゆくゲームだけど、将臣くん(とあとヒノエもかな)って助けないじゃないですか。だから自立してる、安定してる、安心できる、神子様がいなくても平気! みたいに、勝手にずっと思いこんでて気にしてこなかった。別に将臣くんだって平気じゃなかったんだよね、って、多分、最初に気がついたのが、夢浮橋だったんだろうなあ、と今思えば思う。んでそのあと二次創作の影響とか、友達と喋ってて将臣くんへの好感度は現在も常に上がり続けているのだけど、だからこそ今見たらまた違う事思うのかもしれないなってすごく思う。あと九郎だな。九郎見直したい。弁ヒノは強烈に覚えてるんだけど九郎のイベントよく覚えてないよ〜。やたら九郎だったのはおぼろげには覚えているのだけど。


それを踏まえたようなそうでもないような感じでお返事です。
8日の夜の方
 まずは誤字のご報告ありがとうございますー! まだ着手できてないんですが、後で早速直しに行ってきます。誤字見つけてくださるくらい丁寧に読んでくださって嬉しいやら恥ずかしいやらですが、光栄です!
 夢浮橋のお話も楽しかったです!! 拝見してて色々思い出してにやにやしちゃいました。「また呼んでくれますね」は私、すっかり忘れてたんですが、そんなこと言ってたんですね弁慶さん!ほんとに…夢浮橋は皆キャラ立ちすぎです。荒法師スチルお好きですか〜!? いいですよね。あの表情がたまりません。弁慶のことだから多分、年下の九郎にも当たり前にあんな感じだったんだろうなと、私は納得しちゃいました(笑) どっちにしろ3の本編で「(荒法師時代の事は)恥ずかしいから(九郎には)忘れてほしいんですけど」とかなんとか言ってるのも頷けますよね。
 将臣くんの感想に関しては、上にもちょっと書いちゃったんですが、私のそれまでの印象がずれていたせいで、過剰に将臣くん切ない〜!!とか書いちゃったという説が濃厚なので、もし次回リプレイされた時に期待外れだったらすみません!!と先に謝らせてください!(本編では、譲が兄さんリスペクトすぎるから、その影響で将臣くんが偉大に見えちゃってたのかもな、と、今これ書いてて思いました。ただの言い訳ですが!)
 それと、そういえば頼忠さんの棟梁さんが、九郎のご先祖様になるんですよね!!!それは……きっと頼忠さんのことだから、勝手に過剰に感動して色々先走って空回りしてそうです。しかも九郎も九郎だからこんがらかってそうです。その光景はきっと可愛いに違いないですが、途中から鬱陶しくなりそうですね(笑) 弁慶は止めてくれないと思われるので、将臣くんと勝真の青龍組がどうにかしてくれるのに期待したいです!そこまで込みでイベントが見たいなって思ってしまいました。
 あと、弁慶と景時さんのイベントは、そうなんですよ! 私もそれまで全く、その二人が仲いい印象がなかったので、楽しそうにはしゃいでる二人を見て、衝撃っていうか、自分で思ってた以上に嬉しくて嬉しくて、先日の源氏組の話を書いたきっかけも、間違いなくこのゲームだと思います。……なので今回、逆の事言っていただけて、恐縮すぎる!とも思ったんですが、嬉しかったです〜!! ……いないのに妙に存在感のある九郎も面白かったですが(笑)
 その他拾いきれてないんですが、ゲームの感想のお話聞いたり見たりするの好きなので楽しかったです。
 サイトの話も読んでくださって、触れてくださって感謝です。日記の小話は、望美+有川兄弟が仲良くしてる図が好きなので、つい書いちゃいました。再生もありがとうございます。譲と言うと先輩!って台詞がつい浮かんでしまいます。ただでさえ譲は大変だと思いますが、あのキャラの望美さんだと更に振り回されそうですが(笑)、でも譲ならきっと乗り越え続けてくれるに違いないと信じてます。
 重ね重ねになっちゃいますが、たくさんありがとうございました〜!