昔書いたものを色々眺めていたらなんか出てきたのではりつけてみます ちょっと今寝ぼけすぎてまともに日本語読めないので後日修正するかも もしかしたら削除するかも
宇治川ちょい前くらいの暗め源氏組です、九弁かどうかは微妙だけど九郎は弁慶のこと好きだと思う話 書いたのは去年の夏前です
読んでみる 九郎を最初に見た時に目を奪われたのはとにかくその立ち姿の美しさだった。景時も武士で、さまざまな武士を見てきたけれど、あんなにも凛と立つものを他には知らない。 その彼は、出会って数年たっても相変わらずの美しい立ち姿で遠く去ってゆく影をただ見ていた。 「弁慶、出かけるの?」 「そのようだ」 馬に乗った黒い影は振り返ることなく、ゆっくりと遠ざかってゆく。九郎はただ、それを見ていた。 「どこへ?」 「さあ、俺に行き先を言う事は少ないから、知らない」 「……弁慶も、忙しいね」 景時がどれだけ話しかけても、彼はこちらを振り返ることなく、ただ、遠ざかる影を見つめていた。 「ああ。本を読んだり薬を摘んできたり調合したり、忙しい。少しは羽根を伸ばしたりすればいいものを」 「それ、九郎にも当てはまると思うけど? 君も随分忙しそうだよね」 「俺はその為に鎌倉にいる。一日も早く武勇を上げて兄上をお助けしなければならないのだ。忙しくなどしていない」 「俺も九郎をみなわらなきゃね」 「景時は十分働いているだろう?」 景時も、九郎から遠ざかる影へと視線を移した。それでも弁慶というのは本当に鎌倉に長居することがない。九郎は知らないだろうが、先日の熊野水軍の平家攻めにも加担していたという噂がある。 彼はひとところには留まらない、なのに、どこで何をしているのか九郎が全く知らないというのが、不思議だった。 「どこへ行くか、聞かないの?」 それは戦奉行としてではなく、軽い気持ちだった。 「もう聞かない」 九郎は振り返ることなくそう告げた。 「そんな事を問う間があったら、俺は兄上の為に動くことに費やしたいからな」 「はは……胸に刺さる言葉だね〜」 言葉は軽い、 凛とした立ち姿もそのままで、彼の好む白の羽織が音を立ててばたばたとはためく。長い髪もたなびいて、立っているだけで絵になるようなその姿、 なのに、 「……その為に俺は鎌倉にきたのだからな」 そうこぼした顔は、あまりにも悲愴。きっと彼は自分でどんな顔をしているのか、知らないのだろう。 景時は、九郎の隣でもう一度遠ざかる駒影を見た。 それはただの一度も振り返ることがなかった。……振り返って欲しかったのだろうか、最後まで彼を見送ってしまった後、ようやく踵を返しその場を離れた九郎の背を見やりながら景時は思った。
あっあとそういえば先日この「続きを読む」のレイアウト…っていうのかな?をちょっと変えたんで、もし見えないとかありましたらご覧の環境を添えてご連絡いただけるととても嬉しいです。ここで言うと話が全く見えない場合ですね。不安要素は最新の携帯お使いの方くらいだと思うんだけど。 |