undercords


2010/11/12/(Fri)06:18 
※ほとんど一発書き日記で九弁小話2・4話目

[ 8/21 23:45 ]

 九郎としたら、帰り道を聞こうと思ってかけた電話だったが、電車に乗れなかった、と言うなり将臣は『ファミレス行って朝まで時間潰せ』と言って、一方的に電話を切ってしまった。
 ファミレスってどこにあるんだ、と聞く間もなかった。
「何時だと思っているんだと言っていたが、そんなに不躾だったのだろうか」
「さあ」
 九郎と弁慶からすれば、そもそも日が沈んだら夜であったから、何時までが失礼に値するとか、未だに分からなかった。将臣に言われたことを、九郎はしばらく気にかけていたけれど、弁慶は、
「そんなに落ち込むことでもないでしょう九郎」
と、呑気な口調でさらっと言ってのけた。九郎はそれを咎める。
「お前、あいつには世話になっているのにその言い方はないだろう」
「きっと、たまたま間が悪かったんでしょう。将臣くんがそれくらいで腹をたてるような人物とは、僕は思えないですからね。だから、君がそうやって彼を過小評価する方が、きっと失礼ですよ」
「……それもそうかもな」
「ええ」
 九郎はなおも煮え切らない様子だったが、弁慶がにこりと笑うと、釣られるように微笑んだ。
 とはいえ本当のところ、弁慶もあの将臣の対応にはなにかただならぬ気配を感じていた。無礼というよりは多分、九郎にも言ったとおり、かなり相当間が悪かったのだろう。普段だったらわざと謝罪の電話でもかけて追い打ちかけたいところだ。けれど今はしない。そもそも弁慶が今九郎をフォローしたのだって、今が将臣の話題で占められるのが嫌だからだった。

 奇遇にも目的地のファミレスにはすぐに辿りついた。
 店内は、それこそもうすぐ日付がかわるとは思えないほどに明るく、二人が思っていたよりも人がたくさんいた。
 2名様ごあんないしまーすと通されたのは、比較的奥の窓側の席だ。
「ここなら朝までゆっくり君との時間を楽しむことができますね」
 店員が去った後、メニューを開くふりをしながら弁慶が顔を寄せた。不意打ちに九郎はどきりとしたが、彼がぺらぺらとめくり、眺めはじめたので、それに倣った。
 とはいえ、、文字通り、目を通しただけで、弁慶はボタンを押し、店員を呼ぶ。こういう店はもちろんはじめてではなかったが、未だにその仕組みが不思議で、九郎がそわそわしている間に、弁慶がさらさらと注文をした。
「山盛りポテトと、ドリンクバーふたつ」
「かしこまりました」
 それを頼めば長時間いるのに最適だと、さっき将臣から教えてもらっていたものを頼む。
 けれど、弁慶はさらに続けた。
「ああ、それとシーフードのスープパスタもひとつで」
「以上でよろしいですか」
「はい」
 失礼します、と去る店員を見送った後、九郎は呆れた声で弁慶に言った。
「今から食うのか?」
すると、何を言うんだみたいな顔で弁慶は返した。
「ええ。だって長期戦ですからね」
「長期戦って……大袈裟な事を言うなお前は」
「大袈裟じゃないですよ。この世界にも物取りはいるから、こういうところで隙を見せては駄目だと、望美さんもよく言っていたじゃないですか。だったら、僕たちは睡魔と闘わなければならないです」
「それは……そうだが……」
「でしょう?」
 流暢に、すらすらと言葉を並べる弁慶。
「懐かしいですね。夜の戦場を思い出します。あれに比べれば、他愛もない戦ですけどね。さて、僕は飲み物をいただいてきます。九郎君は何を? 冷たいお茶で構いませんか?」
「あ、ああ」
 そのまま一方的に喋って席を立ってしまった彼の後ろ姿を唖然と見送っていたところで、店員が頼んでいた料理を戻ってきた。見るなり、ぐう、と九郎の腹がなった。すっかり忘れていたが、そういえば早めに夕飯を食べたきり、何も食べていなかった。
 弁慶は、二人分のグラスをもって直ぐに戻ってきた。そして美味しそうですね、と、パスタをくるくると食べ始めた。にんにくの香ばしさとトマトの爽やかな香りが九郎の鼻先をかすめて、腹が減ったな、とポテトをつまみながら痛感する。九郎はこれも十分に好きで、美味いと思っていたし、今も思っているけれど、しかし、彼が思っているよりも空腹は切実だった、
と、気がついたのは、弁慶がじっと九郎を見つめて、微笑みながら、
「ふふっ、九郎、食べますか?」
と言った時だった。
「いいのか?」
 不覚にも、思うより先に声が出た。笑う弁慶に九郎は顔を赤くする。すると弁慶の目がますます細められて、無防備な表情に、九郎はますます赤くなった。そして、
「ええ、もちろんですよ、ちょっと待ってくださいね……はい」
 てっきり皿を差し出してくれると思っていたのに、予想外にも突きつけられたのは、パスタを巻き付けたフォークであったので、九郎の顔は更にこれ以上なく熱くなった。
「そっ、そそそそそんなことできるか!!!」
「誰も見てないですよ」
 弁慶はさらりとそう言うけれど、残念ながら実際は、九郎が出した大声のせいで、彼らはそこそこ注目を浴びてしまっていた。
「……いい。俺もなにか頼む」
 ますます恥ずかしくなって、誤魔化すように九郎はメニューを開いた。
 さっきまで……少なくとも、あの浜辺から歩きだすまでは、もっといい空気だったような気がしていたのに。残念ながら今の二人にそんな余韻は全くないと、少なくとも九郎は感じて、息を吐いた。



厄日というものが毎月あるなら今月の場合それは間違いなくおとといで楽しい日であるべきくろたんじゃなかっただけ最悪じゃないんだと思うんだけど救いはそれだけでそれはまあ散々な日だったんですが、
その中でサイト方面的な話としてはいきなりパソコンが具合悪いかもーって言いだして現状まだ大丈夫そうなんだけどなにかあったときのためのバックアップ取る作業を言われるがままにはじめてみたらものすっごく難航していて現在に至っている
破滅へのカウントダウンがどれくらいの速さではじまってるのか良く分からんのですが、ていうかぶっちゃけ具合悪いの嘘じゃないの?ってまだ疑ってるんですが、それはさておきとりあえず頑張ってDVDドライブ
でも多分今HDぶっとんだら一番困るの音作成ソフト系の設定

2010/11/09/(Tue)05:39 
くろたんおめでとう!!

2010/11/07/(Sun)06:32 
※ほとんど一発書き日記で九弁小話2・2話目

[ 8/21 23:30 ]

「……」
「………………」
 駅を出てから小一時間。二人はどことも分からぬ場所で途方に暮れていた。
「迷った」
「迷いました」
 なめていた、と言わざるを得なかった。
 鎌倉の街には、九郎や弁慶が知っている仏閣もあったし、若宮大路もそのままだった、案外変わらないものだな、と、望美たちも向こうでよく言っていた。
 今ここへ来た時も、富士や箱根の山々など、電車の車窓から見た景色は既視感を覚えるものが多かった。だから平気だと、高をくくっていたというのに。
 実際、とんでもなかった。海沿いをひたすら歩けばどうにでもなると思っていたが、頼みの道は、あの後すぐ、漁港につきささって途切れてしまった。それでも地形が同じだからどうにでもなると思っていたが、甘かった。むしろ、半端に知る景色+記憶と違う道、という組み合わせが、二人を過剰に混乱させる。二人は途方に暮れてしまった。
「困りました。おそらくあの青い看板が、東京、と差す方へ行けばいいんでしょうけど、なんというか、酔ってきました。外の見えない牛車にでも押し込められた気分です」
「……正直、思ったより手間取りそうだな。まだ一時間も経ってないのに弱音を吐くのは情けないが」
 弁慶は先が見越せないことが不満だった。九郎は状況が好転しそうにないことに焦れて苛立っていた。互いに不服そうな顔を見合わせてしまう。けれど、そうしていても仕方ないだろう。
「……九郎、また少し歩きましょうか」
 弁慶は九郎を促した。が、九郎は眉間にしわを寄せたままポケットを探る。何を、と弁慶が問いかける間もなく、携帯電話を取り出して、履歴を辿って電話をかけた。
「九郎?」
 相手は直ぐに出た。
「将臣か? 俺だ。ところで今俺」
『お前なあ今何時だと思ってるんだ!!』
 怒鳴り声は通話している九郎だけではなく、弁慶にまでしっかりと届いた。



書いてみて気付いた、これ15話じゃ無理。一話分って設定していたのを書ききるにはあと20分早起きしなきゃいけなくなるんだ。
今日の分も本当は昨日のとセットなはずでした。
適当にだらだら書くので、適当にだらだら読んでもらえれば幸いです。

拍手ありがとうございます! 返信不要の某さんもありがとうございます〜!!うん、きっと適当に休みます☆

2010/11/06/(Sat)08:33 
※ほとんど一発書き日記で九弁小話2・2話目

[ 8/21 22:05 ]

 九郎と弁慶は来た道を辿る。
 行きはあんなにも人で溢れていた道は、既に人がまばらだった。とはいえ、それなりに人とすれ違う。けれど誰もが皆どこか浮かれている。不思議な雰囲気の街だった。
「ここに住んでいる人は、元々は多くないのかもしれないな」
「そうかもしれないですね。向こうで言う湯治場のようなものなのかもしれないですね」
 弁慶がそう指摘して、九郎はますますなるほどな、と納得して、二人は行きとは打って変わった街並みを、それなりに楽しみながら、駅へと向かって行ったけれど、
 こっちの世界へやってきてまだ一年足らずの二人は、知る由もない。鎌倉のような大きな街とは違い、都心から離れたどこか浮世離れした観光地の駅、しかも、隣県の端である鎌倉まで向かう電車、といったら、
そんなに遅くまで動いていないという事を。
「……」
「……あれ?」
 30分以上かけて二人が駅についた時、既に閑散としていた。
 並んで時刻表を見上げると、
「……もしかして」
「どうした?」
「いえ、鎌倉まで行ける電車は、もうないみたいです」
 軽くショックを受けながら、弁慶は事実を述べた。それに九郎ははた、と思いだす。
「!! だから、将臣はあまりのんびりしないでとっとと帰ってこい、と言ったのか!」
「こういう事だったんですね……。ああ、僕としたことが迂闊でした」
 ふう、と困った風に弁慶は息を吐き、看板から離れる。が、九郎はどこ吹く風だ。
「まあ、仕方ないだろう」
「九郎、なにか案があるんですか?」
 弁慶が問うと、九郎は当たり前のように頷いた。
「ここは伊豆だろう? だったら、歩いていけばどうにかなるんじゃないか?」
「……ああ、確かに」
 言葉に弁慶の顔も明るく晴れる。
「そうですね、忘れていました。ふふっ、昔、伊豆から鎌倉など、僕たちは普通に歩いていたんでした」
「多分、海沿いを歩いていけば平気だろう。それでいいか?」
「ええ、構いませんよ……それもまた、楽しそうですね。君とゆっくり歩くのも」
 九郎としたら、本当は早く帰って家でゆっくり話でもしたかったのだが、でも、これはこれで、楽しそうだ、と、思った。
「では、とりあえず海に向かいましょう」
「ああ」





予定外に長くなってしまったので半分にぶったぎった。

 長文の下ですが拍手ありがとうございました!
 コメントくださった方もありがとうございます。感想も書いていただいて。しかも嬉しい事ばかり言っていただいちゃったので、お返事したいんですがすみません、今回は素直に返信不要に甘えます。ありがとうございます。お揃いですね!って送っていただいたのもすごく嬉しかったです。多分九弁好きさんだと思うんですが、次こそは、九弁な夢が見られるといいですね〜! その時は是非私も再びお揃いで一緒に見たいです!! でもそんな夢見たら延々と起きることを拒否したくなりそうなので、毎日ちょっとずつ続きで見れる機能とか欲しくなっちゃいます。ありがとうございました〜!