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叶わない恋に10のお題

文字打ちリハビリ中。
お題を借りて、短文に挑戦。
DFラムダ←夢主なラムダ夢っぽいもの。


● 叶えてはいけませんか?

「……いけませんか?」

 そう可愛らしく小首をかしげた娘に、ラムダは目を細める。
 大の男をも射すくめる眼光を受け、NoNameはくすりと笑った。

「わたしは貴方が好き。大好き」

 ふんわりと綺麗に微笑み、祈るように胸の前で手を組む。
 その仕草は、まるでラムダに向けているはずているはずの言葉を、自分に言い聞かせているようだった。

「でも、残念なことにラムダさんはわたしを好きじゃない」

 はぐらかそうが、言葉の裏を読もうが変わらない、絶対の真実。
 NoNameはラムダを想っているが、ラムダはNoNameを想ってはいない。
 完全なるNoNameの片思いだ。

「だからラムダさんが死んだ後、わたしがどうしようが、わたしの勝手です」

 新しい恋を見つけようが、ラムダだけを想っていようが。

「ラムダさんがわたしを愛してて、愛するわたしに一日でも長く生きて欲しい、って可愛い事言うなら叶えてあげない事もないかもしれなくもありませんが」

 違いますよね? と微笑みながらNoNameは上目遣いにラムダを見上げる。
 ラムダにとっての自分は、ともに戦う仲間でも恋人でもない。
 レジェンドラ大陸に生きる『その他大勢の守るべき命』でしかなく、そこに人と家畜の区別もない。

 決して特別な『誰か』ではなかった。

「貴方が死んだら、わたしも死にます。取るに足らない一人の人間の小娘が勝手に死ぬだけです。ラムダさんはなんっっっにも気にせず、好きに特攻でも自爆でもしてください」


配布元:Abandon

お題としては10番目のタイトルだったりする。
虫食いプレイ。

叶わない恋に10のお題

文字打ちリハビリ中。
お題を借りて、短文に挑戦。
DFラムダ←夢主←団長の団長夢っぽいもの。


● 馬鹿みたいに自嘲し続け。

 彼女の印象を一言でいえば、『女ではない』。
 これにつきる。

 さっぱりとした気性は嫌味がなく、大らかかだ。
 が、裏を返せば飾り気がなく、裏表もない代わりに色気もない。
 誰に対しても平等で、身分や外見で他人を判断することもなかった。
 だからこ老若男女問わず彼女に惹かれるのだろう。

 好印象――――――友人・知人としてならば、自分も彼女に対してそう思う。
 これが恋人であったなら不満にも感じただろうが。
 
 
 
 
 
 
「――――――あ」

 小さく洩れ聞こえた声に、イグラシオは顔を上げる。
 遣いを頼まれたばかりの娘は書簡を胸に抱き、小窓から外を見つめていた。

「? ……あれは」

 娘の視線を追って外へと視線を向ければ、先日徴兵されたばかりの若者達の中に、頭一つ抜き出た黒髪が見えた。
 
「たしか、ラムダと言ったか」

 君主から詳しい経緯は聞いていないが、人でありながら人間の兵を嫌い、死者を兵として使役している名ばかりの聖騎士。
 王がそれでも構わないと重用したため何も言えないが、死者の安らかな眠りを妨げるあの男の評判は末端に兵士にはすこぶる悪い。
 イグラシオとて、過去を問わないとした君主の命がなければ肩を並べて戦場に立ちたい相手ではない。
 他人の出自についてどうこう言う趣味はもっていないが、あの男は怪しすぎる。
 死者を使役するだけではなく、自分から他人との接触の一切を絶ち、共に戦場に立つ仲間であるはず者たちとの親睦を深めようともしない。
 これでは、イグラシオでなくともラムダへの警戒心は拭い去れないだろう。

 ――――――もっとも、それは戦場に立つ男の側だけの考えらしかったが。

 騎士としての自分達からは煙たがれる男も、城で働く女達にはすこぶる評判が良い。
 主に、整いすぎた顔が。
 遠巻きに顔だけを眺める分には死者を手足のように扱っていようが、平時は一日中私室に閉じこもっていようが気にならないらしい。
 下働きの女達が何度邪険に追い払われようとも代わるがわる御用聞きに行っているという噂は、イグラシオの耳にも届いていた。

「……なんだ、おまえもああいう顔が好みなのか?」

 窓の外、一点だけを見つめて微動だにしない娘に、イグラシオは呆れてそう呟く。
 イグラシオの言葉に娘は一瞬だけ視線をこちらに向けたが、すぐに窓の外へと視線を戻した。

 ――――――ほんのりと、頬を赤く染めて。

「男っ気がないと心配していたが、やっとおまえもその気に……」

「素敵な人に憧れるぐらい、いいじゃないですか」

 ムッとかすかに眉を寄せ、唇を尖らせる。
 その間も、娘の視線は窓の外の男から逸らされることはない。
 
 
 
 その表情に、気が付いた。
 
 
 
 彼女は決して、誰に対しても平等なのではない。
 これまでの彼女に、『特別』な存在がいなかっただけだ。

 飾り気がなく、裏表もない代わりに色気もない。
 そう思っていたのも違う。
 飾って見せる必要も、男女の駆け引きを必要とする相手もいなかっただけだ。
 決して彼女が『女ではなかった』わけではない。
 
 
 
 そして、最後にもう一つ気が付いた。
 
 恋人として遊ぶには不十分であるが、妻として家庭を守らせるには十二分な『女』を――――――


配布元:Abandon

ちなみに、お題としては9番目のタイトルだったりする。
虫食いプレイ。

悲恋夢書きさんに10のお題

文字打ちリハビリ中。
お題を借りて、短文に挑戦。
DF団長お相手トリップ夢……の帰還ENDっぽいもの。


● 心の隙間が埋まらない。

 選択の自由はあった。

 選んだのは自分。
 自分で選らんで、この道を選んだ。
 だから後悔をしてはいけない。
 それが選択権をくれた愛しい人との最後の約束だ。

 雑踏の中に日本人特有の黒髪から頭1つ分背の高い銀髪を見つけ、NoNameはぎくりと背筋を伸ばす。
 ややあってからそれが銀髪ではないことを知り、そっとため息をもらした。

 我ながら、往生際が悪い。
 未練とも言う。

 NoNameは頬を引きつらせると、一瞬だけ自分の気を引いた頭を観察する。
 光の加減で一種だけ銀髪に見えたが、脱色しすぎて荒れた金髪だ。
 それでなくても、体付きからしてまるで『彼』とは違う。
 逞しい筋肉をまとっていた体は細く、浅黒く日にやけた肌は白い。

 現代日本のどこにでもいる若者だ。
 遠いあの地にいる恋人ではない。

 二度目のため息をもらし、NoNameは自嘲めいた苦笑を浮かべる。
 愛した男と生まれた世界を天秤にかけて、後者を選んだ。
 愛する男のいる新しく未知に溢れた世界より、自分を愛する家族のいる慣れ親しんだ世界を。
 たった一つを除いて、これまで持っていた全ての在る世界を。

「……いつか」

 あの場所での出来事を、白昼夢のように忘れてしまうのだろうか。
 あんなにも愛し、深く悩んだ日々を。

 そっと3度目のため息をもらし、NoNameは顔を上げる。
 選んだのは自分。
 この世界こそが、自分が生まれた世界。
 どんなに愛し合おうとも、あの世界に留まることこそが不自然だったのだ。
 これでいい。
 自分は何も間違ってはいない――――――
 
 
 
 ――――――そう何度も心の中で繰り返した。


配布元:Abandon

見て解るとおり、10のお題。
なので、10個達成できたら、変換つけてお題部屋に置きます……が、どうかな。
文字打ちって、こんなに難しかったっけ?
うんとも、すんとも。
無理矢理ひねりだして、こんな感じ。

■いや、待て。
この使い方(書けたお題からアップ)は『やってはいけないこと』の『抜き出し使用』になるんだろうか。
でも、そうなると……『日記・ブログなどは攻略ごとにリンク』は……? 順番ごとに攻略しろってこと?
でも、攻略の順は自由だしなぁ?
……もしかして、日記やブログで上げるときは、10個全てを一度に仕上げ、1つの記事内にアップすれば使用可★ って解釈だろうか。

ま、いいか。
とりあえず、攻略ごとにリンクはする予定。

一見ピオニー夢。


その実、ジェイド夢?

「お? なんだ? やけに珍しい顔が居るな」

 開口一番、目を丸く見開いた皇帝陛下にNoNameはわざとらしく眉をひそめる。
 そのまま『心外だ』とばかりに腰に手を当てて目を細めて、玉座に座る男を睨みつけた。
 睨みつけられた当の本人はNoNameの棘のある視線など微塵も気にならないのだろう。悪びれる様子もなく悠然と玉座から腰を上げた。

「『ジェイドがアクゼリュスで行方不明になった。
  寂しいからおまえもグランコクマに来~い』……とか、
 情けなくも女々しい書簡を恥かしげも無くケテルブルグのお屋敷に送ってきたのは、
 どこの皇帝陛下ですかぁ~?」

「俺が可愛くおねだりした所で、
 素直にケテルブルグを出るおまえじゃないだろ」

「三十代後半独身男性の『可愛いおねだり』なんて、気持ち悪いだけです」

「そこはホラ、アレだ。
 少年時代の可愛らしい俺に脳内変換してだな……」

「見上げなきゃ目も合わせられない相手を、
 可愛らしい少年に脳内変換するのは無理があります」

 実際問題、NoNameが子守メイドとして彼に仕えた当時、ピオニーの身長はすでに彼女の身長を越していた。年齢はNoNameの方が『少しだけ』上であったはずだが、少々特殊な条件下にある身としては、あえてそこには触れない。触れてしまえば、年齢だけではすでに『四捨五入をすれは四十代』などと可愛いことはいえない年齢だ。老いを忘れたNoNameの身体では、少年はすぐに青年に変わり、また青年から老人へと移り変わっていく。時間に置き去られる身としては、他者の幼年期など瞬きにも似た短さだ。
 世間一般に少年とされる時期のピオニーの横にNoNameが立っていたところで、少し年上の子守メイドと見えていただろうが。
 中年期に入ったピオニーの横に立つNoNameを、いったい誰が『少し年上』と見るだろうか。
 事情を知らぬ者からしてみれば、ピオニーの方が一回りは年上に見えるのが普通だ。

 玉座を降りて目の前に立った『かつての少年』を見上げ、NoNameは唇を尖らせる。
 昔から変わらぬ余裕綽々とした態度が少々面白くなかった。
 身体の成長に合わせたかのごとく成長を見せなかったNoNameの精神面は、現在では見事にピオニーと自分の年齢を『見た目どおり』に反転させていた。

「動かざること山の如し! 立っている者は皇子でも使え!!
 ……なおまえがケテルブルグからわざわざ出てきたんだ。
 何か考えがあってのことだろう?」

 そう意味深に微笑むピオニーに、NoNameは小さく肩を竦めて答える。
 確かに、皇帝に呼ばれたからと言ってケテルブルグを離れる自分ではなかった。雪に閉ざされたあの町は、2人の天才を生み出した町としても、人の出入りが多い観光地としても、不老の身を持つNoNameが隠れるのに持ってこいの場所であったし、館守の名の下にお屋敷に閉じこもってしまえば他人との接触は必要最小限に止めることができる最高の場所だ。
 その最高の場所から出てまで、NoNameはグランコクマへとやってきた。
 もっとも苦手とするジェイドに同行してまで。

年齢だけなら60歳越えてる気がする夢主。

朱紅い雫夢。

昨日に引き続き、リハビリ短文。
顔に難有夢主で、なんとなく雫ネタ。


『顔に難あり』夢主ネタ。

 ミルディーヌ・ウリエル・シルヴィアナ・エスメラス王女殿下ことミューズは柳眉を寄せて小首をかしげる。
 一見すると流麗なる所作の端々から零れる気品に腰を折りたくなるが、生憎とアヴィンもマイルも出会って間もない『王女殿下』が見目麗しいだけの乙女ではないと嫌というほど学ばされていた。王女だからと言って、今更敬える気も、見惚れられる気もしない。

「あなた……NoNameと言ったかしら?」

「はい?」

 ミューズに名を呼ばれ、NoNameは首を傾げる。
 仕草だけを見るのなら、先ほどのミューズに負けず劣らず可愛らしい仕草ではあるのだが――――――いかんせん、その容貌は特殊すぎた。
 ミューズが名指しでNoNameを呼んだのも、その容姿のせいだろう。

「王女であるわたくしが身分を明かしたのです。
 あなたも、その暑っ苦しい頭巾を取って素顔をお見せなさい」

 目の周りのみを開いた頭巾を頭からすっぽりと被った旅装束の娘。
 荒野や砂漠を旅するのであれは相応しい出で立ちかもしれないが、草原や森林を歩く装束としてはいささか重装備すぎる。ミューズが不審に思うのも仕方がないことだろう。第一、ともに旅をしているアヴィンとマイルにしたところで、外套や厚めの上着こそ着ているものの、頭部をすっぽりと覆うような頭巾まではしていない。王都を歩くのに『田舎者の青年2人』は目立ったが、それよりはるかにNoNameの『頭巾ですっぽりと顔を隠した娘(たぶん)』の方がひと目を引いていた。とはいえ、NoNameの場合は頭巾を被っていない方がひと目を引く。

「あの……王女さま」

 NoNameを背中に隠しながら、マイルがミューズの前に進み出る。
 どうにかしてミューズの気を逸らせないものかと考えを巡らせるが、マイルが口を開くよりも先にミューズがぴしゃりと言い放った。

「ミューズとお呼びなさい」

「ああ、はい」

 誰もが一度は想像するであろう『お姫様』像とはかけ離れ、どちらかと言うとその道の人にはたまらない『女王様』の気迫を持って迫るミューズに、背筋を冷や汗が伝う。
 さて、どうしたものか――――――と思案に暮れるマイルの外套を、後ろから小さく引く力があった。

「ねえ、マイル。
 わたし、別に顔見せても……」

「ああ、本人が見たいって言ってるんだし、いいんじゃないか?」

 のん気な姉弟弟子の提案にマイルは眉をひそめてアヴィンを振り返る。
 この場合、NoNameを見てはいけない。
 なまじその素顔を知っているばかりに頭巾の下の表情がありありと想像できてしまい、彼女の提案の全てを受け入れてしまうのは間違いない。

「あのね、アヴィン。
 レミュラス様がなんでNoNameを隠して育てていたか……」

「そうは言うけどさ。
 ここならひと目はないし、いいんじゃないか?
 そのお姫様だって、一度見れば納得するさ」

 あたりを見渡し人気のないことを確認するアヴィンに、マイルはそっとため息を吐く。
 確かに、チブリの村へと続く林道に自分達以外の旅人の姿は見えなかった。
 当然だ。
 王都からの旅人は兵士に足止めをされているはずだし、チブリの村からの旅人は村ごと盗賊団に占拠された今では出入りを制限されているはずだ。
 本来ならば一部仕事中の冒険者ギルドメンバーを除いて、現在王都からチブリの村へと続く山道には王国軍しか居ないはずである。

「「ここでごねられても面倒だし」」

 そう声を揃えた姉弟弟子に、マイルは軽い頭痛を覚えながらNoNameの肩を抱いてミューズの前へと押し出した。
 確かに、ここでミューズの機嫌を損ねても得はないし、NoNameの素顔を見られたからと言って『自分達に』害がある訳ではない。アヴィンは今更NoNameの顔など見飽きているし、自分はNoNameの背後に立ってしまえば素顔など見えない。

「……マーティさんはどうします?」

 頭巾娘の素顔を見るか、見ないか。

「マイル君的には、見せたくないみたいだね」

 苦笑を浮かべながら動向を見守っていた苦学生は、それでも一歩前へと進み出た。
 やはり、彼も頭巾娘の素顔が気になっていたらしい。

「あまりお勧めはできないけれど……」

「大げさだな。
 ただちょっと『顔に難がある』だけだろ」

 2度目のため息をもらすマイルに、アヴィンは小さく肩をすくませた。

「あら、そうですの?
 NoNameの顔に大痣があろうが、夢に出てきそうな醜女であろうが、気にしませんわ。
 わたくしたち、もう『お友達』ですもの」

「殿下、前半はさすがに失礼だと思います」

 容姿など気にしない。
 言っていることは立派だが、事実としてNoNameの顔に大痣があった場合。女性であるNoNameがそれを気にしていないはずはない。
 そっとミューズを諌めるマーティに苦笑を浮かべ、マイルはNoNameの背後に立つ。
 ウルト村の住民に比べればNoNameの素顔を見る機会も多かったが、8年間同じ庵でNoNameと寝起きを共にしたアヴィンと比べ、マイルはまだNoNameの素顔を当たり前のものとして受け入れられてはいない。その素顔を久しぶりに見るとなれば……我を忘れずに居られる自信はなかった。

 マイルが完全に自分の後ろに下がったことを確認してから、NoNameは顔を覆う頭巾へと手を伸ばす。
村を出てから身体を清める時以外で、初めて顔が外気に触れる気がした。
 
 
 
 頭巾を持ったNoNameの腕が下ろされる。
 絹糸のように艶やかな髪がマイルの眼前に広がった。

 NoNameの肩越しにミューズとマーティの様子を伺い、マイルは何度目かのため息を吐く。
 
 
 
 
 
 
「ああ、やっぱり固まったな」

 NoNameの顔を見つめたまま微動だにしないミューズに、アヴィンがその眼前で手のひらを泳がせる。
 ひらりひらりと目の前で動く手はどう考えても邪魔なはずだが――――――ミューズはそんなことは気にならないとでも言うようにNoNameの顔を見つめていた。
 その横に立つマーティも似たような状態だ。
 じっとNoNameの顔を見つめたまま微動だにしない。

「そんなに珍しいか? この顔。
 俺はアイメルの方がよっぽど可愛いと思うけど……」

「アヴィンのは環境から来る不感症だよ。
 普通、見ただけで他人の行動を制限する美人なんて、そうそう居ない」

 ミューズも王女という肩書きを抜きにしても美人に分類される美貌を誇る。
 しかし、その美しさは町ですれ違っても「お、美人♪」と一瞬見とれる程度だ。
 視界に入った瞬間に目が吸い付けられ、呼吸することさえ忘れさえるNoNameの美貌とは根本からして破壊力が違う。

 NoNameの手から頭巾を受け取り、マイルはそれを再び被せる。
 艶やかな髪が裾から零れ出てはいるが、これぐらいならまだマシだ。


ところで、なんでもかんでも夢仕様なのはいかがなものか。