書き下ろし同人誌[甘い贅沢]に完全リンクしています。ネタバレ以前に読んでいないと解らないネタも含まれていますので、ご了承下さい。

 甘い誘惑 01


 -暗雲-








 ゴロゴロと空には暗雲が立ち籠めていた。
 季節の変わり目の気象は目まぐるしい。これを機にまた温度がぐんと上がるだろう春の嵐。一雨の前に雷が落ちてきそうな、分厚い暗雲。だが、この辺りだけに垂れ下がった雲の様で、空の端に少し目をやると明るい蒼が見える。離れた場所には日が照っている事が解る、そんな局地的な暗雲がでんと構えていた。それでいて──この屋敷内も、いつ雷が落ちてもおかしくないような暗雲を抱えた人間が、腕組みしたままどったんばったんと、大きな音を立てて板廊下を蹴破るようにして歩いている。
 伊達政宗十九歳。隻眼の、大人しくしていれば青年らしい、見目麗しい若武将であるが、気性の荒さも覗ける完成されていないこの城の城主だ。
 まぁ、その荒削りさも彼の魅力と言ってしまえばそれまでなのだが、そんな彼も空と同じくゴロゴロと、胸に暗雲を抱えていた。
 十九歳のお年頃である。
 恋の悩みの一つや二つは殿様とてある。
 しかも彼の場合、恋の悩みは一つしかない。ぶっちゃけていうと十年前からたった一つだ。
 幼少期から傅役として務めていた、片倉小十郎に向けてたった一つ。
 どこから恋へ変わったかは解らないが、今現在、恋となってしまっているので出所をとやかく言ってもしかかたない。とにかく好きになってしまったのだ。
 好きになって十数年。ぼんやりと形を形成せずに“慕う”という言葉で誤魔化していたモノが、ここ数日前に起こった一騒動により、しっかりとした形となってしまった。
 形を成してしまえば十九歳。何をするか、方向性もやる事も決まって後は一直線である。
 告白した。チューもした。相手もまんざらではない反応だった。
 なのに──
「ったく何でだよ!!」
 ドゴッと廊下の柱を拳で叩くとミシリと柱の悲鳴が返ってくる。“六本刀”という特殊な戦法で、片手に鉄の塊である刀を三本握る拳で叩かれて、悲鳴程度に終わっているのだからそれはそれ、彼も一応の加減をしているのだろうが、それでも色々と響くモノは響く。
 告白もした。チューもした。雰囲気もまんざらではなかった。それでもってその先がないのだ。
 毎日毎日顔を合わせながら、なんにもないのだ。
「解せねぇ……」
 何が原因かともう一度腕を組む。
 確かに、告白は一方的だった。堰をきったように告白した。口付けた。「この先もするからな」と宣言もした。確かにこれだけなら一方通行だ。だが、違った。
 男は応えた。押し付けるような口付けに対して、柔らかく応えてくれた。……違う。柔らかくではない。どこか急く心を、奪い尽くそうとする心を押し止めているかのような口付けだった。着物越しに微かに撫でる手は、自分を宥める手ではなく、煽っていた性悪の手だった。
「……」
 ぼんやり、その時の事を思い出して再現されかかった悦にハッと我に返る。誰が通るとも解らない廊下で何を思いだしているのかと恥ずかしくなり、熱をもった頬にパタパタと手団扇で風を送る。
 そうなのだ。全然、まんざらでもないはずなのだ。なのにあれから一歩も進んでいない。
 一歩も!!
「はぁ」と溜息を吐いて、今度は力なく歩き始めた。
 何がいけないのか。理由は少しだがわかっている。お互い、変なところの歯車が噛み合っているのだ。
 小十郎は、やはり主と同衾という事に関して抵抗をもっている。それが命令であったり、敷かれる事ならばまだしも、政宗がそれを望んでいない事も知っているし、自分がそれで押し止められない事も気付いている。だからこそ、極力このことに関しては触れようとしない。そうならないようにと、以前にも増して鉄壁の守りとやり過ごす技術は強化されてしまった。そして政宗も政宗で、ここまできて攻めきれない、強敵の“照れ”というものが行く手を阻む。
 悪ぶっても、育ちのいいちょっと遅い多感期の春。しかも抱えるコンプレックスが悪い歯車に油を注してぐるぐる回る。
 好きでいてもう答えが見えているというのに、あと一歩が難関過ぎた。
 肩を落とし、気落ちして静かに部屋へと戻る。
 考えれば考えるほど、悪い方向にしか思考が向かない。するとどんどん自信がなくなって、悩みは又振り出しに。不毛だと自分に言い聞かせて頭を振り、己の部屋の障子戸を開けた。
「!!」
「──!?」
 部屋の中には今の今まで考えていた小十郎が居た。「しまった」と言わんばかりの顔をして、体勢は慌てて立ち上がろうとした寸前で固まっている。
「お前、何してるんだ?」
「あ、いや、これは……」
 口籠もる小十郎のおかしさを感じながら、政宗は後ろ手に障子戸を閉める。春先とはいえまだ寒い。火鉢とてまだ片付けていないのだから。
「俺の部屋で何をして……」
 詰め寄り近付きながら、本能が異変に気付く。
 目の前に居るのは小十郎だ。だが、小十郎ではない。心の奥底がそう叫ぶ。偽物だとかそう言った類ではなく、もっと別の。
 顎を一さすりして政宗は、その、小十郎ではない小十郎の近くと胡座をかき、どっしりと腰を据えて座る。すると男は政宗が座った位置が上座になるよう、素早く場所を移動して、正座した。
 片倉小十郎だ。だが、決して片倉小十郎ではない。
「……お前、小十郎じゃねぇな?」
「いいえ。片倉小十郎景綱にてございます」
 そう言って、床板に額を擦り付けるように平伏する男に、政宗はクスリと笑う。
「嘘をつくな。片倉小十郎は決して伊達政宗に嘘を吐けない生き物なんだよ。どこぞの小十郎」
 すると参ったように口元だけで笑みながら、その男は顔を上げ、姿勢を正した。
 よく見ると、小十郎とは似ているようで似ていなかった。いや、おもて等は同じなのだ。だが醸し出す雰囲気が違う。小十郎も時折ゾッとするような諦観者の表情をする事があるが、それが身にまとわりついてると言うべきか、とにかく、不思議な感じだった。
「とにかく、あー……まぁ小十郎でいいや。小十郎さんはなんの用があってここに?」
 数日前の一件があったにせよ、よく解らない非現実な現象に動じることのない政宗にくすりと笑ってから“小十郎さん”は口を開いた。
「“さん”も結構ですよ。政宗様。実はこれをお持ちしました」
 そういって懐から桔梗色の袱紗を取り出すとツツッと差し出し、くるまる物を取り出すために袱紗をゆっくりと広げ始めた。
「これは」
 桔梗色の袱紗から、黒抜きで浮かぶ見慣れた模様。
「えぇ、貴方の眼帯です」
 数日前の一騒動の中、政宗はお気に入りだった眼帯の一つを、自信のない己の分身へと上げた。
 何事にもどこか後ろを向いていた過去。それでいながら諦めきれなかったあの頃の自分に、小十郎が自分のためにと作ってくれた小鍔の眼帯を。
 惜しくなかったといえば嘘になるが、それが分身にとって何かのいい切っ掛けとなるのであれば問題はなかった。そんな惜しい物をくれる男が自分には出来るのだと、慕ってくれる者が傍に居るのだとそう伝えたかった。だからこの眼帯は返ってこないものだと思っていた。
 なのに今、こうやってここにある。
「どういう……?」
「──ある若者が、八幡神に誓いをたてに参りました。この身この魂を幼き主に捧ぐと。そして己の主に、己の手で作った眼帯を差し上げると、この眼帯を奉納してゆきました」
 語る男の口元も、聞く政宗の口元も緩む。
“あぁ”と。嬉しさと同時にホッとするような。自分の事であり、解りきった事でありながら、その関係と想いの幸せを改めて噛みしめる。
「そう……か」
「えぇ。願わくば、この誓いが続く元へと……と」
 真っ直ぐ逸らされることなく見つめられ、政宗は気恥ずかしさに鼻頭を掻いてから、躊躇うことなく今着けていた眼帯を外す。
「小十郎」
「──ハッ」
 続く言葉を口に出さずとも、男は袱紗と眼帯をもって立ち上がると「失礼」と軽く断りを入れてから政宗の背後に回り、袱紗の中の眼帯を政宗に宛がい、着け始めた。
「まさか戻ってくるとは思わなかったな」
 くすりと背後で軽い笑い声が聞こえる。
「この眼帯は貴方様の小十郎が貴方へと作ったモノ。若輩な彼は彼なりに想う眼帯を主に差し出すでしょうし、やはり想いは想いの元へ、想う元へと還るもにございます」
 言い終わると同時に着け終わり、政宗はくるりと振り返る。すると男に、幸せそうに微笑まれた。
「よくお似合いです」
 見ているとこちらが恥ずかしくなる笑み。小十郎なのだと痛感する。
 好きなのだ。この男は。“伊達政宗”がとにかく好きなのだ。
「……で、」
「で?」
「どうして逃げそびれた?」
 核心の一言に男は苦笑い。
「ここは……政宗様の好むもので溢れています。目に飛び込むものは元より、香りやそこにあるという雰囲気まで。──それが私をしっかと掴み」
「放さなかったってやつか。……哀愁というやつか? それとも、あのクソ生意気な俺と行動は別か?」
「いいえ。ですがその──説明は難しいですが、生前、欲というものは否定されますし、形あるものは無いと説かれます。ですがそこに形を成し、想いという強さはそこにあるのです。それが」
「懐かしい……か。」
「えぇ。決して全てが全て否定される事ではありません。……無論、肯定される事でもございませんが」
「……生きていた頃から更に輪をかけて、聖人君子になりやがったなぁ」
「本当に聖人君子であるならこんな姿となってまで貴方の元になどいないでしょう」
「ha! それは間違いなく俺が望んだ事だろうよ。イヤでも解る」
 言葉遊びを交えて、互いにクスクスと笑う。そして一通り笑い終えると、男は元の位置に座り直し、又深々と頭を下げた。
「この度は、お見苦しい姿をお見せし、深くお詫び申し上げます」
「いや、いい。ただ──具体的な詫びは入れてもらいたいな」
「? 具体的に?」
 そう真顔で聞き返す男の顔を、さっきとは打って変わって見ることの出来ない政宗に、男は疑問符を増やす。
「いったい何を?」
「あー、だから、いや、うん」
 刻々と挙動不審者になる政宗を見る男の眉が寄ってゆく。
 目の前には、違うとはいえ片倉小十郎がいる。そして片倉小十郎であって違うのだ。ならばと気持ちの打開策がと思いついた政宗だったが、所詮抱える問題は色恋沙汰。思春期を十年間抱えたような彼は、変なところで乙女属性を持ってしまっていた。
「政宗様?」
「だーかーらー、お前は、伊達政宗の事が好きか!?」
 座っていただけだというのに息をきらせ、顔を真っ赤にして言い切った政宗に、男は目を丸くさせてから、微笑んだ。
「お慕い申し上げております」
「そーじゃなくてぇ!」
 速攻で入った否定に訝しい顔をされるが、政宗にとっては本当にそうではない。
 今、話していた時もそうだ。そして自分の小十郎もそうなのだ。想ってくれる事、慕ってくれる事に嘘はない。それを疑う気持ちもない。ないが、その、
「その、なんだ」
「?」
 どう聞き出そうか色々考え、言葉も選ぶが、丁寧に聞けば聞くほど遠回りな答えしか返ってこない気がして、政宗は意を決した。
「だから、」
「はい」
「つまり、」
「はい」
「ヤったのか? ヤってないのか!?」
 はーはーはーと肩で息をする政宗の、あまりにもな直球に、豆鉄砲を喰らったような顔をした後、男は意外にもくすりと余裕の笑みを浮かべて答えた。
「しましたよ」
 聞いたのは政宗の方だというのに、これ以上なく顔を真っ赤にして今度は肩を小さくさせて姿勢を少し正す。
「そ、そうか」
 確かにそうだろうと政宗は、もう一人の気にくわない自分を思い出した。物凄く、余裕があった。あれは自信からくる余裕だ。確かに、小十郎だけではないもろもろの自信が比べようにならないくらい彼にはあるのだろうが、同じ自分であるからこそ解る。小十郎は何にも代え難い、後ろにいて然るべき存在。そこから今の自分以上に何かを得た自信が彼にはあった。
 ──負けた。
 方向性は違うにしろ、思わずそう思ってしまう。それでいて、同じ自分であるはずなのに、一向に進まない自分達はなんなのだろうかとぐるぐるし始めた。
 やはり、違うのではないだろうか? 同じとはいえ、気持ちや諸々は……
「……政宗様」
「ぉあ!? な、なんだ」
 誤魔化す事も出来ないほど声が裏返った。少し意地悪い笑みを男は咳払いで誤魔化してから改めて微笑む。
「片倉小十郎は、政宗様をお慕い申しております。この小十郎の言葉、お疑いに?」
「疑っては、ねぇけど、その……」
 ごにょごにょごにょと萎む言葉の中に何が含まれているか、目の前にいる小十郎は解らない朴念仁でもなく。 
「まぁ……時間がかかるやもしれませぬが、ここは自然に任せて」
「ham! 任せてたらあっという間に白髪の交じったジジィになりそうだぜ」
 否定もせず“さもあらん”と言いたげな顔でそっぽを向いた目の前の小十郎に怒りが込み上げる。
「おい! てめぇも小十郎なら協力しろっ!! このままじゃ──」と、全てを言いかけて、政宗は憑き物が落ちたかのように黙った。
“このままじゃ”どうなるというのだ? 別にどうともならないじゃないか。誰が困るというのだろうか? 誰も困らない。
 結局は、己一人──
 押し黙り、床をじっと見る。己で出した答えが痛く。
 ぐるぐると、嫌な歯車が滑らかに回る。
「──失礼を」
 断りの声と共に視界に影が差す。目の前に男が立ったかと思えば中腰になり、ふわりと片手で頭を抱きとめられた。
「こ、こじゅぅ」
「残念ながら我が主ではございませんので、これ以上の程はご勘弁を」
 どくどくと脈打つ身体と緊張に息が上がる。だが同時に、頭でなく身体で記憶する男の匂いと温もりはよく知ったものだ。安堵感がすぐに心を落ち着かせた。
「一人でお考えなりませぬよう。むしろ聞いて下さい」
「聞く?」
「えぇ。政宗様の持つ悩みは、政宗様一人のものとするのではなく、小十郎にもお与え下さい」
「だが」
「貴方の右目です。双眸揃えば、解決は早い」
 手が解かれ、自由になった頭を上げ、見上げる。
 よく知った男の顔。そして、全く知らない男の顔。
「貴方に想われ、この小十郎は果報者です」
「……ん。」
 小さく返事をしたことを見計らったように、パタパタとこちらの部屋へと向かってくる足音が耳に届き、政宗はハッとする。自分はこの状態を理解できても、他の多くは理解できるわけがない。
「小十郎、早く帰」
「いえ……」
 外廊下に続く障子戸を横目で何かを探るように睨んでから、男は政宗に向きを直した。「成実と小十郎のようです」
「! ──いや、だとしてもだ」
 二人は数日前の一件を知る数少ない人物であるが“小十郎が二人”はやはり有りえないのだ。下手な負担はかけたくない。
「見送りは出来ないが」
「お見送りなどそれこそ勿体のうございます。小十郎はそこから出て行きますよ」
 ツイッと指し示すのは外廊下に通じる障子戸。そこからは差し迫る足音。
「なにを馬鹿いって」
「少々、失礼します」
「へ? うぁっ」
 何が起こったのか、先のようにそっとではなく、しっかりと頭を胸に抱きとめられ、体勢が取れなく座ったまま、そのまますっぽりと頭が腕の中に収まってしまった。
“何事か”と混乱したが不安はない。男も又紛れもなく片倉小十郎なのだから。ここは何か考えがあると政宗は小十郎の考えに乗る事にした。

「政宗よぅ、さっき話した北の領地の件なんだがさぁ」
 と、断りを入れるのを忘れ、気軽な声をかけながら障子戸を開け入ってきた成実は、何気なく見た光景に言葉を失くして入り口で固まった。
 目の前に広がるのは、主・政宗を重臣・小十郎が抱きとめているシーンだ。
 一応成実は、政宗が小十郎のことが好きで、小十郎も政宗の事が好きなのはよく知っている。だから本来ならば一声かけて退散も出来るが、そうもいかない。
 背後を見る。
「? どうした、成実殿?」
 背後には改まってそう呼ぶ片倉小十郎がいるのだ。
 政宗を抱きとめるのも小十郎であれば、背後も小十郎。だが、先刻からずっと一緒にいる背後の小十郎が本物と言えよう。かといって政宗が、偽物に身を預けるようなタイプでもない事を知っている。
「えと……」と成実は一瞬考えはするものの、説明を投げ、自分が見ている視界を譲った。
 何故立ち位置を譲られるのか疑問を持ちながらも、小十郎は譲られた位置からそっと部屋を覗き、呼吸を忘れた。
 己がいるのだ。
 しかも政宗の頭を抱きとめて。
 必死に、何か言葉を発そうとするものの、あまりの事に声が出ず、まるで鯉の様に口をパクパクさせるに留まる。
 そんな小十郎を、抱き留めている小十郎は横目で確認したかと思えば、政宗の旋毛に見せつけるように優しく唇を埋めた。
「──!」
「!?」
「うっわぁ〜」と、小さく呟かれたはずの呑気な成実の声が部屋に響く。
 これにはされた政宗も驚くが、嫌な感じはもちろんしない。むしろ心地いい感覚が頭の芯から身体を包む。
 唇はゆっくりと離され、それにあわせて政宗も顔を上げた。
「それでは政宗様、お名残惜しいですがこれにて」
「あぁ……──大儀であった」
 ニコリと微笑み、今一度その場に諸膝を着いて頭を下げてから、男は立ち上がる。そして、言葉通り、指し示した廊下から外へ出ようとした。が。
「──政宗様」
 部屋の敷居を跨ぐ間際、思い出したように男はそう言って部屋の中へ向きを直す。
 全く違う表情を携えた己とわざわざ並び立って。
「もし、何かございましたらいつでもお呼び下さい。何処へなりと馳せ参じましょう」
「……その時は、頼む」
 いただく言葉にまた一礼して、男は何事もなく立ち去る。
 それを確認して、バタバタと部屋に入り込み質問攻めをする成実に対し、文句を言いながらも答える政宗の胸からは不思議と暗雲は取り払われていた。
 が。
 小十郎は見たのだ。同じ顔をした男から向けられた含み笑いを。
 ゴロゴロと暗雲が唸りだす。
 それは空の暗雲だけか、それとも…………。 





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