Fullmoon Lovers (5)「許して」 香澄の懇願の声を聞き入れるはずもない。 ただ、天使は口の端をわずかに持ち上げる。 うなじに口づけをして呟く。 「赦される必要などない……」 ぞくりとした快感に香澄が思わず自然に反らせた背筋を人差し指の鋭い爪でなぞる。 血の玉が転々と浮かび上がる。 ゆっくりと、天使の桃色の舌がその血を舐めあげていく。 「あ、あ…」 夢うつつとなりつつある香澄は、こらえる事も忘れ、熱い息を吐き出す。 堕ちていく彼女の背を優しく押すように天使は囁く。 「後ろ暗く思う必要はない。まひるとて同じ思いだ、好きに思う相手と一つになりたい ごく自然な事、まひるもお前を抱きたいと犯したいと思っている」 何かを振り払うように香澄は首を横に振る。 「まひるは、そんな事―――言わない」 自分は何を言われても構わない。でも……なけなしの理性は全てまひるをかばう為に。 その言葉にも天使は動じず。 香澄の腰を両手で掴み自分のほうに引き寄せる。 「”女のまひるは”であろう。本当は求めていたはずだ、全てを……!」 天使の男根が一息に香澄を貫く。 「あ、うっ!」 刹那、香澄はすでに達したように背をぐいと弓なりに反らし、腰をガクガクと震わせる。 「すごいな。根元まで飲み込んでいる、それどころか更なる快感を求めて――」 抽送の運動を助けるように腰を揺らす。無自覚なままに。 膣内がそれにあわせ蠢く。男根を包むように、しごくように。 「あ……あ、あ!」 「すっかり身体が覚えている、快感を高める術を」 その言葉に必死に首の動きだけは否定の意思を見せる。 自分の動きが天使を迎え入れ、なおかつ天使を貪るものとなっている事に気づかないの だろうか? それとも気づいてなお。 問い詰める代わりに天使は動きを強める。 「ん、んっ!」 食いしばった香澄の口の端から、くぐもった声と一筋の唾液が伝う。 「声をあげるのが怖いか?」 天使は香澄の顎を掴み強引に自分のほうに向けさせ、唇を奪う。 舌を吸う。 天使は口中で香澄の舌を味わい。 「……ん、んー!」 天使の逞しいそれは香澄の膣内を味わう。 ぐいぐいと天使が香澄の奥をえぐる。あたかも身中から香澄を喰らおうとたくらむかの ように。 「――!――!」 香澄は声すら出せず、しかしその動きは確かに……。 天使は香澄から唇を離す。 そして彼女が無意識に望む動きを天使は続けたまま、囁く。 「この攻めが好きか? この奥を攻められるのが」 「そんな事……ない…」 天使は柔らかな口調で続ける。 「嘘をつくな……お前のものは私のをもっと奥まで咥え込もうと襞までも必死に蠢めかし ているというのに」 「違う…ん、だって…私が抱かれたいのは…まひるにだから、あなたじゃない…」 まひるへの肉欲を告白してでも、今を否定しようと彼女は抗う。 「ふん……賢しいばかりの物言いだな」 怒りを欲情に変えるかのように天使の動きが激しくなる。 「いや、駄目!」 恐怖すら感じる快感を。まひると会う事がなかったら、知るはずもなかった快感を。 「あ、し、びれちゃう……」 まるで子宮口すらこじ開けられてしまいそうな、その奥に直接射精される程の力強さを。 「こ、こわれちゃう、こわれちゃう」 「お前の中も熱くなっている、蠢いている。そんなにもほしいか、香澄」 言葉は届いているのだろうか、天使の言葉に合わせて、背筋を震わす。 しかし、彼女の言葉はうわ言のようで。 「――やぁ…そんなにまで…責められたら…もう、駄目になっちゃうの…」 香澄は頭ではわかっているのに、それでも。 「あぁ、まひる――私、いく――まひるのおちんちんで私――」 愛しい人の名を叫ばずにはいられない。 その言葉が天使にも刺激になったのだろうか。 あるいは言葉の端に喜びの色すら見せ天使は言う。 「達するのか? 私のものに貫かれながら。子種を抱え込もうと、おのが子宮を震わすか」 天使の動きは、激しく。ぬかるみの音を響かせ。 「はぁ――もう、私、私! まひる、まひるぅ」 たまらず香澄は叫ぶ。 「ならば、出してやろう、存分に受け取れ!」 言葉と共に香澄を突き上げ、そして。 ドクン、ドクン! 香澄の一番奥に精を一気に放った。その男根の脈動にあわせ、香澄の全身が震える。 「ああ!……あぁ…駄目、まひるのが、来ちゃった…いっぱい…中に…」 ほっとしたように後悔するように香澄は瞳を閉じ、床にそのままうつ伏せに倒れこむ。 香澄は身動きもできず、その少し開いた股間からコポコポと精液が泡立ちながら溢れていき、 床を汚していった。
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