Fullmoon Lovers (6)
〜夜の始まり〜
へたりこみ動けない女たちを天使は見回し、それぞれの女達の情の形を思う。
いとおしさを感じるほどの愚かさを。
恐れを感じるほどの盲目な一途さを。
そして……
理性的であるが故に己が情を表せずにいる拙い、それでいて隠し切れない深い情を。
それぞれが哀れでもあり、いとおしくもあり……。
そう感じる私自身も情に抗えずにいるという事なのか。
自分もまた異端の者なのだろう。
己が動物としての本能のままに女達をトルソーにし種を植え付ける事も無く。
抗う女の手を残し、無駄な種を撒き散らす。
天使は少し笑ってみせる。女たちに向けてかそれとも自嘲の笑みか。
しかしその笑みは美しい。天使と言う名にふさわしいほどに。
「さぁ、次は誰が私に犯されたい?」
夜はまだ長い。
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