Fullmoon Lovers (2)〜小鈴〜 「あついな」 唐突にそう呟くと、他に人がいるのにも構わずにTシャツを脱ぎ捨てる。 バサー! 窮屈さから逃れようと一息に広がった、それは見事な白い羽根、片翼の――しかし、それは 生々しく、なまめかしい質感を持ち、その羽根の持ち主を天使と呼ぶのは何故か憚られた、が。 「天使様!」 躊躇わず、美奈萌はそれを呼ぶ。畏れと喜び、両の気持ちを隠さずに。 「………く」 むしろ怯んだのは天使の方か。 わずかに忌々しげに眉をひそめると、ふいと横を向き、言った。 「まずはお前からだ、小鈴」 「ひっ!」 逃れられぬ敵に遭遇した小動物のように、ただただ小鈴は身動きすらできない。 小動物にそれは優しく語り掛ける。 「さぁ、早く脱ぎ捨てるがいい。私の前にさらけ出してしまえばいい、本能のままに」 動けない小鈴に、重ねる天使の声は厳しい。 「……それとも切り裂いてもらいたいか、先日の様に」 「は、はい…今、脱ぎます」 恐怖か期待かも分からぬままに急ぎ、服を脱いでいく。 腕を組んで小鈴の様子を眺めながら、満足げな笑みを見せ言葉を続ける。 「私の下も脱がせてくれるかい、丁寧にな」 小鈴は女王に使える侍女のように、天使の前に跪き、スカートを脱がせ、下着を脱がせていく。 「あぁっ……」 いつものまひるとは似つかわしくない、荒ぶる股間のものに小鈴は声をあげる。それはすでに 天を向き、握れば強い脈動を感じられるようであった。 小鈴はそれに触れたい衝動をかろうじて押さえ込む。 まひるはその小鈴の戸惑う姿を満足げに見やると、左手で小鈴の右手の手首を掴み自分のほう へ引き寄せ、立たせた。 それから躊躇なく小鈴の股間を右手でまさぐり、にいっと笑いながら言う。 「ほぅ、あれから自分で何度か慰めていたか」 小鈴は頬を火のように熱くする。 「何で――」 右手で小鈴の頬を撫ぜながら、耳元で囁く。 「それぐらい…わかるさ、満足できたか?無理だったであろう」 「……それは」 天使は小鈴の手首を掴み、自分の股間にある昂ぶりを触れさせ、低い声で強く言う。 「…握れ。お前が望んでいたものだ」 「は…い」 恐る恐る手を伸ばし、そっと握る。 「……あ」 燃え盛っているかのように赤黒く熱いそれに触れるだけで、達してしまったかのように小鈴の 足元がふらつく。 「どうだ」 崩れ落ちそうな小鈴の腰に手を回し、天使は囁く。 「ん…どう…なんて…」 「呼吸が荒くなっている…」 「そ…んな、嘘…うそ…」 俯いたまま、ただ自分の欲情を知られたくなくて、言葉だけの否定を必死に繰り返す。 しかし、小鈴の指先は無意識のうちに天使の昂ぶりを撫ぜまわす。 天使は小鈴の顎を掴み、自分のほうに向かせながら聞く。 「そうか?この自分の太腿をしたたらせているのは何か、わからないはずはないであろう?」 「…それは…それは…あ!」 目を虚ろにさせ、小鈴は意味のない言葉を繰り返す。無意識のうちに後ずさり、やがて背後の 机の上に尻餅をつ仰向けに倒れる。さながら天に捧げる供物のように、自分の体をさらす。 天使は小鈴の上にのしかかり、その乳房を舌の先で弄びながら言う。 「いいだろう。この上で今日は抱いてやろう」 「あ…ん…そんなつもりじゃ」 小鈴の言葉に耳を貸さずに天使は命令する。 「足を開け、私のものを迎え入れるために」 「で、でも…」 「……面倒だ」 そう呟くと天使は小鈴の足首を捕らえ、そのまま軽々と持ち上げ、自分の両肩に乗せると腰 を小鈴の股間に割り込ませた。そして自分の肉棒を小鈴の蜜壷の入り口にあてがう。 びくりと小鈴が背筋を震わせ、喘ぐように呟く。 「あ、や…熱いのが…あたってる…」 その様子を見て天使がにっと笑い、小鈴の耳元に顔を近づける。 優しさと錯覚してしまいそうな程の穏やかな声で、天使が小鈴に囁きを届かせる。 「今宵も…お前は私のものに貫かれ…狂うのだ」 小鈴が目をぎゅっとつぶって言う。 「いや、怖い」 「『快楽に溺れるのが怖い』のであろう?……また堕ちればいい」 そう言うなり一息に自分の昂ぶりを小鈴の赤く熟れた割れ目に、ぬぷりと湿った音を立てな がら捻じり込ませる。 「あ、そんなに、もう!」 「……まだ、ほんの先端だ」 天使は熱き肉棒を更に深く、ゆっくりと入れていく。 「あう……まだ、来ちゃう…入って来ちゃう、ん…あ……」 早くも小鈴の言葉の語尾に甘い響きが加わる。 「動かして欲しいか?膣内を蹂躙して欲しいか?」 「あ……あ…」 言葉にならないながらも、小さく小鈴は頷く。 「望んで抱かれるのだな」 「……っ」 天使の独り言めいた問いに小鈴が固まる。 「嫌か?抜いてやろうか」 そう言いつつ、天使が腰を引く。 「ああ、や、だ…」 思わず小鈴がせつない声を上げる。 自分の予想していた反応と寸分とたがわなかった事に天使はにやりと笑い、言う。 「ならば、お前の望むとおりにしてやろう」 そうして天使は激しく、一息に奥まで自分のたぎるものを、負けずに溶けるほどに熱くなっ た小鈴の蜜壷に全て飲み込ませる。 「あ、あぁー……んっ!」 小鈴が叫ぶ。 「素直なものだな」 天使は腰を使い出す。 「あ、あ、……ん、んーっ!」 突き入れるたびに歓喜の声を、引き抜かれるたびに切ない声を、小鈴は本能のままに上げる。 小鈴の腰の蠢きにもう拒否の色は無い。 「あ…や…いい…」 「さぁ、もっと私に聞かせてみよ…お前の、嬌声を…可愛い声を」 その甘い囁きに小鈴の感情が爆発する。たまらず声を上げる。 「ん…んっ!いいのっ…気持ちいいの!もっと、もっと!」 必死に天使の首筋に手を回し、自ら腰を引き付けようと全身をくねらす。 その様子を見て天使が口の端に笑みを浮かべながら言う。 「『初め処女のごとく』とはよく言ったものだな、もう、昔には戻れまい?」 遠慮なく天使は熱い肉棒を突き入れ、そのまま奥を掻き回す。 まるでこのまま壊れてしまう事を望むかのように。 「凄いの……感じちゃうの、熱いの……ん、ん…」 テーブルの端を掴みながら、快楽に身をゆだねるように、小鈴は声をあげる。 「ククッ……少しはあの清純な時代を思い出して欲しいものだがな」 天使は太腿をつかみ小鈴の腰を上げさせ、より深い角度でえぐるようにしてして、膣内を味わう。 快感につま先までピンと伸ばした小鈴のふくらはぎをその舌で舐めあげる。 「やぁおなか壊れちゃう……おかしくなっちゃう、もう…駄目」 「頃合いか」 天使は呟くとなお一層、ストロークを強くする。 「……いっちゃう…わたし……」 「ならば、私の精を出してやろう、お前の中に」 「うそ……駄目…や…」 小鈴は弱々しくも首を横に振る。 手を必死に前に突き出し、天使の身体を押しのけようとする。 「孕むのが怖いか……先日あれだけされておきながら」 「あぁ……でも…でもぉ!……」 小鈴は両手で顔を覆いながら、必死で腰をくねらせる。 その自然な腰のうねりは絶頂を求めてのものか、それとも精を中に吐き出されるのを恐れ、逃げ ようとしているものなのか、小鈴自身にも判然としない。 構わず突き上げながら、天使が耳元で囁く。 「……奥で出してやろう、いくら掻き出そうとしても出し切れぬほど奥に、たっぷりと」 「いや、いやぁ――っ!」 ドクン! 小鈴の叫びに呼応するように精液を吐き出す。 「あぅ…そんなでてる…小鈴の…中が…熱いの…」 半ば、呆然と、しかし陶然とした表情で彼女は呟く。 天使は小鈴が逃れられぬよう、力強く右手で小鈴の腰を自らの腰にひきつけるが、それは 必要のないことだったかもしれない。 小鈴の中に注ぎ込まれる精液の勢いに身体を震わす。 「だ、め、なのに………」 開いた足を戻す力もないまま、視線を宙にさまよわせ小鈴はただ余韻に浸り、股間か ら流れる精液を溢れかえるがままにさせていた。
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