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2014.04.03 Thursday

神咒神威神楽

そんな訳で、フルコンプした「神咒神威神楽」雑感。

やっぱ神咒は単体ではなくDiesとセットで捉えるべき作品。
そう言い切ってしまえる位に、Diesの要素が占める割合は大きかったなあと。
だからといって、神咒がDiesの添え物という訳でもなく、
Dies世界の精神を受け継ぎながら新しい希望に満ちた世界に繋ぐ、
継承の物語として完成していたと思う。
何が一番嬉しいって、大団円ハッピーエンドで締められた事。
DiesではどのルートのEDでも誰かしらの喪失を内包してたから。
ビターエンドも悪くはないけれど、やっぱり一番好きなのはハッピーエンド。
そんな諸々を踏まえた上で、総括して言いたい。
龍明さんの贔屓されっぷり半端なさすぎだろう。

ちなみに、フルコンプ前は音声加工されて聴き取れない台詞を確認する為に
3月末にまた最初からやり直していたり。
同じシーンでも加工されてる台詞とされてない台詞が混在しているのが
気になっていたのだけど、加工されているのは
詠唱やDiesでの名前など、Diesに繋がる言葉が入っている台詞だったんだな。

発売から何年も経過してはいるものの、
全編ネタバレしまくっている上に結構長くなってしまったりもしたので、
これ以上の細かい部分についての感想は隠した方がいいのかも。
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血鮮花篇終了後の進行は、予定通りに
威烈繚乱篇→咒皇百鬼夜行篇→神世創世篇の順序で。
Diesがそうだったので、神咒も普通にルート毎に内容が独立してて
どのルートでも話が完結してるのだと思っていたら、
2つ目の繚乱篇が「俺たちの戦いはこれからだ」で終わって戸惑った。
最初の血鮮花篇がそれなりに話が締められていただけに。
全部のルートが最終決戦前で終わるようになってて、
4つ見終えたら自動で最終決戦に挑むグランドに進む形だったのですなー。
共通ルートもルート分岐後も、描写されるキャラが違うだけで
話自体は最後まで完全一本道だった訳だけど、こういう構成もいいな。
ルートを1つ終える度に、そのルートに対応したタイトルの漢字に
1つずつ火が点っていくのも面白かった。
そして4つ目の創世篇を終えた時、全部の漢字に火が点り、
全員集合絵から最終決戦へ――
その演出が最高で。
というか神咒の最終決戦は、戦いそのものも決戦に挑むまでの過程でも
キャラそれぞれに各々の特性に沿った役回りがあったのが良い。

あとは個々の要素について箇条書きで。

・キャラ
不思議な事に、Dies知識がなかった3年前の完全初見時の好きなキャラと
Diesもやってフルコンプした状態での好きなキャラがほとんど一緒という。
ちなみに初見当時の好きキャラ(夜都賀波岐未公開時)は、夜行・竜胆・龍明。
天魔に関してはDies補正が強すぎて好き嫌いじゃ語れないけれど、
宿儺と夜刀は格別。
宿儺はトリックスター的な言動がますます冴え渡ってたのがブラボー。
Diesでいいコンビだったエリーと一対になってたのも嬉しかった所。
夜刀は、マリィへの想いも彼女の世界を守ろうとする真摯さや悲痛さも、
とにかく切なくてたまらなかった。
でも、一番贔屓なのが実は龍明さん。
元々、Diesではリザ贔屓だったので、
リザと対立してたザミエルへの思い入れはあまり無かったのだけど、
神咒での立ち位置が隙が無さすぎた。
蓮との繋がりの薄さを利用して敵の支配する世界に単身乗り込んで、
長い年月をかけて敵を倒せるように布石を打ちつつ人材を育てて、
その所為で夜刀の傍にいる他の仲間から裏切り者扱いされるのも辞さず、
だけど黄金への忠誠心は変わらず一貫しててって、
格好良すぎる……!
Diesの時には批判してた母性まで身に着けちゃってもう最強じゃないですか。
東日流の海上での戦闘は、味方の力としてザミエルの頼もしさを堪能しつつ、
Diesから成長した姿まで拝めて最高に燃えた。
紅葉への平手打ちは、Diesの玲愛ルートと真逆の構図なのが面白かった。
本当、正田卿の愛注がれすぎだと思うな龍明さん。
あと、Dies勢の転身で一番びっくりだったのは、やっぱりシュライバー。
2身に分かれてたのもだけど、あの狂犬がこんな穏やかで理知的になるとは。
龍明さんとまた少し違った方向で渇望を昇華してたのは嬉しい限り。

竜胆へのイメージは初見時からフルコンプまで全くぶれなかった。
まさか黄金の後継のように描かれるとまで思わなかったけど。
不二でのイベントは、旧世界の精神を受け継ぐ重要なシーンだったな。
エヴォの雫といい、波奈束さんの凛々しい演技はやっぱりいいなあ。

龍水も初見時ではかなり気に入ってた方だったのだけど、
潜在能力が凄そうという雰囲気だけ匂わせておきながら
役回りがはっきりしてた他のキャラに比べて活躍度合いが薄かったのが残念。
でも、東日流での戦闘で、龍明さんと並び立って呪符を構える絵は大好き。
奥伝が開いても全部伏せられたままだった事もあるし、
メイン8人の中で一番キャラ描写が補完されるべきは龍水だと思うけど、
実際「曙之光」ではどうなってるんだろう。
というか、夜行・龍水組の特に無限蝦夷に渡ってからのシーンの半分位は
龍明さんでできていたような気がする。
「これで最後」と言いつつ何度も出てくる龍明さんには突っ込みたくなりつつ、
登場してくれるのは何だかんだで嬉しかったなあ。

変態だのラスボスっぽいだの言われてた夜行は、
結局最後まで一番頼もしい味方で逆にびっくりだよ!
生まれついての天才気質ゆえの挫折なんて展開もすぐに克服しちゃったし、
夜行さんマジ最強。
そんな常に余裕かました不遜な態度の夜行が
水銀・黄金・マリィの世界を高く評価した事が、驚きながらも嬉しかったり。
特に水銀が。
あれだけうざいだの変態だの散々な言われような水銀が。
まさかこんなにも真っ当に評価されてるなんて……!
そんな夜行ですが、最終決戦で仲間を気遣う姿勢を見せた時が
一番びっくりだったという事は記しておきたい。

・音楽
タイトル画面で流れる「神州愛國烈士」が無性に心踊って仕方ない。
それに限らず、戦神館までの正田ゲー3作の中で、好き曲の比率は一番かも。
和風ロックや民族音楽調はツボド直球すぎるから。
あと、キャラと同じくDies曲のアレンジも軒並み補正が強すぎて別枠。
「修羅残影」「刹那」は本当ヤバい。
初期状態でのバグ動画で黄金のテーマと共に登場する龍明さんに爆笑したのは
フルコンプ後の話。


・戦闘
中盤まで負け戦が多いのは難だったなあという思いはあるものの。
仲間全員の力を合わせて挑む最終決戦が
RPGのラスボス戦を彷彿とさせて燃えるのは当然として、
それ以外だと、刑士郎VS宿儺、覇吐VS夜刀はガチ。
刑士郎がベイとして在る事を否定した瞬間、
BGMがベイ曲アレンジから神咒曲に変化するのがたまらん演出。
覇吐VS夜刀は、問答無用で神咒のベストバウトと言えるのでは。
物語中の役回りとしては敵方である夜刀の心情が熱すぎて。
自分が相手の礎になる覚悟で、本心を隠しながら挑発する姿、
Dies玲愛ルートでの蓮VS司狼と本当にそっくりだよ……。
最終決戦は、覇吐VS波旬の一騎打ちよりも、
その前の、仲間達と過去の座の残滓との対戦が燃えた。
宗次郎と紫織は、戦闘で常に対を成すように描かれてたのが面白かったな。
まあ、戦闘に関しては、ただ1つだけ、最終決戦の最後を飾る一撃の詠唱が。
「あっ、これ法事で毎回唱えてるやつだ」でちょっとズコーと。ええ。
真言系の詠唱を使う異能バトル作品では時々ある事なので、もう慣れたけど。

・グラフィック
毛筆仕様の主線のタッチが好きすぎるので、正田ゲー3作中トップ。
ただ、立ち絵は塗りもテクスチャも単一すぎてのっぺりなのは気になった。
イベント絵だと気にならないのだけども。

・エロシーン
4組も固定男女カップリングがあって
2組しかまともなエロシーンがないのはどういう事か。

この性格でエロシーンに至るまでにどんな恋愛描写があるのかと
期待していたのに。
繚乱組と百鬼夜行組、君等の事だ!
女性に弱い設定の宗次郎で、なんであんな初回エロシーンになるのか。
あんなにツッコミ入れるしかなかったエロシーンもそう無いよ?
女性に弱い設定を活かすシーン自体が数回しか無かったのも残念でならず。
百鬼夜行組も百鬼夜行組で、発売前は夜行が散々変態扱いされまくってたのに
いざ発売されてみたら変態扱いされてるのは龍水ばかりだった理由も、
否応なしに納得させられましたともさ。
そりゃああの設定とエロシーンの内容じゃ、認識も反転するしか。
こっちもやっぱり、龍水→夜行への一方通行にしか見えなかった感情が
どういう過程で両想いになるんだろうとわくわくしてたのに。
最後の創世組がまともに恋愛っぽい描写になってくれて本当にほっとした。
下ネタ大将だけどひたすら竜胆一途な覇吐と、
躱しながらも段々覇吐を意識していく竜胆の関係は良い清涼剤。
その2人も、想いが通じ合ってからのエロシーン絵は
何故かモザイクどころか18禁に全くなってない構図で少しがっかりしたけど、
代わりにキスシーンが超絶に乙女だったので相殺してお釣りは出るから。
まあ、宗次郎・紫織の関係性自体は嫌いじゃない。
殺し愛に見せかけて、というか確かに相手を倒す覚悟の真剣勝負ではあるけど
お互いを高め合う為の手段としての戦いってのは熱くて良いよね。

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