急に焦ってダイエットを決意した景時さん。
望美ちゃんの所に相談にきました(笑)
もちろん前回の続き。
「はあ!?なにそれ、いっそ『景時ちゃん』とか呼んでやりたくなるほどのヘタレっぷりね」
「望美ちゃん‥‥‥酷い‥‥」
「体重なんか運動すれば減るでしょう!?」
「してるよっ、仕事場までは電車使わないで自転車で行ってるし」
「マヂデスカ!?」
そう。景時さんの主な仕事場は、乗り継ぎも合わせて1時間弱の所なんだけど‥‥『電車って窮屈でさぁ〜。それにほら、この自転車って凄いよ!!馬も使わないで、凄いスピード出せるんだから!!』とか言って、ほとんど人力で済ませちゃってる。
「だって向こうだと京から鎌倉まででも、普通に歩いてたし」
「確かに」
「そうですよね」
だからたぶん、食事の量をセーブすればすぐに戻ると思ってるんだけど。
「‥‥‥すぐ痩せたいのね?」
「うん。食事抜く以外で、いいダイエット法ってない?」
そんなものがあるわけが‥‥。
「あるわよ」
えっ。
「ホント!?」
「ちょっと耳貸して」
オイオイオイ、なにを吹き込んでるんだ。
俺を牽制する目が意味深で恐い。先輩がこういう目をしてる時、マトモなことが起こった例しがないんだ。
「ほ‥‥ホント?」
「絶対痩せる。有酸素運動が一番よ」
「それなら頑張れるよっ!!望美ちゃん、ありがとうっ!!」
両手を合わせてブンブン振りながら喜ぶ景時さんを見て、少しホッとした。
さすが先輩。
一言で簡単に立ち直らせちゃうなんて‥‥敵わないな。
「それじゃっ!!もう行くねっ。譲くんっ、帰ろう♪」
「はい」
どうして俺なんかと一緒にいるんだろう。先輩の方が、景時さんを幸せにできるのに‥‥。
「譲くん。俺、ダイエットしたいんだけど」
「なんでも協力しますよ。俺にできることなら‥‥なんだって」
できることがあればの話。
食事の管理くらいしか手伝えないだろうけど。
「ホント?」
急に色を帯びた声に、背筋がゾクッとした。
「本当‥‥ですよ?」
なんだろう。
なんだか、景時さん‥‥。
「それじゃ付き合ってね、有酸素運動♪」
まさか。
だって昼間から。
「ダメ?」
そんなっ、耳元で‥‥囁かないで。
「世界一好きな君と世界一好きなことやって痩せられるなんて、ホント‥‥望美ちゃんってばイイコト教えてくれるね」
先輩、そういうことですか。
後で少々お灸を据える必要はありそうだけど。
「世界一、ですか?」
「そうだよ。その為に君を追ってきたんだし。その為に‥‥痩せたいなって、思ってたんだから」
「バカ‥‥」
どうしようもなく嬉しいから、なんでも構わないや。
「馬鹿だよ。‥‥ゴメンね」