逢夢辻番外/頼朝×景時【籠の鳥】〜02:景時サイド
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いったい何!?
何がどーなって、どーしたらこーなるの!?
鳩が豆鉄砲なんて可愛いもんじゃない。
痛いし苦しいし意味ワカンナイし、こんな、ちょっ、無理で‥‥す、と、振り払うことはできなかった。
異物が中に入りこんで、皮膚が裂けて、息ができなくて。
それでも。
それが頼朝様の暴力である限り、どこか快楽をすら覚える。
それはおかしな錯覚。
初めは、頼朝様を裏切って茶吉尼天を滅したことへの怒りか罰かと考えた。
でもなんか違う。
そんなに怒ってたら、いっそイチモツを切り捨てるくらいしそうな残虐性を、嫌ってほど見せつけられてきたわけだから。
まさか。
頼朝様が自らの手を‥‥身体を、汚してまで、いったい何をしているのかと‥‥それは理解の範疇を越えていた。
憎まれているなら。疎まれているなら。この腕の熱は‥‥まるで縋りつくように強く抱きながら刺し貫く、この腕の熱さが解らない。
吸っても吐いても息苦しさの抜けない、その呼吸の意味が解らない。
‥‥‥いや、答えなど無いのだろう。
むしろ答えを出すために行為に及んだのかもしれない等と推測をしてみる。
打ち捨てられた部屋の中、込み上げる涙は、ただ状況に混乱しているだけなのだと自分に言い聞かせて、飛沫に汚れた部屋を調える。
まるで何もなかったかのように。
そんなはずはないのに。
その日を境に、何かが壊れてしまった。
人払いの済んだ部屋に呼ばれては、その行為は続く。意識を失うこともできず、ひたすらに注がれて‥‥気付けばもう、触らずとも奥を突かれただけで達してしまうほど、身体は慣らされていた。
射精感を覚えることもないまま、女のように啼かされ続けて‥‥声が嗄れる。
思考は焼け焦げて、自我は砕かれて、言われるまでもなく服を落とすようにすらなってしまった身体は、貴方を、求めて。
「よりともさま‥‥」
いいから。
もう、どんな理由で俺を抱こうが、それが貴方の望みならば否定はしないから。
せめて声を。俺の名を忘れたのではないのならば、せめて今までのように‥‥名を呼んではもらえないものかと。
正直、もう限界だった。
日に日に窶れていく身体よりも、心が悲鳴を上げていた。
愛しさを、自覚してしまった時から。
何かを期待してしまう自分が、それでも名を呼ばれることすらない空気が、身体が熱くなればなるだけ‥‥孤独を煽って。
「頼朝様‥‥っ」
無理だ。壊れてしまう。
いやもう既に壊れているから、こんな‥‥っ。
注がれ続けて膨れあがった不安も期待も執着も愛情も何もかもが溢れ出して、それに向かう。
どうなってもいい。
ただ溢れ出す思いのまま、息を止めて、全てを喰らうように獰猛な口づけを残した。
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