海の風は、弁慶の知る京のそれにくらべれば、随分と重く、強くて、普段なかなか風に揺られることのない黒い外套さえもがはためいて、頭からするりと落ちる程だった。
すると直接、海のきらめきが目飛び込んでくる。
あの白の力と似たほどに眩しかった。
弁慶は浜辺をゆっくり歩き、景色を記憶を比較する。
ここが過去だというならば、いったいいつの熊野なのだろう?
どうしてここへ来たのだろう?
……とはいえ、白龍と望美の性格や、あの最初の謎の文字の事を考えれば、本当に彼女たちのただの戯れで、何の意味もないのかもしれない。
それはそれであの二人らしくて、弁慶はつい微笑んでしまった。
けれど、一瞬でそれは翳る。弁慶はぴたりと立ち止まる。
背後に何か、気配を感じだのだ。


とっさに弁慶は、

A 近くにあった岩に身を隠して様子をうかがった
B 怨霊の気配のような気がして、身構えつつ振り返った
C それよりこの白い鱗が光ればいいのに、と安易に思った