弁慶は近くにあった大きな岩に身を隠し、息を潜める。
物音はまだ聞こえてくる。
そちらを見るべく、弁慶はゆっくりと岩から顔を覗かせた。
が、途端、目の前をばさばさと白いものが勢いよく通りすぎていって、驚いた。
「なんだ、鳥でしたか」
視線の先ではカモメが青色の中を気持ち良さそうに飛び回り、そのうち空の向こうへ消えてしまった。
後にはただ波の音だけが残される。
弁慶は、カモメが消えた方をしばらく見つめていた。
A 鳥になるのも楽しそうだな
B うーん、だけど地面に足がついている方が落ち着きそうですね