ほんのり恋の味


未知なる世界へ ...04

「へぇ。斉藤君て初めてなんだ。何か……意外」

授業と授業の間の短い休み時間。

屋上であった急展開な出来事を美佳子に相談しようと、椅子を隣りの彼女の席に持って行き、2人で身を寄せてコソコソと話す。

一部始終を聞いた美佳子は、篤も初めてだって聞いて少し驚いたようにそう呟く。



「意外って……どうして?」

「だってほら。斉藤君てモテるじゃない?見た目的にちょっと軽そうに見えるからさぁ。もうとっくの昔に経験済みなのかと思ってたのよ。だから、加奈子が斉藤君と付き合うって言った時は、あぁ、すぐに襲われちゃうかもー。なんて期待してたのよねぇ」



ちょっと……そんな事を思ってた訳?いくら面白そうだからって酷いじゃない。

もし、本当に篤が軽い男だったらどうしたのよ。

……安易に付き合う事を人に勧めないで欲しいわ。

意外に斉藤君て固いんだー。なんて感心するように頷く美佳子に対して少し横目で睨む。

まぁ、結局は私も篤の事を好きになって、今こういう相談をしてるんだから結果オーライなのかもしれないけど……。

「そっかぁ。でも、加奈子も遂に『女』になるんだ。あー、何かそれの方が意外」

「あんたねぇ」



さっきから聞いてれば好き放題言ってくれちゃって。

こうなったのも全部今朝美佳子があんな変な事を言ったからなんだからね?分かってんの?

ん、まぁ。最終的に自爆したんだけど……。



「でも、加奈子の場合週末って決まったんだったら心の準備もできるわね。私なんて昨日突然だったから何にも出来なくて…ちょっと失敗。色々用意しなきゃだよ?勝負下着とか……」

「勝負下着?」



………何だ、それ。



「んーもぅ。ホント加奈子ってばそういうとこ超鈍よねぇ」



悪かったわね、超鈍感娘で!!

これでも少しずつだけど進歩してるんだから……。



「斉藤君と初めて結ばれるのに変な下着つけていけないでしょ?ココ一番っていうので決めないとね。ね、加奈子はどんな下着系?」

「はぁ?」

「はぁ?じゃなくて。レースとかそういうの?」



………な、訳ないでしょうが。私がそういうの穿くように見えるわけ?



「普通の……コットン系」

って、素直に応えてる私もどうかと思うけど。

「あー。ダメダメそんなのじゃ。斉藤君喜ばないよ?もっと大人っぽいのにしないと」

「大人っぽいのって……」

何でそんな事まで気にしなきゃなんないのよ。

篤の為に……下着を選ぶなんて。

あぁ、考えるだけで眩暈が。

「それと当日の服!脱がせにくいのはNGよ?ジーパンとかは特にダメね。スカートにしなきゃだよ?」



…………めっ面倒くさい。

初めてのデートの時も1時間もかかって服を選んだって言うのに……また考えなきゃいけないの?



「あ、それからもう一つ」



まだあるのか。



「生理用のナプキンも一応持っておいた方がいいかも」

「え……どうして?」

「出血するかもしれないから」

「しゅっ、出血?!」

「うん、そう。しない子もいるらしいけどね?」

「美佳子は?したの?……出血」

「ちょっとね。だから加奈子も念の為に持っておいた方がいいと思う」



……………急に不安が。

痛いとは聞いてたけど、まさか出血までするなんて。

相当痛いって事じゃないの?

うぅ。何か嫌だなぁ……そんな痛い思いをしてまでしなきゃいけない事なのかしら。

美佳子は幸せそうな顔をしてたけど、本当にそれで幸せになれるの?