ほんのり恋の味


未知なる世界へ ...03

「……変な事って何?」

「あー…いやー…そのぉ」

自分の言った事に取り返しがつかず、篤からのツッコミに言葉が詰まってしまう。

「加奈子、教えてよ。変な事って何?どんな変な事考えてたわけ?」

「いや、だから。変な事は考えてないって言ってるの!!」

……自分でも苦しい言い逃れだと思う。

これ以上突っ込まれると、すんごい困るんだけど。

考えてた事を言ってしまいそうで。

「だから、考えてなきゃそんな言葉が突然出てこないだろ?ねぇ、何?俺との間に秘密事作るの止めようよ。俺、そういう事されるの嫌なんだけど」

「秘密って……別に秘密にしてる訳じゃないってば。そんなに深く突っ込んでこないでよ」

「秘密にしてる訳じゃないなら言えるよね?」

何か……どんどん追い込まれてる?私。

加奈子?と、篤から見据えるような視線を送られて、私は暫く渋ったのち観念して徐に口を開く。

あぁ、もぅサイテー。





「……今日……美佳子から報告があったの……」

「報告?」

「その…昨日……彼氏と……エッチしたって」

「…………エッチ……」

私の言葉を反復しながら、篤がゆっくりと体を元の位置に戻す。

「で。その……次は……私の番だって」

はぁぁ、もぉ。何でこんな事喋ってんの、私!!

恥ずかしすぎて篤の顔が見れないじゃない。

自分の頬が熱く火照ってくるのを感じながら、俯きスカートの裾を指先で弄る。

「で、タイミングよく俺が部屋に来ない?って言ったから……あんな態度に?」

「……………そんな感じ」

私の言葉を受けて、篤は暫く口をつぐんでから、前を向いたまま俯き加減で呟く。

「加奈子はさ……俺とそうなってもいいかなぁとか思ってる?」

「………へ?」

「いや、だからその……エッチしてもいいかなって」

「えっエッチって…そんなのまだ全然っ!かっ考えてない!!」

あまりにも力強く言ったもんだから、隣から苦笑交じりに、加奈子らしいや。と言葉が聞こえてくる。

なによ、その加奈子らしいって!!

「でも俺、加奈子とそうなりたいって思ってるよ?」

「え?」

「前にも言ったよね、加奈子の全てをいつかちょうだいね、って。加奈子の全てを知りたいって思ってるし、完全に俺のモノにしたいって思ってる」

あのプールで言われた言葉。

全てをちょうだいねってそういう意味だったの?

全然……気付かなかった。

どこまで疎いんだ、私。

「でも、私何も分からないもん。やり方だって……分からないし」

「俺だって!……俺だってキス以上の事はやり方なんて分からないよ?だけど、加奈子と一つになりたいってそう思ってるから」

「………篤」

最後、私の方に顔を向けて言ってくる篤の頬が少し赤いのに気付き、それにつられて自分の頬も彼の倍以上赤く染まる。

「だから週末は、加奈子もそのつもりでいて」

そのつもりって……つまりは?

そうなるって事?!

え……ちょっと待って。何でこんな展開になっちゃったの?