ほんのり恋の味


未知なる世界へ ...12

いっ、いよいよなの?!

私はゴクン。と喉を鳴らし、ベッドボードの小さな引き出しから何かを取り出してくる篤を不安げに見つめる。



「ちょっと…準備」



少し頬を赤らめて、篤は私に背中を向けるとゴソゴソと何かをし始める。

私は天井を見つめながら、どうか痛くありませんように。と心臓を高鳴らせた。



「えっと…いいかな、加奈子」

「えっ……あっ……あぁー、うん?」



いいかな、なんて聞かないでよー。

余計に意識しちゃうじゃない。

篤が私の足の間に体を割り込ませると、MAXに心臓が踊り出す。



ひゃー…どうしよう、どうしよう…やややっぱり怖いかもーっ!!!!



「加奈子、体の力抜いてね?」



なんて、優しく篤は言ってくるけれど…



体の力を抜くって?どうすんの??どうやって抜くの???

誰か教えてよーっ!!!



「入れるよ…」



そう篤の声が聞こえてきて、入り口に何かがあてがわれる。





ひっ?!





「……いっ…いぃいたぃっ!!……」

「え…いっ、痛い?!ちょっ、…俺、まだ何も…」

「え?……あ、ごめん。その…痛いよーな、気が…」

「そっ、そか。あっと……一応、初めてでも大丈夫な用だから…」



何が?

何が初めてでも大丈夫な用?



篤の言ってる意味がさっぱり理解出来なくて、体がカチンコチンに固まってしまう。



「大丈夫。加奈子、大丈夫だから。痛くならないようにゆっくりするから」



篤は宥めるように私の髪を撫でながら、優しく唇を啄ばんでくる。

何度も角度を変えて浴びせられるキスに、固まっていた自分の体が徐々に解されていく。

それを見計らったように唇を塞ぎながら、篤は再び入り口に自身をあてがうとゆっくりと中に押し進めてきた。



「んんっ!!」



先程の篤の指とは比べ物にならないくらいの圧迫感。

重なる唇から声が漏れ、俄かに自分の眉間に深くシワが寄る。



「くっ…加奈子…痛い?…大丈夫?」



篤は唇を離して、少し辛そうな表情で私の様子を窺い見る。



いっ、痛いような…そうでもないような…。



「ちょっとだけ…痛いかも…篤も、痛い?」



辛そうに見える篤の表情に、彼も痛いんじゃないかって不安になってくる。



「すげぇ…気持ちいい」



……え。気持ちいいの?



「加奈子の中、すごく熱くて…すげぇ、いいよ。想像以上! だからすぐにでも動きたい。けど、加奈子は痛いんだよな?ごめんな、加奈子。大丈夫?」



ゆっくりゆっくり押し進んでくる篤の存在。

私は眉を寄せたまま、篤の背中にまわした手に力が入る。



「んっ…だい…じょうぶ。篤が気持ちいいなら…多分、私も気持ちいい」



何て、なんの脈絡もない事を口走る私。

けど本当にそんな気がしてくる。

想像してたほど痛くなくて、篤が切なそうでも嬉しそうに気持ちいいって言って来たからかな。



「……全部入ったよ、加奈子。大丈夫?」

色っぽく息を吐きながら、篤は愛しげに私の髪を撫でてくる。

「ん…大丈夫…だと思う」

ちょっとジンジンしてるけど、泣き叫ぶ程ではないし。

「加奈子が…慣れるまで少しこうしてるから…絶対動かないでよ?」

「え、あ…う、うん。でも…動いたらどうなるの?」

「え? そりゃあ、理性崩壊、止まらなくなるっ。今だってすげぇ集中して理性保ってんのに」

りせーほうかい?……大人しくしてます、はい。今、動かれると私もきついデス。

「へへっ。でも、なんかすげぇや…俺、加奈子のナカに入ってる」

「わっ!そういうこと、口に出して言わないでよ。恥ずかしいじゃないっ」

「あははっ。ごめん。でも、マジで…加奈子とこうなれる日をずっと待ち望んでたから、すげぇ嬉しいんだ」

「あつし……」

ぴったりと合わさった肌からお互いの温もりが交じり合い新たな熱を作り出している。

その温もりが心地よくて、ずっとこうしていたいという気分になってくる。

繋がった部分はジンジンとしていたけれど、私を見下ろす篤の笑みの中に辛そうに何かを必死で我慢してる様子が窺えると、本当に大丈夫だよ。って言ってしまいそうになった。

そうして暫く篤からのキスを受けながらじっとしていると、窺うように篤が小さく呟く。

「加奈子……もう、動いても大丈夫?」

「ん………大丈夫」

篤は私の返事を確認すると、私の脇の下を通って両肩を掴みゆっくりと動きはじめる。

「ごめん…辛くてももう、止めてあげられないと思うっ……でも、少しだけ我慢…っして?」

「んっ…んっ!!」

篤が動き始めると、途端に圧迫感と異物感が襲ってきた。

少しの痛さはあったけど、律動を送られる度にその中から新たな感覚が生まれてくる。

何か、すごく変な感じ。

ビリビリっと内側から痺れが通って、全身を駆け抜けていく。

「加奈子…すげぇっ…気持ちいいよっ」

ゆっくりと律動を送りながら、額を私の額にくっつけてきて、篤は色っぽい顔で視線を絡めてくる。

「篤っ…んっ…あっん……篤ぃっ」

「すごいっ…色っぽい、今の加奈子の顔…んっ!ぁ…もっ…無理っ!ごめん、加奈子っ!!」

「えっ…あっやっ!あっ…あぁぁぁっん!!」

突然篤は両肩を掴んでいた手に力を入れると、私の首元に顔を埋めて一気に律動を早めてくる。

激しく揺さぶられる自分の体。

激しく軋むベッド。

私はしがみ付くように、篤の体にまわした手に力を入れた。

「加奈子っ……加奈子っ!!」

「あっ…あっ…んっ」

「……んっ…ぁっ!!」

最後、もの凄い勢いで体を揺さぶられ、色っぽい息を吐きながら篤の動きが奥の方で止まる。

それから力尽きたように倒れこんでくると、首筋にチュッと軽く口付けてからギュッと私の体を抱きしめた。

「……加奈子、ありがと。すっげぇ最高!…ヤバイ。俺、今すっごい幸せ」

「篤……」

「加奈子は大丈夫?カラダ、辛くない? ごめんな、痛い思いさせて…」

「ん〜ん。篤、ありがと。大丈夫……私も、篤と一緒ですごく幸せな気分だよ」

荒い息遣いの中、お互いに微笑み合いながらどちらからとも無く唇を重ねる。

美佳子が言ってた、『何よりもすっごく幸せ』って言ってたの、今なら分かるよ。

痛みや不安なんか吹き飛ぶくらい、幸せな気分になっちゃうね。