*俺印






「ぁっ…ふっ…セナ…ダメ…だってぇ」

ちゅっ、ちゅっと啄ばむ音を響かせながら、世那に唇を奪われる。

徐々に犯されていく私の脳。

意識が遠くなりつつも、少し世那の体を押して僅かな抵抗を見せてみる。

だけど、世那はそんな抵抗を気にも留めずに、キスを繰り返しながら、器用に私の制服を脱がしていく。

「……なにがダメだよ」

「んっ…だって…おばさん、下にいるんでしょ?」

「遙が声を我慢すりゃいいんじゃねぇの?お袋は遙と一緒の時は絶対2階には上がってこないんだから。知ってんだろ?」

「だけど…声、出ちゃうもん」

「じゃあ、やめるか?」

世那はそう、意地悪く私の耳元に囁いてくる。

分かってるクセに…世那自身がこんな中途半端な状態でやめない事も、私がやめて欲しくないって思ってる事も。

矛盾してるって、自分でも分かってる。

口では、ダメって言っておきながら、頭の半分と体全身は世那を求めてる。

やめないで…そのまま続けて欲しいって。

それを分かっているかのように、世那は色っぽく私を見下ろして、再び唇を重ねてくる。

最初はソフトに。

そして次第に甘く、深い濃厚なキスへと変わっていく。

自分の体から纏っているものを全て取り去られて、彼の手が私の体を滑り始めた頃にはもう、私の思考回路は完全麻痺。

熱い痺れが全身を駆け抜け、世那からの愛撫だけを感じ取っていた。

「んっ…セナ…ぁっん!」

「遙…もう濡れてきてんだけど?」

「やぁっ…そんな事わざわざ言わないで…よ」

頬を紅く染めて、小さく首を横に振る私を、優しくそして意地悪の入った色っぽい笑みで見つめ、世那は私を追い詰めてくる。

胸の蕾を口に含み、舌先でそれを弄ぶ。

片方の手は全身を撫でるように肌の上を滑らせ、あいたもう片方の指先で潤いはじめた秘部に触れ、ミゾとヒダを刺激する。

そして、くちゅっといやらしい音を立てながら、世那の綺麗な指が私の中に埋まり、ゆっくりとかき回される。

はじめはゆっくりと中を探るように、そして次第に早く激しい刺激に変わりはじめる。

卑猥な水音が増せば増すほど、脳と体の中心部分が痛いくらいに刺激されて、私が乱されて行く。

もう、何も考えられなかった。

「ぁっ…ぁっ…やっ…ん、ダメっ!いやっ、いやっ…世那っ」

「“いや”、じゃなくて“いい”だろ、遙。すげーよ、どんどん溢れてくる…指をすげぇ締め付けてくんだけど。気持ちいい?」

私は声に出す事が出来ずに、ただ小さく頭を縦に動かす。

世那はそれを満足そうに見つめ、更に私を追い詰める。

「もっ…ダメ…」

限界に近づいてきた私は、そんな言葉と共に潤んだ瞳で世那を見つめる。

「いいよ、イって」

恥ずかしいくらい大きく開いた自分の脚。

だけどもう、そんな事を考えてられないくらい心地の良い刺激に身を任せ、私は一度目の頂点を迎えた。



「今度は俺の番な」

少し掠れた世那の声。

それさえも綺麗な声って思えてしまう。

世那は着ているモノを脱ぎ捨て準備を済ませると、熱く潤った私の中心部分に自身をあてがい、ゆっくりと中に這入ってくる。

「んぁっ…世那っ」

「んっ…あいかわらず…すげっ、きつ…」

根元部分まで自身を沈めてから、色っぽく息を吐いて、優しく私の頬を撫でる。

「遙…こうしてるだけでも、すげえ気持ちいいよ」

「ん、私も。世那と繋がってるって思えるだけで幸せ」

「好きだよ、遙」

「うん、大好き…世那」

世那はニッコリと優しい笑みを浮かべ、ゆっくりと顔を近づけてくると、そっと唇に触れてくる。

お互いの舌先をなぞり合いながら、それを伝って深く絡ませ、キスを交わす。

世那の大きな存在も、彼から与えられる熱いキスも、世那の全てが愛しくて。

ずっとずっとこの甘い時間が続けば…ずっとこのまま世那の腕の中にいられたら。

そんな欲望が支配する。

ゆっくりと動き始める世那に合わせて、自分の口からも甘い声が漏れ始める。

「んっ…んっ…世那っ…気持ちいっ」

「はぁっ…んっ…俺も…気持ちいいよっ…ちょ、も…激しくいっていいか?」

「え、あっ…んぁぁっ!!」

世那は切なそうな表情を浮かべ、私の膝を抱えて覆い被さってくると、徐々に律動を早めてくる。

私は快感の波に翻弄されながら、声を出さないようにと必死で唇を噛み締める。

だけど、どうしても漏れてしまう自分の甘い声。

世那はそれを封じるように、唇をしっかりと塞ぐと、激しく私の体を揺らし始めた。



――――もっ…もうダメっ!イっちゃう…イっちゃうよ…世那っ!



――――いいよ、遙。一緒に…俺もイクから…っん!!



言葉には出さないけれど、目を見るだけで伝わる会話。

激しく体を揺さぶられ、一瞬世那の顔がスパークして見えなくなってから、体がガクガクっと大きく震える。

そして同じくして世那の動きが奥で止まり、2.3度出入りを繰り返してから彼がぐったりと体を委ねてきた。

汗ばむ肌を重ねて、お互いに荒く息をつく。

少し呼吸が整ってから、チュッと軽くキスをして、体を離そうとする世那に腕をまわしてそれを制す。

「……遙?」

「まだっ…まだもう少しだけこうしてて?もうちょっとだけ…離れたくないの」

「あぁ、いいよ。もう少しこのままいてやるよ…お前の中は居心地がいいからな」

そう言って世那は、色んな場所に軽くキスをしながら、ニッコリと笑う。

私はそれに少し身を捩りながら、世那の綺麗な黒い髪に指先を通し、クスクス、と微笑み返す。

「世那…ずっと傍にいてね?」

「ずっといるに決まってんだろ?俺がお前を護っていくんだからな」

「ん…私だけの天使だもんね?」

「あぁ、お前だけの天使だからな。そして、お前は…」



――――俺だけのモノ。



そう、小さく囁いてから、そっと首筋に唇を落としてチュッと軽く吸い上げる。

「えっ!?ちょっ…世那、何してるの?」

ぎょっとして世那を見ると、彼は少し意地悪い笑みを浮かべて更に囁く。

「決まってんだろ?お前に悪い虫がつかないように、印をつけてやったの…」



――――俺印っていうのをな。


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