Requiem aeternam dona eis Domine:
et lux perpetua luceat eis.
「―――黒の教団?」
復唱すると、そうでス♡、と云って千年伯爵はその丸々とした巨体を揺すった。
ご機嫌斜めだなぁ とアレンは長い付き合いのおかげで判るようになってしまった伯爵の機嫌の悪さに溜息をついた。やっかいな事になるかもしれない。
「...それで、何なんですか? その“黒の教団”とか云うのは」
「聞いていませんカ?♡」「聞いたこともないです」
丸眼鏡の奥で伯爵の目が妖しく光った。あなたなら知っているかと思ったんですがネ♡
「なんでもヴァチカンが、ある古代秘蹟を発見したらしく、それに従って設立させたそうなんですヨ♡」
「何か問題になるんですか?」 そう云えば、大有りでスー!!♡ と声を上げられる。
伯爵の声は頭に響く。顔を顰めると、伯爵は僕がようやく話に乗り気になってきたと勘違いして、満足そうに フフ♡ と笑った。
「アレン・ウォーカー、人間たちがアクマを壊すにはどうしたらいいと思いますカ?♡」
...思い当たる節のある僕は、それでもそ知らぬ振りをするために首を横に振った。
「うーん、分かりませんカ。あなたも知ってる物なんですけどネ♡」
まどろっこしい。さっさと云えばいいものを。どうしても僕に当てさせたいらしい。
伯爵のくだらない遊びに付き合うつもりで、僕は数瞬、考えたふりをした後に、ひょっとしてアレのことですか、と呟いた。
「貴方が僕に回収を命じた、イノセンスとかいうやつのことですか」
正解でース!!♡ ぽん、と妙に間の抜けた音が響いて、何処からか紙吹雪まで降ってきた。こういうところにばっかりこだわるんだこの人は。
はぁ と小さく溜息をついた後、それでその黒の教団っていうのが、対アクマのための集団ってわけですか。 と云ってやれば、今度は伯爵の背中に花が咲いた。さすがアレン、賢くて助かりマス♡ なんて云ってくる。下手なお世辞だ。
そんなこと微塵も思ってないくせに。
「でもあれは、ただの物質でしたよ。そりゃ奇怪な現象を起こすものもありましたけど...」
「イノセンスを武器にして使うことができるのは、人間のなかでも限られた者なんでス♡ そのものたちがエクソシストとなって、我が輩の可愛い兵器 を壊してしまうんですヨ♡」
「...いいんですか、そんな集団放って置いて」
「勿論、いいわけがありませン♡」 でもまあこれくらいでは我が輩のシナリオの進行にたいした影響はないんですけどネ♡ ウキウキとした様子で伯爵は紅茶を口に含んだ。
「では、どうなさるんですか?」
「しばらくは様子見でス♡ 人間たちがどこまで足掻けるかも一興ですカラ♡」
「...ではそのように通達しておきます。御用はそれだけですか、マイ・ロード」
僕がお辞儀をして去ろうとすると、その時を待っていたと云わんばかりに白々しい声が上がった。
「ああ、そうそうアレン。身体の調子はどうですカ? しばらく診てないでショウ?♡」
「...特に、どこも悪くはありません」 そう告げるので精一杯だった。かすかに身体が震え始める。ダメだ、と必死に云い聞かせるのに。僕の反応は、彼をただ楽しませるだけだから。
「そう云わずに、今夜は泊まっていきなさイ、」
一晩かけて、 ゆっくりと 可愛がってあげますカラ♡
復唱すると、そうでス♡、と云って千年伯爵はその丸々とした巨体を揺すった。
ご機嫌斜めだなぁ とアレンは長い付き合いのおかげで判るようになってしまった伯爵の機嫌の悪さに溜息をついた。やっかいな事になるかもしれない。
「...それで、何なんですか? その“黒の教団”とか云うのは」
「聞いていませんカ?♡」「聞いたこともないです」
丸眼鏡の奥で伯爵の目が妖しく光った。あなたなら知っているかと思ったんですがネ♡
「なんでもヴァチカンが、ある古代秘蹟を発見したらしく、それに従って設立させたそうなんですヨ♡」
「何か問題になるんですか?」 そう云えば、大有りでスー!!♡ と声を上げられる。
伯爵の声は頭に響く。顔を顰めると、伯爵は僕がようやく話に乗り気になってきたと勘違いして、満足そうに フフ♡ と笑った。
「アレン・ウォーカー、人間たちがアクマを壊すにはどうしたらいいと思いますカ?♡」
...思い当たる節のある僕は、それでもそ知らぬ振りをするために首を横に振った。
「うーん、分かりませんカ。あなたも知ってる物なんですけどネ♡」
まどろっこしい。さっさと云えばいいものを。どうしても僕に当てさせたいらしい。
伯爵のくだらない遊びに付き合うつもりで、僕は数瞬、考えたふりをした後に、ひょっとしてアレのことですか、と呟いた。
「貴方が僕に回収を命じた、イノセンスとかいうやつのことですか」
正解でース!!♡ ぽん、と妙に間の抜けた音が響いて、何処からか紙吹雪まで降ってきた。こういうところにばっかりこだわるんだこの人は。
はぁ と小さく溜息をついた後、それでその黒の教団っていうのが、対アクマのための集団ってわけですか。 と云ってやれば、今度は伯爵の背中に花が咲いた。さすがアレン、賢くて助かりマス♡ なんて云ってくる。下手なお世辞だ。
そんなこと微塵も思ってないくせに。
「でもあれは、ただの物質でしたよ。そりゃ奇怪な現象を起こすものもありましたけど...」
「イノセンスを武器にして使うことができるのは、人間のなかでも限られた者なんでス♡ そのものたちがエクソシストとなって、我が輩の可愛い
「...いいんですか、そんな集団放って置いて」
「勿論、いいわけがありませン♡」 でもまあこれくらいでは我が輩のシナリオの進行にたいした影響はないんですけどネ♡ ウキウキとした様子で伯爵は紅茶を口に含んだ。
「では、どうなさるんですか?」
「しばらくは様子見でス♡ 人間たちがどこまで足掻けるかも一興ですカラ♡」
「...ではそのように通達しておきます。御用はそれだけですか、マイ・ロード」
僕がお辞儀をして去ろうとすると、その時を待っていたと云わんばかりに白々しい声が上がった。
「ああ、そうそうアレン。身体の調子はどうですカ? しばらく診てないでショウ?♡」
「...特に、どこも悪くはありません」 そう告げるので精一杯だった。かすかに身体が震え始める。ダメだ、と必死に云い聞かせるのに。僕の反応は、彼をただ楽しませるだけだから。
「そう云わずに、今夜は泊まっていきなさイ、」
一晩かけて、 ゆっくりと 可愛がってあげますカラ♡
愉快そうに伯爵がけたたましい声をあげるのに、僕はぐらりと意識が揺らぐのを感じた。
(主よ、彼らに永遠の安息を与えたまえ。絶えざる光で彼らを照らしたまえ。)