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その夜、いつも通り4人で夜ご飯を食べ、僕がお茶を淹れた。
そしていつも通り僕がシコウにお茶を渡し、オウウンがキハクの
前にお茶を置く。

その時、突然オウウンがふらつき、キハクの方に倒れ込みそうに
なる。
すると慌てた様にキハクが飛び退き、そしてオウウンは今まで
キハクが座っていた場所に倒れてしまった。
それを見たシコウが黙ってオウウンを抱え上げ、部屋の隅に
寝かせる。

何ですぐにキハクが支えてあげないの?!と言おうとそちらを
見た僕は、一瞬で口を噤んだ。

そこには、オウウンを介抱しているシコウの方を立ち竦んだ様に
見ながら、全身から白いオーラを噴き上げているキハクの姿が
あったから……

仁王立ちで立っているキハクは、ギュッと握った両手をわなわなと
震えさせている。
そして目を瞑って横たわっているオウウンを射抜くように見ていた。
僕はその様子を呆然と見ながら、普段はいつも明るく笑っている
イメージしかないけど、でもやはりこの人も鬼神だったのだと
初めて思った。


「ミツキ、布を濡らして持って来い。」

シコウのその言葉にハッとして、僕は慌てて台所に行った。
僕が固く絞った布を3枚ほど持って部屋に戻ると、シコウが
敷いたのだろう布団に寝かされたオウウンの枕元、手前側に
シコウが座り、向こう側にキハクが座っていた。

僕は急いでシコウの隣に座って布を渡す。
するとシコウが何やら小さい声で呪文のような物を唱えながら
オウウンの顔や手などを拭き始めた。

キハクは黙ってオウウンの顔を見つめている。
先程のオーラこそ治まってはいるもののいまだに張り詰めたような
空気を漂わせ、膝の上に置かれた両手はやはり力を込めて握られた
ままだった。


一通りオウウンの体を拭き終わったシコウはそのまま立ち上がり
キハクの肩をポンと叩いた後、ミツキ行くぞ、と僕の腕を掴む。
慌ててその手に従って立ち上がり、部屋を出て行く間際
少しだけ後ろを振り返る。

そこには相変わらず目を閉じて横たわっているオウウンと、
そのオウウンを、痛々しい目で見下ろしているキハクの姿があった。