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その後の毎日も特に問題なく過ぎた。
ただ少し変わった事がある。

まずはしょっちゅうキハクが遊びに来るようになった事。
ミツキの茶が飲みたい、といつも笑いながらシコウと一緒に
僕の部屋に来るんだ。
キハクの話はすっごく楽しくて、いつも自分の領の鬼達の
事なんかを面白おかしく話してくれる。
でもキハクが来るのは必ずオウウンが一緒にいる時だったから
きっとオウウンに会いに来てるんだと思う。
まぁ、オウウンの態度は以前と変わらず、キハクと会話する事も
なければキハクを見る事もないのだけど。

それから、あんなに一日中一緒にいたオウウンが、今ではあまり
一緒にいない事。
それもどんどんいる時間が減ってきて、今では夜ご飯の準備と、
その後みんなで一緒にご飯を食べて僕の淹れたお茶を飲んで
いる時位しか一緒にいられない。

最初はシコウの仕事を手伝っているのかと思ったんだけど、
どうもそうではないらしい。
何となくオウウンには聞き辛いし、シコウに聞いても
時が経てばわかる、としか言ってくれない。

オウウンがあまり来なくなった代わりに、僕の所には梅園(バイエン)
という名の濃いピンク色の目や髪を持つ鬼が来てくれる様に
なったんだけど、バイエンに聞いても、私にはわかりませんと
困ったように言われただけだった。

別にバイエンが来るのが嫌なわけではない。
とても明るくていい鬼だし、細かい事に気が付いて、よく働いてくれる。
だけど今までずっとオウウンと一緒だっただけに、何だか少し
寂しい感じがした。

最近では毎日のようにキハクが遊びに来るので
僕達は必ず4人分の食事の支度をするようになっている。

そんな時オウウンを横目で見ながら、やっぱりこの人といると
安心できるな、と思う。
とても柔らかい雰囲気で、僕がイライラしたり落ち込んだりしても
いつも励まして元気付けてくれる。
もっともっと前みたいに一緒にいたいと思うのは
僕の我が儘だってわかってるから口にしないけどね。

それにしても、オウウンは最近笑う事が少なくなったように思う。
僕と話をしていても、ふと気が付くとどこか遠くを見ているような
切ない目をしている事が多い。

そしてそんなオウウンを、苦しそうな目で見ているのがキハクだった。

鈍感と言われる僕が見ていてもわかる位、お互いに好き同士なんだと
思うのに、一向に二人の態度は変わらない。
もどかしいと思いながらも、何もしてやれない自分が
とても歯痒かった。