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翌朝、昨夜の行為があまりにも激しくて身動き出来なくなっている
僕の体を、シコウが抱き上げて服を着せてくれる。

丁度その時襖の外から、入ってもよろしいですか、というオウウンの
声が聞こえた。
入れ、と返事をしたシコウの声を聞いて、オウウンが襖を開けて
入ってきた。

……あれ?体がちょっと透けてる……?

と思った瞬間、

「オウウン!!」

というシコウの厳しい声が響いた。
突然のその声に、シコウの膝の上に抱きかかえられていた僕は驚き、
そしてオウウンはハッとしてシコウの顔を見た。
僕が見上げると、シコウは厳しい目をして真っ直ぐにオウウンを
見ていた。
オウウンはシコウの目に視線を合わせ、その一瞬後、いつも通りの
姿に戻った。

……何だったんだろう?

訳がわからずにただ黙ってその光景を見ていた僕は、
思わずシコウの顔を覗き込む。
そんな僕にシコウは反応する事もないまま、気を抜くな、と
オウウンに一言告げる。
そして僕を膝から下ろし、仕事をしてくる、と言って部屋を出て行った。


その後のオウウンはいつも通りだった。
優しく話しかけてきてくれて、朝食を食べ終わった僕に
僕が教えてあげたお茶を出してくれた。

……でも、何故だろうか。

いつもと同じ筈なのに、その桜色の瞳には僕が映っていないように
見える。
シコウは詮索するなって言ってたけど、どうしても気になってしまい、
一つだけオウウンに聞いてみる事にした。

「ねぇ、オウウン」

そう話し掛けると、何ですか、といつも通りに微笑みながら
返してくれる。
その笑顔に背中を押される様に僕は聞いた。

「オウウンは、僕とシコウの事ってどう思ってる?
 男同士だし、人間と鬼神じゃ世界が違い過ぎるし。
 普通なら僕とシコウがこうやって一緒に過ごせたりするのって、
 有り得ないよね?」

オウウンとキハクは、一介の鬼と鬼神。
でも僕とシコウも人間と鬼神だ。
人種が違うという所と、男同士という点では似ている気がしたんだ。
でもシコウから放っておいてやれと言われている以上、
表立って二人の事を口にするのは憚られる。
だから僕とシコウの事として聞いてみた。

まぁ元々聞いてみたい事でもあったんだけどね。

するとオウウンが微笑を浮かべながら答えてくれた。

「例え人種が違ったとしても、
 お互いに思い合えればそれでいいのではないですか?
 シコウ様とミツキ様の間には、確かに色々問題があったのかも
 しれませんが、それを乗り越えて今一緒にいられるのですから、
 それは喜ぶべき事以外の何物でもないと思っておりますよ?」

その笑顔を見て思う。
本当にこの人は僕とシコウの事を誰よりも理解してくれて、
誰よりも応援してくれる人なのだと。

ならば……

「ありがと、オウウン。じゃあさ、キハクの事ってどう思う?」

「……え?……キ…ハク様、ですか?」

うん、と頷いて黙って見つめる僕に少し困った顔をしたオウウン。
ホントはこんな事聞くつもりなかったんだけど、オウウンが僕達を
応援してくれるなら僕だってオウウンを応援してあげたいと思う。
何もわからずこの世界に迷い込んで来た時から、ずっと僕の面倒を
見て来てくれた、僕の大事な大事なオジイチャンだしね。
それに今のオウウンの言葉を聞けば、オウウンとキハクが結ばれない
理由は無いような気がした。

するとオウウンは少し戸惑った後

「……とても素晴らしい方だと思います。
 周りの鬼達をとても大切にされていらっしゃいますし、
 それにあのシコウ様が何をおいても信頼を寄せる方です。
 誠実で明るくて、どんな者もキハク様をお慕いせずには
 いられないでしょうね。」

とふわっと微笑んだ。
その笑顔がすごく綺麗で、オウウンが本当にキハクを好きなのだと
わかる。

……では何故オウウンはキハクにあんな態度を取るのだろう?

でもこれ以上聞くのも何となく躊躇われて、そっか、と言った後
僕は話題を変えた。