| 「……以前、我自身にも我を止められぬ、と言った言葉、 覚えているか?」
 
シコウの手に口付けていた顔を上げ、うん、と頷いてその目を
見詰めた。前は意味がわからなかったけど……
 今、欲望にけぶる炎のようなその瞳を見て、ようやくわかった。
 
僕の事を、清くなければならない巫女だと思っていたシコウが、
『迷惑だ』 と言ってわざわざ僕を遠ざけようとした意味も。 
シコウはあの時から心では僕を求めていてくれていて、
でも止まらなくなる自分が巫女を汚さないように
僕を遠ざけたんだ…… 「一度(ひとたび)暴走すれば、
 相手が壊れても我の欲求を満たすまで止められぬ。
 我と契るとはそういう意味だ。
 ……お前にその覚悟があるか?」
 ……シコウと離れていた時間を思い出す。
 
一度はその思いを諦めようと、スガヤさんと付き合った。穏やかで安心出来る場所だった。
 でもこうやって再びシコウと会い、
僕が求めるのはそんな優しい時間ではなく、
どこまでも追い求め、そしてどこまでも追い求められる、
そんな激しくて強い関係なのだと思い知る。
 
もう1度会えるなら、気持ちを隠してでも、
ただ側にいられればそれでいいと思っていた。でもこうやって気持ちを受け入れてもらえるなら
 
……壊れたっていい…… 
僕はその気持ちを表す為、何度も何度もその手に唇を落とす。そんな僕の耳元に、もう止められぬぞ、と低い声が響き、
僕達は一瞬で紅蓮の炎の様なオーラに包まれた……
 「……んんっ……!」
 
以前よりも更に容赦の無い獅紅(シコウ)は、いきなり胡坐の上に
僕を跨がせ、Tシャツを引き裂いてしまった。そしてそのまま噛み付くようにキスを仕掛け、次から次へと
僕を追い立てる。
 獅紅のキスに応える所か息をつくことも出来ない。
 それでも懸命にその赤い髪に手を差し入れ、必死で首にしがみ付く。
 その間にも獅紅の両手は休む事無く僕の体を弄り、
その手の動きに心臓がバクバクと叫び声を上げていた。
 
……でも、こんなに乱暴なのに、僕に与えられるのは快感のみ。 「……あ…っ」
 
手で引き寄せられてぴったりとつけられた腰に
硬く勃ち上がっている獅紅のモノが擦り付けられ、思わず唇を離して仰け反った。
 そのまま獅紅は僕の首筋にむしゃぶりつく。
 そっと薄目を開けてみると、視界は一面の赤。
 薄暗い部屋の中にいるはずなのに、先程まで見えていた鬼火達も
全く見えない。
 僕は獅紅の首にしがみ付きながら、されるがままに喘ぎ声を上げる。
 床に横たえられ、ハーフパンツもトランクスも剥ぎ取られた。
 恥ずかしがる暇も無く、同じく衣装を脱ぎ捨てた獅紅が全身にキスを
落としていく。
 やがて痛いほど張り詰めている僕自身を口に含み、後ろに指を
這わせて来た。
 「……や…いやっ……」
 
思わずそう呻くと、いきなり獅紅の指が2本僕の後ろに
突き入れられた。 「あぅっ…!」
 
痛くは無かったが、突然のその変な感触に僕の腰が跳ね上がった。するとその指を何度も深くまで挿し入れながら、真っ赤な瞳で
僕を見詰める。
 
「光鬼(ミツキ)、我を拒む事は許さぬぞ……」 
獅紅は僕のモノを口に含みながら指を3本に増やした。 ……もう、ダメ。
 
僕がそう思った時、突然獅紅が僕のモノから口を放して指を抜いた。そしてすかさず僕の両脚を肩に掛け、
先程まで指の入っていた場所に自分のモノを宛がうと
一気に僕を貫いた。
 「ああっ!」
 
獅紅はそのまますごい勢いで抽挿を続け、
僕は目をギュッと閉じたままガクガクと揺す振られる。 
「……光鬼、目を開けて我を見よ……」 
その言葉に薄っすらと目を開ける。 
「……我から目を逸らしてはならぬ」 
まず最初に視界に飛び込んできたのは僕を真っ直ぐ見ている
燃えるような目。僕にまで振りかかる真っ赤な長い髪。
 そしてその頭に生えているのは……あの銀色の角だった……
 
長さ20cm程の捻じれた2本の角。獅紅が動く度にキラキラ光る銀の粉が舞い落ちる。
 
……なんて綺麗…… 
炎の様なオーラと銀の粉に包まれながら、その夜僕は
何度も何度も果てた…… 
 
 
 
       
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