♯24アフター 『愁霖』 (7) 

 こっちを見て、と男が言った。ペニスを咥えたまま、そおっと顔を上げると、シャッター が落ちる音が響いた。とまりの頬に手を添えて、掛かる髪を上げては、それを何度も写真 に収めていく。 「ゆっくり抜いて…、口に出したものをこぼさないようにね……」   言われるままに、唇をすぼめようにしてペニスを引き抜いていく。口腔に、どろりと精 液だけが残されていった。卵の白身のような蛋白質の体液が、舌に絡んでいる。ちゅるり と唇が鳴ってペニスが抜ける時、またシャッター音が響いた。鼻先で精液を蒸らした肉が 揺れ、頬に当たった。 「最初の精液だから大分濃いんじゃないかな…?舌に絡めて、よく味わうんだよ……」  男の言葉を受け、とまりは口内の精液を舌でゆっくりかき回してみた。それは、ねっと りと口の粘膜を覆い、絡みついてくる。ひどく塩気を含んでいて、舌の上で苦味が広がる。 ゆるっとした粘液の中にぷるぷるとしたゼリー状の粒を、舌先に感じられた。口腔から鼻 に漂う、濃密な草むらのような匂いにむせそうになる。  なのに、とまりの心を甘く痺れさせていた。  女を堕しめる汚らわしい体液で感じている自分を、猥褻な雌だと思った。  とまりがくちゅりと舌を鳴らして精液を味わっているのを見て、男は満足気に息を継い だ。 「口を開いて、中を見せてごらん…、こぼさないように気をつけてね……」  すこし顎を上げる様にして、とまりは口内を男に見せた。ややもすると、唾液で量を増 した精液がこぼれそうになる。男はとまりの舌の上にたっぷりと乗った白濁液を鑑賞し、 それもカメラに収めていく。そして指を入れて、とまりの舌と精液を絡めて、ひとしきり 弄んだ。とまりの眉が切なげに歪むのが、男をそそらせた。 「飲みなさい」  最後に、男が命じた。 「ん……、んん、……くっふ……っん、ん……」  その言葉を待って、とまりは自分の唾液と合わさった、男の精液を飲み込んだ。  吐き戻しそうになる拒絶感を押し殺して、一度二度と喉を鳴らした。ねばっこい液が、 喉に絡みながら嚥下されていく。苦味と塩気で喉の奥まで焼かれ、ヒリつく感じ。飲み干 した後もぬるついて、いつまでも粘膜に引っ掛かっているようだった。 ――ん…、んふ、ぁ…ぁぁ   想いも知れぬ満足感だった。舌に唇に、口内の粘膜に残るペニスの感触と精液の味が、 染み付くように消えなかった。青臭い、漂白したような精臭が、胸まで侵して一杯にして いた。 ――もっと…、まだ……あ、あぅぅ………  子宮が熱く蠢いたように感じた。   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *  濡れた表情が、男に向けられる。  とまりの前髪を掻きあげるように撫でながら、男は言った。 「フェラチオしながら、君も感じてただろ?」  感じていた。  答える言葉が、粘る喉に絡んで出ない。 「そのまま、四つん這いになってお尻を上げてて…。濡れているかどうか、確認してあげ るから……」  男の股間にこうべを垂れるように跪き、とまりは唇での奉仕をしていた。  正座するようにそろえていた膝を、命ぜられたように、ゆっくりと立てていく。  とまりの体重が移り、ベッドがきしりと鳴った。  頬をシーツに埋めて、羞恥を堪える。反らした背が震えている。  うつ伏せになってお尻を差し出している姿勢を、男に撮影されていた。ベッドの上を移 動して、色々な角度からとまりの痴態を収めている。背後からのフォーカスに気付き、と まりは頬に火がつくのを感じた。閉じたふとももがぎゅっと強張る。  掲げたお尻を、男が凝視している。尻肉をすぼめて股間の恥部を隠そうとしても無駄な のは分かっていた。息がかかるほどまで、男の顔が近づいてくる。お尻に男の両手が触れ る。熱く大きな掌が尻の双丘を包むように撫でていく。  臀部から腿へ渡る筋肉が、とまりの女の肉を艶やかに張りつめさせている。華奢な骨盤 に納まりきらない媚肉は、はちきれんように丸いカーブを描いていた。外国女性のそれに 近い曲線を、ゆっくりと男の手が撫でまわし、揉みしだいていく。  ひやりと冷たく、掌に吸い付くとまりの尻の感触に、男は惹き込まれていた。なめらか で柔らかい女の肉が、掴む指からつるりとすり抜ける。小柄な身体、薄い背中とはアンバ ランスな程の肉感がある。男は夢中でその肉を感触を味わった。尻の肉に手を吸い取られ、 呑まれていくような一体感に溺れてた。  自身の火に照らされた白蝋のように妖しくぬめるとまりの尻に、たまらず男は唇を吸い 付ける。肉を口内に吸い入れ、舌が柔い肌を舐める。ぞろりと電流が、とまりの骨盤から 腰椎を通って延髄へ抜けていく。鳥肌が走り、背が反り返った。  尻の双丘が、ふっくらとしたを帯びてふとももにつながっている。その尻たぶの丸みと 手触りを男は愉しんでいた。時折、尻の割れ目に指を撫で入れ、肉の柔らかさを味わう。 肛門近くまでいじられ、とまりは指から逃れようと背を丸めた。 「……だめだよ。背中を反らして。もっとお尻を高く、突き出すんだ」  男が、指先で背筋をなぞり上げながら囁いた。 「あぁあっ…………!」  思いかけず、高い声でとまりは鳴いてしまう。高く掲げた尻を、男の手が掴んだ。ふた つの親指で尻の肉を開いて、性器を露出させる。 「足を、開きなさい」  とまりは背後から性器を見られながら、合わせたふとももを弛め、膝を開く。  股間から覗く男からは、とまりのなめらかな腹とその向こうの乳房が見えた。  蟲惑的な眺めだった。  可憐な乳房の先端が尖りきっていた。片手を伸ばしてそれに触れてみると、四つん這い の手足をがくがくと揺らして快感に耐えている。  フェラチオで感じていたのか、潤びた性器は朱鷺色に火照り、ぬらぬらと内股まで濡ら している。陰唇がゆるみ、粘膜に包まれた秘部を晒す。男の指が掻きひらくと処女膜がピ ンクに染まって小さな口をひくつかせていた。  差し出した舌を、処女の部分に近づける。とまりが怯えて、その処女口を縮こませた。 舌先は構う事なく粘膜に触れてきた。唾液と愛液が刹那に交わり、肉襞に舌が合わさる。 「ん、あっあぁ、……ぁ」  くちゅり、と潤湿な音が鳴る。男の舌先が披かれた処女膜をなぞった。内側に溜まった 愛液が溢れ出す。それを掻き出すように舌が膜の間に差し込まれる。 「んんんっ!い、いやぁ……あぁあああっ………」  胎内に入り込むぬるい軟体が、敏感な薄襞に入ってくる。自身の中を舐められる感触に、 とまりは声を上げた。男の口が、性器を覆っている。股間に吐気がこもり、熱い。自身の 熱かも知れなかった。どうしようもなく、淫らに感じている。舌が粘膜を、柔襞をなぞり ねぶる感触に意識が集まっていた。その動きに焦らされ、歓喜している。  処女膜の向こう側までに、舌が入り込む。尖らせた舌先が裏側から膜をくすぐり、こす り上げられているようだった。小さな穴を抉るように動かされると、奥から熱い液が流れ てくる。それを吸われると、膣内の肉襞ごと啜り出されるような感覚に襲われる。  子宮が、収縮するのが分かった。  とまりは男のクンニに、すべてを忘れて尻を差し出していた。 「いい……い、い……ぁあ、もっ…と……んあっっ…!」  お尻の穴に、男の鼻先が触れても気にならなかった。むしろ、会陰や肛門のあたりにそ ういった刺激が伝わるのすら快感を煽った。呼吸されるたびに、匂いを嗅がれているよう に感じて、興奮している自分がいた。  淫乱になってしまった自分を感じて、興奮しているのだ。  男の舌が口が息が熱いのか、自分の肉が熱いのかが分からない。ただ、男と女の肉が溶 け合って、その境界がなくなっていく。 「ああっ、ああぁ…!いい…!きもち、いいぃ……!」  四つん這いで、男に尻を広げられ、弄られている。  とまりの脳裏から、雨の向こう側はの景色は消え去っていた。  閉じた瞳には、なにも映っていない。  何も見えない世界で、自分のものらしい肉体に与えられる悦楽だけが、今のとまりのす べてだった。  初めての性を、誰かに捧げる不安さえ感じていなかった。何を誰に捧げるのかは、忘れ ていた。 「ああ、だめ…、だめ…いぃ……、もっとぉ…ああっ、……ああっ!んああ……!」  紅潮した肌が、より刺激的な肉の感触を求める。身体が勝手に尻を振っては、快感に強 弱をつけて愉しんでいる。クリトリスを、陰唇を弄ぶ指に合わせるように腰が沈む。恥ず かしいはずの肛門すら、揉みほぐされ潤び、ゆるんでいく。熱い吐息を浴びると、ひくひ くと蠢いては責めを誘ってしまう。性器を舐める舌がそこに移ってくると、歓喜するよう にきゅうっと舌先を食い締めた。  下腹部の奥が熱い。骨盤の芯が抜け落ちていきそうだった。  性器の奥が、疼いてどうしようもなかった。   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *  とまりの身体は、男を受け入れる状態になっていた。  とまりに覆い被さるようにのしかかってくる身体。お尻に、熱く強張ったペニスが触れ る。耳たぶを甘く噛まれて、震え上がるとまりに男は囁く。 「このまま、入れる…かい?」  その言葉に刺激されたように、とまりの身体がびくりと跳ねた。 ――いれられちゃうんだ………  性交。  今、自分がしている行為。  これから、性器に男のものを受け入れるのだった。 ――どうなっちゃうん、だろう………?  霞んだ思考は何も思いつかなかった。  どうしようもない。とまりはここで、純潔を失う。処女でなくなる。  この男によって処女膜を破瓜され、初めてのペニスの感触を、性器すべてで味わうこと になるのだ。  それだけのことだった。    何が、どうという思いは浮かばなかった。  この肉の疼きをどうにかして欲しかった。  尻やふとももに感じる、この熱く硬い肉茎がとまりの疼きを掻き回して無茶苦茶にして くれるなら、そうして欲しい。  入れて欲しいと、停止した思考の奥で思った。 「……い、れて」  継ぎ、途切れるようなとまりの声が、男の耳に届いたはずだった。  被さるようにとまりの背に肌を重ねたまま、背後から男は首筋に顔を沈め、呟くように 囁きかけた。 「セックスは、……何人と、した………?」  寧泥に沈んだ心が揺れた。 「……お、おぼえて、ない…です」  嘘を、答えた。  初めて、と言わなかった。言えなかった。 「どんな相手と…?」  男は静かな声で問い掛けてくる。 「か、かれし、とか、…です」  自分がどんな声で答えているのか、よく分からなかった。掠れているように思えた。 「とか…?何度かは、彼氏以外の男の子にさせてあげたの…?」  追求の言葉に、はい……と肯定した。  彼氏以外の、という言葉にとまりの胸はきゅっと傷んだ。 「…そう」  それ以上は訊かれない。男は背後からとまりに被さって動かない。  突き出した尻に男の下腹部が押し当てられている。剛直したような肉茎がとまりの内腿 の柔肌に触れていて、拍子に動いたりもした。  そのままの、時が流れる。暗闇しか知覚できない頭には、刹那も永遠と変わらないよう に感じた。緊張と興奮で焦らされた身体が苦しい。呼吸がうまく出来ない。絶え絶えの息 の間にとまりはいた。  脳裏に去来しそうになるものを必死で押し潰し、かすれ声を絞りだす。 「もう…、おねがい…、だから…、このままで…いい、から……」  哀願に近かった。胸が締め付けられるように苦しい。  これ以上は耐えられそうになかった。  嗚咽に変わる前に、すべてを奪って欲しかった。 「……わかった」  小さく答えると男は身を起こしていった。上半身をベッドに突っ伏したままのとまりの 腰に手を回す。持ち上げるように尻の高さを上げさせる。頼りなげにふらつくとまりの膝 を立たせ、尻たぶに両手をかけて肉をゆっくり広げた。 ――ひっ…   性器にペニスの先端が当たった。  溢れかえった愛液は大陰唇をこぼれ、内股をべっとり濡らしている。充血した小陰唇は つるんと張って膣口のひくつきに合わせて蠢いてしまう。そこに、男の熱しきった性器が 触れていた。  赤黒く脹れあがった亀頭は、開いた雁を反り上げて猛っていた。先端の割れ目からは先 走る汁をこぼし、裏スジからミミズのように血管を浮き上げらせた竿の腹側を、ぬめ光ら せている。時折、竿が痙攣するように動いて、睾丸を引き攣るように揺らした。  とまりの目に、その異容が見えないのは幸いであろう。闇の中で、自身を貫こうとする 肉の感触に怯えるだけで済んでいるのだった。 「写真、どうする…?」  男が、頭から消えて去っていた依頼を持ち出してきた。 ――しゃ、しん……なんのための、しゃしん……… 『はずむ……』  言葉だけが浮かび上がってくる。ゆらゆらと意識の浅瀬を漂っている。 ――あたしを、み、て………  それは、闇色の波間にぼやけて揺らいだ。 ――あたしだけ、み…て……  いつのまにか、それはかすれ遠ざかって往った。 ――どっか…に、いか、ないで…、よぉ………  とまりは闇の中でひとり、膝を突いていた。  自分がどこにいるのか分からない。  胸を掻き破ってしまいたい。じりじりと焼かれるように身体の奥が熱く、苦しかった。  溢れそうになる慟哭を、堪えきれそうになかった。 「…………お、ねが、い…です」  搾り出されたとまりの言葉が、男に伝わったかどうか分からなかった。  ただ、耳朶に響く音と、それに続く下半身の動きを感じた。  晒された性器を、さらに指が割り開く。剥き出しにされた膣口に、丸みを持った熱い 肉が触れてきた。ぬちゅっと音を立てて、亀頭がとまりの処女口に当たる。ぬるつく粘膜 に亀頭の熱が伝えられる。自分を貫くペニスの熱さに背筋が震えた。  とまりは奥歯を噛み締めて、この後の行為に耐えようとしていた。  男が、尻たぶを開いてとまりの性器を露出させ、挿入の角度を合わせている。亀頭が濡 れた膣口の粘膜と触れる度に、ぬちゅり、くちゅりと湿ったを響かせる。その刺激の度に、 ああ、と声が洩れる。  男は手でペニスの根元を支えて、とまりの濡れそぼった小さな口に亀頭の先を合わせ、 少し潜らせた。薄い皮をはちきれんばかりに膨らせた亀頭で、とまりの処女の入り口をほ ぐすように捏ね繰る。ショッキングピンクに染まった処女膜が縦に横に曳き弄られる。  破瓜への怯えを焦らされながら、とまりは亀頭の愛撫に性器の奥が熱くたぎらされてい く。じわりと、膣内から愛液を溢れさせてしまう。恥ずかしいという感情は、もうなかっ た。その時の訪れを待つ手が、シーツを握り締めさせている。  男は、指先と亀頭でとまりの粘膜を披き、解し、快感で緩ませながら、その向こう側へ 肉を侵入させようとする。指で閉じた粘膜を引き伸ばし、亀頭の先を潜り込ませる。  びちっと性器の肉を曳かれるような痛みとともに、熱い肉がとまりの胎内に食い込んで いく。とまりも男も、亀頭が膣口の内へ入ったのを感じた。  熱い塊を中心に、性器が、粘膜の襞が引き攣れるような感覚だった。  男はそのまま奥に挿入せず、亀頭を包むとまりの肉の温度を味わいつつ、ペニスを少し 引いてみた。 「痛っ…!」  とまりが小さく悲鳴を上げた。男はカリに肉襞が引っ掛かるのを感じて、止める。  ほぐされた処女膜は、未だ破瓜されていなかった。亀頭の挿入を許し、窄まった雁首の 部分を食い締めている。男がペニスを引くと、反り返った亀頭の傘部が返しの様にとまり の処女膜を内から裂いてしまうだろう。  男は両手でとまりの尻たぶを一杯に開いて、その性器に飲み込まれているペニスを見て 興奮の極致にあった。膣内に挿入されつつあるペニスは、とまりの身体が引き攣る度に膣 口で食い締められ、内で肉襞が蠢くの味わっていた。  とまりは身体を強張らせている。性器に男の肉が入っているのが分かる。熱い。身をよ じると引き攣れるような痛みが走り、動けないでいた。  ペニスが奥に向かって、ゆっくり動き始める。 頭が白くなるような痛みに、とまりは 唇を噛んで耐えた。熱い肉茎がじわじわと侵入してくる。ペニスの肉竿を飲み込まされる 性器が、みちみちと音をたてるようだった。挿入に合わせて薄い肉が、粘膜が限界まで曳 き伸ばされていく。  男が、ゆっくり腰を送った。 「痛いッ!」  みちっと、肉が裂ける感覚。そして激痛がとまりの身体を突き抜ける。  処女膜が引き裂かれ、ぞろりと熱い肉が胎内に収まっていく。  「あぅっ!…い、痛い……痛ぁ……ぁぁ!」  挿入の痛みから逃れようとする腰を、男の手ががっしり掴んで放さない。逆に挿入を完 了させようと奥へと入ってくる。  性器が破瓜の痛みで白熱していく。なのに背筋にはペニスが挿入されていく感触までも、 まざまざと伝わってくる。とまりは両手でシーツをマットレスごと掴み締めて堪えていた。  涙が滲む。灼熱に焼かれるような股間から、下腹部の最奥までそれは挿入されて止まっ た。  男は挿入したペニスで、とまりの体温と肉のぬめりを感じていた。  細い腰を掴み、固定する。  ゆっくりとペニスを引き抜いていく。 「つうぅっ…!あくぅぅ……!」   その抉られる痛みに、きゅうっととまりの膣が締る。破られた膜のあたりで亀頭を止め、 再び膣奥へ潜り込ませていく。ざわりと蠢く肉襞の感触を愉しみながら男はゆっくりとペ ニスを抜き差ししていく。  貫かれる痛みに、とまりは歯を食いしばって耐えようとしていた。それでも苦鳴がこぼ れて出る。  熱く硬い男の性器が、自分の胎内をゆっくりと味わっている。尻たぶを揉みしだく動き に合わせて、肉襞をこそげ取るようにペニスが引き抜かれ、子宮まで抉るように挿入され ていく。 「あうっ…!くぅっ、いたっ……んあっっ……くうぅぅ、ぁっ!」  狭隘な膣が掻き分けられ、最深部に亀頭が届いた。それまでの愛撫で下りつつあった子 宮が、その亀頭に、ぐうっと押しつけられていく。膣奥から、内臓を揺すられるような感 触が喉元まで迫ってくるようだった。 「んくううぅ…く、はぁ……っ、んぁぅぅ、ぅ………い、やぁ」  嗚咽に似た息が、胸から絞りだされた。  男は亀頭に感じる、こりっとした子宮の感触を愉しむように腰を動かす。 「ひぃ、やぁっ!?う、いたっ!、あぁ……や、めぇ…い、たいっ……!」  弾力のある亀頭が、まだ未熟な子宮を突き、嬲っていく。膣奥の肉に逃れようと収縮す る子宮を、生き物のように探り当て、くりくりと弄んだ。  裂けた処女膜の襞が、ペニスの根元でこねくられて激痛を感じる。 「そん、な、おくすぎ、るぅ…こわい……いたい、よぉ…こわれちゃう……あ、くぅぅ…」   とまりの懇願に、涙が混じる。痛みと恐怖で、背筋が強張る。シーツを顔の前に掻き抱 いて、必死に耐え偲んでいた。  その様子に気付いたのか、男は子宮を嬲るのを止め、じわりとペニスを引き抜いていく。 反り返った亀頭の傘が、逆しまにとまりの膣壁をこすり舐める。もう裂けてしまった処女 膜あたりまで亀頭を抜くと、またゆっくりと挿入していく。とまりの肉襞の感触をじっく り味わいつつ、ペニスを膣に沈める。時折震えるように、きゅうっと収縮する膣の締りが 男の腰から下を蕩かしていた。  …にちゅ、にちゅっ…、ぬちゅ…くちゅり……くちゅ…、くちゅ……  破瓜の苦痛から逃れようとするとまりの細い腰を、男は掴み、許さなかった。  挿入される度に、抱えられた尻肉に男の腰が当たった。陰嚢が振り子のように揺れては、 とまりのクリトリスに触れてくる。苦痛の中の、陰猥な感触にとまりは興奮させられてし まう。  溢れさせていた愛液が、膣内で破瓜の出血に交じり合い、ペニスの抜き差しの度に掻き 出されていく。  とまりの処女の証が、内股をつっっと流れ、膝元のシーツにこぼれた。  緩慢だった男の腰の動きは、とまりの肉がもたらす快感に溺れるように早くなっていく。 とまりは、頭を蕩かす快感中枢の興奮と、破瓜の痛みで、意識が途切れそうになっていた。  性器が熱かった。男のペニスか、裂かれた膜が炎症してるせいか分からない。ただ焼け るように熱い。痺れているようにも思える。  破瓜の疼痛は止まない。男が腰を使う度に裂かれる痛みが股間から背筋へ抜ける。 「あっ…、あっ…、あぅ…ん、くぁっ…!つ…、あぁっ……!んあ………!」  男の責めに、とまりの啜り上げるように声を漏らす。  ぢゅ…、ぢゅっっ…ぢゅちゅっ…、ちゅるっ…みゅちっ……、くちゅ…ぢゅっ……  長い肉茎に血と膣液が絡みあい、とまりの股間で瑞音が立つ。  とまりの耳には、自分の立てている悲痛な音が聞こえていた。  喪失の痛みも、たっぷりと責めほぐされた女の身体はゆっくり疼痛に変えていく。  胎内に滲み溜まっていたとまりの愛液は、奥から溢れては破瓜の傷を粘液でくるみ、初 めてのペニスの摩擦に馴染ませている。痛みと怯えが、挿入される男性器を引き攣るよう に締めつけた。  引き抜きかける亀頭を肉襞がざわりと弄り、男は会陰の奥からこみ上げてくる射精の衝 動を堪える。精が洩れる前に快感から逃れようと腰を引く。ぢゅるっっ…と硬い肉茎を抜 かれていく。 「ひぅっ!?んぁっ……」  引き攣ってペニスに絡まった肉襞ごと引き出されそうな感覚に襲われたのち、とまりの 性器は一刻、肉への責めから解放された。  男はとまりの腰骨の当たりを掴んだ手で、とまりに尻を横たえるように示す。促がされ るまでも無く、もうひとりで膝が立たなかった。ぺたりとベッドに横臥したとまりの片膝 を男はゆっくり開かせ、仰向けにさせた。 「い、ゃ……」  弱々しく、言葉で拒んでも無駄なのだ。  大きく足を広げさせられてしまう。両の掌で、目隠しされた顔を覆い隠すしか、とまり にはできなかった。  男がとまりの性器を見ている。見えなくとも分かった。 「お願い、見ないで……」  破瓜の血に濡れた秘部を曝されているのが、耐え様も無い恥辱だった。内腿につたい落 ちた鮮血も感じていた。シーツを染めてしまったに違いない。  初めてのセックスでないと、男に思われていたかった。  男の愛撫によがり、フェラチオもこなし、精液を飲んだことも、初めての行為と知られ たくなかった。  処女の身で男を誘った事が、この上なく滑稽で無様な事と思われているに違いない。  舌を噛み千切りたい衝動が沸き起こる。蛙のように足を開かされているのも哀しかった。  男はとまりの身体に、己の身をゆっくり重ねてくる。膝のあたりから抱え込むように、 広げさせた腿の間に身体を入れる。下腹同士が合わさりとまりがびくりと身を震わせる。  と、大きな手がとまりの背に回された。胸の裏側に、熱い体温が伝わってくる。男の腕 にゆっくりと力が込められていく。とまりは男の重みを感じながら、その胸に抱きしめら れているのを知った。  少し泳いだ手が、男の広い背中を掻き抱いた。

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