♯24アフター 『愁霖』 (6) 

「いい……!気持ち、いいのお……きも、ち、いい、のっっ……んああっ………!」  男はしがみつくとまりに身を預け、そのまま仰向けに横たわっていく。  とまりは促がされるまま、はだけたバスローブから腕を抜きとる。汗で濡れたそれを男 はベッドの外へ投げ落とした。とまりは全裸になり、夢中でその肌を男の肉に合せた。  顔の上でとまりの乳房が柔らかくつぶれる。男は、その柔肉の感触を頬で存分に味わう。  ざらつく髭の感触すら、とまりには快感だった。  それが乳首に触れると、いいようの無い刺激が乳腺を昂ぶらせていく。ゆるやかだった 乳肉の肌がふくらみ、ぷるりと張り切っていた。  男の腹の上に跨るよに乗りかかったとまりの身体を、熱い手が撫で下る。  なでやかな背中を、しなやかな腰をゆっくりと手のひらが這う。  尻の双丘をつるりと指先が這い歩く。薄い皮膚の感触を愉しむようなかすかな動きが沸 き立った肉体に染みていく。肌が敏感になっている。目が見えないことが、そうした微妙 な刺激を膨れ上がらせているのにとまりは気付いていた。  次に何をされるのか、ドキドキして期待している自分を感じる。淫らな期待が、とまり を雌に変えてしまっていた。  刹那の後を想像させる、その緩やかさが、理性を塗りつぶしていく。 「ん…ふ、ぁ………ああ………」  とまりは暖かくゆるやかな心地良さに変わった快感に、蕩けたように小さく息を洩らし てしまう。お尻を包まれるように撫でられると、腰を突きだしてしまいそうになる。  鍛えられた筋肉が女の柔肉を纏っている、とまりの尻だった。薄い肌が肉のせめぎで、 しっとりと張りつめている。ふとももから尻肉のふくらみにかけてのラインが素晴らしかっ た。内腿の手触りを、お尻の割れ目を、ボトムラインを指先で味わい尽くすかのように何 度もなぞりあげると、とまりは仰け反るように悶えた。  男はとり憑かれたようにとまりの尻を、ふとももを弄んでいる。  立てた指先が、薄い内腿やお尻の肌に体温を伝える。触れただけのそれが曲線をなぞり、 円を描いて滑る。それだけで腰の奥が熱くたぎらされた。とろりと、あふれたものがクリ トリスの脇を伝う。思わず尻を突き上げて逃れようとしたが、恥丘のしげみに空しく吸わ れてしまった。  何本もの指が、とまりの尻の肉をすくう。尻の割れ目をなぞる。ふとももへ繋がる肉の ふくらみを熱い手のひらで包んでねっちりと揉みこまれる。尻から内腿へ手がのばされる と、性器に溜まりきった愛液が流れ落ちていった。  お尻をかかげるように突っ伏していたとまりは、疼き悶えるような快感に鳥肌を立てた。 小刻みに震えながら、遡ってくる悦楽を感じていた。 「あぁ、んぁぁ…、ああ…、ああ……、いい…、いい……の………ぉ……」  とまりは、胸の下の男の顔を力一杯、抱きしめた。窒息させてしまおうとすら思った。  自分のお尻が、こんな快感を生む場所だなんて知らなかった。性器に変わったように感 じる。その性器も、すでに熱く蕩けていた。腿を伝うほど濡れてきている。膣の奥がたぎっ てくる感覚に襲われていた。 「もっと……あぁ、もっと……し…てぇ………」  もどかしくて、とまりは知らずお尻を振った。  とまりの昂ぶりに合せて、男のペニスも硬直していた。   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *  抱きついてくる小さな身体は、責めを休めるとくったりと緊張を解いた。  顔に巻きつく腕をほどいて、深く呼吸をする。手は少女の背中や腰をゆっくりと撫でて やっていた。汗ばんだ胸がじっとりと湿って男の顔を蒸らす。  荒い息の少女を促がし上体を起こさせると、紅潮した頬は相変わらず淡色の髪を絡みつ かせている。先程存分に堪能した唇は、薄く開いたまま涎で濡れていた。  責めのさなかにあったせいで、まだ桃源を彷徨っている様子だった。 「聞こえてる…?」  聞かれてとまりはこっくりと頷いた。 「責められて、……気持ちよかった?」 「は、…い……」 「どこが、良かったのか聞かせて…?」 「……ぜん、ぶ、きもち…いいです……」 「今はどこを責められて感じてた?」 「……お、しり」 「さわられて、どうだったの?」 「……ぞくぞくって、して」 「感じた……?」 「……はい」 「濡れてた?」 「……はい」 「どこが、濡れたのか言って…?」 「…お、ま…んこです」 「…おまんこを濡らすなんて、君はいやらしい子だね?」 「はい……あたしはいやらしい子です………」  何を問われても、とろりとした声をまろび出る。性への媚を纏っていた。  とまりは自分の言葉に興奮していた。  胸が切なかった。口元がしどけなく緩んで、吐息がこぼれてしまう。 ――男を、欲しがって…いるんだ……  気付いてしまったから、心までが最後の堰を切っていく。心の底まで雌に染まってしま うのに身体が震えていた。 「僕のも、気持ちよくさせてくれるね」  とまりは男の言葉をすこしだけ噛み締めた。 「……どうすれば、…気持ちいいの?」  無言で、男の手がとまりの利き手を導いた。  男はそれをふとももに置き、内腿にすべらせつつ股間の方に誘導していく。  目隠しされていても、その先にあるものは想像できる。  とまりは何をさせられるかを想い、興奮してた。  やがて、ざらりとした剛毛が手をくすぐる。男の股間も体温で蒸れていた。その中の、 ぶにょりとした肉の塊に、とうとう指先が当たった。陰嚢に違いなかった。男の手が、そ れを手のひらで触るように指示する。とまりは恐る恐るその肉を手にした。 ――これが……た、ま…? 「何か、分かる…?」 「タ、マ……」  とまりはぼんやりと、そのままを口にした。 「ふふ…、そう、タマでいいよ。キンタマとかは、女の子が言っても可愛くないからね」  手のひらにぼってりと乗った男の袋は、思っていたよりもふよふよした感じの皮ででき ていた。腫れぼったく重みのある肉の玉のようなものが、その中を泳いでいるみたいに感 じた。 「ゆっくり、やさしく触って」  男の囁きを聞き、とまりはそれをすこし握ってみた。体温よりぬるい感じがする袋は、 指の間から余った皮を垂らした。手の中でふたつの塊が揺れ、すべった。ゆっくりと指を 閉じ、それを捕らえてみると、うずらの卵より大きなものであることが分かった。 ――結構、おおきいものなんだ…。中を、ぷりっと動いてく……  自分に無い器官を、目隠しのまま触れたことで羞恥よりも好奇心が増した。  陰嚢と、中の睾丸を指と手のひらの上で転がし、揉み上げてみると、男の吐息が甘く 変わった。 ――きもち、いいんだ……  ゆっくりと手のひらで揺すり、指で掬うようにいらう。袋の中をつるりと睾丸が動く。 指で壊れもののように摘もうとしたが、男が痛がったのでやめた。代わりにあやすように 指先でゆるゆるとくすぐってみると、男が小さく喘いだのが分かった。  男の急所であることくらいは知っているが、性感帯なのだとは思っていなかった。それ よりも、男の息が切ない風に色を変えているのに、心が躍るような自分がいるのにとまり は気付いていた。男の反応を探りながら鼓動が高鳴った。  待ち切れないように、男の手がとまりの手を先に急かした。睾丸を弄う手をそのまま上 へ追い立てていく。目の見えないとまりにも、その先のものは分かっていた。 「これが何か言って……?」  手の中に、それが触れた。 「お……、おちん、ちん……です」  それは自分にあるどの部分よりも、熱く、硬い肉の器官だった。とまり手の中で、それ はびくりびくりと蠢いた。胸がぎゅっと狭まるような驚きを感じて思わず引きかけた手を、 男の手が止めた。それは、もっと感触を味わうように命じていた。  張りつめた皮と、そのすぐ下を血管らしき管が幾本も浮き出ている手触りがある。それ らをまとう様に、硬く熱い肉芯を反らしている。その先端は丸みを持って、本当に肉厚の 茸のような形をしている。それに指先を這わすと、ぬるりと濡れた先端には、尿道口らし い小さな割れ目があり、その裏側へ続くように筋皮が引かれ、伸びていた。  目を閉じたとまりには、まるで想像できない形だった。記憶にある、父親や弟のそれと は明らかに違うものだった。  手触りから想像するには、とまりの体のどの部分ともかけ離れた器官だった。自分が触 れられる身体の肉の、どこよりも硬く、熱かった。時折生き物のように蠢くそれに、とま りは少し怯まされる。  男の顔がとまりの耳にすり寄り、つぶやく。 「何に使うところか、言ってみて」  男は、とまりを言葉責めにするつもりだった。それと知って、とまりは応じていた。 「…おしっこ、するところ」  男は鼻で微笑んだ。 「正解…。だけど、もうひとつあるんだよ?保健体育でも習ったよね…?」 「…セックスに、使うの」  言葉あそびだった。 「どんなふうに使うのか、聞かせて欲しいな…」  男が何を言わせたいのか、知っている。 「女のあそこに、入れるの…」 「あそこって、どこに?」 「お…、お、ま…んこ……に………」 「入れて、どうするの…?」 「中で動かす…の……?」 「そうだよ。おまんこの中で一杯動かして、女の子をいやらしくさせてしまうんだ……」  男が甘く淫靡に耳元で囁く。とまりの背がぞくりと肌が粟立つ。 「ぁ…ぁ……」  淫らに変わっていく自分の痴態が脳裏をよぎる。 「中で一杯動かされた最後は、どうなっちゃうのかな…?」  想像してしまったことを、口にしたかった。 「せい、えき…だされ、ちゃう…の……」  顔が熱い。恥ずかしいだけではない。いやらしいことをされて、いやらしく変わってし まう自分を想像して昂ぶっている。  そんなふうにされたいと思っている雌の自分を自覚して、愛液が湧いていた。 「そういうふうに、されたいんだね?」  とろりと溢れたものが、内股を伝った。 「は、い……」  自分は、もうすでに雌になったのだと思った。男の性に蹂躙されたかった。 「その前に、僕のものを可愛がってくれるかい…?」  手の中のペニスがひくついている。ひどく熱い。薄い皮がぱんぱんに張り切っている。  それを、ゆっくりと包むように握り締める。形容し難い硬さだった。握ったまま上下 にしごくと、表皮が肉茎を被せるようにずれ動く。ペニスの皮を、亀頭の雁に被るまで引 き上げ、竿の根元まで引き下ろす。やさしく握りこんだ手で、何度もそれを往復させてや る。 「んん……、うぅ………ん………」  その刺激に男が深く嘆息し、堪えられないかのようにとまりの首を抱いた。それが嬉し くてペニスへの愛撫を繰り返す。直に、亀頭を指の間にくぐらせるようにしごくと男の反 応がよいのを知った。もっと性感帯を見つけて、男をよがり狂わせてやりたいかった。昏 い炎がとまりの胸で揺れた。  指先でペニスの鈴口をくすぐり、裏筋に触れる。ねっとりとした分泌液で濡れていた。 それを指の腹でのばし、ぬり広げてやる。滑りやすくなった亀頭を指でこねるように嬲っ てやると、男は切な気な息を吐いた。  遊んでいた左手を玉袋に伸ばし、緊張で凝り縮んでいるそれを揉みほぐしてみる。右手 の親指と人差指でつくった輪の中に、ぬるついている雁首を潜らせて男の皮ごと亀頭をし ごいてみると、ペニスがびくびくと痙攣した。手の中の陰嚢がふくらみ、睾丸が蠢いた。 ――もっと感じさせてやる  自分の肉体がされたことへ復讐してやろうと思った。  男自身のこぼしたカウパー腺液が、とまりの手をぬるぬるに濡らしている。ペニスがひ くつくのを掌に感じる度に、とまりの心も淫らな悦びで濡れていった。   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *  とまりは前屈みになって両手を男の股間に差し入れ、ペニスを愛撫していた。  お尻をシーツの上に落とし、膝を開いて女座りになっている。股間が熱かった。男のも のを弄りながら、身体が昂ぶっていく。膣奥から滲みでてくるものを感じた。ほとびて開 いた性器が、シーツを濡らしているのが分かった。  男の手が小さな頭に乗せられている。とまりの指が亀頭の微妙な部分を刺激すると、そ の手が髪を掴み、力んだ。  たまらなくなった男は言った。 「…フェラチオって、知ってるよね?」  フェラチオ、という言葉の響きが淫靡にとまりの耳をくすぐった。紅潮した頬で、男を 仰ぐ。 「はい……」  口で、舌で、ペニスに奉仕するのだ。  できるよね、と男が訊く。 「そんな、の……どうすれば、いい…か……」  とまりの喉に、ねばい唾液が絡んだ。  手にしている、男の性器を口に含み、舌で舐る。  薄っすらと、そのうち求められるに違いないと思っていた。手にしたペニスが一段と硬 く熱く張りつめていく感触があった。とまりの唇を潜る歓喜に震えるようにひくついた。  クラスメイトで、女の子同士の話題にセックスについてが挙がる事はあまりなかった。 少なくとも、とまりの周辺にはいなかった。だけど部活の子たちは、また違った。男の子 との経験をあけすけに口にし、具体的な性交の話をしては嬌声を上げて騒いでいた。当然 とまりはそんな話題には加われず、何気に聞き耳を立てては照れていたたまれなくなって は理由をつけては中座していた。赤くなった顔を見られては、せんぱいカワイー!などと 囃されたものだった。うぶなとまりは、彼女らにからかわれていたのかも知れなかった。  そんなとまりではあったが、年頃の少女なりの、性への好奇心はあった。  背伸びして覗く女性誌には大抵、刺激的な見出しが躍っている。部の子たちが話題にし ていたような事は、そうした媒介で補完されていくのだった。  はずむへの想いが煮詰まると、妄想の中で指が動いてしまう。  以前も今も、その時のはずむは、男の子だった。いつも自分ははずむに責められる立場 だった。  それでも、その妄想のセックスは、身体を、肌を合せるイメージでしかなかった。はず むと身体を重ねて、肌の感触と温もりを分かち合う。いつのまにか越された背丈と、意外 としっかりと厚い胸に身を預け、痺れるような快感に浸った。自分の上にあるはずむの身 体が、とまりを感じさせている。それ以上に、はずむの肉体を想像したりはしなかった。  そんなふうに、ふたり寄りそう事がセックスの快感だと思っていた。  現実は、違った。  火照り濡れた肌で、熱く濡れた肉を感じ合う事しかなかった。  理も知も、感情も想いもなく、ただの悦楽のために相手の肉体があった。  差し出しさえすれば、心だって性の饗宴にくべる供物であった。  愛しい人も、その焦がれる想いすらも背徳の熾き火となって、じりじりと雌性を炙る。  性への恥じらいも畏れも棄て去るなら、女にとってセックスは魔そのものかもしれない。  現に、初めての行為を、セックスを悦楽として受け入れ、求めている自分がいた。  今、相手への思慕も恋愛も無い。初めて会った異性に肌を見せ、触らせ、性器を受け入 れる。代償は自分の女の肉体が秘めた、性の快楽だった。  とまりは、その虜なっていく自分を受け入れていた。戻れる場所は脳裏から無くなって いた。  とまりの処女性を、心から捧げようとしていた異性はもういなかった。  今は手の中の相手の性器を、自分のおんなが弄ぶのを想像している。 ――おちん、ちんを……、あたしの口で、感じさせる…んだ……  どうすればいいかなんて知らなくても、できることだった。  手の中の肉茎をどう弄ると、男が感じ、悶えるかを思うと、とまりの口内で唾液が湧き 出してきた。  手の中のペニスを弄びながら、それを口一杯にほおばり、口中に感じたいと思っていた。 「まず、舌を出して…。根元から、先までをじっくりと味わいながら舐めるんだ……」  男の言葉に、心が痺れていく。   言われるままに唇を開き、舌を突き出すように伸ばす。視覚を奪われているせいで距離 感が分からない。伸ばした舌で空間を探るように、手にしているペニスに口元を近づけて いく。鼻が、男の臭気を吸う。ペニスの匂いなのだろう。烏賊の乾物とゆで卵を混ぜたよ うな匂いだった。不快さはなかった。むしろ、じわりと脳髄を痺れ、胸が熱くなる性臭だっ た。 ――んんっ……ん、ふ……んっ……ぁああ………  女を淫らにさせる匂いを、とまりは知った。  握った指の当たりで、舌先がペニスに触れた。そのまま舌全体を肉茎に這わしていく。  頬に、熱い亀頭が当たった。 「ん…あぁぁ……」  ペニスの感触に思わず嘆息が洩れる。  舌を、ペニスの裏側に沿って舐め上げていく。思うより長く、太い。裏筋に届いた舌先 を尖らせて張り出した雁の裏をくすぐると、男がうめいた。 ――ここが、感じるんだ……  猥褻な発見に興奮する。  男の竿部に唇を横咥えするように添わして、舌をねっとりと這わす。ペニスの温度が舌 に伝わってくる。ペニスを握っっていた指が、あふれた唾液でべっとりと濡れていた。舌 を離さないで、すこし手を動かしてみるとにゅるりと皮が滑り、硬い肉幹をなめらかにし ごけた。 「んん…ッ、ぁ………」  男が艶っぽくうめいた。それが耳に届くと、とまりも熱くなっていく。  裏筋を尖らした舌先でくすぐり、亀頭の雁裏を抉るように舐め、回す。唾液とは違う粘 液を舌に感じる。鈴口からこぼれ落ちてくるカウパー腺液だった。ねっとりと薄く少し苦 味を残していた。  とまりは、ペニスが先走らせた体液に、精液を想像していた。  女に向けられた、男の性欲のすべて。それを出すために女の身体は存在しているのだろ う。 ――男と女って、それだけだ……  とまりの責めが、男の性感を高潮させている。唾液で濡れた舌を這わし、指で亀頭を弄 ると、手のひらの中の陰嚢が引き攣るように震えるのを感じる。その反応にとまりの性器 が熱く濡れる。  そのペニスがもたらす快楽を、身体中が期待していた。  女の恥じらいも、想い人への愛慕も棄てて、ただ性だけに身を投じたとまりだった。  処女の肉であっても、それは変わらなかった。  男に命じられる前に、とまりはそれを口内に含んだ。  硬い。そして熱い。何度感じても胸が高鳴る。とまりの口内一杯に感じている男性器は、 張りつめて、脹れきっていた。じゅるりと唾液ごとすすると、口の中で動いた。 「ん…、ふ……ぅ……」  それがどちらがこぼした息なのか判らなかった。  ペニスの根元を手で押さえつつ、唇で竿をしごく様に動かす。絡めた舌がじゅるっと音 を立てて、唾液を卑猥に鳴らす。喉の間際まで亀頭を呑み込んで口をすぼめ、吸い上げる。 舌でペニスの腹側をまさぐってみると、男はこらえられず喘いだ。気持ちいいよ…とうわ ごとのように呟いていた。 ――あたしの口が、感じさせてるんだ  這わす舌に神経が注がれている。潤滑油となった唾液が、口内でじゅるりと音を立てる。 「…んっんんっ…、んはぁっ……んむ……ん……んぁぁ……」  息を詰めてペニスに奉仕する。息を継ぐ時、自分の息が淫らに匂うのを感じる。  ちゅっ、じゅるっ…じゅっちゅ……ちゅるっ、んちゅ、ぢゅる、ちゅ………  自分の、フェラチオの音が聞こえる。  こぼれた唾液が根元を支えている右手を滴っていく。左手に乗せて弄っている陰嚢まで をずくずくに濡らしている。  男の両手が押さえつけるように、とまりの頭を捕らえている。ペニスに沿って上下に動 かされる唇を逃がさないようにしていた。時々とまりが舌をひねって亀頭をえぐったり雁 首をねぶりつけてやると、男の指に力が入る。それは、痛いほどの力で、とまりがもたら す快感を伝えた。 「んあっ…、んんっっ、はぁぁっ…、んん、んちゅっ、ん…あん……」  口内を占める男性器が、とまりの奉仕で止め処なくひくついている。塩気を帯びた先走 りが、唾液に混じる濃度上げている。とまりは鼻腔に抜ける男の臭気を味わうと、自身の 性器が疼く気がしていた。知らずに尻が蠢く。  頭を覆った男の手が、とまりの口と顔に合わせて動く。その律動が早くなっていく。  終わりが近い事を、女の性が気付いていた。。  じゅっっ、じゅるっ…ぢゅ、ぢゅっ…ん、んちゅっ、ちゅうぅぅっ…ぢゅぅぅぅ……  責めを強めると、男の苦鳴に似た喘ぎが聞こえた。  口と共に、ペニスの根元から握った指を上下に滑らせてしごき上げてやる。たっぷりと 絡んだ涎で、睾丸をぬるぬると弄んだ。 「んっ…!も、もうイキそうだ……」  男の声が、余裕無く震えつつあった。  口内に吸い上げているペニスが、間段なく緊張している。射精が近かった。  男の手が、とまりの頭を放さないように押さえてくる。 「たっぷり、出してあげるから……こぼさないようにし、な……」  男が口内に射精しようとしているのに気付いたが、とまりには、もう逃れようが無かっ た。諦め、というには高揚とした気持ちで溢れ出てくる精液を待った。  最後は、亀頭に舌を絡めて、じゅるりと吸い上げた時だった。 ――ん、あぁっっ…!?  急激に脹れあがった亀頭が、びゅるりと体液を吐き出した。それはとまりの舌の奥、喉 元へも、たっぷりとかけられていき、気道をまでを塞ぎそうになる。続けざまに、2回3 回と射精を続けていく。  とまりはフェラチオを止め、男の精液を口内に受け止めていた。 ――これ、が…せい、えき……?  ペニスは何度も脈動した。舌と喉に、口一杯に、精液を吐き散らしていく。これ以上は 含み切れないと感じた頃、長い射精が終わった。 「ふう、うっっ……、きもち、いいよ……」  男がとまりの口内で射精の余韻を愉しんでいる。  ペニスと精液を含んで一杯になった口を、とまりは持て余していた。男の手が、とまり を解放してくれない。溜まった息を鼻から吐いた。青臭いような精臭が鼻腔を抜けていく。 脳の芯が痺れるような、猥褻な匂いだった。

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