見たいものは見たいんだからしょうがない (3)「う…ん」 「それなら、もっと……」 そう呟くと、再び香澄はあたしのに近づき、今度は。 「く……うぅ」 舌で根元から先端まで舐め上げられる。あたしの口から声が漏れる。 「この、先から…出ちゃうんでしょ?……ん…」 香澄があたしに熱い吐息をかけながら口での愛撫を続けてくる。 「あ、だめ、そんな吸ったりしたら…はぁ…」 先端だけを吸われてるはずなのに、フクロの方まで搾られていくような……。 まるで想像したことの無い刺激。 「感じちゃう……感じちゃうよ…」 あたしのうわ言を笑みを浮かべて聞きながら香澄が言う。 「どこが感じるの…ここ?…それとも、ここ?……」 舌でちょんとつつかれたり、唇で吸われたりしながら、あたしはおちんちんの根元を 中間を、フクロを、カリ首を、先端の割れ目を、満遍なく愛撫されていく。 たまらず、あたしは答える。 「ぜ、全部。全部、すごく感じちゃってる」 香澄はあたしの言葉を聞くと。 「…全部ね…わかったわ…それなら……ん、ん…」 そう言って香澄はあたしのものを根元まで口の中に咥えてしまうと、舌も使いながら ゆっくりと口で擦るように上下しだす。 「あ、すごい、それ…気持ちいい……けど」 溶けてしまいそうな思考の中であたしはそれでも精一杯の抵抗の言葉をもらす。 「今日は…あたしが香澄をいじめるはずだったのに…」 完全に立場が逆、あたしはされるがまま、高みに上っていく。 「ふふっ…でもいじめられるの……今は嫌じゃないでしょ?」 違うなんてとても言えない。 「う…うん…嫌じゃない……でも、だけど」 激しい切迫感が沸き起こる。もう、一秒だって我慢したくないような、もっと耐えてい たいような矛盾した感情と共に。 「あ…やっぱり駄目だよ…出ちゃう…このままじゃ口の中に…」 ひきはがさなきゃいけないのに、あたしは名残惜しげに香澄の髪を撫ぜ続ける。 「本当に…出ちゃうよ…精液…そんなことしちゃったら」 香澄がうっすらと目を開け、こちらを見るとわずかに笑みすら見せる。『まひるの欲望を そのまま受け止めてあげる』そんな笑顔。 その妖艶な様に背筋にぞくっとした快感が走る。一気に射精感が高まっていく。おちん ちんの先が熱くなる。 それに呼応するように香澄の動きが速くなる。頭を上下させる。あたしのものにねっと りと纏わりつかせる舌の動きがより大胆になっていく。 「う…あ…出…ちゃ…」 全身の神経がそこに集中している。今まで想像したこともないような開放感が、快感が あたしを襲う。 「出るぅっ!!」 ドクン!ビュクッ、ビュクッ。激しく自分のものが脈動する。 香澄の口内をあたしの精液が汚していく。 目をぎゅっと閉じて、喉を動かし、あたしの体液を香澄が飲み下していく。 「……はじめて、射精しちゃった」 呆然と呟くあたし。それを見て、香澄が嬉しそうに言う。 「まひるの初めての精液…全部、飲んじゃった」 「そんな、おいしいわけでもないんでしょ」 香澄が笑顔を見せて答える。 「まひるのなら、何でも欲しかったんだもん」 その笑顔にあたしはどきっとさせられ、それで……。 「あ、う、そんな顔見せるから、またおっきくなっちゃったよー」 あたしの困った様子が楽しいのか、香澄はくすっと笑ってから言う。 「それなら、まひるの、またちょうだい……今度はこっちで」 香澄が恥ずかしそうに下半身を自分の掌で押えて、示す。ショリと下の毛のこすれる音 が聞こえた。 * * * * * * * * * * * * * * * * * 駅前でもらったチラシに書いてあったコンドームの正しい使い方を見ながら ベッドの上でアグラをかいて装着に悪戦苦闘する。 香澄は傍らでうつ伏せに頬杖をつきながらあたしの姿を眺めている。 ちらっと香澄を横目で見ながら話し掛ける。 「付け方…こうでいいのかな」 「…多分」 「あの、やっぱり、初めてなんだよね…香澄も」 香澄はそれを聞くや、ガバッと腕立ての要領で上半身を起こすと、声を上げる。 「あっ……当り前でしょうが!…まひるも、よね?」 「も、勿論…その…男でも女でも」 あたしがうろたえながら答えるのを聞いて、香澄が吹きだす。 「プッ…変な言い方!」 「そ……そうだね…香澄…」 あたしは少し腰をかがめて香澄のおでこにキスをする。 香澄は照れくさそうに、くすぐったそうに目を細めて笑顔を見せながら言った。 「まひる……してくれる?…」 「ん…うん」 * * * * * * * * * * * * * * * * * お互い何となく視線を背けながらベッドの上で、バスローブを脱ぐ。 それから二人ともおずおずと向かい合う。 自分の全裸を見られてる羞恥と香澄の一糸纏わぬ姿を見ている興奮が自分の中で相乗効果 を起こしているのか、全身がカアッと熱くなる。 「香…澄…」 あたし達はキスをしながら互いの両手の指を絡ませあい、あたしが押し倒す格好でゆっく りベッドに倒れこんでいく。 「ん、ん。まひる……」 香澄は全てを任せてくれるように力を抜いてくれる。 あたしは香澄の両脚の間に何とか身体を割り込ませる。もう少し、開いて欲しいけど、 ちょっと言いにくい。 首筋にキスをする。香澄の太腿に丁度、あたしの硬くなった物があたる。 「あ、これって……」 「そうだよ…香澄、もう少し開いてくれるかな、その…足を……」 「……こう?」 もじもじと恥ずかしそうにしている姿は可愛いけれど、ちょっとじれったい。 「もうちょっと……こう」 内腿に手をやり、大胆に開かせる。香澄の秘所が口を開け、ほの赤く濡れて光る。 「こ、こんなに開かなきゃ駄目なの?」 「いや、ほら初めてだからさ、よく見ないとわかんなくて」 「よく見るって……ちょっとぉ」 さっき思い切り見られてたことなど香澄は忘れているらしい。 「ここだよね」 抗議の声に気付かぬ振りをしてあたしは覆い被さり、香澄の秘所に中指で触れながら、 頬を寄せ、耳元で囁く。 「…そう、よ」 香澄の頬が熱くなるのを感じ、香澄がやっとの呟きを洩らす。 つぷ、と中指を入れる。襞が指にまとわりつく…本当にここにいれちゃっても大丈夫 なのかな……でもきっと凄く感じてしまう気がする。軽く指を出し入れしながら感触を 確かめてみる、手の甲を通り、あたしの手首にまで香澄の愛液が伝ってくる。 「…凄い…どんどん溢れてくる……こんな風になっちゃうんだ…」 「…ん、ん…あ…は、あぁ、ん…やだ……恥ずかしい…」 香澄が耐え切れずに熱い吐息を吐きながら呟く。 「指じゃなくても…もう入っちゃうよね……」 「…そう…なのかな…」 じっくりと香澄の事を責める余裕なんて、あたしにはもう無く、手早く人差し指と中指 で香澄のを開き、自分の先端を入り口にあてがう。 「ゆっくり…するから…」 「うん…まひるの腕、掴んでていい?」 「いいよ」 あたしは途中でずれたりしないように慎重に入れていく…やっぱり気持ちいい……。 「香澄…中が…柔らくて……」 気持ちよい暖かさ、早く奥までたどり着いて、さっき香澄の口の中で感じた快感をもう 一度味わいたくて気がせく。 あたしは香澄の目を見つめながら囁く。 「香澄……」 不意に先端に弾力を感じる。まだ入ってもいいはずなのに。 「ん!……っ…まひる…あ!」 ぐっと凄い力で二の腕を掴まれる、無意識のうちに香澄は爪を立ててくる。 「……っ!」 香澄に拒否されたような気がして、つい慌てて抜いてしまった。 そうか。今、先に感じたあの抵抗が処女の……証の…。 「……どうしたの、まひる」 「え……ごめん…もう一度」 先端だけ軽く出し入れしてみる。それだけでも今までない感覚に、敏感な場所が刺激される。 「香澄の中が暖かい……熱くなってくみたい……」 「……ん…」 香澄の顔をそっと見る。何も言わないけれど、かすかな怯えがその眉に見てとれる。 あたしは何か後ろめたさを感じながら独り言のように香澄に言う。 「も、もっと中に入れてみるね」 もう少し、もっと奥まで香澄の中にあたしのおちんちんを受け入れてもらったら、あたしは きっともっと気持ちよくなれる。思うざま、動いてみたらどんなに良くなれるだろう……。 まるで自分は何者にも汚されていない雪原を踏みにじる乱暴者のようだ。ふと思う。 今、あたしは自身の快楽と引替えに取り返しのつかない事をしようとしている。 気持ちいいけれど、もっと続けたいけれど、香澄を苦しめたくない。せめぎあう感情……動 きが止まる。 「ま…ひる…」 香澄が不安げにこちらを見る。 「あ、ごめん、でも…えっと…痛そうで…その……」 言葉につまるあたしを見て、香澄がふっと優しい笑みを見せる。 「もう、まひるらしいんだから」 香澄は上半身を起こし、あたしを抱きしめながら、耳元で囁いた。 「大丈夫、私に任せて…って言っても、私も初めてなんだけどね」 また、さっきのように香澄に押し倒される、今度は優しく。 口篭もりながらあたしは言う。 「……でもあたし、香澄の事汚しちゃう」 笑顔で首を横に振りながら香澄が言う。 「違うわ」 香澄は少しすまなそうな表情を見せながら言葉を続ける。 「……私はね…まひるが男だって知ってね、嬉しかったの……まひる自身の気持ちとか考える 前に嬉しいって思っちゃったの…」 あたしの手を取り自分の股間に触れさせながら香澄が言う。 「だからきっと私のここはまひるを受け入れるためにあったんだよ…だから……」 そこはすっかり熱くぬかるんでいて、まるで情熱が溢れ出してしまったかのように、愛液が 太腿まで湿らせている。 「こんなに潤んでいるの……早くきてって、思ってるの」 「香澄…でも……ん…」 あたしが言いかけるのを香澄の唇が塞ぐ。口内に大胆に侵入してくる舌を、あたしもまた舌 で受け止め、二人は舌を絡ませていく。 あ、これって――さっき飲ませてしまった精液の苦味を舌先にかすかに感じる。何かとても インモラルな感覚。まるで媚薬でも飲んだかのようにあたしは全身を熱くし、一度なくしかけ た勢いが再び股間に戻り、血を集めさせ、脈打っていく。 「ふふ、また元気になってきてる」 唇を離し、香澄がどことなく楽しそうに笑いながら、両の手をあたしの胸に持ってくる。 「無い胸触ったって仕方ないでしょ」 あたしが拗ねて言った言葉に、香澄が返す。 「……そんな事無いわ」 両の指があたしの胸の輪郭を繊細になぞり、あたしの背筋をゾクリとさせる。そうして、人 差し指があたしの乳首をクニュクニュと弄ぶ。 「あ、ん」 思わず声が出てしまったのあたしの様子を見て、香澄がいたずらっ子っぽく笑って見せなが ら言う。 「ほら、感じた」 「……さっきの仕返し?」 「さあね…まひる…おっきくなったみたいだし……また入れてみるね」 そう言うと香澄はもじもじと腰をくねらせるようにして起こす。恥ずかしそうに、右手を自 分の股間に持っていく。それから指で自分の秘所を開こうとしているみたいだった。 「まひる…ちょっといい?」 「え?…ひゃうっ!」 あたしのおちんちんを香澄の左手が握る。反り返ってしまっているあたしのを丁度いい角度 にするために押し下げられる。 「痛くない?」 香澄が聞く。 「うん、大丈夫」 なんか逆だ。 「それなら……」 香澄がおちんちんの先を自分の入り口にあてがう。先程のあの快感を思い出す。期待にビク ンと跳ね上がりそうなのを香澄がどうにか抑える。 「……動かしたら…だめよ…」 香澄がゆっくりと腰を落としていく。さっきあたしが躊躇ってしまった抵抗を再び先端に 感じる。 「か、香澄……」 不安のあまり開きかけたあたしの口に香澄の人差し指が触れる。 「だ、だいじょうぶ…だから」 香澄が両手をベッドにつけて前屈みになる。あたしのおでこに香澄の髪がかかる。 切なげな、苦しげな表情を隠し切れぬまま一息に香澄は腰を落としこむ。 包まれる…暖かさに……おちんちんの全部が優しく愛撫されているような感覚。 それと同時に香澄が苦しげな声を上げる。 「まひるっ…い、痛っ……うぅ!」 「香澄…!」 あたしの声に無理に笑顔を作って見せて香澄が言う。 「ごめん…だいじょうぶ…今、動くから…ね」 フウッと息を一つはくと、香澄は腰を動かし始めた。 クチュ、クチュと湿った音が響くたびにあたしの物は香澄の中の蠢きを感じ取る。 「あ、すごい…あたしのに…纏わりついてきて……ん…いい、香澄…」 声を洩らしながら自分の下半身の方を見る。避妊具の周りを愛液や破瓜の血が濡らし、てら てらと光っている。そこを香澄のあそこがあたしのを根元まで咥え込んでは戻していく。 「凄いよ……香澄があたしのおちんちん…全部…食べちゃってる……」 その様子を凝視したまま、あたしは香澄に言う。 「…やだ…言わないで」 「……凄い、いやらしいよ……香澄の…」 「……駄目……そんな事言ったら…」 ポタン…ポタン……あたしの胸に香澄の汗とも涙ともわからないものが当たる。 顔を上げ、香澄と目が合う。再び笑顔を見せてくれる。とても痛いはずなのに。 たまらずあたしは上半身を起こし、香澄の背に両手を回しながら呟く。 「……痛いよね」 耳元に吐息交じりの香澄の囁きが届く。 「…うん…だから、ね…まひる、あたしを抱きしめて…もっとギュッて…して…」 「……」 無言で香澄を抱き締める。そうでなくてもチビな上に、香澄はあたしの上に跨っているから その豊満な胸に顔をうずめる格好で抱き締めることになる。 「…ん…くっ…ま、ひ…る…」 苦しげに切なげにあたしを呼ぶ香澄の声。あたしの背に必死に両腕を回して。それでも健気 に腰の動きは止めずに。 どうすればいいのか分からなくて、ただただあたしは自分の両腕に力を入れ、密着の度合い を強くする。 自然と口元に押し付けられた乳房を頬張る。 「あ……」 香澄のわずかな戸惑いの声を聞きながら乳房を吸う。 あたしの首に手を絡める香澄があたしの髪の毛を撫ぜ、呟く。 「あ…感じるの…まひるにちゅーってされるの…気持ちいいの」 「ん……ん…」 頬張ったまま舌で乳首を転がす。 「ん……ふぁ…あ、あ……」 香澄の甘い呻き声が部屋中に響く。 あたしは指先で香澄のうなじを、背筋をなぞりながら、舌先では乳房への愛撫を続ける。 「あ、気持ちいい…まひるの指も…舌も…」 愛撫の気持ちよさに止まりがちな香澄の動きを助けるように、あたしの腰が勝手に動き、香 澄の体内を突き上げる。 自分の中の本能が香澄の中を貪るようにあたしを突き動かす。 香澄が奥まで届く刺激の激しさに背を反らす。目の前に露わにされた白い首筋をあたしは思 わず舐め上げる。香澄がたまらずうめく。 「そんなにされたら…変な風になっちゃうから…もう…おかしくなっちゃうから…」 「…あたしも、もう…出ちゃうから…もう少し…動かさせて…いいよね…」 香澄が愛しげにあたしの髪を撫でまわしながら言う。 「うん…いいよ…まひる。だから、ギュッてして、離さないで……」 再びあの切迫感が襲ってくる。今度はこのまま…ためらわずに……。 「おちんちん、あつい……またしちゃう…射精しちゃう…しちゃうよ!…」 「来て…私の中に…来て…まひる、まひるぅ!」 背中に爪を立てられ、感じる痛み――香澄の痛みに比べればわずかなものだろうけど、あた しはそれを確かに受け止めながら、香澄の膣中を蹂躙しつづける。 ただ夢中に香澄の身体を揺らす。それに合わせて香澄も動いてくれる。 「うん…うん……あ、来ちゃう…出しちゃうよ…このまま…あ!あ!」 ドク!ドク!ドク!ドクン!! 「まひるの……来てるぅ!!」 香澄が叫ぶ。 「…っぐ……ん……っはぁ…はぁ…」 一滴もあたしの中に残さない勢いで精液が香澄の中で搾り出されるように放たれていった。 全身の力が抜けていく。このまま仰向けに倒れてしまいたいのをこらえ、香澄の肩に手を置 き、キスをする。 あたしってば本当に香澄の初めてを……急に頭に血が上る。頬が滅茶苦茶熱くなる。 「香澄……と…ありがとう……あの、退院祝い、す、素敵なのもらっちゃって」 自分でもイライラするほど、気の利かない言葉。 「私、嬉しいの」 あたしの言葉を聞いて香澄が言う。 「…痛かったけど……でもね、それより嬉しい気持ちのほうがずっと上なの…だからね、私も、 ありがとう、まひる」 香澄の目から涙が一筋伝う。その目尻に口づけて、あたしは香澄の涙の味を知る。 それからそっと二人はいだきあう。 「あたし、男でよかったよ」 香澄を身体ごと愛せる喜びを噛み締めるように、あたしは呟いた。
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