日付が変わった直後、少女が目を覚ました。
最初は辺りをキョロキョロしていたけど、目張りされている窓、見慣れぬ殺風景な部屋、そしてボクの顔を見ると途端にひどくおびえた表情に変わった。
どうしたんだろ?ボクの顔に何かついてるのかな?
「気がついた?ここはボクの部屋だよ」
ボクは少女に優しく声をかけた。
でも、彼女は目に涙を浮かべながらこう言った。
「わ、私に何をするつもりですか!?家に帰してください!!」
ボクはその少女の意外な行動に心が傷ついた。
君のためを思ってやったことなのに……
君のことが好きだから守ってあげたかったのに……
ボクは咄嗟に少女に催眠スプレーを噴射した。
「きゃっ!?」
少女は小さな悲鳴を上げながら、そのまま深い眠りに落ちていった。
ボクは少女が眠ったのを確認すると彼女の持ち物を調べた。
通学カバンの中には教科書、ノートにまじって学生証が入っていた。
『清蘭学園2年A組沢音夕鈴(さわねゆうすず)』
そこにはにっこりと微笑んだ少女の写真が貼られていた。
夕鈴ちゃんっていうのか……カワイイ名前だなぁ……
ボクは1日中、夕鈴ちゃんの寝顔を見ていた。
このまま夕鈴ちゃんの寝顔を見ていたかったので、目を覚ますたびにクロロホルムを嗅がせた。