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 痛みを与えないように気を使いながらこね、なめらかな雪肌の感触とみずみずしい弾力を手のひら全体で味わう。薄紅色をした先端の初々しさが目の毒だ。挑発するみたいに軽くはじいたり、きゅっとつまんだり、指の腹でやんわりと押し潰したりして楽しむ。
 そのたびに輝夜がびくりびくりと肌を波打たせ、どうしよう? どうなっているの? とでも言うように視線を彷徨わせるのがまた、いとおしくてたまらない。
 断続的に口づけをほどこしながら、リオンは少女の素肌を、特に乳房を念入りに嬲る。
「ッ……ん、ふ……」

 与える刺激のどれにも反応する素直な肉体と、次第に頬を上気させていく輝夜の陶然としかけた表情に、リオンの背筋はぞくぞくと震えた。やさしく蕩けさせて心ごと虜にしたいという想いと、快楽責めにして泣かせたいという嗜虐心の両方が煽られている。
 ――俺の瞳を恐れずに受けとめ、宝石のようだと微笑んだ、いとしい少女。
 他の男がおまえの魅力に気づいてしまう前に、俺が独占して、離れられない身体に作り変えてやりたい。
 やがて彼女の乳房にぽうっと熱が集まり、愛らしい先端が硬く尖りはじめると、リオンは誘われたようにその小さな果実へと唇を寄せていた。

「……! な、何を――」
 輝夜は、リオンの行為に仰天した。乳なんて出るはずがないのに、どうして吸うの?
 大人の男性がそこに顔を埋めているのは、輝夜には奇妙な光景にしか思えない。
 けれどすぐに、それもまた輝夜のひそやかな疼きを煽る愛撫なのだとわかってきた。先端を舌先で転がすようにされた刹那、微熱を帯びた恍惚感が、彼女を鋭く貫いたから。
「あ……ん、んんッ!」
 色づいて硬さを得た先端はひどく敏感になって、リオンの歯がかすめただけでも切ないしびれを生んだ。身体の芯に断続的に響き、下腹をじわじわと苛むそれを、輝夜は両膝をこすりあわせて懸命にこらえる。初めての感覚だった。
(頭が、ふわふわして……なにこれ……)

 リオンは輝夜の予想しない行為を次から次に彼女の無垢な身体にほどこしては、彼女自身でさえ知らなかった肉体の反応を暴きたてていく。
 痛みは与えず、けれど容赦なく。
「――だ、め……やぁッ……」
 いつしか輝夜は、苦鳴とも悲鳴とも違う上ずった声をリオンにぶつけるようになっていた。甘えるような声は自分のものとはとても思えず、羞恥で気を失いたくなる。
 けれどそんな逃げは許さないとでも言うように、リオンは輝夜の赤く染まった顔を一瞥すると、不意に先端をやんわり甘噛みしてきた。もう片方の珊瑚色の果実も指の腹でぎゅっと押しつぶされれば、今までで一番強い刺激に襲われ、輝夜はたまらず喉をそらした。

「ッ! ……ひ、あぁ……!」
 身体の奥で何かが強烈に疼き、両脚の付け根がじわりと潤んだ気がして、輝夜はまたしても激しくうろたえる。
(今のも……一体なんなの。どうなってしまうの)
 言葉を失ったまま、呆けたように乱れた呼吸を繰り返していると、目の縁にリオンが唇でふれてきた。輝夜の混乱をなだめたがるような、やさしい感触だ。
「輝夜」
 求めるように何度も呼ばれながらの口づけもまた、やさしい。
 陶然となり、そのせいで肌の強張りが自然とほどけてゆくのを輝夜は自覚する。
 濃厚な口づけとともに、リオンは彼女の乳房はもちろん、真っ白な腕や脇腹もゆっくりと撫でていく。男性らしい手の感触に、輝夜の鼓動はますます乱れてしまった。
 そのときだ。

「――リオン? さっきの子はどうなったんだ〜」

 扉を叩く音が、場違いな軽快さで室内に響いたのは。



2010.09.01 up.

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