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雪にはしゃぐ雅ちゃんを見てたらつい…

雪も降ってるし久し振りの連休だからとPCの前に座って気付いたら出来上がっていた。
約1万文字。続きも書かずに一体なにをやってるんだろう。

えーっと、今月初旬から風邪を引いてしまってました。
ついでに湿疹も食らう。治りかけてきましたけどね。
サイトのお引っ越し作業とかもするよーって言ってたのにサーセン。
借りようと思ってたところが現在募集してないってことなので…
次のサーバーを探してる最中です。

……もういっそのことFC2アダルトで良いだろうか?
ちょっと広告出ちゃうけどね。

出来る限りサイト構成なんかも変えずに移動したいので。
(でも絵板は動きが悪いし使う時間がないので外すかもしれない)
検索ロボ避けの構文とかもそのままにするつもりなので…通って頂けてる皆様は一応ここの入り口のURLだけはブクマでもしておいて下さいね。


ま、とりあえず書き上がった短編みやもも置いておきます。
視点切り替え有&緩いけどR-18です。



「ただいまーっと。いやー、今日はめっちゃ寒かったねー」
「おかえ、り……」

帰宅前にと寄った近所のコンビニでの買い物から直行して、鍵を閉めて。
コートのボタンは着替えてすぐにでもこたつに潜り込む為に外してる途中。
だけど靴を脱ぐ暇すらもなかった。
驚くほどの強い力でみやは私の腕を掴んできた。
声を立てることもしないで、ただ息だけ荒げて。そっとみやを見た。

ああ、こういうみやの事はきっとももが一番知っている。
深い憂鬱とその奥に欲情の色を帯びた瞳に捕まった。

それがすぐに近づいてきたかと思うと、気がついた時にはキスをされていた。
ゴトリ、と鈍い音を立ててビニールの袋が玄関の冷たい床の上に落ちた。
鉄と炭素とアルミニウムとマンガンが混じった蓋付きの円柱の中に、
厳選した小豆と砂糖を水で煮詰めたものと紅茶葉を牛乳でじっくりと煮込んだもの――
寒いからってついさっき買ってきた暖かい缶入りのおしることミルクティーが仲良く転げたのを目の端で追った。
このままにしてたらすぐ冷めちゃうのになぁ、なんて頭の端でぼんやりと思った。

深い深い溜息を吐いて、何かを諦めたみたいにみやが言った。

「駄目。ももが可愛すぎて困る」
「なに、そ……っ……!」

問い質そうとした途端に、また口づけられて。
くちゅっと音がするぐらいまで深く舌を入れられる。
彼女の唾液と一緒に、甘い何かを感じる。ああ、リップクリームか。ふわりと薔薇の香りがする。
春らしいでしょってつやつやと薄桃色をしていたものを朝付けてたのをしっかりと覚えている。
けれどそれ以上のことは、もう言葉にならない。

みやに唇をむさぼられているだけで、体中が蕩けたようになって、立っているのがやっとだ。
柔らかいぷるんとした唇に触れられて、濡れて、身体ごと触れ合っているようなその感触。
少しだけ冷えたような舌先が、口中のありとあらゆるところへ触れてくる。
歯の上を這って、上顎を舌でクルクルと撫でられて、唾液をじゅるりと吸い込まれる。

ジャケットの下に手を差し入れられて、シャツの上から身体を撫でられる。
夕暮れの寒風にでも当てられたのか、それともベランダにも積もった雪とかで遊んでたせいなのか。
みやの事だから恐らくは後者だろうけれど、部屋は暖かいのにみやの指先はひどく冷え切っている。
その冷たい爪の先で背中をつっと撫でられるとぞくぞくする。
肌の上がひどく張り詰めたようになって、彼女の指の感触に浮かされる。
背中のホックを一回で探り当てられて、あっさりと外される。
こんなところばかり完璧すぎて困る。

「ちょっ……」
抗議は言葉にはならなかった。

「反論禁止」
「んんっ……」
避けようとしてもすぐに唇がふさがれる。
くちゅくちゅとかき回される合間に悪戯な手が一つ一つボタンを外していく。
見えてはいないはずなのに、感触だけで器用に迅速にシャツの前をはだけさせられる。
まだ指先は冷たいまま。それでも、ネクタイを避けて襟をよけて、
外されて少し浮き上がったブラの下、柔らかいところに手が伸びてくる。
敏感なところにその冷気が忍んできて、いつもよりずっと感じてしまう。
びくんと身体が跳ねて、心拍がいつもより早くなっているのを自覚する。
すっぽりと手のひらで包み込まれる。親指と人差し指で先をつままれて、いじられ、こねくり回される。
とくんとくんとうるさく心臓が高鳴っていって、自分の乳首が屹立しているのがわかる。

「んっ……ぅ……」
思わず声が出てしまう。
自分の中で何かかきたてられて、それが身体をひとりでにびくんびくんと震えさせる。
何が起こっているのかよく分からない。ちゅっちゅっと音を立てて首筋へキスをされる。
鎖骨を舐められる。その何とも言えない感触に背中をそらす。
それでも声を上げないようにする。みやの金髪が目の中に入る。僅かに滲んでぼやけている。
何でだかはわからないけれど、少し泣いてしまっている自分に気付いてうろたえる。
軽く頭を振って、そのせいで被っていた黒色の帽子が落ちた。
乳房に吸い付かれる。強く吸われるごとに電気みたいにびりりと何かが身体を駆け抜けていく。
アイスでも舐めるみたいに含まれて、舌でこりこりと回される度に背中に力が入っては抜けていく。
ひざまずいて、私の胸に夢中で吸い付くみやの髪を両手でそっと混ぜる。
しがみつきたいのに、ひどく小さなその頭を抱きかかえる。
ネクタイをぽいと無造作に私の肩の方へやってしまって、かがみ込むみやの頭を。
うわごとめいて、彼女は言う。

「ん……もも、すき、もも」
「や、あ……っ」
「好き。もっと声、だして。みやに聞かせて」

そう言われても、こんな場所で自分が女の声を上げてあえぐのは好きじゃないしよろしくない。
押し殺しててもいずれは勝手に上がってしまう声が恥ずかしくて仕方がない。
そうしたくないのに、みやにそうさせられてしまうのはいつまで経っても慣れなかった。

「やっ、ぁ、ぅ……」

声を殺して、ただ息だけが荒い。玄関先の薄い壁と扉。
お隣さんや外に聞こえてるかもしれないのに。
それなのにどうして、みやはこんなところでしたがるんだろう。
玄関先だしっていつもはキス位で済んでたのに。不思議でならない。
こんな風に激しく求められるのは初めてだけれど、なんだかその必死さが愛おしいような気がした。
スカートをたくし上げられる。薄いストッキング越しに太ももが外気に晒されてひどく寒い。

「ちょっ、ちょっと……こんなところで」
「我慢できないの。だめ?」
「せ、せめて部屋まで……」
みやが珍しくわがままだ。いつもはもっと雰囲気とかも大事にしてくれるのに。
でも上目遣いで見られたって、こんなところじゃ困る。ももは靴さえまだ脱いでないと言うのに。

「やだ。待ちたくない」
みやはそう言ってスカートの中にもぐりこんで来る。
「ちょっ、ちょっとほん…………ぁんっ」
本気なのと問いかけようとしたところ、あっという間にストッキングをおろされて下着の上から指先でなぞられる。
立っているのもやっとな程に散々キスをされて、もう既に十分湿っているのが分かる。
わざと何度も音を立ててその周りへキスをするのをももに聞かせると嬉しそうにみやが息だけで笑う。
それからショーツのゴムのところ、太ももへ食い込んでいるあたりをゆっくりと指先でなぞられる。
焦らされてひどくぞくぞくする。吐息がひどく熱くなって、腰が動きそうになる。

「んっ……やぁ……ぁ」
つるりと布の上から脚の間を撫でられる。
力が抜けてしまって、みやの頭を抱えてるのにへたりこんでしまいそうになる。

「だめ、ちゃんと立っててよ、もも」
みやがスカートから顔を出して言う。意地悪く笑っている。

「やっ……!ばか、みやのばか!」
こぶしを丸めようとしても、ちゃんと力が入らない。

ずっとみやの指がおちつかなげに腰のあたりをさまよっていて、声を上げないようにするのが精一杯だった。
息がひどくはずんでしまう。陸に打ち上げられた魚みたいに口で息をして。
それでも触れられる度に熱いものがこみ上げては止まらない。
どんどん身体の奥で、熱い熱い何かがジワリとわき上がってくる。
自分の膣が収縮して、まだ来ないまだ来ないのかなと待ち続けているのが分かる。
どくんどくんと何かが体中を駆け巡っているのがわかる。

みやが熱にうかされたみたいな声で言った。

「とろとろ。ももがすごい、みやの事ほしがってるんだよ。……さわっていい?」
「っ、ん……っ!」

もううなずくだけで精一杯だった。するりと下着がおろされた。
それでもみやの指は入り口のあたりをそっとなぞるだけでなかなか入ってきてはくれなかった。
茂みに指を這わせて、愛液でたっぷりと濡れさせて、そうっと円を描くようにして脚の付け根のあたりを撫でる。
私は耐えきれなくて腰を近づけようとしてしまうのに、みやは意地悪をするみたいについと避けてしまう。

「……もう、やぁだぁ……」
耐えきれなくて、顔を横にそむけた。みやに一杯触って欲しいのに。
外は雪も降ってて寒いのにひどく熱い。恥ずかしくて泣きそうだ。
欲しいのに、お願いが届かなくて、それが恥ずかしくてしかたがなかった。
どうしてももはこんな風になってるんだろう。
もうみやの事でいっぱいいっぱいで、何をどうしたらいいのかわからない。

「ごめんね、いじわるして」
キスが、降りてくる。ちゅっと軽く口づけられて、みやの顔をきちんと見る。
誰よりも優しくて、でもやっぱりいたずらっ子で愛おしい親友で相棒で恋人の顔。

「でもももがあんまり可愛いからいけないんだよ?」
「そっ、そんなの……知ってるけど……そうじゃなくて……。もっとちゃんと……」
ももをしっかり愛してよ。
そう言おうとして、でも、最後までみやは聞かない。
ぎゅっと、女の子の細い腕で抱きしめられる。

「ちゃんと、ももの事愛してるよ」
「…………」
耳元で囁かれて、ますます顔が熱くなる。

「返事は?」
「……はい」
うわのそらで、私はそう答えた。
「そうじゃないでしょ。『愛してる』って言われたら『私も愛してるよみやびちゃんちゅっちゅっ』って言うところでしょ」
「なにそれ。そんな事言わないよもう」
何も分かってなかった若い時やおふざけの延長線上ならいざ知らず。

「ふーん。まあいいや、ももの身体に直接聞くから」
「みやがオジサンになっちゃった……悲しい」
「ちょっと。そう言う事言う?」
ぷうっとふくれてみやはこちらをまじまじと見つめた。
靴はまだ脱いでないしコートもまだ肩に通したままなのにジャケットとシャツのボタンとブラを外されて、
挙句の果てにはぱんつまで脱がされかけてストッキングと一緒になって膝に残ってるんだけど。
それから息を飲んでから照れくさそうに改めて言った。
「……やっぱりベッド行こうか?」

そうだよ。はじめからそうしてくれれば良かったのに。

ベットに行く間もずっとキスして、触られ続けて、もうとっくももの身体はに我慢の限界で。
服を脱がされないまま、みやに抱きついて着いた頃には聞かなくても分かってるけどねって言われてしまった。
コートとジャケットにスカートと、ようやく脱がされて、ベットの上に寝っ転がる。

「しょうがないじゃん、あんなとこで始めちゃうみやが悪いんだから」
「まぁまぁ。お喋りはここまでにしよ。もも、……好き。んっ――――」
「ぁ、ん――――」
これからの行為の始まりとして、私達はもう一度キスを交わす。

「ん、んん……ふはっ、ぁ、ん……」

お互いの性欲を高め合う、前戯としてのキス。
待つのも焦れてみやの口中に舌を差し入れた途端、私の舌は未知の感覚に包まれた。
熱い吐息。滴る唾液。みやの口中だという感覚が、身体を熱く火照らせる。

「はぷっ……ん、ぁ……」

さっきとはうって変わって動こうとしないみやの舌に、私は無遠慮に舌を触れさせる。
独特の柔らかさとぬめぬめする唾液交じりの舌の感触が心地良い。
舌を絡ませればみやが身体をビクンとさせて反応してくれて、それが嬉しかった。
みやの背中とシーツの間に両手を滑り込ませ、ぎゅうっと抱き締める。
胸を圧迫するように押し付け合って、柔らかくてとても気持ち良い。

「んぁ、はっ……んぷ、は、ん……」

舌を押し付けると、みやの唇の柔らかさが伝わってくる。
もう今は私だけが触れられる、合わせられる唇なんだ、と思うと胸が大きく高鳴る。
舌を絡ませる度に頭に直接響く淫猥な水音が性欲を刺激して身体に更に熱を持たせる。

「んんっ――――!?」

舌の戒めを緩めようとした途端、今度は私の舌が強く締め付けられた。
私は驚き、思わず身体を固くしてしまった。
ようやくみやも動く気になったらしい。
私達はお互いににゅるにゅると舌を絡ませあい、たまにきゅっと締め付けあう。
その度に脳がビリビリと痺れ、行為も少しずつ大胆さを増していく。

「んく、こく、こく……」
舌を解き、口中に溜まりかけた唾液を舌で掬い取って自分の口中へと運び、嚥下してみた。
味なんてはっきりとは分からない。だけど、何故だかこうするといつも甘い。
大好きなみやの味だ、と意識したら、途端に下腹部が強く疼いた。
太ももが自然と擦り合ってしまうのを自覚したものの、
今日だけで何度も我慢させられた私はまだまだみやにキスしていたくて無視する事にした。
そうして舌を絡ませ唾液を飲んでは飲ませて、時には唇を擦り合わせ、私達はディープキスをし続けた。
やがて息が続かなくなって息苦しさを感じ、私達は静かに唇を離した。
名残惜しくて、私達は無意識の内に離す間も舌を伸ばし合って舌を触れ合わせていた。
唾液のアーチがプツンと途切れる様が例えようも無く淫らだった。

「もも、ぉ……」
「みや……」
お互いの名前を呼び合う事さえも堪らなく気持ち良い。
名前を呼ぶ度に、みやを愛しいと思う気持ちが強くなるのを自覚した。


「ももの胸、やっぱり大きい。ちょっと羨ましいなぁ」
「別に、大きくてもそんな良い事無いでしょ……可愛いの少ないし」
「むぅ……ももは持たざる者の気持ちが分からないもんね」
「そんな事言ったってこればっかりは……ひゃんっ!?」
「こんなに大きくて柔らかくて形が良くて気持ちの良いの持ってるのに、贅沢だよももは」

ほんとに、汗でしっとりと濡れた大きな胸は私の手を吸い付けてきて堪らないものがある。
指に力を入れれば、入れただけの力の分沈んで、緩めればすぐに押し返してくる弾力が気持ち良い。

「ちょっ、ゃ……ん……」

ももの押し殺してるのにみやの動きに合わせるように漏れ出て来ちゃう声が可愛くて堪らない。
力を入れる度に歪に歪む乳房と、そうするとピクン、ピクン、と身体で反応を示す様子が情欲を刺激する。

「はぅ、ん……みや……やだぁ、胸ばっかり……」
「だってももの胸、大きくてすごく揉みがいあるんだもん。形が変わっていくのが、すごくエッチだよ……」

そう囁くと、ももの顔がもっと紅くなった。
私の言葉や行動ひとつで、ももがこんなにも可愛い顔を見せてくれるという事実に、
興奮が高まってくるのが自分で分かってしまう。

「可愛い、もも。大好きだよ……」

ももへの気持ちも大きくなって、口に出して伝えずにはいられなかった。
そうして胸を弄んでいると、次第にその頭頂部が自己主張を始めてきた。
みやに感じてくれているという証拠が目の前にある事実が、嬉しい。

「ひゃうっ!?みや、そこ、だ、めぇ……」
膨らんできた頭頂部を指で挟んで摘んだ瞬間、予想通りにももが大きく反応してくれた。

「気持ち良さそう、もも」
「や、そんな、抓んじゃ……ふぁっ、や、引っ張らない、でぇっ……」

ももの可愛い声をもっと聴きたくて、愛撫が自然と激しくなってしまう。
抓んで、捻って、引っ張って、押し潰して、弾いて。
そうする度にももは甘くて蕩けそうな声を上げて、全身で反応を伝えてくる。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……もも……もも……」

みやもいつの間にか興奮しきっていて、下半身の疼きをしっかりと自覚してしまっていた。
時折ももの胸が私の乳首に当たって、そこから全身に流れる電流が気持ち良くて声を上げそうになる。
それが堪らなくて、いつの間にか私は胸をももの胸に押し付けていた。

「ふあぁっ!?み、やぁ、乳首、いぃ……!」
「は、は、ん、もも、もも……乳首、気持ち良いよぅ……ももは?気持ち良い?」
「んっ、うんっ、ピリピリする……みや……あっ、やぁ」

身体を揺すって乳首同士が擦れ合うと、それだけで意識が飛びそうな程に快感が押し寄せてくる。
浮き出してきた汗が潤滑油になってスムーズに擦れ合うようになると、快感はますます強くなった。
いつの間にか私達は抱き合うように身体を密着させて身体を揺すり合っていた。

「もも……もも……凄いよぉ……!」
「ふはっ、ぁ、気持ち良すぎて、だめ、みやぁ……」
「もも、んむ、は、ちゅ……」
「ちゅ、ぷちゅ、んんっ……っふ」

堪らなくなって、お互いが愛しすぎて。
抱き締め合ったまま、私達はまたキスを交わす。
でも身体を動かしているからすぐに唇はずれてまう。
それでも私もももも唇を求めて、身体を重ねあう。
下腹部の痺れが大きくなってきて、段々と胸だけじゃ足りなくなってくる。

「ももぉ……胸だけじゃ、足りないよぉ……」
「もも、も、もうっだめ……もっと強くみやのこと感じたい」

ももそう思ってくれていた事がやっぱり嬉しくて、下腹部の熱も痺れもまた少し大きくなった気がした。
触っても良い?って玄関先で訊いてから大分経つ。ももにはずいぶん我慢させてしまったはずだ。
既に邪魔になった自分の下着を少々乱暴に取り去って、
一度身体を起こし、ももの足の間に腰を割り込ませる。
みやとももの熱く濡れた秘部同士が触れ合った瞬間、ぬちゃり、と粘着質な音が聴こえた気がした。

「手加減しないよ?いいよね、もも」
「うん、きて、みや……」
「ん………あはぁっ!?すご、これ、ぇ……」
「ふ、あっ……みやが、みやのと擦れてぇ……ひぁっ! 凄い、凄いぃっ!!」

ドロドロの粘液が絡み合って、全身を突き抜ける圧倒的な快感が一気に頭を白く染めていき、もうそれだけで達しそうになる。
でもまだだ。まだももの事を感じ始めたばかり。
だから、早く動きそうになるのを我慢してペースを維持する。

「もも……ももぉ……」
「ん、っは、……みやぁっ……!」

腰を振り動かして秘部を擦り付けあいながら、私達はお互いの名前を呼び続ける。
愛しくて。ただただお互いが愛しくて。
呼んで重なり合って、気持ちを確かめ合って。
繋がるっていうのは、多分こういう事なんだろう。

「ぁ、は、ん、くぁっ、もものここ、すっごい、ぬるぬるしてて……」
「ふゃ、は、んあぁっ……みや、だ、ってぇっ……もっと、もっとぉ、…みやぁっ!」

ももの甲高い声と要求が、私の身体の炎をますます燃え盛らせる。
動かす度に聴こえる卑猥な水音もそれを助長して、頭の中が少しずつ白く染まっていく。
あっという間に限界が近くなって、もう自制はまったく利かない。

「はっ、はっ、もも、ももっ!好き。すきだよ、ももっ」
「や、みや、激し、いっ!そんなにしたら、もも、ぃっ……!!」
「いいよもも、イって!みやも、もうイくからっ!!」
「やだぁ、みやっ、とがいいよぉっ」
「うん、だから、一緒にっ……ももっ!」
「ん、うんっ!……みやぁ、すき、みや」

私達は腰を振りたくり秘部を激しく刺激し、絶頂への階段を駆け足で昇って行く。
頭がボーッとしてきて真っ白な領域が増えてきて、絶頂がもうそこまで迫ってきているのを感じ取る。

「ふは、あ、やば、イッちゃ、っ……ももっ……ふぁ、んっ…っふ―――」
「き、キたっ……みや、すき……みやっ……はっはあっ、あ、んんっ―――ふぁっ、っちゅ……みやぁ」

私達は同時にキスを交わしながらも激しい絶頂を迎え、
抱き締め合ったまま互いの全身が勝手にビクビクと痙攣するのを感じていた。


大きな絶頂の波が少しずつ収まって落ち着き始めると、しなだれかかってきたみやの熱い体温が心地良かった。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

私達は絶頂後の激しい脱力感に身を任せながら、肩で息をして呼吸を整えようとする。
でも中々収まってくれなくて、腕ひとつ指一本動かすのさえままらならない。
そんな状態がどれ程続いたのか分からない――というか、この際時間なんてどうでも良いのだけども。
ともあれ、倦怠感が抜けてきてどうにかそろそろ動けそうだなぁなんてぼーっとする頭で思っていた時。

「ひゃっ!?」
胸の真ん中……まぁ乳首なんだけども。
いきなりあたたかく湿った感触に包まれた。
何事かと思って見てみると

「ちょっとみや。なんで人の胸に張り付いてるの」
「んー?……ちゅーちゅー」
「ちょっと。こらっ。吸うなっ。つうかなんで今やってんのよ」
「いやぁ、何となくまだももに甘えたいなぁーって思ってたら目の前にあったもんだから、つい?」
「なんで疑問系なのよ……」

というか、そんな事言われたら怒るに怒れない。
確信あって言ってるのか天然なのかおバカなのかが微妙なとこだけど、みやだし。多分後者だと私は思う。

「まぁいいけど……好きにしていいよ」
「え、いいの?」
「そりゃもうももはみやのものだもん。胸ぐらい好きにしていいよ」

あ、意外とすんなり言えた。胸どころかとっくに全部好きにされてる気もするけど。
我ながら驚きだ。恋する力ってやっぱり凄いよねぇ。
みやは……あ、なんか顔赤くして思いっきり照れてる。

「何よぉ、今日のみやったら、照れびちゃんなむっ……」
何事かと思ったら、あっという間にキスされていた。
子供のように胸に吸い付いたかと思ったら今度はキスって。
こんな時でもすぐ嬉しくなってはしゃいじゃって落ち着きが無いんだよねぇみやって。
まぁそういうとこがどうしようもなく可愛いんだけど。

「ん、は……えっへへー」
「もぅ。誤魔化したでしょ、みや」
とは言っても、そんな風にみやに笑顔になられてはどうしようもないのがももだった。
正に惚れた弱みである。

「ももだって。……さっきからみやのお尻撫でてるじゃん。もものえっちー」
「……良いじゃない、みやの事が大好きなんだもの」
「……みやも。ももが大好き」
それだけ言ったみやの顔を見るとにこにこと上機嫌。
うん、悪くないよね。もも達はどこまでいっても相棒なんだし。


関東は珍しく深い雪道となった翌日の夕方。TVのニュースはほぼそればっかりだ。
雪は大好きだけど大人としては転ばない様にって緊張して歩き続けたせいなのか、
足腰がよろよろして、歩くのがやっとで、帰ってくるなりどうにかベッドに倒れ込んだ。
ぼふっと布団の上に横たわる。ちょっと休憩しないと息もたえだえだ。
そんなももの姿を見るなりばばちだーなんて楽しそうに言われたって今は反論する気もない。

「だって、ももちゃん疲れたんだもーん」
それでもももには休む暇もないみたいだ。
「えーい」
上からみやが覆い被さってくる。柔らかい重みをくれるいたずら好きな可愛い彼女。

「ちょっ、なっ、なに……!?」
「やだなぁ、もも。もう忘れちゃったの?二人でひとつになるのが相棒でしょ」
「……それってそういう意味だった?」
それはどちらかと言うと恋人の意味じゃないのか。

「いいからいいから」
鼻歌混じりに言いながらみやは私のスカートをめくってくる。

「あ、今日も可愛いぱんつはいてる」
「当たり前でしょ……!」
だって落ち着かないんだもの。って言うか普通の人は外に行くならはいてるもんです。

「まあ、どうせみやが脱がすんだけどね」
「うっさい」
するすると器用に脱がされた。
疲れてるせいで今はあんまり抵抗出来ないから、困る。

「もも、疲れてるんでしょ?みやが添い寝したげるから一回寝よう?」

なすがままスカートのホックも外されて、ジャケットもシャツもなにもかも脱がされて、
二人で裸になってベッドの中の毛布とお布団の中にくるまる。
ふわふわと柔らかくてすべすべの肌と肌が触れ合う。
柔らかなミルク色をしたシーツの中、みやのおんなのこの甘い匂いがして、
身体はすっかり疲れてたはずなのに、なんだか心の底から安らいでしまう。

そうは言いつつも、みやはぎゅっとしがみついてくる。
くんくん鼻をならして、子犬みたいにすり寄ってくる。
良かった。今日は少し甘えたいみたいだけどいつものみやだ。
思わず訊いてみた。
「そういえばさ、どうしたの?昨日のみや、なんだか変だった」
「んー?……ももが珍しくジャケットなんか着てるから、ついうっかり欲情したの」
「なっ。それだけ!?」

みやが服やメイクが大好きなオシャレ番長なのは昔から知ってるけど、一体どういうフェチなのか。
確かに昨日はテーラードジャケットで。今日のはボレロジャケットだ。
先週はこたつで一緒に肉まんを食べてたら突然もう無理って押し倒されたんだった。
何がみやの引き金になってるのかその時は分からない時の方が多いんだけれど。
あっけらかんとした邪気のないみやの可愛い笑顔に思わずくらくらした。

「昨日のが超可愛かった。ダッフルコートも、モコモコしててちっちゃくて可愛いんだけど、
 ちらっと見えちゃったその下のジャケット姿の方が可愛いんだもの。
 あ、今日のも勿論可愛いけど。……昨日みたく着せたままでも良かったけど皺になっちゃうし。
 みやも流石にレッスン中だし今日は筋肉痛になりかけてるから……今は我慢する」
珍しく力説するみやの方が、私にはたいそう愛おしく可愛く見えた。
なんだよ、みやも疲れてるんじゃん。ももの方が欲情しそうなのに。

お互いに我慢すると言いつつそのまま、二人で数えきれない程キスをしたり舐め合ったりウトウトと眠ったりして。
ふと目が覚めた時がほぼ同時だったのか嬉しそう微笑まれて、
もうその日の疲れなんてものはどこか遠くへ行っていた。

肌寒い冬の夕暮れは透き通っていて、二人でのんびり過ごすのにうってつけだった。
すっかり冷え切って冷蔵庫にしまってた昨日のおしることミルクティーはカップに移してレンジでチン。
その日のうちに飲めないとかバカだよねぇって笑いながら、二人並んでのティーブレイクが幸せで。
温かくて甘くて美味しい中身とお揃いのマグカップに、今のみや達みたいだねって言われて、
より一層のぬくもりと愛おしさに言いようがない幸せを感じていた。


終わり


それでは、次回更新は多分移転先から!
しーゆーあげいん☆

この癖はいつか何とかした方が良い

本当に。
書き途中(作成中の為未公開含む)のがいくつもあるのにスレの雑談で高まって来て短編に手を出すとか本当に私は馬鹿なんだと思う。

だって自分で書かなきゃ見たい世界は生まれないじゃない!
今年のみやももは今年の内に。

という訳で。

今週は4人家族の設定をお借りしての歯磨きプレイみやもも(ちびちゃんズ含む)に突入いたしました☆

やべえ今年みやももとさゆりほしか描いて無いぞ…

前半のお子様達のほのぼのプレイからの後半の怒涛の大人プレイで読み終わる頃には質の良い眠りが出来る程の満足感を今回も保証したいと思います(何)
それでは出来上がった分というか前半の途中までですがどうぞ。
あ。リアルタイムで見たい人は狼のみやももスレにも遊びに来てね!


「ももー、二人共終わったよー」
「はーい今行く」

最近はみやと一緒に二人がお風呂に入ってくれるから生活リズムも整ってきて随分と楽になった。
三人がお風呂に入っている間に夕食の後片付けや明日の朝とお弁当の支度や寝る準備を整えるのは桃子の日課だ。

「おかえりー、お風呂気持ち良かった?」
「「うん!」」
「あのね、今日はね、シャンプーグワーッてやって、ママとセーラー〇ーンごっこしたの」
「もぉはね、〇キシード仮面様ごっこ!」
みやが大好きだからってのもあって家にはDVDが全巻揃っているのだ。
懐かしいと二人でちょくちょく見てたらいつの間にか寝る前に全員で見るようになって大分経ち、
今ではすっかりお子様達の方が嵌ってしまったようだ。
まあ女の子達のドラゴン〇ールって言っても良い位超名作だもんね。

「良いな~、楽しかったね。ほら、みやちゃん、ももちゃんと身体拭くよ」
「はーい。わー!バスタオルふかふかー」
「ねー。良い匂いだね」
バスタオルよりまだ小さい二人を一緒に包んで水滴を拭き取っていく。
みやちゃんはもう一人でパジャマをオシャレに着れるようになったけど、
まだ上手に着れないももちゃんはつい先日みやちゃんに手伝って貰うようになってからは、
桃子がすることはお風呂上がりの水滴を残さないようにする位だった。
そのうち二人とも一人で、…二人で居れば何でも出来るようになっちゃうんだろうな。
そんな時が来たら成長が嬉しくてちょっとだけ寂しくなりそう。

お子様達をピッカピカに洗ってくれたみやはと言うと…今度は自分の番だと言わんばかりに、
ほら次、桃おいでーってお風呂の通話機能まで使ってふざけて言ってくる。
キッチンに桃子が戻ったのを見計らってこっそりかけてくるのは長年の付き合いの賜物だろうか。

「…今日はだーめ」
「ちぇー。じゃあまた後でね、もも♪」
「はいはい」

そもそもみやと入っちゃったらすぐにお風呂場から出て来れる自信が無い。
普通に洗うだけで良いのにヘアパックにボディケアにトリートメントと……
確かに気持ちは良いけれど時間的にも精神的にも体力的にも気が遠くなる。
うん……この子達がもう少しおっきくなるか完全なる二人っきりになるまでは無理だ。

それを毎日全てやっちゃうみやはもう鼻歌混じりで一人の入浴タイムを満喫している。
断る理由のもう一つだけど、かすかに聞こえてくるみやのこの甘い歌声が好きなんだよね。
……あ。今日の歌は白いTOKYOかー、…懐かしいな。少しだけ雪も降ったからね。

「ん!もぉの髪きれーになった」
「じゃあ次みゃーちゃんの番。ぶぉーしてあげる」
「わーい」

「ももちゃーん、みやちゃーん、髪乾かしたら歯磨きするんだよー」
楽しそうにドライヤーとタオルで髪を乾かし合っていた二人に桃子は声を掛ける。
二人共いつの間にかみやの乾かし方そっくりになってて自然と笑みが零れる。
……ももママにもやったげるって二人がかりで乾かされてたらみやも入ってくるのはどうかと思います。

「はーい、おかぁさん!」
「うー、もぉ歯磨き苦手…」
「ダメだよぉもも。サボったら虫歯になっちゃうんだよ。そしたら歯医者さんで痛い痛いだよ。
 ほら、みやもやるからいっしょにやろ?」
「むー……痛い痛いはキライ!」
「でしょ?ちゃんとできたらいつものしたげるから、ね?」
「……分かった、頑張る」

一体何をする気なのか。そんな可愛いやり取りを聞きながらお揃いのピンク色の小さな歯ブラシ、
子供用の歯磨き粉に水を入れたコップと洗面器を持っていく。

「かぁたん、もぉにがくてからいのやだよ?」

一人で出来るもんももちゃんもママの使う!ってきかなくて大人用の歯磨き粉を少しだけねと使わせたものの、
予想以上に辛い苦いと泣き叫ぶ大惨事になって以来、すっかり歯磨きが苦手になってしまったのだ。
もはや我が家にはあの手この手でももちゃんを歯磨きが好きな子にさせるのだという使命感みたいなものすらある。

「大丈夫だよー。お家にもぶどうとりんごともも味があるからね、今日はどれが良い?」
「んー……ぶどう!」
「みやちゃんは?どれにする?」
「おんなじのー」

二人の小さな歯ブラシの先端に少しだけぶどう味の歯磨き粉を付ける。
「ほら、みやの真似して」
いー、とかあーって言いながら二人で向き合って歯を磨き出した。
まるで鏡みたいにももちゃんがみやちゃんの動きを真似していく。

「ぶろうのあひすぅね、もぉ。きゃらくなーひ?」
「んう。こぇしゅきー」
「ふぁいろぅぶ?ふぉくみゃでふぁよ」
「んぷ。ふぉぉ?」
「ひょうじゅー」

シャコシャコ。カシュカシュ。
小刻みで規則正しいリズムが二人から聞こえてくる。

「ふぉんどぁふぇー」
「んぁぃ」
「ひゅっくりぇいひよーもぉ」
「んぅー」

お口が泡で一杯にならない様にゆっくりやるんだよーって教えてたけど既に一杯になっている。
こっちはこういうの慣れているとは言えども、このままではちょっと何言ってるか分からない。
ってツッコミが聞こえてきそうだし、何より二人共口から泡が溢れそうだ。
まあ大体お口の中を一周しただろうからこの辺にしておこう。

「よく出来ましたー、二人共一回お口の中のべーってしてからうがいして」
「んぁい」
「ぷぁー」
ヤダヤダが発動した時、きっとみやと一緒じゃないとももはやってくれないから!って、
みやちゃんが洗面器持って来た時はその手があったかと感動したよね。

ぐちゅぐちゅ。ぺっ。
「上手だねー。じゃあもう一回ねー」
ぐちゅぐちゅ、ぺっ。

「もういーい?終わり?」
ももちゃんはタオルで口の周りを拭くとみやちゃんに見せる。
「うん。みやとは終わりだけど、夜はみやじゃなくてママ達にも見せておっきいマル貰わないと」


「そうだよーまだだよー。ももちゃんのお口はママがチェックするからね」
「ママ!キレイキレイするのおわったの?」
「終わったよー。ももちゃんもみやちゃんも歯磨き上手に出来たかな?」
「うー…たぶん」
「みやからはももはお昼もマルだったからね、ママ!」
「そっか、頑張ったね。二人共えらいねー」
バスタオルで髪を拭きながら戻って来たみやが両手一杯に二人を抱きしめる。

「ママ、髪の毛拭いてあげるね」
「もももやる!キレイになーれ」
「わーい。二人共ありがとー」
首に掛けてたバスタオルで両方からされるがままに拭かれてる。
みやときたらこれをされたくって最近じゃわざと乾かさないで出てくるんだから。
親バカだなぁって他の人からは見えるかもしれないけど、
こういう時のみやの顔も優しくって微笑ましくって……凄く好き。

「それじゃももちゃんおいで。はい、ごろーん」
「ごろーん。えへへ。ママの足やらかくてあったかーい」
「(…もももみやの脚好きだからかなぁ)ふふーん。ママの愛情が一杯詰まってるからねー」
「ママしゅごい!おもちみたい…もちもちもち」
「んー。ももちゃんのほっぺも。もちもちももちだよ。ももちゃん可愛いなー」
「ママも可愛い!いっしょだねー」

な、なんだあの空気…。自分自身の小さい姿とは言えどもなんかこう。
みやがいけない事してるみたいに見える。いや……幼児相手に何をそんな馬鹿な。

「……おかぁさん。みやもチェックしてー?」

くいくいっ、と袖を引かれる。そうだった、見てる場合じゃなかったね。

「うん。みやちゃんもこっちおいで。お膝に頭乗せて。
 はい、ごろーん。良い子ねーお口開けて見せてー」
「あーん」

「ほら、ももちゃんもママの足触ってないでお口開けて?」
「あー」

そういや私達って今も虫歯無いんだよね。
この子達の歯を磨くようになってからというものたまに確認して貰ってるけど、
もしかしてこの子達に虫歯が出来たら今の私達にも出来てしまうのだろうかって。
そう思うと二人の仕上げ磨きは自分達の歯磨き以上に気が抜けないのだ。
みやみたいにホワイトニング行ってくる!と言ってはこまめに歯医者さんに行こうとまでは思わないけど。
まあでも流れで、半年に一回チェックと歯石取りに連れて行かれるのは感謝してる。

「じゃあみやちゃん、前歯からピッカピカにするよー」
「ふぁーい」

小さな口を左手の人差し指を添えながら開かせて、歯ブラシを差し入れる。
いつもの様に手前の歯からゆっくりと動かしてやっていく。
小さな歯ブラシを横に傾けて優しく磨く。根元や歯茎の境目を丁寧になぞっていく。
少しだけ八重歯気味な所はみやの小さい頃そのままで
隙間に磨き残しが無い様に縦にも動かして
気持ち良いのか、歯磨きが好きなみやちゃんはいつもご機嫌だ。
まだ小さな前歯を綺麗にしたら次は奥歯。

だけどこれがももにとってはまたくせものでして。
「ひ、はう…ん…ふ」
「いい子ねー」
「うっ…ん……」
奥に入れられるとくすぐったいのと気持ち良いのの狭間なのか、
みやちゃんもつい口が動いてしまうのだ。

取り敢えず今日はここまで!
さて…サイト引っ越しの準備もしておかないと。
ではでは、しーゆーあげいん☆

規制されちまった悲しみず

短編だから大丈夫だろうと思ったのに
NGワードのバカやろう!!!2chはこれだから難しい

wikiでも読めますがこっちにも載せておきます。

夏焼雅生誕祭企画

遅刻組(深夜枠)だしどうするか迷いましたが…折角なので剃毛みやももの二人にしました
短編なのでベタというかバカっぽくほんの少しだけ大人なのよ!(別に本番は書いてないよ?)ですご注意ください

「おっ……お誕生日おめでとう、みや」

目の前に居るのはちょっと声の裏返った桃子さんだ。
今日から改めまして同い年になる桃子さん。
同じ屋根の下で暮らすようになって5か月と少し、
二人共すっかり大人の女性になった桃子さんと雅さん。
外見も内面も若く素敵であろうとお互いに人並み以上に努力していたはずだ。

ただ、今日の桃子さんは一体なんの悪ふざけなのか、
ピンク色のリボンを自らの身体に巻いてベットに転がっている。
いや、ちゃんと服も着てるんだけど手と足は何故かリボンでグルグル巻きになってるし、
もはや絡まって動けなくなって諦めてみやを待ってたとでも言った方が正しいのか。
……それにしても妙にエロい。あまりの光景に頭が一瞬フリーズしていた。

「え。あっ、うん。…ありがと。で、ももはどうしてそうなってるの」

仕事終わりの打ち上げ中に誕生日を迎えるってのは予め伝えていたけれど、
みやとしても早く会いたくて出来るだけ急いで帰宅したのに返事が無くて探したらこれだ。
……一体ももに何があった。……いや、犯人は大体分かってる。

茉麻の誕生日に皆と酔っ払ったノリで私がプレゼントー!とかって、
一度で良いからやってみるかやられてみたいよね~とか冗談交じりに口走った記憶もある。
大方それを聞いてた茉麻辺りにこれで待ってたらみやが喜ぶよとでも吹き込まれたんだろう。
で、自分でやってみたけど絡まったか、
手伝って貰ってた相棒に悪ふざけで動けなくされました、的な所だろう。
どうしてこうももは事あるごとにみやを試す真似をするのか……。

「えっーと、その。……ももからのプレゼントですよー?」

そう言ったももは珍しく黒のオフショルとデニム地のパレオスカートを組み合わせている。
てか、その服。みやのクローゼットの中に最近並べた気がするんですけど。
サイズが合ってないせいなのか絡まって動いたせいなのか、
いつものみやよりも、ももの方がちょっとセクシーな着方になっている。
取り敢えず確認とトキメキを抑える為口を両手で押える。OK、鼻血も涎も出てない。

「……ほどいて良いんだよ雅ちゃん?」

リボンを巻かれていない肩口から見える白い肌がほんのりと色づいていて、
動けないし恥ずかし過ぎてもはや口だけでもふざけるしかないって訴えていた。

そして寝っ転がっているせいでより強調されたその胸の谷間には、
“ももが選んだであろう本来のプレゼントの包み”が挟まっているのが少しだけ見えた。
一体なんだろう。と言うよりも服と言う名の包装紙とかリボンとか、
まずは全部剥がさないと辿り着けないよね。
多分だけどそこに入れるように仕向けてくれた茉麻様GJ!と心の中で拝んだよね。

「あー……そっか、そうだよね。ありがとう、もも。
 今年貰ったどのプレゼントよりも大きいし、誰のよりも嬉しいよ。
 丁寧に包まれてるから時間掛かるかもだけど、……開けるのワクワクしてる」

どうしてももは……みやのドストライクな事をいつもしてくれるんだろう。

何だか楽しくなってきてもものリボンで縛られた足の横に座る。
相変わらずの白さとコンパクト感なももには少し丈が長すぎるみやのスカート。
結び目は飾りだしボタンで留めてるだけだから実は簡単にほどけちゃうんだよね、これ。

「んー、じゃあどこからほどこうかなぁ~♪」

するり、ともものふくらはぎの内側を撫でる。リボンの先端は一体何処だろう。
相変わらず筋肉がしっかりしてて逞しくも少しもちもちした手触りが心地いい。
触れるか触れないかのタッチでスカートをずらしてやっとリボンの先端を見つけた。
膝の後ろから通して太ももの間に挟んでるとは…やるな、もも。
太ももまでしか巻いて無かったから足の方は意外と簡単に取れた。
少し足で抵抗されたけど勿論ついでにスカートも丁寧に回収した。

「はい、じゃあ今度は上ね」

お次は上半身の先端を探してリボンが入り込んでるトップスの中にもお邪魔する。
悪ふざけの延長かクルクルと全身に巻いてたであろうももを想像するとなんかおかしい。

「や、んっ……ちょっと…、みや。触り方、なんかやらしいんだけど」
「そう?……縛られてていつもより感じちゃうとか?
 …それとも。みやの服なんて着てるからドキドキしちゃった?」
「っ、知らないよそんなの」

リボンの先を探してるだけと言いつつ同時にももの手触りを堪能してる。
確かにまあ、わざとだけどさ。

「――あれ?」

先にブラを外そうと手を回したのに背中のホックが見当たらない。
外して緩めてからもものプレゼントを受け取ろうかと思ったのに。
手に触れてるのはリボンが重なり合ってツルツルした生地のみだ。

「わ、ちょっと。待ってみや。ひゃっ、くすぐったい」

抵抗する声を無視して起き上がらせて服を捲ってお腹を出させると……やっぱり。
リボンでブラを作ってみたとか何なの桃子さん。
なんか挟んでるプレゼントのせいでギュウギュウしてるというか色々と羨ましいけど。
どうやら右脇の下に先端は隠してたらしい。グイっと指を入れて引っ張り出す。

「ねぇ。まさかとは思うけど……流石にここに巻くのは自分でやったんだよね?」
「あっ当たり前でしょ、みや以外に触らせたりしないよ」

シュルシュルとリボンのブラをほどいていく。
触れるみやの指とリボンがくすぐったいのか時折身を捩って逃げようとする。

「そうだよね、良かった。…で?その他は?茉麻にでも手伝ってもらったの?」
「……ぅー」
「もーも?…もしかしてちーちゃん?」

よし、取れた。プレゼントもゲット!
ももの可愛い胸も少しリボン巻いてた跡が付いてるけど元に戻った。
服を下す前に見えた固くなってた先端も今すぐにでも可愛がってあげたいけど後回しだ。
みやと同じく3バカの2人のどっちかならば幼馴染だし仕方がない、
ももを縛ってそのまま放置してた事は焼肉で許そう。そう思っていたのだけれど。

「茉麻と話してて思いついたけど……ももだけで巻いたの!
 いくらなんでも誰かにやって貰うとか。する訳無いでしょ。
 最後を腕にして、巻く時口でやったんだもん」

あ、耳真っ赤。一人でグルグルと縛ってた時の事でも思い出したのかな。
自白して諦めたのか最初からずっと握り締めてた両手を開いてリボンの先端を見せてくれた。
バカだねぇと2人で笑いながら最後のリボンもほどき終わった。

「そっか。……でもこれっきりにしようね、すっごい楽しかったし嬉しかったけど。
 みや以外の人が突然来たらどうする気だったの?」

「あ。それは…考えてなかった」
「もう」

一生懸命になってくれるのは嬉しいけどそんなんだから、みやはいつも心配だよ。
ももっていうとびっきりのプレゼントを
「貰ったから誰にもあげないけど」って腕の中に閉じ込める。

「ありがとう。……みやと出会ってくれて。みやの一番になってくれて」
「ももの方こそだよ。生まれて来てくれてありがとう、みや。…お誕生日おめでとう」

自然と背中に手を回してしがみついてくるももが愛おしくて、
ずーっとこのままで居られたらどんなにか幸せだろうって思う。

「……ケーキもあるよ?イチゴの、おっきいやつ」
「うん」
「あ、あと。んっ…みやの好きなピザも作ったんだから。まだ具乗せただけだけど」
「うん。大好き」

それから、それからって準備したのを一杯報告してくれるももとその度にキスを繰り返す。
ももと一緒に今日はずっとゴロゴロするから一緒に食べようねって言うとニコニコしてくれた。
この顔を見る為ならみやは多分何でもしちゃいそうだ。

「あ、そうだった…これ。開けて良い?ももが選んでくれたんでしょ?」
「そっ!」
随分自信があるのか得意気な顔しちゃって。
丁寧に包みを開くと中に入ってたのは3本の口紅と小さな小瓶。
赤とピンクとオレンジがかったベージュの口紅に、ボディミストは最近買おうか迷ってたやつだ。

「一度塗りでも結構長持ちするんだってそれ」

「そうなんだ、一杯使うから嬉しい。こっちも好きな香りだし。
 ありがと、もも。…ね、これ、今使ってみて良い?」

「へ?あ、うん。勿論良いけど、って……あ」

3本の中からピンク色のを取り出してくるりとももの唇に塗る。うん、良い色。
ももはメイクあんまりしない方だけど、似合ってる。

「……みやはこれ使う時、こうやって付ける事にするから」

重ねた唇とももの身体から同じ色を受け取って、今日からみやはももとまた同い年になる。
この口紅達が無くなった頃きっとももの誕生日が来るからももの好きな色を贈ることにしよう。
そしたらみやにも同じように付けてくれるよね、もも?


END


最近文章量書き過ぎてたし何度か投稿試したのが良くなかったのかな…
多い文章を3レスに纏めようと挑戦したのがNGワードに引っ掛かった敗因と見られますw

スマホは無事ですので保全は出来るけどサキュびちゃんも君シリーズも解除後だなぁ…いつも通り2日位で解除されると良いんだけど。

ではでは、しーゆーあげいん☆


http://shirayuki.saiin.net/~night-market/tenichannel/diary.cgi
http://haruka.saiin.net/~lis/100/diarypro/diary.cgi?no=87
http://haruka.saiin.net/~lis/tb/diarypro/diary.cgi?no=1
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http://tamaco.saiin.net/p/archives/38.html
http://tamaco.saiin.net/iCHiGONiCO/2CO/diary.cgi?no=28

文ばっかりでごめんよ

サイト編集してる時間ねぇええええええええええええ(おい)
夢魔みやもも(サキュびちゃん(仮)の方)話まで書き始めてる犯人は実は私ですとか何なの。
みやもも話を書いてる時間はあるようです。どういう事なの。

きっと仕事とかで遊べてないストレスがクライマックス

例の絵はもうちょっと待ってて下さい。
リクエストが他になかったので出来上がったら報告に参ります(私信)

至近距離で見た雅ちゃんとにへひかに骨抜きにされて結局いつもの祭りに日程を過ぎるという体たらく。
だってもう超可愛かったんだもん・・・・。

という訳で今夜はスレ見てたらピコーン!ってきた読み切り短編置いておきますね。リゾスレのも書かんと過疎ってしまうな…頑張りまーす



「ね、ももは何処か行きたいとこある?」

夏の期間中押し寄せたイベントも何とか落ち着き、9月の半ばに3日間だけどお休みが貰えた。
どうしようかなってパパ達にも何処かに行こうかって相談したら、
パパ達はいつも雅と一緒だからみやの好きな事や人の為に時間を使いなさいって言われてしまった。
そんな訳で旅行雑誌とか見ながらももの部屋でどうしようかなって相談中。

ももの部屋には以前はもう使ってないって言ってたハートのギターが綺麗に飾られていた。
クラリネットも磨かれていて暇潰しで演奏してるらしい。いつか聴かせてくれたら良いな。
最近何してんのーって聞いたら大学院に進む準備中って言われたけど、大丈夫らしい。
頭も良いし愛嬌もあるし何処に行っても大丈夫っていう例のアレ。流石だと思う。

「そうだなぁ……あっ!海!行きたくない?」

「珍しいね、ももが海行きたいなんて。んー、何処の海が良いの?」

「沖縄!!」

片手を勢い良く挙げちゃって、もうみやと行く気でいるんだろう。
なんだか嬉しそうだしみやも嬉しい。

「また?好きだねぇ。でも今年撮影で行ってたんでしょ?バレない?
 どうせ飛行機乗るならいっそ外国の方が良くない?」

「大丈夫だって、人の噂も75ももちだよ。
 髪も切ったし地味な服着てみやが空港で大人しくしてればバレないバレない。
 外国とか言葉も大変だし飛行機の時間長いし通訳さん頼んだりしたら面倒じゃん。
 それに他の海じゃもう時期的に泳げないし、ご飯も美味しいし」

75ももちはともかく。……そんなに居たら色んな意味で困る。
行く国にもよるだろうけど、それもそうか。使える時間は多い方が良い。
確かに泳ぐの好きだもんねぇももって。…浮き輪持って行こう。

「……そんなに時間経ってない気もするけど。ももが良いならまあいっか。
 ところで、ももさんは?家族と旅行とか行かなくて良いの?」

「それはそれ。ももは時間あるしパパ達とはもうちょっと混んでない時にするー」

ももちゃん人が一杯居るの少し苦手なのーってあなた、
だいぶ人に囲まれて生きて来たでしょうに。

「そっか。んー、お休みは連休直後だけど…混んでない方が良いならもう少し後にしようか?
 前日のお仕事も早めに終わるしそのまま行くつもりだったからきっと帰宅ラッシュだよね」

「えっ、うう。我慢するよ。……みやが何処が良いのって聞いてくれたのに」

ぷくーって口尖らせて膨れてる。上目遣いで見るんじゃありません。
本当にもう、可愛い仕草ってのが染みついてしまってるももは本当に厄介だ。
ほっぺを片手で掴んでプシュンってイメージで風船ももちをしぼませる。
ももの口から「ぽふぅ」って音がした。
なんなのそれ。本当に空気が入ってるとか可愛すぎか。
そのまま手で顔を上に向かせてチュッと尖ったままの唇を奪ってやった。
不意打ちに驚いて固まってそっから段々真っ赤になって俯いちゃうももの顔、いつ見ても好き。

「ごめん、そんなつもりじゃなかったけど、意地悪したね。
 やっぱり行こっか沖縄。泳げる内にももと一緒に行きたい」

「…むぅ。このツンデレ雅」

服の裾をそっと掴まれる。もっと、っていうももの合図だ。
まだ面と向かって聞いたこと無いから分かんないけど、
こういう時のももはちょっと不貞腐れながらも甘えてくるからそうだとみやは思ってる。

「ツンなんてしてないってば。……ももは?みやと、来てくれる?」

言いながら目の前ギリギリまで近付いておでこを合わせて、
言い終わると同時に薄い唇が動き出しそうなのが可愛くてキスしてしまった。
返事は分かってるんだけど、待てなかった。ごめん、もも。

「んっ……行く」

「良かったー、じゃあみやはもう予約しておくね。ももは?一人で出来る?」

「えっ?飛行機だよ!?出来るの、みや!?」

あ、なんか尊敬の眼差しで見られてる。
みや格好良い…なんて溜息交じりに聞こえる。うん、悪い気はしない。

「ちょっと。…みやが一体何回旅行に行ってると思ってんの。
 ももよりは人並みの事出来るから。ったく。……ふふっ。
 分かったって、そんな目で見ないの。教えたげるから一緒に予約しよ?」

待って待ってみや!置いて行かないでと引っ付いてくるももの頭を撫で撫で。

「おお……みど窓でも右往左往した世間知らずなももにもなんて優しいんだ……
 雅ちゃん大好きだよー!」

「はいはい。もうちょっと真面目に言ってくれるとみやも嬉しいんだけどね~」

その後は予約の仕方をももに教えながら日程と座席を決めて。
行きたい所とかやりたい事とか話してたらその日はあっという間に終わってしまった。


…と、まあ。そんな事もありまして。
着いた初日は仕事後なのもあって……夜だったからホテルでちょっと…だいぶいちゃついた。
のんびり起きた私達は今日から絶賛沖縄の海を堪能中!…のはずだったんだけど。

「サメさん…イルカさんだったら良かったのに」

サメが迷い込んでるので海辺には絶対に近づかないで下さいって注意放送が流れている。
確かに少し遠くの沖に三角のヒレがピョコピョコ出たり入ったりしてる。
まだ遠いけど海の中で音がすると獲物かと思って近付いてきちゃうからダメなんだって。

「折角、二人共可愛い水着持って来たのに」

残念ながら本日は着替えるには至らなかった。
元々午前中だけ泳いだら午後は買い物しに行こうって決めてたから予定はそんなに困らないのだけれど。
問題は完全に泳ぐ気で居たもものテンションだ。

「うーん、まああと2日あるんだから大丈夫でしょ。
 明日は念の為、反対側の砂浜に行く事にしよう?」

ももは撮影で行ったことがあるから違う所にしようってこっちに来たのは失敗だったな。
なんか折角旅行に来たのにももがしょんぼりしてるとみやまで悲しくなってきちゃう。

「うん…」

小さく返事するとしゃがんじゃった。ぼーっとしながらサメさんを見詰めてる。
あ。今度は下を向いて砂浜を弄り出した。これはいよいよヤバい。

「仕方ないよ、サメさんもそろそろ秋だし良いかな~って遊びに来ちゃったんだよ。
 ほら、拗ねてないで。…来ちゃったんだし折角だから少し砂浜で遊ぼうよ?
 …そうだ!お昼ご飯はももの好きなのにして良いから」

これでも動かない。もも、どうかご機嫌を直してよ。
そう思ってももと目線を合わせようとしてももの右側にしゃがんだ。
何か考え込んでるももの横顔に一瞬ドキッとする。


「もも?どうかした?」

「みや。左手、出して」

「え?」

言われるままに左手を手のひらを上にして出す。
それを見てようやくフワッと笑ったももの左手がその上に重なる。
何か握りしめている。なんだろうと思って首を傾げたらももの右手が頬を撫でる。

手を見てそのままももの顔を見たら息が詰まった。急に愛おしそうに見つめないで。
まさか。嘘でしょ、もも。こんな所で、そんな。みやにだって心の準備ってもんが。
こういうのは、みやがしようって思ってたのに。

案外その、突然過ぎて恥ずかし過ぎて。
ももって本当急に漢らしくなるっていうか。
いつもだったら、よっ!流石ももち太郎!とかって茶化しちゃいそうになるけど、
2人っきりでそんな真剣な顔されたら出来ないよ、もも。

「みやにプレゼントがあるの」

あ、駄目なやつだ。本当。そんな優しい目されたら泣いちゃいそう。

「もも…」

「貰ってくれる?」

「…勿論」

そっとももの左手が開かれてずらされる。
そこにあったのは小さな、とても小さな――


薄紫色の貝殻を背負ったヤドカリだった。


「……ってちょっと。…ももぉぉおおおおお!?なんでヤドカリなの!」

「えー、だってヤドカリ君居たんだもん、可愛くない?みやだって好きでしょ?」

「…好きだけど、っ……好きだけどさぁ…ああ、もう。……はぁー。そっちかぁ……」

ヤドカリ君を見ながら一気に脱力したみやをキョトンとした顔でももが見てる。
自分の事になると本当、鈍感って言うか自由だよねももって。
勝手に期待したのはみやだけどさ。

「どうしたの、みや?」

「別にー。可愛いね、ヤドカリ君も。綺麗なの背負ってるし」

でしょー?って嬉しそうに言って何か見つけたのかまた砂浜弄ってる。
すっかり子供にかえってしまったももはこのまま暫くの間遊び倒すつもりらしい。
千奈美じゃないんだからまさか穴を掘る訳は無いし。砂のお城でも作る気かな。
あ、相合傘…いや、まあ良いけど。上手に出来たのかみやーってニコニコして手を振ってる。
投げキッスを返してやったら同じように返って来た。
……可愛いから良いか。

楽しそうなももに怒る気もすっかり抜けちゃったから座って遊んでるももを遠目に見る。
今度は一生懸命にウロウロして、何かを探してるみたいだ。

「………ちょっと期待しちゃったみやが馬鹿みたいじゃん」

ねー、って右手の上でこまごまと動いてるヤドカリ君に話しかける。

「好きだけどさぁ、……そう言う所も全部好きだけど」

みやも大概悪戯好きだけどももだって昔からそうだった。
そんな事もすっかり忘れてつい勘違いしちゃったみやが悪い。
どっちかがちょっとへそ曲げたって暫く一人になったら寂しくなってくっついていつも通り。
そうだよ、それでいい。

「みやー」

「…なぁに」

ヤドカリ君を相棒にして暫くツンツンしてたら、ももが左側に座った。
チラッと見たらなんか口がへの字になって泣きそうな顔してる。
勝手に拗ねてももを一人にしたみやが悪いみたいじゃん。

「ごめん、からかったり、みやの事一人にして」

ツンツンしていた左手をギュッと握られる。それだけで全神経がももに向いてしまう。
右手に居た相棒が今だ!って感じでポトッって落ちて逃げていった。
バイバイ、短い間だったけどありがとうねヤドカリ君。

「……怒ってないよ」

みやをからかった自覚があったなら良いや、今日は騙された。
ももの勝ちだよ。

「みや。……みや」

握ったままの左手を持ち上げて期待してしまった薬指に、チュッと唇が何度も落とされる。
10を超えた辺りで強めに吸われ、15回目で甘噛みされた。
最後に優しくキスされて、ずっとみやが好きって聞こえてくる。

「もも…」

そっとももの唇から離された薬指はそこだけが濡れて、うっすらとピンク色に変わっていた。
ももに甘噛みされてキスされた跡が指輪みたいに収まっている。
すぐに消えてしまうだろうけど。そしたら何度だって付けてくれたら良いだけだ。

「えっと。指輪じゃ無いけど。……みやのここに。みやにこういうキスさせるのは、…ももだけにして。
 ……あと、これ!綺麗だったからみやにあげる。帰ったらアクセサリーにでもしてよ」

そう言って押し付けられたのはハンカチの包み一杯に詰め込まれた綺麗なピンク色の貝殻。
巻いてるのとか長いのとかちょっとキラキラしたのとか。一生懸命に集めてくれたらしい。
泳げなくてみやもがっかりしてるんだと思って笑わせようとしただけだって分かったけど。

「分かった……ももにも作ってあげるよ」

「えー、アクセサリーとか付けないよ、もも。知ってるでしょ」

「そうじゃなくて、こっち」

グイっと左手を引き寄せて薬指の付け根にさっきされた様に、それよりももっと強めに口付ける。
みやの方がきっとももの事好きだから、ももにだって負けたくない。
これならずっと付いててもそんなに目立たないし邪魔じゃないでしょ?

「ほら。これでみやとお揃い」

みやより色が白いから今はハッキリ分かっちゃうけどその内薄くなるよ。
ももは指を見ながらだいぶだらしなくにやけてるからOKって事だろう。
こういう時隠し事とかできなくなるももの事好きだよ。

「……っとに、…みやはももの事が大好きなんだから。……ももも好き」

「うん…知ってる」

みやがももの事が好きだって事もその逆も、否定しないし知ってる事だし。
まだ旅行も始まったばっかりだからさ、
いつもみたいに小さな喧嘩位しても良いけど毎日楽しくいこうよ、もも。

……今日はみやの事、ももの好きにさせてあげるね?
そう耳元で囁いて、一気に真っ赤になったももと手を繋いで砂浜を後にした。


END

お粗末様でした。4500文字くらいです。
あと2つ途中にしてた短編も書かないといけない。
少しずつ並行して片付け中です。

尚、スレでの新連載の夢魔みやももは作者バレしない様に昼は真面目に夜はくっそエロく自由に書きたいと思います。
えげつないネタばれ:作中のみやびちゃんは愛欲の魔王○トリーの能力設定だけがネタ元です。フール○ールも力被ってんですけどね・・・
何故か長編にまとめられてもうたので他のシリーズもの同様頑張るしかないのですが・・・ざっくりとした展開は考えたけどオチもまだ決めてないのでもう私の脳内妄想だけが頼り(おぃ)

サイトの編集もだし子作り編も君シリーズのラストも書かんとあかんのに何やってんだ本当。

嗚呼、誰かリゾスレまとめの編集やっててくれ!w
・・・・・・・はぁ。まあコツコツ頑張るよ。うん。

ではでは、しーゆーあげいん☆

あー

ファイル 240-1.jpgファイル 240-2.jpgファイル 240-3.jpg

ペース早過ぎて人が増えたのは分かるんだが、
どうしたことか荒れやすいねぇ最近みやももスレは…(苦笑)
ちょっとお前らスルー検定受けておいでね?と思いつつ。


…誰かの事を嫌いとか不快って言ってたらいずれ自分に返って来るよ?
そう学校で習わなかったのかな、…可哀想に。
まあ、作品書くとき以外相変わらずスルーはしてますけど、ハロメンやみやももの周りに居る人達を好きになれない残念な心を持っている人を見ると悲しいものですね。
最近見かけてるアンチはん?1人か?と思ってます。
この長い人生・・・、もっと凄いアンチだとか裏切りも体験したも事あるからネットの、それも今の狼程度では何とも思わないけどww

本当、人間としてじゃなくて、ただ女の子をしてる人って怖いもんで。
結局は嫉妬という負の感情なんでしょうけど、裏で何言われてるかなんてたまったもんじゃないよねぇ。病んでると言うか。
うーん・・・上手く伝わりますかね?

嘘を重ね塗りして自分を殺して隠すような人生なんてまっぴらだ。
生き様が納得できない美しくない人生とか冗談じゃない

こういうストレートな、明るく裏表のない考え方ってのは多分みやももどっちも持ってそうですけど。
勿論、それを出すか出さないかは別として。
……本当、こういう部分までもヲタは推しに似ればいいのにね?


まあ、私自身も色々あって人間とはもう深く付き合いたくないカナ☆って人になってしまったので‥‥いつも通りハロプロだとかみやびちゃんを応援してる方が気が楽ですし人生が充実してると思います(苦笑)

カントリーのどーだっていいの。とかマジ名曲。

そうですね、私の夢は…いつか才能の無駄遣いの集大成を作る事です。
自分の血を残すより、後悔しない様に美しく生きて何らかの才能の爪痕を残してそれから笑って死にたい。そんな風に思っています。

本当に、何かを表現することに人生を捧げたいから他の事なんて
どーだっていいの


さて。
そんな訳で真面目な小説スレ(!?)もとい、リゾスレのもちゃんとやろうと思いました。
また編集貯めるとか何度目だよ!って思うけど。仕方ないんや。


・・・・・・本当はスレスピードとか編集をしばらく気にしなくて良い新狼だとかおーぷんに行きたいんだ。行かないけどさ。

脳の割合が偏ると、CP話か真面目な話かどっちかが書けなくなります。
まだまだ精進しなければなるまい。

折角PINK現場でみやにへひかの可愛さを堪能してきたので・・・
メイン1本含めて3本は書き溜めっぱなしだ。動画も途中だし。
お祭りの絵も描かないとあかんあかん。

この真面目とエロとギャグのふり幅こそが長続きの秘訣かもしれないしそうじゃないかもしれない。
今日から来月一杯はちょっと、定休日以外フルで入らないといけないので・・・。
まあ自由に、のんびり描きますんでお待ちいただければと思います。
仕上がったものを見てくれた時に、イゴーさんの普段は使い道のないIQ148(ネット測定)の有効活用頭脳の無駄遣いキタコレ!となれば良いやと思ってる。

真面目なのだとか推理小説でも書けばいいのでしょうけど…
まだ修行中の身ですしおすし。描きたいもん書くんじゃい。


あ、ピンクレ現場は最高に面白かったし雅ちゃんがめっちゃ近過ぎた上に3人から手を振って貰って萌え死にそうです。投げキッスにみやビームも食らいました。もう死んでも良いって位には美し過ぎたし格好良いし歌声が大好き過ぎるし優しいし何より可愛すぎた。

死なないけど。

もうまたピンク現場行きたくなってしまってる位には#みやカワ
みやびちゃんがめっちゃ素敵なにへひかのお姉ちゃんだった。
知ってたけど!……更に雅ちゃんが好きになるわこんなん。

目に見えたみやびちゃんのリーダー像は、べリでの分け隔てなく愛を注いでるキャプテンとBuono!での一緒にふざけて全力で楽しむももとカントリーでのメンバーの成長を見守るももの感じを足して、雅ちゃんの中で更に大切に育ったって感じと言いますか。

上手く言えないけど、夏焼雅はやっぱり飛びっきりの良い女というか。
本当に素敵な大人になってくれたなぁって思いました。
学校でのどこか退屈なお勉強はともかく。
人生の大事なお勉強は一杯してるみやびちゃんマジみやびちゃん。


某氏には当日券絶対あるよって言ってたのに。売ってたのに。
いやー、本当あの大人なのよ!な光景が見れてないとか残念だわー。
開始直前まで時間つぶしに付き合ってくれてありがとうみやヲタさんとおとももち。

ガチで雅ちゃんの外見も歌も心も美しすぎて、正直骨抜きにされた。
だってBuono!コンの時より近いんだもん。
3m位先に居たとか信じられん。
目元のラメメイクとかまで観察しました。みやびちゃんみやびちゃん


……まあ、佳林ちゃんとやなみんに怒られるもんね、シカタナイネ。
次もしピンク現場あったら、DDなら。
後悔は絶対しないんで来て下さいね?☆(何)
私は行きませんけど。この後連日のハロコン頑張って下さい。


いやー、しっかしニコニコしてお手々振ってくれる3人が可愛すぎた。
女性限定エリアへの爆レスが皆嬉しそうで楽しそうで良かった。
それだけで生きていける。本当3人共可愛すぎた。
ほぼ全編居てくれたDJ.JURIさんも格好良すぎる。
ダンサーさん達もパねえ。最後らへんとか気付いたら近くに来てくれるダンサーさんにまで手を振ってたよ。
それでもニコニコしてくれて嬉しかったですw

にへのダンスも空手チョップ(ちょっと枕投げて貰ってからの歌いながらのチョップには苦戦してたのすら可愛い)キレッキレでした。
マジであの空間、最高だった。
にへひかのデュエットも綺麗だった。
武道館とかBuono!の時は息切れしてたけど、今回マジで2人共歌が、パフォーマンスが凄いレベルアップって言うか、雅ちゃんにも負けず劣らずな感じに仕上がってて!

ラップのひかる最高かよ。

あと驚いた事にいつものハロ系のホール現場と違って殆ど汗臭くなかった。
流石はシャレオツ系が多めな精鋭みやヲタ達。
・・・まあ自分居たの限定エリアだったからかもしれないけどね?w
ライブハウスだって言っても700人ちょっとは入ってたらしいですよ?
ステージ上には少しだけミストかかってて涼しかったってのもあるのかも?

さて。今回のハイライト

ピーンク!(クレス!)のコールを初単独LIVEでPINK!だけで行くのかどうするのかと思っていた所、しっくりくる感じに即興で作り上げるベリヲタの結束力たるや。(千奈美と愛理が上からクレス!のタイミングでサイリウムを振ってめっちゃ我々を煽っていたことを報告しておきます)

ノノl∂_∂'ル<ピンクコールありがとー、PINK!PINK!って凄かったーどう来るんだろうなーって裏で色々聞いてたんだけど、にへなんて盆踊りっぽくアレンジ効かせてくるんじゃないですかねなんて言うし
(台詞はうろ覚えだけどこんな感じ)

( 我々)oО(ん?あれ?クレスは?)

)<クレスはー?
)<クレスも言ってたー

ノノl;∂_∂'ル<えっ?何?PINKってだけじゃなくて?
(この時の雅ちゃんがめっちゃ可愛かったみやびちゃんみやびちゃん)

ひかるにはクレスがイエスに聞こえてたらしく。

雅ちゃん達から待って待って、皆もう一回やって!とのお願い。


そして再び。ノリノリでピンククレスコールで盛り上げる我々。

さっきよりクオリティが上がっていて草不可避


ノノl*∂_∂'ル<ヤバい!え、皆、これ今決めたの?凄い!これ好き!良いと思う!

ってなわけで。
3人からのお墨付き頂きました!
次回から現場はおそらく…ピ~ンク!(クレス!)の合いの手付きコールになると思われます。

あと雅ちゃんからにへひかへのお手紙とか、
Yuccoさん(PULATINAMU)からの3人の印象のお話だとかもありました。
愛に溢れすぎてて本当に無理を押し通してでも行って良かった。

一人で行って来たPINK CRES.初単独。もう本当めっちゃ楽しかったです。


ノノ|*∂_∂'ル<…うちら持ち歌、9曲しかないんだよねー


いつ聞いてもこの残念そうにニヤニヤ笑う雅ちゃんのノリ、いつものべリっぽくて笑う。
まあ曲が少ないって事で何をやるんだろうなって気にはなってたんですけども。Yuccoさんの所の曲を数曲カバーしてくれて、初めて聞くものの良い歌ばっかりだった。
多分10年くらい前の曲なのかな?後でちょっと調べてみます。
楽曲提供もしてるし、後継者的な扱いで居てくれる先輩が居るっていうのは雅ちゃんの垣根のない人付き合いのおかげでもあるし、良い所だなあって思います。

ノノl*∂_∂'ル<インスタグラムって本当凄いの!


確かに!!!雅ちゃんまさかのスヌーピーとのコラボ。
USBコーデ…じゃなかった、USJコーデはこれで完璧!

詳しくは雅ちゃんの本スレとか 銀座三越 夏焼雅 スヌーピー とかでググって下さい。欲しい方は今なら電話注文できます。
インスタばっかりと思ってたものの、人脈作りと基礎力UPのこの1年間は決して無駄じゃなかったって訳だ……


あ、お察しの通り限定エリア内だったので。
真上には千奈美と愛理が居ました。
残念ながらももちゃんは…ステルス機能が高すぎて我々の目ではとらえる事は出来ませんでしたが。
めっちゃ乗り出して雅ちゃんを見てるちーちゃんと愛理可愛すぎか。
千奈美と愛理にお手々振ったり投げキッスする雅ちゃんまで見えた。
キッズの絆、可愛すぎか。

なんかもう色々語りたい気もするけど、
ピンクレがツアーしてくれるようになるまででも、それ以降も。
微力ながら支えてあげたいと思いました。


本当、PINKLIVEが夢のように可愛くて、楽しかったです。


ではでは、今日はこの辺で!しーゆーあげいん☆

コメント一覧

ぽろ (08/10 07:24) 編集・削除

地味にちなあいりが不思議なところで雑談してる話を℃-ute現場で聞いてニヤニヤしてるやなちゃんさん(前髪モード)ヲタ…ということになってる?私ですがw
先日は遠征お疲れさまでしたー。
ライブハウスは身長的な問題で何度か痛い目見てるのでタイミング見ながらですが。ピンクは何度かアルバム発売イベント行き損ねてるので、今度はいつか!とは思ってるんですけどねー。

あ、新幹線に忘れた帽子は、翌日東京駅の忘れ物センターに届いてましたw

イゴー (08/21 00:17) 編集・削除

お疲れ様でした。当日券あったのにね…|д゚)チラッ
ちなあいり(真上に居た)と楽しむピンクちゃん達のライブ、めっちゃ楽しかったよ?(*'ω'*)

いつかと言わず東京でピンクは一杯イベントあるじゃないですか…行って来て下さいよ代わりに!!!(血涙)
※物理的に何度も見に行けなくて悔しいという欲求不満が最近のみやもも文に若干出ています

忘れ物、見つかって良かったです。
ぽろさんはしょっちゅう遠征するんですから気を付けて下さいねw

またエロかよ!

皆様こんばんは。お元気ですか?夏バテしていませんか?
夏バテはしないけどもうこの暑さに負けてしまいそうです。
夜寝苦しいせいで背中が痛いwww

来週もクーラーの利く部屋に避難しようと思います。
さて、みやももスレの流れが真夏のみやもも祭りだったのでちょっと悪ふざけしてみました。エラー出そうなので全文掲載。
ダ・カーポも一応書き終わりましたので、もし涼しくて出来そうだったら次のお休みの時に更新しようと思います。
お墓参りもしなければならない。

23日はピンクレLIVE行くしなぁ。それまでにはなんとか。

気になる方はみやももWikiに最後までのっけてきましたんで、先にそっちで読んで貰って構いませんw

でもってリゾスレのログもチャットのログもやってないや・・・つらみ。
書いてる途中のも一杯だし。まだ7月なのに馬鹿みたいなこの暑さがいけないんや・・・

安定のエロ差は保証できますが、道具は邪道!派な方はまあ、スルーしていただければと思います。
ざっくりあらすじを表現すると、ももちゃんの騎乗位練習からのみやもも対面座位のお話です(おい)

自由に書きました。大体13000字なので一気に読めるかと。

それにしても・・・・これは酷い
真面目からネタギャグのテンションの落差をお楽しみ下さい。

・・・・みやももスレ住民の人は子作り大作戦!?も支部のみやもも漫画も実は私が並行して書いてるなんて思ってないんだろうなぁwww(遠い目)
1つに夢中になるともう1つの更新が止まるのはいつも通りです。
同時編集できなくて本当すいません。

剃毛みやももと君のシリーズ、実は書いてるの同じ人ですよ?とはそっと教えておきましたが・・・
沢山のみやもも住人を欺けた翻弄出来てたことにちょっと快感を感じました。
ダ・カーポに縦読みギミックがあるよってヒントを書く前に気づいてくれた人が居て嬉しかったです。


それにしても…イゴーさん変態かよ。
うん、知ってた!な方だけお進みください。


それではどうぞ


毎日飽きもせずに顔を出す太陽を嫌うかのようにぴったりと窓と遮光カーテンがしめきられた一室。
数多のアイドルを志した者の中で「ももち」というゆるキャラ的な肩書きを持つ嗣永桃子の部屋だ。
彼女をよく知る者にとっては周知の事実だが、家での桃子は気が付けばバスタオルを溜め込んだり、
普段はあれだけ隠し通しているおでこと眉毛を、前髪が邪魔と言いつつ縛って出していたり、
休日ともなればお昼過ぎまで平気で寝ていたり、お気に入りの推理小説やら雑学本を読み耽ったり、
普通の人が家ではリラックスするように、基本的にインドア派な桃子も、気を抜いてだらけている。

しかし、部屋の中で明かりは一切灯さず、今日の桃子は枕を前にして一人ぶつぶつと呟いていた。

「やるべきかやらないべきか…。いややってみた方が良いよね。ああ、でも…」

彼女は今日は比較的少なめに予定された一日の仕事を終え、少し疲れた体で部屋に戻ってきた。
ズボラだと口では言いつつも昔からの習慣もあって基本的には綺麗好きな彼女の事。
戻ってきて早々お風呂に入り体を清め、今の姿は下着の上にピンク色の大き目のTシャツを羽織っただけの格好だ。
普段の彼女であれば早々にご飯を食べて寝る準備を整えたらさっさとくつろいで、
本を読むのにも飽きたら明日の仕事の為にもあっという間に眠りに就くはずなのだが、今日はいつもと様子が違う。
一体全体、趣味の一つともいえる程には睡眠と読書が大好きな桃子に何があったのだろうか?
その理由を知るためには、三日前まで遡る必要がある。

おっと、今度は桃子が枕を抱きしめ始めた。
急いで桃子の過去を振り返ってからこちらに戻るとしよう。

三日前の深夜。

やはりその日も桃子は予定された全ての仕事を終えて、疲れた体で自室に戻ってきた。
しかし今日と違うのは、恋人である夏焼雅が待っていて、抱きしめて出迎えてくれた事だ。

「もも、おかえり。お疲れ様。ん?…ちょっと疲れてない?お腹は?」

「ただいま、みやー。大丈夫、そんなに疲れてないよ。ご飯もしっかり食べて来たし」

実際その日は日付が変わってからの帰宅で相変わらずの激務に追われ、
桃子はすぐにでも寝てしまいたい程には大層疲れていたが、嘘をついたのには理由がある。

桃子の恋人である雅は、桃子の事をとても思いやっている。
桃子が疲れていると言えば、折角の恋人同士の夜だというのにもかかわらず、
底無しの優しさとテンションが服を着て歩いているような雅の事だ。何もせずに眠りにつくであろう。
一緒のベッドで、肩を寄せ合って、おやすみのキスを交わして、
安心しきった桃子が眠りにつくまで優しく頭を撫でてくれる。

ただそれだけでも十分過ぎる程に幸せな事には変わりはないが、この日の桃子は雅と寝たかった。
勿論、性的な意味でだ。

だから桃子は雅に久し振りに嘘をついた。
雅は桃子の嘘をなんとなく見抜いていたが、
桃子の次のスケジュールはお昼過ぎまででも寝ていられる折角のお休みの日だ。
嘘をつく理由さえも見抜いていた為に、桃子の嘘には気付かないふりをした。
おそらく、彼女も桃子と寝たかったからに違いない。
それにきっと、大好きな恋人が自分と寝たいと思っていてくれるのは嬉しいのだろう。

「そう。なら良かった。あ、お風呂沸かしておいたけど」

「わぁ、ありがとう!えっと、それじゃもも、お風呂入ってくるから。…待ってて?」

「うん。ゆっくりしておいで」

桃子は雅の頬にキスをして、浴室へと向かった。

お風呂で桃子は頭を洗い、体を洗い、適温の湯船にゆったりと浸かり、そして最後にムダ毛の処理をした。
元より体毛は処理を重ねた結果、整えている方ではあるのだが、これから世界一愛しい恋人と体を重ねるのだ。
少しでも綺麗な姿を見て欲しいという乙女心だ。

なんといっても魔法でも使ってるのか何だか知らないが、
雅は腕や脚、脇等無駄な部分に体毛は一切生えておらず、
全身を永久脱毛済みかのようにそれはもうつるっつるのすべすべなのだ。
二の腕や太ももどころか全身が、桃子の手にそれはそれは吸い付くかのようにもちもちももちしている。
と言っても太いという意味ではない。桃子にとってずっと触れていたい程極上の触り心地なんだそうだ。
その上冗談でもなく、うぶ毛的な毛穴すらも殆ど見えないのだから。

なんでも本人も何時になったら無駄毛が生えてくるのかすらも分からないらしく、無毛症、なんだそうだ。
普段処理してるのは顔のうぶ毛と鼻毛位?とかってサラッと言われた。なにそれ羨ましい。

ともかくそんな浮世離れした相手に剃り残しを発見されるわけにはいかない。
そんな事実も知らずに雅に全て剃られた上に初めてを捧げた事があったのは……良き思い出だ。
桃子はあの日ここで雅にされた以上に。とても念入りに、カミソリを滑らせた。


桃子がお風呂から上がり、桃子の部屋へと落ち着くと、
待ちきれないように互いに触れて、口付けを交わしながら二人はベッドに倒れ込んだ。
桃子と雅は、あれから季節を五巡する位の期間は、想いを通じ合わせていた。
そして結局、恋人同士が行き着く先は、夜の交わりである。

二人はマンネリなどというものは全く感じていなかったが、気力も体力も充実し好奇心旺盛なお年頃。
雅のそっち方向にはやけに詳しく義を重んじ口が堅い貴重な友人達から与えられる知識も相まってか、
それはそれは初心だった二人も年を取るごとに色々な事に興味を注ぎ、実行していた。
名実共に大人となった今、二人がハマっているものは、まあ、良くある挑戦というかプレイの一環だ。


更に遡って三年前のある日の事。

酔ってるんじゃないかって程、嫌な予感がする位やたらハイテンションな雅が、
「ジャーン!見て!もも!興味本位ってかさ。つい買って来ちゃったんだけど…どうする?」
と言って照れながらも冗談半分に笑いつつ開けた箱の中身は。

可愛らしいピンク色に染色され、V字型に曲がった所謂双頭ディルドーと呼ばれるものだった。
酔っ払ったみやじゃないんだから、「わあ!綺麗な色だね!みやにも可愛いももにも似合いそう!」
だなんて詳しい知識が無くたってそんな事を言うと思ったら大間違いだ。
お高いのか意外と重量感もあって芯はあるのに柔らかくて滑らかでなんだか芸術的な形ではあったものの、
初めてお目にかかるその圧倒的な存在感に目が丸くなった。

それでもその用法と雅の意図を悟り10秒程フリーズした後、
耳まで真っ赤になったのは言うまでもない。

馬鹿じゃないの!どっちが使うつもりで買って来たの!?と一方的に喧嘩したものの。
道具なんて無くても段々と心も体も雅に餌付けされてしまったせいなのか二時間後には仲直りしていた。


それでもいざ使ってみよう、と桃子が思うようになるのにはそれから三年も掛かった。
初めて使った時はそれはそれはもう。いつもと違って勝手も分からないし互いに手探り状態で。
いざ使う前にじっくり解しとこうって交互に三戦もしてたし、流石に大丈夫だろうと思ってたが甘かった。
慣れるまでの間、雅には二度と使わせるものかと思った程には苦しくて痛かったし、
動きのコツが掴めなくて抜けたり入れたりを繰り返す程にはお互い下手くそだった。

それでも何度も繰り返す内にみっともない程にお互いを求め合って、
全てを捧げて愛し合えたという満足感でいつしか一杯になっていた。

桃子が入浴をしている間に雅は自身の体に本来ならば有り得ない例のピンク色の疑似男性器を装着し、
これからの行為のために準備をしていた。
はやる気持ちを抑え丁寧に愛撫した桃子の体をその準備したもので、優しく強く貫く。
繋がっている事で相手の動きに合わせるかの如く互いに快感を得て、喘ぐ。

室内には二人の喘ぎ声と、結合部から漏れる体液の音が響き渡っていた。
ふと雅が何を思ったのか、小さな桃子の体を持ち上げ、自分の上に乗せた。
これは知る人ぞ知るッ……!なんてことはなく、女性上位のものでは一番有名な体位、騎乗位だ。

雅は寝そべったまま桃子と両手をがっちり握り、微笑むと自身が動くのをやめた。
口では言わずとも、桃子は雅が何を言いたいのかを理解した。
その気持ちに応えるために、なんとか腰を振って、動き出してみる。

が、しかし。
桃子は自分が上に乗って動くのに慣れていなかった。なにしろ初めて上に乗せられたのだから。
動作はぎこちなく、幾度もためらうように動きが止まる。
どうしたら良いのかと試行錯誤するも、動きに集中し過ぎて快感を感じるのは二の次になっていた。
しばらくして、雅は何も言わず、正常位になるようにそっと桃子を押し倒すと、
優しくそして深く桃子に何度も口付けて、また自ら動き始めた。

雅の動きで二人同時に果てた後は抱き合って、心地良い眠りについた。
雅は、この事について桃子に何も言わなかった。
上手く動けなかった事を責めるなんて事はなかったし、勿論からかったりもしなかった。
それどころか、この上なく優しく甘やかして愛してくれた。

ただ、桃子は自分を許せなかった。
雅が求めたものに応える事が出来ず、気を遣わせた。
そんな自分が心底情けなかった。

出来る事ならば、雅の求めるものは全て与えたい。
更に言えば、努力次第で何でもこなせてしまうと思い込んで生きている自分に、
雅の期待に応えられなかった事が、下手なものがあるというのが、嫌だった。

桃子は何度も考えてみたが、やっぱり雅を喜ばせたいという気持ちに変わりはなかった。
雅はきっと、桃子が自分の上でいやらしく腰を動かしながら雅を求め喘ぐ姿が見たかったのだろう。
しかし、桃子はそれをする事が出来なかった。
それを実現するためにはどうすれば良いのか。

そう、練習だ。
何であっても練習し学習し身体が記憶しなければ人は上手くなんてなれないのだ。

そしてまさに今。

桃子は騎乗位の練習をどうやってやれば良いのか考えた結果、
とりあえず同じ体勢で腰を動かしてみようと思った。

その練習相手に選んだものが、今目の前にある、枕だ。

「これは、練習。練習なんだから。みやを気持ちよくさせるためにする練習。
 だから枕にももが跨っててもおかしくない。うん、全然おかしくない。
 今だけはこの枕はみや。みやなんだから」

ぶつぶつと自分への言い訳をしつつ、ついに思い切ったのか桃子が枕の上に跨った。
一度、二度。
桃子の腰が、揺れる。

「……んー?ちょっと、高さが足りないのかも…」

あるべき場所に置いてあるもう一つの枕に手を伸ばし、重ねる。
その枕は普段泊まりに来たときに雅が使っているもので、それを意識した途端、桃子の顔が赤くなった。
まるでみやのお腹の上にって言うより顔の上に乗ってるみたいなんじゃ……と。

だが、他に丁度良いものがないのだ。
仕方ない、仕方ないんだからと繰り返しながら、桃子は重ねた二つの枕の上に乗る。
動き出す前に、呼吸と体勢を一旦整える。
この前の晩を思い出し、背を少し反らし気味にして胸を突き出し、両手は枕の中心に。

「よ、良し。取り敢えず形はこれで。ともかくやって、みないと」


他人には見せられない―秘密の特訓―桃子の騎乗位の練習が、今、静かに始まった。


体重をかけ過ぎず体が枕に少し沈みこむくらいの状態で、桃子は腰を動かしてみた。
前後に軽く、いち、にぃ、さん。

「こう、で良いのかな…?」

その動きはぎこちなく、残念ながら桃子が思い描く雅の様ないやらしいものとは異なっている。
まるで得意な跳び箱を失敗して乗り上げた時、高い所から降りようとする動きのようだった。
何かが違う、と思いつつも研究熱心な所がある桃子は練習を簡単に止めたりはしない。

枕がずれないように時折手で抑えながら、少しずつ、少しずつ腰を振る。
正気に戻りそうになると自分は何をしているんだろうと呆れた気持ちになるが、これも全て恋人のため。
全ては愛おしいみやを喜ばせる為なんだからと自分自身を励ます。
雅を快感に導く事を脳に描き何度も腰を振るってみせるが、一向に上達の兆しは見えてこない。

「んー、何が違うのかな……」

コツが分からないまま、桃子は練習を続ける。
改善する方法が分からず無闇やたらに動き続けても、良くなるわけがない。
それでも桃子が取れる方法は、動くことしかないのだ。
試行錯誤しながらも知らず知らずのうちに、その動きは少しずつ激しいものへと変わっていった。

桃子の動きは良くなってはいない。
しかし、動きは最初に比べ激しくなっている。
ベッドはぎしぎしと軋み、シーツや枕からは衣擦れの音がする。
枕との摩擦で大き目のショーツが引っ張られ、次第に少しだけ桃子の秘部に食い込んでいく。

「あれ…?」

桃子は、自身の体に起こる変化に気が付いた。

「これ、何か…」

くどいようだが桃子の動きは何一つ変わっていない。
では体に起こった変化とは一体何だろうか。

騎乗位の動きという事で桃子は腰の動きにばかり意識を集中していたが、
枕に跨り腰を動かすという事は、当然、柔かい枕と言えども秘部が少しずつこすれる事になる。
そのうえ、頭の中に思い描いているものはついこの前の雅との夜。
激しく絡み合い、何度も愛し合い、お互いに快感を得た夜だ。
無意識のうちに、自然といやらしい気分にはなっていたのだろう。

「ん…、あ、れ………あっ…」

ぎしぎしぎしぎし。
本来の目的とは異なる目的を見つけてしまい、桃子は未だ下手くそな腰使いで、枕に感じる部分をこすりつける。
今は腰の動きよりも、秘所に意識を集中している。

「んっ…ゃ」

「もも?何してんの?」

「ぴゃぁっ!?」

桃子は集中し過ぎていて気付かなかった。
いつの間にか、一人きりの空間が壊され他の者が室内へ侵入していた事に。
声をかけられた瞬間桃子は動きを止めた。
いや、止めたというよりは驚いて固まってしまったという方が正しいだろう。
ドキドキする心臓を抑えゆっくりと振り返り、声の主が誰であるかを確認した。

「返事、なかったから居ないのかと思った。もー、アイス冷凍庫に入れちゃったじゃん。
 てかもう外も真っ暗なんだけど。いい加減電気付けるよ?
 ……ん?送風!?ちょっと、ももさん。節約するのも良いけどせめて28度でしょ。
 ももがそんなに汗かかないからってあり得ないんですけど。暑過ぎるし、エアコンも冷房にするからね」

桃子に声をかけた者の正体は、今まさに想像に出ていた夏焼雅だ。
家に来るなり自然と桃子の世話を焼き始めるのはもう習慣と言っても過言ではない。
一瞬でも桃子の痴態を見たというのにその表情はいつも通りで、混乱してしまった。

「ちょっとみや、ど、どうして、ってか今日来るって言ってたっけ?」

「いや、なんか、この後深夜収録だし暫く空き時間あったから、勿体なくて。
 ……ちょっとだけで良いからももに会いたいなぁって思っただけ、なんだけど」

そう言いつつ、少しでも暑さを逃がそうと胸元をパタパタとさせながら雅は桃子の方へと歩を進める。
桃子は雅の動きに合わせて首を動かす。

桃子のちょうど真横で、雅は立ち止まった。

今の自分の状況を何か言い訳しなければと思うが、桃子の口からは何も言葉が出てこない。
恋人だとは言えども練習というか自慰を見られてしまった事で、気が動転してしまっているのだ。

心臓は早い。
自然と呼吸も早くなる。

どうしよう。
どうするべきか。
どうしたら良いか分からない。

桃子の脳内は何か答えを導き出そうと頑張るが、残念な事に。
こんな時に限って何も思い浮かばない。

今、ベッドの上に、重ねた枕の上に座っている桃子と、その横に立つ雅の目線は同じ位の高さだ。
その視線を外さないまま、雅は、ふっ、と笑った。

桃子に戦慄が走る。
が、雅の発した言葉は桃子を苦しめるものではなかった。

「もしかして……騎乗位の練習してたの?」

なんと、桃子のやっていた行為を当ててみせたのだ。
いや、正確に言えば桃子は騎乗位の練習を放棄して、
途中から自慰に耽り始めていたのだが、もともとの目的はそれだ。
雅の言っている事は、間違ってはいない。

「え、あ、そう、そう!練習してたの!」

自慰をしていると思われなかった事で桃子は安心し、勢い良く言い放つ。
しかし、自慰をしていたと思われなくても、
恋人に騎乗位の練習をしていたと思われるのも如何なものかと答えた後で桃子は思う。

「見てるから。動いてみな?」

「えっ」

「うまく動けないんでしょ?人に見てもらった方が上達早いよ」

桃子としては雅に内緒で上手くなりたかったのに。
いや、雅に限らず誰にも知られたくなかったが、時間を巻き戻す事は出来ない。
そもそも社交的な雅と違って、人付き合いが狭い桃子がいきなり実戦で上手くなっていたとしたら、
雅が間違いなく疑いの眼差しを桃子の少ない友人達に向ける事になるということは微塵も思っていない。

確かに何か物事を上手くなろうとする時、良い師がいると上達も早いもので。
そもそも桃子にえっちな事を一から十まで教えてくれたのは目の前の雅自身だ。
自分ではもうこれ以上どうしたら上手くなるかも良く分からないし、
ここはいっそ指導して貰うのも悪くはないのではないか。
何より雅の望む動きが出来たらきっと桃子もあれこれ悩まずに済むのだから。
そう、これは言うなればダンスと一緒。雅とのプライベートレッスンだ。

桃子は、覚悟を決めた。

「……分かった。じゃあ、見てて、よ?」

「任せて!」

雅は自信満々に、拳で胸を叩いた。
それはいつぞやの、みやが剃ろうかと言った時のように。とても良い、笑顔だった。

外はみやが言うように、ようやく空が暗くなった頃だろうか。
真夏の太陽から逃れて備え付けられた機械から吹く風が涼しいと感じられるようになるまでまだ暫くかかる。
地上は順調に熱帯夜に向かっていって、桃子の部屋では似合わない行いが繰り広げられていた。

だって、愛に満ち溢れた騎乗位のセックスを行っているわけではない。
騎乗位の、練習をしているのだから。

「じゃあまずはどこが悪いのか見つけるから、動いてみて?」

「うん」

恥ずかしさは若干あるが、教えて貰うと決めた以上拒否するわけにはいかない。
桃子は素直に応じ、先ほどと同じように腰を動かしてみた。
またしてもベッドが軋み、音が鳴る。

けれど、今はいやらしいものに見えないのは指南役が現れたからだろうか。
その指南役である雅は桃子の動きをじっと見ている。
前から横から後ろから。
見る方向を変え、真剣に桃子の悪いところを探す。

もう良いかなと思い桃子は一度動きを止めたが、雅が「続けて」と言うので、すぐに動きを再開した。
桃子は雅の前でずっと、腰を振り続けている。

「あれなんだよね、今の動きだと腰をただ前後に動かしてるだけだからさ。
 もものお尻ごとって言うか、その、尾てい骨を滑らせるように後ろに引く感じでくっと」

「こ、こう?」

「あー違う違う、こう、こんな感じで」

雅の手が桃子の腰にまわる。
そしてその手が桃子の体を動かす。
まるでスポーツ選手に正しいフォームを教えるように、雅は桃子に正しい腰の動かし方を教える。
桃子は戸惑ってはいたが、熱の籠った直接的指導の甲斐があってか、なんとなくコツが掴めてきた。

「どう?なんとなく分かった?」

「…うん、多分」

「それじゃあ手ぇ放すから、姿勢を崩さないようにして。一人でやってみて?
 肩の力は出来るだけ抜いて。そう。……ももの体重位掛かったって、みやなら大丈夫だから」

会話だけ聞いていると、まるで初めて自転車に乗るときの訓練のようだ。
だがしかし今雅が指導しているのはダンスでもスポーツでも自転車の乗り方でもなくて、
紛れも無く騎乗位の腰の動かし方なのだ。
桃子は少しでも上手くなろうと雅に従う。
雅の手を放れ、一人で腰を動かしてみる。

「うん、そうそう。良くなってきた。
 そう、たまに強弱だとか回転もつけるとももの方も気持ち良くなると思う」

「こんな、感じ?」

「……やれば出来るじゃない。流石もも。飲み込み早いじゃん」

「えっと。その…ありがと」

雅の指導により、桃子の動きは格段と良くなった。
ぎこちなさは消え、滑らかな動きになった。
桃子は良い子良い子と頭を撫でられて褒められても思い上がる事はなく、
雅に教えて貰ったとおりに腰とお尻を振り続ける。

「うん、良い感じ。あとはまあ、慣れだけだと思うから。
 ……今日はもう無理だけど。後で二人で繰り返し頑張ろうね?」

「えっ、もう行っちゃうの?」

「ごめんね、もも。二時間だけって抜けて来てたから。それに。これ以上見てたら我慢出来そうにないし。
 再集合に遅れたらマネージャーと二人に、……なによりももに怒られちゃうし?」

そう言うとくすっ、と笑って顔を近づけてくる。
重なり合う唇と舌がお互いの興奮を分け与える様に深く絡み合いかけて、
同時に、枕の上に置いたままの両手を絡めとる様に上からギュッと握られる。
名残惜しそうにそっと離れるとそのまま雅は桃子を腕一杯に抱きしめた。

「……行ってらっしゃい、みや」

「ん、行ってきます。……一人でえっちな事しちゃうももの事も、みやは大好きだよ?」


やっぱり気付いていたのかと、囁かれながら耳朶に口付けられて真っ赤になった桃子を一人残し、
十分充電したから頑張って来るね、と雅は再び颯爽と残りのお仕事へと出かけて行った。
外は暗くなり始めたとは言えまだまだ暑いはずなのに、雅は心地良い気分で満たされていた。
一時解散した時よりも生き生きとした顔をして臨んだ多くの現場仕事は日付を超えるものであったが、
関係者も唸る程には雅の良さが発揮され、自然体でとても良い仕上がりとなっていたのは言うまでも無かった。

一人きりになった部屋で、変わらず桃子は腰を振る。
以前とは違う、とても良くなった動きで。

「我慢してたけど、もう、限界…」

雅の前では真面目に練習をしていた桃子だが、練習と称しながらも、しっかりと感じていたのである。
しかしそれをこれからまた仕事があるからと言う雅に悟られるわけにはいかない。
いや、最終的には何もかもバレバレだったみたいだけれども。
平気な顔を装ってはいたけれど、雅に見られ別れ際の甘いキスまでされて体の方は限界に近付いていた。

「ん、はぁ、ふぁっ」

こすこすこす、ぎしぎしぎし。
相も変わらずベッドは軋み、衣擦れの音は鳴り響く。

指導の甲斐もあり、桃子の動きはただ前後するものから、
しっかりと秘部を枕に押し付け擦る様な、ねだる様な動きに変わっていた。
それが余計に桃子の体を昂らせる結果になったのだ。

桃子は気付いているのだろうか。
自分のショーツが既にねっとりと粘ついている事に。
そこから染み出して、枕のカバーを汚してしまっている事に。
どちらにせよ、桃子は変わらず快感を求めて腰を振る。

「あっ、これ、だめ…」

幾度もの摩擦により桃子の秘芯はしっかりと膨れ上がっていた。
小さめでも敏感なクリトリスに、ショーツ越しの刺激は強すぎず弱すぎず丁度良い。

雅とのセックスとも、普段自分が行ってきた自慰とも全く違ったもの。

与えられる快感ではなく、身体ごと求めていく快感。
桃子は気持ちよくて仕方なく、もっと、もっとと腰を振る。

その姿は、とてもいやらしいものだった。
単調ではなく、雅から教えられたように時折うねりを帯びていく腰使い。
激しく淫らに乱れてく。

その動きは大人と呼ばれて大分経つ彼女には相応しいが、アイドルと呼ばれる彼女には余りにも浅ましい姿。
だが、性欲の前では自分を抑える事が出来ないのは仕方ない。
もっとも桃子は今、自分を抑える気なんて毛頭ないのだが。

「あっ、…ん、……ふぁっ」

どんどん激しくなる動きにともない呼吸もどんどん乱れていく。
乱れた呼吸の間に漏れる声が、部屋の中に甘く響く。
エアコンからの風も整い出して、少しずつ涼しくなっていく部屋の中、
快適な環境になったせいでより自慰に耽る桃子。
絶頂に向けてひたすらに走り抜けて行く。
上達したとはいえ慣れない腰使いをひたすら続けて、少しは疲れてきているだろう。
その証拠に枕の上でたまに動きが停止する。
それでも快感を求めぐりぐりと秘部を押し付けた後、我慢出来ないとばかりに動き出す。

「はぁ…ん、はぁっ、はぁっ」

枕からかショーツからか。
それとも秘部そのものからか。
くちゅくちゅと部屋に響く音は、間違いなく桃子の愛液が奏でるもの。
快感を得る度次から次へと溢れ出る愛液はカバーのみならず、ついには枕本体にまでも到達していた。

どれだけ感じてしまっているのだろう。
新しい刺激に、人間は弱い。
暑いからか邪魔になったからか、動きながらも桃子はシャツを脱ぎ捨てた。
下着だけの姿になって、目を閉じて雅の事を思い描き一人快感を貪っていく。
懸命な動きによりその肌と額にはうっすらと汗が浮かび上がり、
一つに縛っているとはいえ髪が隠している首元からは玉となって腹部へ向かって流れ落ちた。
普段汗をかかない桃子と言えども自身の昂りと求め続ける動きからもその激しさと熱が見て取れる。

「も、はやく、あっ、…あっ」

抑えられるであろう声は既に自身を昂らせるための興奮剤へと変化していた。
いやらしい事をしていると思えば、更に興奮は高まっていく。
桃子の脳内には、またしても雅とのセックスが浮かび上がっていた。
雅の上に乗り己の欲望のため、また雅の快感のために必死に動いている自分を夢想する。
どこまでも雅を求め乱れる自身を見て、雅は興奮してくれるだろうか。
そして気持ち良くなってくれるだろうか。
そうなってくれたらとても嬉しくて満たされると、桃子は自分の願望を思い描く。

「あっ、んぁ、あ。み、や…みやぁ」

桃子の腰の動きがまた一層激しくなった。
絶頂の前兆を捉えているのだろう。
瞼が更に堅く閉ざされて、眉間に深い皺が寄る。
雅の手の代わりにと握りしめているシーツはもうぐしゃぐしゃになる程引き寄せていた。
口元からは唾液が一滴ぽとりと落ちて、枕に新たな染みを作る。
その桃子の、言葉では表せない快感に浸りきった顔。
普段の可愛らしくかつ大人びて知的な彼女からは想像する事さえ容易ではない。
ただひたすら快感を求める事に、溺れている。

「はぁ、んんっ、う、あぁっ」

もう少し、あと少しで到達出来る。
自分が求めているものを得る事が出来る。
髪を振り乱し、必死に絶頂に向けてスパートをかける。

枕はもう、愛液と熱気と汗の混ざった湿気でぐちょぐちょになっていた。
しかし桃子はそれに気付いても気にならない程に絶頂しか見えていない。
早く、早く。雅にもっと愛されていたい。
一番大きな快感が、欲しい…!

そしてついに。

桃子が求めているものが襲い来る。
ずっと桃子が欲しかったもの。
そのためにひたすらに大好きな雅を想い腰を動かし続けていた。
桃子の秘唇が何度も収縮する。
芯はぎゅっと硬くなる。
脊髄をぞわりとしたものが駆け抜けて、腰がふわりと宙に浮く。
頭の中はどんどんと白んでいってチカチカして、一度突っ張った脚はくたりと力が抜ける。

「あ、…も、う、だめ、だめっ、みや、みやぁっ。あんっ、ふぁああっ!!!」

ぱあんっ、と快感が突き抜け弾け飛びそうになる意識。
腰を中心に全身をがくがくと震わせながら、桃子はずっと求めていた絶頂に辿り着けた。
こうしてようやく、荒い息を続けながらも桃子は腰の動きを止める事が出来た。
そして一息ついて動き出せるようになると、自分の身体よりも何よりも。
何を置いても雅専用の枕をそれはそれはもう念入りに手洗いしたのは言うまでもない。

後日談

桃子の部屋で桃子と雅は再び体を重ねていた。
前回同様、雅の股間には例の玩具が装着されていた。
これはこの間の練習の成果を見せてあげる、と桃子たっての希望で付けて貰ったのだ。
そして今回もやはり、雅の上には桃子が跨っている。

愛し合い絡み合って鳴り響く卑猥な音も、既に恥じらいも遠慮もなく響き合うお互いの嬌声も、
日夜問わず唸りを上げ続けるエアコンの音に紛れて、もはやお互いにしか聞こえていない。


「えっ、あっ、ん、もも、あっ、や、駄目、……こんなっ、のっ。やばっ、良すぎぃ」

「んんっ。……ね?みや、どう?ももの練習の、成果。ちゃんと、気持ち、いい?」

雅の顔を少し不安そうに見下ろしながらも、しっかりと手を繋いで、
今は滑らかに腰を使う桃子に視覚も快感も翻弄されることになろうとは。

練習している桃子を見つけてしまった時は正直驚いたし、そのまま一度抱いてしまいたかったけれど、
敢えてその欲望を堪えて丁寧に教える事が出来たのは雅にとっても嬉しい誤算だった。

「すっごく…。じょぉず、だよもも。みやにも凄い、伝わってくる、し。…めっちゃ、エロい」

「ん、ももは、あっ、はぁ……みや、だけの。…もぉだから。だから、ね?
 …ねぇ。みやも、動いて?……きょぉはももの事、一杯、気持ち良く、して?」

快感に乱れ汗に塗れながらも素直に雅を求めて微笑む桃子の笑顔は、とても美しいものであった。

「はぁっ……もも、そんな可愛い事ばっかり言ってると、今日はマジで止まんない、…から、ね?
 もものこと…大好きなみやで一杯に、してあげる」

耐えきれないようにそう言いながら雅は桃子の形の良いお尻と腰を手で支えると、
抱き締める様に起き上がり、桃子の動き続ける腰に合わせて下からも突き上げて、桃子をむさぼっていく。
そして目の前で揺れ動く胸の先端を咥えると唇と歯の強弱と舌の動きで更なる刺激を桃子に与えていく。
新たな刺激に耐える様に桃子は雅の頭を抱えるように抱き締めて、その髪をくしゃりと掻き混ぜた。
桃子のつんと尖る先端をぺちゃぺちゃと舐めたり吸ったりして。
くりくりと頭を転がして、柔肉の中に押し込んだり。大きく口を開けて、頬張る。
殆ど隙間なく密着したまま、雅がこりこりと甘噛みしてやると、急に身体を震わせる。

「ああぁっ!!それは、ダメ……みやっ!やら……噛んじゃ、やだぁ」

桃子が辛そうに、だが身体を震わせて言う。声を振り絞り出すと言った感じだったから、
よっぽど身体中に与えられる快感が強過ぎたのだろう。少しやり過ぎてしまったのかもしれないと、
雅は甘噛みするのを一度止めると、腰の動きを少しだけ緩やかにして桃子の突起を再度優しく舐め上げた。

「んっ…ちゅ…可愛い、もも。…もっと、みやを感じて?」

まるで求婚するみたいに身体を擦りつける。暑いけれど溶けそうな程柔らかくて気持ちいい。
快感にむずがって身じろぎする度にすっかり馴染んだお互いの身体が余計に擦れていく。
桃子の背中を支える指先にまで熱が灯る。夢中になって掻き回す動きが、少しずつ強くなる。
こうして繋がって求め合っているだけで、ひくついて誘う内部に奥深く飛び込んで、
敏感な粘膜をどう弄んでいるのがハッキリと分かる気さえしてくる。

「…う、んっ、あっ、そう、大好き、なの…みや……あっ…やぁ…もっとっ。
 そこ、好き、みや、んんっ…みやぁっ」

重い感触の肉壁を掻き分けて、蜜を掻き出して。吸い付き時折押し出そうとさえするそれと戯れて。
くぅくぅと鼻を鳴らして雅を呼ぶトーンが上がっていく桃子の声。
雅の方も限界が近いらしい。ぎゅうと縋るようにしがみついて動きを速めていく。

「すき……んっく、もも、好き、大好き……っ」

「ぁうっ、はぁ、あっ、みやぁっ、ん、んんっ……」

溢れ出す互いの体液が混ざり合って。互いに荒い掠れた呼吸を繰り返す。
雅は甘ったるい桃子の声にぞくりと湧き上がる感覚を覚えて、ぎゅっと桃子の身体を抱き寄せた。

目の前ですっかり蕩けた桃子の瞳に捕まった。
強く、弱く。雅を誘うように心地良いリズムを刻んで明滅を繰り返す。
知っている。これは桃子の鼓動のリズムだ。
ゆっくりと穏やかに歌うように。かと思えば少し早く、小鳥が囀るように。
それはすっかり大人になった彼女が時折見せる、何も知らない純粋な少女のような側面だった。

溜まらなくなって唇を奪い、舌を絡め合わせる。開いた口から、漏れ出る声。
呼吸自体が不規則になっている上に、深く口付けられて息がし辛いのだろう。苦しそうに鼻を鳴らす。
だけど決して舌を放そうとはしない。求めるように深く絡めてくるのは桃子の方だった。
舌を吸われて、口の裏側を丁寧になぞられて、雅まで段々頭の中がぼんやりしてくる。

「ふぅ、んっ……ちゅ、ぴちゅ……む、ちゅ、ふぅ、んっ、んんーっ!」

熱に浮かされたように桃子の腰が何度も跳ねて、両足は雅の腰を抱きしめる様に巻き付いた。
桃子の一番反応が良い所を狙って何度も腰を打ち付けると、
中は締め付けるように絡んでは引き入れようとして雅の中へもその刺激と快感を伝えてくる。

ぬちゃ、にちゃと粘着質な音が響き渡り、
擦り合わせた部分から爆発するように快楽と刺激が襲い掛かってくる。
お互いに動き過ぎて、とっくに白く泡立ってしまっている愛液の粘度に任せて、
ひたすら互いを求め合って身体を擦りつけ合う。

もう、言葉もなかった。掠れるような呼吸が精一杯で快感を逃がすために喘ぐことさえも出来ない。
桃子の腰の動きと、雅の動きがリズムを合わせていくに従い、更に快感は倍増していく。
お互いがお互いを繋ぎ止めている感覚で頭の中がぐちゃぐちゃになって、桃子の事しかわからなくなる。

「ももっ、あ、だめ、もう、もうイッ……いっあ……ああっ!!ももぉっ!」

「み、や……もっ、もぉ、もっ、あ、う……んっ……あ……あっ…や…みやぁ」

そこから先は、もう互いを呼ぶ声と呼吸しか聞こえなくなって。
強く抱きしめ合ったまま、二人同時に果てた。

どうして恋ってものは我が儘になってしまうのだろうか。
もっとが欲しくなって、足りなくなって。相手の為なら何でもしてあげたくなって。
もしかすると満足する日なんてものは永遠に来ないのかもしれない。
例えそうであったとしても。

「やばい……すっごい、可愛かったよもも。ありがとね?一杯頑張ってくれて……もも、大好き」

「うぅー…それなら、良かった、けど。……あのね…ももは、みやの事が誰よりも大好きだから、
 ……今度はももがしてあげる、ね?良いでしょ?」

こんな言葉を素直に交わせる時点で、きっと満たされているんだろうなぁと互いに思う。
確実に一歩ずつ。二人は昨日よりも今日の方が幸せを感じていた。


END


流石に連日の炎天下で力尽きましたので後日談が一体何戦目なのかも不明ですが後は各自妄想でどうぞ!
もしもこの雅ちゃんが乗る方になったらとんでもなくノリノリで上手くなるのも早そうな気もします
くっそ高いのでもももの為ならテンション上げて平気そうな振りして買ってきちゃうだろうと
初期スレで皆と語り合ったジャーン!なみやびちゃんを思い出してたらいつの間にかこんな事に…許してにゃん


・・・・・書きたいと思った時が書き時だと思います。
自重?何それ美味しいの?

はい、そろそろお祭り用の下描きを描き始めますw
暑いのでのんびり進行ですので気長にお待ち下さい。

ではでは。しーゆーあげいん☆

一晩で何をやっているのか

ファイル 238-1.jpg

ちょっとみやももスレ住民に触発されて…
みやびちゃんとももちゃんの歌う行くZYX!FLY HIGHをリミックスさせてしまいました・・・鞘師の歌唱部分消してごめんね鞘師。
作り方→2013年の雅ちゃん(3:15秒)・2017年のももちゃん(5:05)それぞれの両方のボーカルを抽出します。ももちゃんの方がフルサイズなので…丁寧に頭出しや音量・歌詞を合わせて編集していきます。
鞘師の部分は涙を呑んで削除します。

最後の部分はももちゃんがつられない様に、わざとみやびちゃんのプロの技でハモらせました。

シンクロさせたように重ねた音源もあるんですけど、リズムとかぴったり合うのはやっぱ凄いなって思いました

【OPV】momo ZYX!FLY miya
https://youtu.be/4fM4zTuCdSY

画像はやっつけ感満載ですが・・・良かったらみやもものデュエット風行くZYX!をお楽しみ下さい。


夕方からの勤務だからって遊び過ぎィ!

あ、セクシー祭りのリクエスト絶賛(?)受付中です。
涼しい日にのんびり書くスタイルで行きますが…今年は時間が少ないので先着5件までの受付です。サーセン。
これが見たいってものがある方は。是非絵板のリクスレに書いてってくださいませ☆


朝なのにこれから寝ます(おぃ)
ではではしーゆーあげいん☆

予告通り

安定の大人なのよ!なみやももをお届けしたいと思っています。
皆様こんばんは。

またみやももかよ…よく飽きないなと思っていても許してにゃん。
(但しいつもの甘々な感じじゃなく、ちょっとフランス書院並みにエロに真摯に向き合って同人作家の端くれとしても本気を出してみたネタ小説です)

添削とか色々と追加して行ったら結局出来上がりがまた長い。
それでも喘ぎ声だとかいろいろと細かい描写は抑えたのにまたしても約2万字ってどうなってんの。
文章書き練習の成果なのか!


……まあ、いいや。
書く方は頭捻りまくってて自分の作品なんてもんは読んでても間違いや抜け落ちが無いか粗探しするものであって、楽しむどころじゃないのでともかくとして。読む方は結構楽しいでしょうから
剃毛ネタというものを書かせた結果安定のR-18なのでご注意下さい。
比較的爽やかなみやももでこれとか。
昨日のシメリーズもちゃんと書けたらどうなるんだ。
おお、怖い怖い

それではどうぞー


もうそろそろお日様がてっぺんにでも届こうかと言う時間。
暇潰しにお茶でも、と買ったお菓子を持って私はもものお家を訪れていた。

今日は朝早くから起きてしまって、オフにすべき一通りの用事を終えていた私は暇を持て余してしまった。
どうやら私はなんでも自由にしていいという時間をぼんやりと過ごすのが苦手らしく、
時間があるとついつい動いていたくなってしまう。
他人から見ると一体いつ休んでるの?って程元気過ぎてて不思議なんだそうだ。

お昼寝も雑誌チェックも気分がのらず、ウィンドウショッピングも兼ねて散歩でもしようかと、
市街地を経由して、ふらりと寄ったお菓子屋さんで可愛い和菓子に目を奪られ、
ふと気付けばいつものようにもものお家へとやって来ていた。


私はここに住む猫のように自由気ままで、欲求に素直すぎるほどに素直なのに、
他人に対してはどこか疑心暗鬼で、反応が一々可愛らしい幼馴染さんのことが気に入っていて。
お給料から自分磨き以外に使えるお金の半分程を彼女の餌付けに使っている気がする。

他にも、背が小さくて女の子らしくて可愛いダンサーさんや、色黒で明るい真夏の太陽みたいな子、
漆黒の髪が目を引くちょっとオタク気質な和風美人さん、
お話してるだけで癒されて何でも着こなしちゃう爽やか高身長美形、
フワフワの髪と綺麗な歌声を持った天使の様な美少女、等々。
みやにとっての大切な幼馴染や友人達は恵まれている程には多いのだけれど。

それでもやっぱり餌付けをしてて一番楽しいのはここの猫だった。

ももの家の庭先にはもう冬支度でも始めようと言うのか、今年の春先迄見ていた記憶のある、
こたつ布団が干されてあって、うちもそろそろストーブの用意をしなきゃいけないなー、と考える。
冬から春にかけては、お仕事や生命活動以外、ほぼこたつから出てこなかったんじゃなかったかな。

食器や手を洗う時に水が冷たく感じられるようになってきて。
中央にみかんを置こうものならば多くの人間をとりこんでは堕落させる、
風物詩とも言える悪魔の手先も各御家庭に次第に用意されていくのだろう。
和菓子屋さんに並ぶお菓子にはまだ芋栗南瓜と多数の秋の色を残しつつも。
そろそろ、冬が訪れようとしていた。


いつものようにぼんやりと居間でお茶をすすってもいなくて、縁側で丸くなってもいなくて。
もしくは日陰で本を読みながら過ごして居るはずだと思っていたから拍子抜けしてしまった。
チチチチと舌を鳴らしながら、縁側の下をひょいと覗きこんでみてもいないようで。
まあ、本当に猫って訳じゃないからそんなことはまずあり得ないんだけど、気分の問題。


「あれー?ももは出掛けてるの?」

空いた時間を有効に使おうと餌付けに来ただけなので、
居ないのならば全部自分で食べてしまっても問題はないのだけれど。

片手に持つ和菓子と縁側を見比べて、ひとつ頷いた。
やはり和菓子には緑茶で緑茶と言えば日本風家屋だろう。
みやの洋風なお家じゃ紅茶かコーヒーが出て来ちゃう。

それに、よく考えると案外しっかりしているももが、
大事なこたつ布団を干したままにして出掛けてしまうことはないだろう。
するとももはきっと家の中か、その辺の近所に居るのだろうと推測する。
靴を脱ぎ揃えて、勝手に上がり込んで、真っ直ぐももの寝室へと向かう。

「ももーいないのー?」

ガチャッ、ドアを開けてみると中にはいつものピンク色なベットと、
推理小説満載の本棚とCDラック、苺のクッションのみで部屋の主は居なかった。

「あれ?お昼寝じゃないのか…」

「もーもーちゃーん」と呼び掛けて耳を澄ませるとザバーと水音が聞こえてきていた。

「んー?みーやん?なにかあったのー?」
「ももー、どこー?」
「お風呂ー」

早速、風呂場に向かい木製のドアをノックする。
返事が無いけれど、まあどうせ風呂掃除だろう。
がらりとあけると、風呂場に肌色の人影が。というかももが、スポンジとタオルを握ったまま、裸で立っていた。
動じた様子もなくこちらをじっとみていて、目があっていた。
私はと言えば。あまりの光景に、ももから話しかけられる迄、ももを見詰めたまま固まってしまっていた。

「一応さぁー、もも達年頃の女の子なんだし、ノック位しなよね?」
掃除が終わった所なのか水滴や洗剤の泡が付いたままの足や腕を拭きながら、ももがぶつくさと文句を言う。

「……一応じゃなくてノックはしたし。それよりも何故ももは裸でお風呂掃除してるの?」

「え。着てたらどうせ服とか濡れるし。家の中だし。一気に出来て楽だから?」

慌てて目を反らしかけて、ふと視線がももの股間に目が止まった。
その瞬間、一通り身体を拭き終わったももが脱衣所の籠からパンツを拾い上げる。
ももの股間の、生え揃った茂みを見つめていると、白い布で覆い隠されて。「えっ」と私の口から声がこぼれた。

「まあ、急用ではないみたいだけどさ」

「もも、…って。生えてたの?」

「はぁっ?なんのはな、し……………
 ちょっと、みーやん…身長が可愛らしいからってもものこと一体幾つだと思ってんの?
 ………ももはみーやんよりも大人なんだからね!!」

さっきまで何ともなかったのに一気に赤面したパンツ一丁のももにじとーと睨まれていた。

視線の痛いももと二人で軽くお茶をして、早々に撤退して、そのまま一直線に我が家へと帰った。
門に凭れかかってぼんやりと空を見上げるRed×Pinkに染め上げた髪の女性が見えた。
夜のお出掛けの待ち合わせだろうか。まあ好きにして良いのだけれど。
ただいまを言う為と聞きたい事があって、早歩きで近付いていく。

「あ!みやちゃーん、おかえりなさーい」
「ただいまー」
「今日は一日お出掛けじゃなかったんですかー?…お早いお帰りで」
「ねえ。にへちゃん?ちょっと訊ねたいことがあるの」

ずずいっと顔を見上げながら迫る。
二瓶は後ろに下がろうとしてもこれ以上下がれずに少し上を向いて視線を反らした。

「な、なんでしょう?別に早く帰ってきたせいでひかると夜迄遊べないなーとかそんなことは思ってないですよ!」
「そんなこと、思ってたの?別に遊んでおいでよってまあ今は置いておいて。……陰毛について質問したいの」
「はぃぃ?い、陰毛ですか?」

ももの茂みを発見して、驚いたのはほぼ同い年なももに生えていると思っていなかったからで。
まあ何故そう思っていたかと言えば他でもなく、私には生えていないからだ。


以前ママにも生えてるその毛の事を訊ねると「大人になったら生える」とずっと聞かされ続けていたので、
自分はまだまだ子供だから生えないのだと思っていた。


まあともかくみやの現状を簡単ににへに説明すると、

「そろそろじゃないかなーとは思ってましたけど、
 みやちゃんはやっぱりそっちの成長遅かったんですかねぇ」

なんて言ってきたので、とりあえず腕で首を軽く締めた。
良くも悪くも悪くもゆるーい二瓶じゃ、こういうときには役に立たないな。
早々にそう判断すると、オタクだけど知識は豊富な大人な茉麻に聞こう、そう判断した。

それだけの為に行くのもつまらないか、と、紅茶をいれて、茉麻のオーディオルームに向かう。
二瓶の時と同じく簡単に事情を説明すると、

「えっ、みや、まだ生えてないの?」

さっきと対して変わらない反応で、思わず持ってきた紅茶が服を染め上げる紅茶になりかけた。

「え、でももう生理は来てるし胸はちゃんと膨らみだしてるってのに?」
「……そう、だけど。茉麻なら何か分かるかと思って」
「うーん、ももとか佐紀ちゃんならともかく、まぁにそんなことを期待されてもねぇ」
「ももには聞けないの!!駄目!無理!」
「あ、そ、そう。…分かった、分かったから落ち着いて」

なんて呆れながらも一緒にネットや本で調べてくれて。"無毛症かもしれない"という結論に落ち着いた。

「無毛症」のページには

"女性の場合初経から1年、乳房が膨らみはじめてから3年程で陰部に毛が生えない状態を無毛症と呼ぶことがある"
とあって、はっきりとは覚えていないけれど恐らくその3年という年数はとっくに過ぎてしまっている私に、
どこか能天気で不器用な茉麻は「ま、……そのうち生えてくるって」と励ましてくれた。

自分でも調べようかと空いた時間に慣れない読書やら調べものをして、
ネット上は勿論、図書館でも人体と性についての保健や生物学的なコーナーにも暫く通いつめた。


勉強が苦手なりになんとか理解をした頃。

久しぶりにもものお家を訪れて、ももと二人でお茶を嗜んでいた。

「あ、そーだ。この間、みーやんが私の股間見てたじゃない?」

なんだか不本意な覚え方をされていて、
表情がひきつっていることをわかりながらもうんと頷く。

「茉麻にその話をしたらなんか思いっきり肩を叩かれて"食われるなよ"って言われてー……
 あぁ、それは今関係ないか。そうそう、愛理も毛がまだ生えてなくて、
 みやはともかく、ももも生えてるのかー!そんなバナナー!…ああでもお姉ちゃん達だもんなぁって騒いでたわ」

どうでもいい雑談のようにももの発した言葉に、苦笑いしながらも
"よし、愛理もまだ生えていない!"と心の中でガッツポーズしていた。

しかし、そのみやはともかくという言葉がひっかかった。
なぜだかわからないが、-いや恐らくは私がいつもは年上ぶっているからなのだろうけど-これは。

実はまだ生えてないとか言い出せない流れじゃないのか、これは。

そして私がももの股間をガン見してたかのような流れ。
いやまあそうなんだけど。間違ってはいないのだけど。
少なくとも茉麻と愛理には伝わってしまったのか……。
雑談というか笑い話の1つに過ぎないんだろうけれど。
まったく。もものおしゃべりめ。

いつも通りに会話をしながらも陰毛についての事ばかり考えていて。
ももは何か不審がっているのには気がついていたが、にこにことわらって誤魔化し通していた。
と思っていたのは私だけだったらしい。

会話が途切れて、少し、沈黙があって、口を開こうとすると先にももが口を開いた。

「……生えてないよね」

「なにが?」

突然のももの言葉に大体予想しながら質問を返す。

「さっきの茉麻の話と、そのあとの反応で思ったんだけど。
 みやって本当はまだ、っ……えっと陰毛?生えてないでしょ?」

ももの指摘に、息を吸い込んで、覚悟を決め、口を開いた。

「何言ってんの、違うって。やだなー、ももってば知らないの?
 みやは生えてきた陰毛を敢えて!あ・え・て!処理しているの。
 これは大人として当然のことだから。女の子が大人になったらブラジャーをしたり、
 メイクをしたりするように、特に世界の女性にとっては一般的な嗜みなんだから。
 この周辺の国では毛のない状態はパイパンと呼ばれていたりして、
 まあそれは麻雀牌の白いやつには他の牌とは違って表面に模様が彫られてないことから
 そう言うようになったそうだけど、最近じゃハイジニーナと呼ばれることもあるんだけれど、
 その語源は清潔や衛生と言う意味で陰毛を除去することで雑菌の繁殖を防げたりと、
 そこを衛生的に保つ効果があることから名付けられていて、他にも毛虱の予防にもなったり、
 主に生理の時には蒸れて痒くなることも防げたり、なにより触り心地も良いし、
 毛が絡まることもないし、不快感も低減されるしで今では大人の女性の嗜みとして、
 世界中で認知されているんだよ?まあ、温泉だとかで見られたら恥ずかしいなって人も居るから、
 勿論デザイン的に一部を残してたりだとか、全部なんてせずとも良いけれど。
 それでも周囲を処理するだけでも十分にその有益な効果は発揮されるんだから!」

学習した言葉を思い付くがままに一気に、これでもかと舞台での台詞のように並べ立てる。
途中でももが口を開きかけてももうそこは勢いだけで押しきった。
なんせ付け焼き刃の知識だからどういう意味だとか形は?だとか質問なんてされたら全く答えられない。
ネットや本で得た知識にちょっとの本当と嘘を混ぜ混んだことで、真実味がある、…ようになったはずだ。

ももはぽかーんとした顔で固まっていて、最後の一押しとばかりに、
「分かった?」と"優しく慈しむように"微笑んで無言で頷いた。

もももつられてこくんと頷く。


みやの勢いに押し切られて唖然としていたけれど暫くして、開いたままになっていたももの口が動いた。

「……そうだったの、誤解してた。ごめん」

よっし!とガッツポーズしたくなる衝動を抑えて微笑む。

「処理ってことはカミソリとかで剃るの?みーやんは慣れてるから良いだろうけど、慣れてないと怖いよね?」

鋭いももを騙し通せたことで気が緩んでしまったらしく、つい、口が滑った。

「……それなら。試しに、みやが剃ってあげようか?」


お風呂の用意をして、ももが体を洗い終わる合図を待ちながら、
一体全体なんでこんなことになっているのか。目を瞑って頭を抱える。
欲望に負けた自分に対して超絶後悔している。神様仏様桃子様ゴメンナサイ。

なぜ数十分前の私は。みやが剃ってあげようか?だなんて…
なんという大それた提案をしてしまったのか。あり得ない。気が緩んでたからってどうかしていた。

そもそも嫌だ嫌だ絶対嫌だからねみーやんのエッチ!等の圧倒的大多数で即否決されるだろうと、
まあ今回も例のガン見同様にちょっとエッチな悪戯を仕掛けたみやからの冗談で済まされるお話だったはずだ。

甘かった。いつものももの流暢な演説…もとい、おしゃべりを聞いているせいか、
追い込まれたあの瞬間、突然発揮された自分自身のプレゼン能力の高さを呪った。
いつもももに恥ずかしい事をそれとなく言わせようとしていた罰が当たったのか。

そして驚く事にこの件はももの中では大人として何でも無い行為へと昇格していたらしく、
あっさりとこの議案は可決されてしまった。

自分自身の大人の嗜みだと利便性を語る圧倒的な演技というか口の上手さに、
途中からももが目をキラキラとさせて聞いていた時に、気が付くべきだった。

もはや逃げる事も叶わなくなって、ももが体を洗い終えるのを待っていた。

「みーやん、洗い終わったよー!」

お風呂場から声をかけられて、そっと扉を開けるとももは湯船の縁に腰かけていた。
しっかりと膨らんでいる胸をタオルで隠そうともせず堂々と姿勢良く座って、しっかりと脚は閉じている。
そっぽを向いた表情は、流石のももでもこれからみやに全部を見せるのは恥ずかしいのか、
いつもよりもちょっとだけ大人びたというか、かなり緊張してるようにも見えた。

「……なに?どうかした?」

「やめても良いんだよ?あの、無理に。大人になろうとしなくても」

ぺたぺたと素足でももに近づくと、ももの口元はやはり強ばっているように見えて、
ももからやっぱりやーめた!という言葉を引き出せたら、と促してみる。
しかし一度決めた決心は変わらないのか二度三度と首を横に振られて断られた。

「いいから。早くして?」

「な、ナニを」

「何って。あの…剃るんでしょ?」

30cm程しか無い至近距離で、全裸で湯船に腰かけて
そして濡れた髪が胸元を隠してるのでさえもえっちっぽくって。

熱気の為といえ全身を赤く染めた可愛い子に上目遣いで言われたら。
ナニかと思うのが普通じゃない、とは思っても口にも顔にも出せない。

心の中の手に落ち着け雅!と三回書いては飲み込んだ。
人って書いても今日は大して効かなかったから、まあ、その効果はお察しあれ。
そうやって自分自身に言い訳と格闘をしていると、
早くしろとのもものジト目がグサグサと刺さってくる。痛い。痛いってば。

「い、いいの?」

「もー!みーやんが剃るって言ったんじゃないのー」

ももの覚悟がそこまでならば、とブラウスを腕捲りする。
さて、としゃがもうとするとスカートが濡れることに気づいたけれど、
まあ濡れても乾かして履けばいいかと濡れるままにした。
薄く湯気の立ち込めるお風呂場で、全裸のもも(の陰部)に向かい、膝をついた。

「お風呂、浸かった?」

「まあ、それなりに」

「ちょっと熱いのかなーと思ったんだけど、大丈夫?」

「うん。大丈夫。外が寒い分ちゃんと温まったし」

ちゃぷ、と手をつけて、温度を確かめる。うん、これ位の熱さならちょうど良いか。
手で足を割り開くとすんなりと開いた。そんなに簡単に開けるとは思って居なかったので、
ちらりとももの顔を見ると仏頂面が見えた。何その顔。拗ねてても可愛いとかなんなの。
暫くそのまま見てたら頭を手のひらではたかれて、続けることにした。

流石にそれはそれは立派に生え揃った状態のままいきなりカミソリで、
となると何度も刃を当てる事になるし、折角のもものお肌にも負担がかかってしまう。
ならば、と。安全を考えて刃先が丸くなっている小さなハサミを取り出した。

「ちょっと短くしてから剃るからね?じっとしてて」

「うん」

なんだろう、ももが大人しい。
恥ずかしいからってのもあるんだろうけど、あんまりそう、
可愛い反応をされると余計な事を考えてしまう。

取り敢えず目に見える所からサクサク、と。
もうこれ以上余計な事は何も考えずに手を動かす。
うっすらと地肌が透けて来て、こんなものかな、と手を止めた。


「ちょっと待っててね」

洗面器に蛇口から少し熱めのお湯を溜めて、タオルをギュウッとしぼって、
ポンポンと手で広げてからそっとももの薄くなりつつある丘の上に乗せる。
即席の蒸しタオルってやつだ。

「熱くない?平気?」

「ん。大丈夫」

いざやるぞとなって、ここにカミソリ以外の除毛グッズだとか気の利いたものは無いだろうなーと思ったので、
ももがお風呂に入ってる間にと、急いで帰って事情を説明していたにへちゃんから道具一式借りて来ていた。
頑張ってみやちゃーんって全力で応援されるってのも困りものだ。でもこういう時お家が近いのは便利。
流石は、ギャルにへちゃん。……大人だ。美容的なお手入れに関してはもう何から何まで分かっている。

「じゃあ…あとは。どれでやろうか?
 カミソリなら他に比べるとすぐ終わるけど慣れてないと暫くしたらチクチクするかも。
 ワックスだと最初はちょっと痛いかもだし、かなり時間は掛かるけど…まあ相当綺麗にはなるよ?」

「んー。……すぐ終わった方がみーやんも楽だろうし、…初めてだし取り敢えず、予定通り剃るので良いよ。
 てか。なぁに、それ?スプレー?」

「これ?シェービングクリーム。ももが剃るって言うから」

「えっ、それって男の人の髭剃り用じゃないの?パパの?」

「違うって、女性の脱毛専用のだし。そもそもパパのとかじゃないからね?みや(借り物だけど)のだし」

突然のぶっ飛んだお願いにも関わらず説明書を応援メッセージ付きで、
丁寧に書いて道具ごとみやに託してくれたにへちゃんに申し訳なく思いつつも、えいっと手に出した。

白く泡立った液体がプシューと出てきて、手のひらいっぱいになったところで、
もものそこからタオルを取り去り、くるくると優しく乗せた。
手持ちぶさたなのか、私の髪を摘まんではくるくると遊びだしていたももがそうだと口を開いた。

「そういえば、石鹸じゃダメなの?毛を剃るのって泡立ててーってイメージだったんだけど」

「石鹸は、ここだと染みる可能性が高いし、肌の必要な皮脂も取っちゃうから乾燥しやすくなるの」

「そうなんだ」

説明しながら更に手にクリームを絞り出す。

「もも、ちょっと、お尻浅めにしてくれない?塗りにくい」

「んー」

浅く腰掛け直したももの陰部に、入り口には入ってしまわないように注意しつつクリームを塗った。

さて、と。膝をついたまま半歩分くらい進んで。
股間に、黒くて緩やかなカーブを誇るその毛に目線を合わせて慎重に真剣にカミソリを握る。
絶対にももの肌を傷つける訳にはいかないから、みやだってこればっかりは真剣だ。

ももの顔をみると軽く頷いて、そっと陰毛にカミソリを当てた。
毛の向きにそってカミソリを滑らせると、立派に生え揃っていた毛は意外と簡単に剃り落とせた。
もう一度クリームを足して、所謂ビキニラインの、端の方まで生い茂っている一面の草原を。
ふっくらとした丘を傷付けない様に慎重に、丁寧に剃り終え、更に下へと向かう。

ももは普段とあまり変わらない様子で、
大事なものを隠すように普段からぴっちり閉じているだろう柔肉は、
脚をグイッと開かせたことでほんの少しだけ中が見えていた。

生まれたての赤ちゃんのような、新鮮な赤が目に焼きつく。
何だか神聖な。まじまじと見てはいけないような気がして目を反らしかけて、
いや今目をそらしたら本当に新鮮な、若干の鉄の味すらする赤色を。
有無を言わさずももの手でみやから吹き出すことになるな、と視線を戻した。

指で押さえて、剃る先が動いてずれないようにして慎重に剃って、
見た目にはほとんど毛は見えなくなった。
カミソリをおろして、右手でやさしく全体を撫でる。

「……かわいい」

ぽろりとこぼすと、頭に激痛が走った。
ももも額を押さえて涙目で。どうやら頭突きされたらしいと判断する。
下から睨み付けるとももは一瞬たじろいで、でも口をへの字にして言う。

「みーやん、なにか言うことは?」

「…ももって石頭だよね」

手が降り下ろされる。ぺちん。あ、優しい。
やっぱり頭突きはももの方も痛かったのか。

頭を擦りながら目で文句を伝えるも、
有無を言わさないももらしく目を見開いた鋭い視線に負けて大人しく続きに取りかかる。

こんどは逆向きに、さっきよりもやさしく、引っ掛からないように、剃る。
たっぷりとクリームをつけて、ほとんどなにも剃っていないような感覚になるように。
剃った後を、毛の生える向きとは逆に撫でてみてもチクチクしないことを確認して、
チクチクと残っている部分をまた剃って。

下の方はうっかり切ってしまわないように、何よりもずっと慎重に、
ぬるぬるとももの体温で温かくなったクリームを伸ばして剃っていく。

もうどっち向きに指で撫でてみてもチクチク残っている部分はなくなっていて。
スベスベぷにぷにとした感触が気持ち良くて、無言で撫で回す。
自分のものも同じような形だけれど、さわり心地が違うのか、ももだからか。

やわっこい、ぷくぷくした大福のようなこの感触は。
ふにふにと揉んでいると楽しくていつまでも触っていたくなる。

しばらくもみ続けていると、ももの足はじわじわと閉じてきていて、わずかに震えていた。
しつこさに怒っていて怒りのあまり震えているのか蹴られるのかと確認するため見上げると、
顔真っ赤にして眉間に皺を寄せて、目をきつく瞑っている。

ヤバい。めっちゃかわいい。

今度は口にこそ出さなかったけれど、
悪戯心がどうしようもなく疼いて、目元と口元が歪むのが自分でも分かった。

クリームと剃り終わった毛が混じったままの場所に、
そっとティッシュを当てがって大体を拭っていく。


洗面器に汲んだお湯を、ちょろちょろとももの陰部にかけ、
手の平でこすってまだ残っているクリームを丁寧に洗い流す。

「もう終わった、の?」と訊ねられて、
あとは全体の仕上げをするだけよ、と涼しい顔で答える。

右手の人差し指と薬指で柔肉をちょっと開いてみた。
ももが"ううーーー"と唸り声を上げて噛みつこうとさえしてきたので、

「ちょっと内側にも生えてることがあるから」と。

なんでも無い事のように説明して、片手で開いた。

妖しくてらてらと輝いて、真っ赤な二枚の花弁の中心に三角の芽がある。
そこに"うっかり"触れると、ぴくりと体が跳ねて睨まれた。
疑いの視線がみやに刺さっていることは感じていたけれど、
今は無視してその綺麗な花に集中する。

こり、と少し芯があって、芽の中のちいさな豆が膨らんできているようだった。
陰毛は、隠された芽とそれを挟むように守っていた柔肉との間にも存在することがある、
と本には書かれていたけれど、ももには存在していないことは一目見るとすぐにわかって、
でも"念のために"生えているかどうかを確認する。

そうこうしているとまた体が揺れて、逃げるように腰を引こうとしたので、

「変に動いたら切れちゃうかもしれないよ?」

そう呟くとピタリと固まった。

カミソリを構えていないことには気付かれていないらしくて、
顔を見上げると珍しく不安げに瞳が揺れていて、小動物のような可愛らしさがあった。

目が合ったのでわざとらしく安心させるように、にこりと微笑んでみせると、
サッと横を向いて、そちらに鏡があることにハッと気がつくと慌てて逆に向き直った。
そしてギュウッと固く固く目を閉じた。
ももの羞恥心が限界付近を迎えたのか目尻を涙が一滴だけ伝って落ちていった。

ふと思い付いて、拾い上げたカミソリの峰をそうっと滑らせると
金属の冷たさから刃先が触れていると思ったのか、
ももは更に体を縮ませて動かないようにしていた。

存在しない毛を剃っている手が蕾に少し当たっては通りすぎる。
その時、先ほどとの変化に気がついて、指の腹を小さな蕾に押し当てた。
こり、と小さいながらにしっかりと固くなっていて、ももの体がぴくりと跳ねる。

左手はもう毛のない丘にカミソリの峰を滑らせる。
コリコリとした芽を擦りあげて、指を伸ばすと、
くちゅり、と。右手に明らかにクリームではない温かい粘液が指についた。

にゅる、と親指が入り口に呑まれかけたので挿らないように引き上げると、
指の先が小さいけれど、ぴんっと立ち上がっている突起を引っかけてしまった。

「ふあっ……あぁ!……っ」

ももの口から、吐息とは誤魔化しきれない声が小さく漏れて、お風呂場に大きく、反響した。
呻き声と言うには色気があって、あえぎ声と言うにはどこか幼さがある。

そんな普段と違うももの声に感動と興奮を覚えてしまった私はおかしいのだろうか。
きっとおかしいのだろう。

片手は秘められつつも成長しようと膨らむ芽を転がして。
ももが手を持ち上げて、手の甲を口元に押し当てる。
しっかり押さえつけて、決して声を漏らさないようにしていた。

気がつけば左手に持っていたはずのカミソリはなくなっていて、カツンと音のした方に目をやれば、
ゆっくりと床を滑っていったそれが風呂桶に当たって止まったところだった。
【剃るのに夢中で手が当たっていることに気がつかなかった】という言い訳はもはや出来なくなっていて、

でもそれよりも、みやの両手が自由になった喜びが勝っていた。

ちらり、と顔を覗きこむと、みやから与えられ続ける行為への興奮からか自らの熱さにのぼせてきたのか。
頬を真っ赤に染めているももの横顔が目に入る。
ぎゅっ、とつむった目尻にはまたしてもぷるぷると涙が溜まっていて、
恥ずかしいけど耐えている、そんなももの姿がまたみやを狂わせた。

風呂の縁に腰かけ、足を大きく開いている。
こんな表情をさせたことがあるのも、こんないやらしい格好をさせたことがあるのも、
それらを見たことがあるのも多分この世の中をどれだけ探してもみやだけだろうという優越感に独占欲が満たされた。

艷黒く輝き真っ直ぐ細くしなやかな髪とは違い、
鈍い黒で緩やかなウェーブを描き弾力的な固さを持つ、
大人の象徴ともされる毛。先ほどまで確かにあったその毛、
陰毛なんて、はじめから無かったかのようで。
完全につるつるになった、子どものようなその丘に挟まれた泉から
蜜を流しているももの姿は背徳的で、私の興奮を煽る。

くちゅ、まだ幼さを残す体には多少不釣り合いな、
赤く熟れた大人の匂いを放つ場所に、そっと触れる。

ごくんと私はつばを飲み込んで、ももも息を呑んだ気配がして。
右手はももから溢れた蜜で濡れた指先で、今にも開いてしまいそうなほどに膨らみきった芽を転がす。
左手は温かく甘い花のような香りを発して蜜をだらしなく垂らす花弁へと引き寄せられた。

快感からか触れるのに合わせてひくひくと動く芽のすぐ下、
蜜壷の入り口からはすこし離れたその場所に、細い指を落とした。
少し離れたところに落としたというのに、にゅる、と指が滑って、入り口へと案内された。
力を加えることもなく、すんなりと第一間接まで食べられる。

その蕾を転がすのに連動するかのように、きゅっと締め付けて、緩くなって、指先が咀嚼された。
平均なんてものは知らないけれど、周りの同じ位の見た目の人よりも、
僅かに細くて長い気さえもする私の指だと言うのに、
もものそこは咥えたままに、きゅうきゅうと締め付けようとする。

心臓がバクバクと鳴っていて、その鼓動に合わせるかのように、勝手に手が動いていた。
コロコロとももの小さな丸い豆を転がしているその右手で、
今は白い指を咥えている赤い赤いそこから蜜をすくい取った。

被っていた三角の帽子の隙間からまあるく紅の真珠のようなそれが半分露出していて、
つん、と露出している部分に直接触れた。ももの抑えられた口から、
掠れた声のような、音のついた吐息のような何かが聞こえるのと同時に、
体が小さく跳ねて、先の方を咀嚼されていた私の中指が一気にきゅっと追い出された。

折角ぬめぬめと絡み付く暖かな柔らかいももの感触を味わっている途中だったというのに、
追い出されてしまって、もう一度、侵入を試みる。

ぬるり、と滑らせるように中指をあてがって、
とりあえず入るところまで挿入してみようと少し押し込むと、驚く程あっさりと受け入れられた。
今度は第二間接が僅かに見える程度までは挿入できて。

それでも再び侵入を阻止するかのように、きゅうきゅうと締め付けてくるのがかわいらしかった。
あと半分、この指を入れたら。私の到達できる一番深い場所に辿り着けるから、
と解すように、ももにお伺いを立てる様に中で指を動かしていく。

天井から右の壁へ床を這ってそのまま左側の壁そしてまた天井へ。
中の感触に夢中で右手が疎かになっていたことにふと気がついて、
真珠を二本の指で挟んで、交互に上下にさすってみる。
ほとんどの集中力が似合わぬ大人の薫りを出す少女のそこにあるけれど、顔を見上げた。

その顔は、いつも単純思考で突っ走り気味で、
気付けば皆の中心になっているあどけない子供の様な少女のもので。
それでも今は、ハッキリと快感を受け取っている女のもので。

ももの顔は眠気とは違うとろんとした顔で。
いつものクリッとした丸さとは違い細くなった目に、一杯まで涙をためていた。

両手はそれぞれに違う動きをさせるのに忙しかったので、
膝を浮かせて、舌で舐めとってみる。
されるがままのももがとても可愛らしいと思ってそのまま頬に口付けを落としていく。
その涙はしょっぱくて、でも何故か甘さを感じた。


ももは少し目を開けて、指の動きに合わせて体を左右へと揺らし
跳ね締め付けながら、私のことをじっと見ていていた。
口はへの字で、眉間にシワを寄せていて、しかし目は垂れ下がっていて。
それがきっと睨んでいるのだと気が付いたらなぜだかおかしくて少し笑ってしまった。

左手はちょうど指一本分しかないスペースをそのスペースごと移動するようにかき回して、
触れる範囲の、むにむにしていて蜜を出し続ける壁全体に、私の指の感触を覚えさせていた。

はじめは完全に隠れていた、今は半分ほど見えてきているちょっと恥ずかしがりな真珠にやさしく触れると、
一気に中がキュッと締まって、そこが一番気持ち良いの。ってももが言ってるみたいでぞくりとした。

排尿に使うわけでも、生殖に使うわけでもない、
ただ快感のためにだけついているとも言われるらしいその真珠。

確かに私もそこが一番気持ちがよくて、そこに触れると一瞬で快感に貪欲になり、
一度絶頂に達するまでずっとそこのことが頭から離れなくなるのだ。

ももの家に行くたびに、その夜に一人で居る事に寂しくなってからは。
自らのそこのことを考えて下着を相手のいない愛液でしとどに濡らしてしまっていることには
少し前から気が付いていて、しかし意識しないようにしていた。

ここはお風呂場だから湯気で湿気っているのだ、
熱い風呂が側にあるから、汗をかいているのだ。
そう、今さら言い訳してみたところで、体に貼り付いたショーツの濡れた感触は、
同じように体に貼り付いているワイシャツとは違っていて、
そこの筋肉が呼吸をするように動いているのがわかった。

一度意識してしまうともう考えないようにすることはできなくなって、
触れたくて、触れられたくて、どうしようもなくなってしまって、
もじもじと足を動かして誤魔化す。
そんなことをしながらも、両手はももを優しくいじめ続けていて、
我ながら中々に器用だななんて感心する。

壁をやさしく引っ掻くようにしながら、ゆっくりと指を引き抜く。
ももは吐息に混ぜるように小さく喘いでいた。
常日頃から爪を整えていてよかったと思った。
引き抜いた指は密で濡れ妖しく輝いていて、
美味しそうに見えた指をそのまま口に運んだ。
チロと舌先で舐めてみると汗や涙に近いしょっぱさ。
指の根元をくわえて、舌を出して先までなぞる。
やっぱりしょっぱくて、ぴりぴりとして、
でも、ふわりと香った匂いは甘いような。

-もっと、ももの味が知りたい-と挿れていた指を舐めて、
垂れた蜜のついた手のひらを、夢中で舐めた。
決して甘くはなくて、特別苦くもなくて、
ちょっとしょっぱくて、ぴりぴりして、なぜだか癖になる味で。

指についていた蜜なんて、すぐに舐めきってしまって、でもまだ味わっていたかった。
視線を上げると、すぐ目の前には透明な甘くはないけれど、
みやにとってはあまりにも魅惑的な蜜が湧いている泉があって、自分の口元が歪に笑うのがわかった。
左手を手を舐めている間も、きっともどかしいだろう優しさでさわさわと触れ続けていた右手を下ろす。

完全にみやからの刺激が無くなっても尚、そこはひくひくと動いていて、
視線を上げたら困惑した顔で息を切らすももと目があった。

にこりと笑いかけて見せると更に困ったような顔をして、かわいい。本当にかわいい。
ついにやけて口角が上がってしまいそうになるのを、警戒させまいと抑える。

しかし私が抑えきれていなかったのか、ももの勘が鋭いからか、
ハッと何かに気がついたように大きく開いていた脚が閉じようとした。
咄嗟に出した私の両手が、ももの膝を片っ方づつ掴まえて、力比べをする。
口はパクパクと何か言おうとしているようだけれど、
未だ息が整わないからか、動いても出てくるのは色気のある吐息がほとんどで、
こんなにも真っ赤な顔をして、息を切らせたももの姿は見たことはない。

締め切って気温を湿度を逃がさない風呂場は、
匂いも閉じ込めてしまうようで、じめじめとした空間にえっちな匂いが充満していた。

その湿気は風呂の湯気なのか、もものそこからでた湿度なのか。

充満する香りはももなのかはたまた私からなのか。

胸いっぱいに入ってくるその匂いだけでもドキドキしてしまって、
自分のそこはズクズクと疼く。
今はもう既に"大人のマナー"である剃毛をしていないことはももも気がついているはずで。
息が整わなくとも私を蹴り倒して逃げ出す位はできるだろうに、
でも決して蹴り飛ばさないももの花弁に、私はそっと口付けた。

ぬちゅ、と粘り気のある蜜で濡れたそこは、
私の唇に吸い付くようで、舌を少し出してちろりと舐めてみる。
もっと味わおうと舐めてみたはずなのに、甘い苦い辛い酸っぱいとか、
そんな感想は出なくて、ただ-ああ、これが夢にまで見たももの味なのか-と思った。

「……っ!み、やっ!……バカ!」

先程までははあはあと内容の理解できない音の混ざった荒い息を吐くばかりだったももも、
そろそろ息が整ってきたようで、意味のある言葉が聞こえた。
繋がっていないながらも私に文句が言いたいのだろうとはわかった。
-ああそうかももは触るのを突然止めたから怒っているんだな-と勘違いしてみて、膝を放す。
力比べの相手を失った足は閉じようと迫ってきて、
でも、自由になった手で私の目の前にある、つるつると丸いその芽を掴むと動きは止まった。

「ぁあっ…っ!…」

体がぴくっと跳ねて、声が漏れて反響していく。
大きな声ではないのに、反響したその音が頭に届くとジンジンとしみて、ぞくりと体が震えた。
片手は紅く妖しくみやを誘って来る真珠を優しく摘まんでは転がすと、
唇に当たっている花弁ははやくキスして、と呼吸をするようにぱくぱくと動いた。
その要望通りに。同時に舌でくるりと舐めて、チロチロと味わう。
蜜は絶え間なく出てくるけれど、もっと新鮮な蜜を求めて、舌を更に奥へと差し込んだ。

「ふっ……ぁっ」

色のついた息が聞こえて、蜜を舐めとるように、
みやの唾液を塗り込むように、舌の届く範囲全てを舐め回す。
中は温かくて、むしろ火傷しそうな程に熱く感じる位で、追い出そうと締め付けてくる。
ぐいぐい締め付けるそこは、最初よりも蕩ける様に柔らかくなっていて、
指を通してももに身体中を甘噛みされているような感覚だった。

蜜の味にはある程度満足できて、
ぺろりとピンと立った豆を舐めると、体がぴくんっと跳ねた。
舌でコロコロとあめ玉のように転がしてみる。
ちらりと視線を上にやってみれば、ももはまた自らの手を口に当てて、
飛び出てしまいそうな声を抑え込もうとしていて、それでも漏れだした音が私の興奮を煽った。
コロコロと舐める速度を速めると、声は次第にはっきりとしてきて、ようやく、耳に届く。

「あっ、ぅ……っ」

手で隠れて表情はあまり見えないけれど、堪えて漏れだした声から、
体の揺れから、気持ち良くなってくれているのだろうとわかった。
舐めとるのをやめた花弁はもう蜜で潤っていて、艶々と妖しくお風呂場の電気を反射して輝いていた。
そして再びころころと転がして、ちろちろと舌でくすぐって、指でつんつんとつついて、
虐めて可愛がった豆は今は顔を近付け過ぎてて見えていないけれど、時折鼻にぶつかってしまっていて。
剃り始めていた時とは比べられない程に膨れ上がっているのが分かる。

「んん……あぅ……ぁ、くっ………ん」

声を堪えきれなくなってきたのか、鼻から漏れる荒い息とともに、
喉の奥から出てしまったような声ではない音が、
大きく、はっきりとしてきて、そろそろももの限界が近いのだと気がついた。
一度、いっておいでよ、と、豆を吸い上げる。

「んっ、やっぅ、いっ……ぅ…………んぁああぁ!!」

一瞬、体が硬直して、縮こまって、直後。
手を当てていたのに全然抑えられていない声が風呂場で反響して、全身にぶつかってきた。
声とともに、ももの体は大きく反り返って、
そのまま後ろ向きに倒れそうになって。慌てて手を伸ばしてその腰を支えた。
体が何度か痙攣するように跳ね、弛緩する。

見上げると口をぼんやりとあけて瞳を潤ませているのが見えた。
後ろに倒れないよう支えていた手で引き寄せると、体に力が入らないのか簡単に抱き寄せられた。
腰を浮かせた私の肩にももの頭が乗っていて、間近に横顔があった。

「はっぁ、ふっ、」

息を荒げて、頬を染めて、見慣れないももに思わず口が滑る。

「かわいい」

ももはふいと私の顔に後頭部を向けてしまって、顔は見えなくなった。

ももの息も次第に整ってきて、聞こえるのは二人の鼓動と、
浴室のどこかで滴が一定のリズムで垂れる音だけで。

でも、私の中の熱はまだ覚めていなかった。
スカートは水とクリームを吸い上げてすっかり濡れていて、
ショーツはそれとは違うもので濡れて張りついていて。
今も分泌し続けているのが見えないけど、自分の身体だ。もうはっきりと分かっていた。

ももはまだこちらを向いていない。つまりは私の動きには気付けない。

左手を伸ばして、先程まで言葉通りに目と鼻の先にあった、ももの秘所へとたどり着く。
少し触れただけでぬるぬるとしていることはわかって、くるりと撫でると水音が響いた。

「っ!……みや?なに、して」
「いくよ」

ぬちゃ。するりともものそこに指が一本入り込んだ。みやの形を覚えたようにすんなりと。
息を吐いて、私の方を見詰めてきて、たまらなくなってそっと唇を合わせる。
突然のみやからの再攻撃にとんでもなく驚いた様子で目を見開いていた。

口付けをしながら中の指をくるくるとかき回すと目をギュウッと瞑ってしまった。

まだ締め付けてくるものの、はじめよりはずいぶん柔らかくなったことを感じて、
もう一本、あてがってくいと押し込んだ。
多少の抵抗を感じたが、案外すんなりと入り口は通過できて、指でへその裏に向かうようにくいくいと圧す。
ももの顔は情けなくゆるんで、口も昼寝をしているみたいに薄く開いていて、
その唇にも駄目押しとばかりに割り開いて舌を挿入する。
口内を何度も何度も舌で舐めて優しく、時に激しく解していく。

これだけ気持ち良さそうな顔で、多分痛くはないのだろうと、指を最後まで押し込んだ。
みやが辿り着ける限りの、一番奥へ。

「ん………ぁっ……みやっ…みやぁ…」

すっかり蕩けた、ももの顔。

もう抑えられなくなった衝動に、空いている手を自らの秘所へと伸ばす。
スカートをめくってショーツの隙間を抜けて、滲みだした愛液で濡れたクリトリスを指で強く擦る。

ももの中の指を出し入れしつつ、自分のクリトリスを同じ様な動きで強く擦って。
触れていなかったけれどももに触れて、その反応を見て充分過ぎる程に高まっていた私も、
さっきイッたばかりのもももあっけない程すぐに限界に近付く。

「ももっ、はっ……、ぁ………」

「はぁ!っつ!みや……あっあぁっ……みやっ!」

ももの体が硬直して、指を潰さんと言う勢いで締め付けてきて、お尻が浮いて、足と腕だけに力がこもる。
私の脇の下から肩へと手を回して、ぎゅっと抱き締められていた。

「ふ、あっ。みーや、…んっんーーーっ!……あああぁあ!!」

一番大きな声をあげて、ももが再び絶頂へと達した。
自分のクリトリスを押さえ擦る手は勝手に早くなっていて、
胸が押さえられたように息がつまった。膝をついたままの体が、
勝手に体が反り返っていって私の喉の奥からも良く分からない声が出ていく。

「ーーーっふ!!っ!!」

ももから指を引き抜いて、片腕で抱き締めて、イった。
頭がふわっと浮かんで真白になって、全身の筋肉が痙攣した気がして。

擦るのをやめたもう片方の腕も使って、ももを抱き締めた。
全身は湿気でびちゃびちゃになっていて、
特にももの顔の乗っている肩はよだれなのかびちゃびちゃになっていた。

頭がふわふわとしていて、イッたあとっていつもこんなに熱っぽいものだったかなと考える。
ぼうっとして、靄がかかって、ちょっとした立ちくらみのようで。

「………みーやん」

「なぁに、もも?」

「いろいろと、いいたいことはあるんだけど」

「そう、…なに?」

「のぼせた」


ああ。そうか、これは。

眩暈というか立ちくらみというか。
熱いお風呂に長い事浸かり過ぎた時の感覚と一緒だなぁと気がついて、そのまま。
そこから果たしてどうやって生還したのか。

支え合ってお風呂場を出て。ももの身体を拭こうとしたらふらついて。
言うまでもなく服はびしょ濡れになっていたけれど、それどころじゃなくなって。
慌ててももにお水を飲ませてて、何故か慌てたももから「みや」と呼ばれたのまでは覚えている。

ただ、少しして気がつけばもものベットで二人並んで、全裸で横になっていた。

「もも?起きてる?」
「寝てる」

話しかけてみると寝てると自己申告されて、
"一度寝たらお仕事か大事な用事以外で起こすな"という古くからの約束を思い出して話しかけるのはやめた。
比喩的にも物理的にも頭が冷めた今なら、
起きてからいろいろと大変なことになるだろうとわかっていたけれど、
でもとりあえず、襲ってくる睡魔に大人しく流されて眠ることにした。

明日のことは明日の私達に任せよう。

「おやすみ、もも」
「ん。…おやすみ」

目が覚めたらすぐそばに満面の笑顔をしたももと、なぜか涙目の茉麻と二瓶が居て。
偶然なのかそれとも必然なのか一体いつ見つけてしまったのやら。
にへから渡されていた紙を握りしめたももが
「さあ、みーやんじゃそのままの格好で、そこに座ってね?」と、二人の隣を指差して。
今までで一番、悪戯が大好きでつい実行してしまった昨日の自分を呪うこととなりました。

そして三人で仲良くももからの有り難いお説教を食らい、
当事者じゃない人はこれ位で勘弁してあげると、2時間程で茉麻と二瓶が解放された後。

二人だけになって。まだみやは裸のままなのに正座したままで。
ふいにももが目の前にしゃがみこんで、するりと腕をみやの首に回してきて、艶っぽく微笑んだ。


「みーやん?……今日は、寝かせないからね」


ももは昨日よりも、もっと子供で。もっと、大人になっていた。

END


※ひとつ言っておくとこんな変態プレイはした事なんて無いですからね?
……資料の為に映像等で見た事はあっても(待て
自分で処理する際だとかのご注意や有益な情報等は書いてある通りですが試してみたい方はどうぞご自由に


以下エピローグ的なおまけ。

あ。そういえば。

「待って、みやちゃん!いろいろする前に絶対読んで!もう本当、ガチで!」

勢いで道具一式を借りて、再びももの家へと戻ろうとした私に、
にへちゃんがお手紙を渡してきていたっけ。
スカートのポケットに入れっぱなしで忘れてた。

なんだかいつもよりも大分時間が掛かっているもものお風呂を待っている間に、と急いで目を通す。
パラリ、と開いてみると。よくあの少ない時間で、と驚く位ご丁寧にも、
ももと撮ったんだーと以前自慢して渡していたみやとのプリクラまで貼られ。
なんと便箋に至っては三枚もあった。

#―――――#

『簡単!おうちでできるパイパン講座』

やりかた
1.お風呂等で陰部と手をきれいに洗おう!
2.長い毛をハサミで短く刈るよ(カミソリで一気にやっても良いですけど量が多いと大変です)
3.蒸しタオルで温めて根元を柔らかくします
4.シェービングクリーム等をつけ、よく切れるカミソリでまずは毛の向きに沿って優しく剃る
5.以上までで、かなり毛の薄い状態になるけど、毛と逆向きに触れるとチクチクすると思います。
更につるつるに、触り心地を良くするために次は逆剃りをします。
先程よりも多目にシェービングクリーム等をつけて、
今度は毛の向きにとは逆向きに優しく剃る。もし痛いって感覚があるようであれば直ちに止めること。
6.最後に使用したシェービングクリーム等を綺麗に洗い流し、
保湿用ローションなどをよく揉み込んでしっかりと保湿しましょう。

以上、お疲れ様でした。

☆ポイント☆
-シェービングクリームとその他の方法について-
石鹸やボディーソープ、コンディショナー等はデリケートゾーンに対しては厳禁。駄目、絶対!
敏感肌の人は脇や足、顔剃りの際にも石鹸類ではなく、出来る限り専用のクリームを使いましょう。
肌に必要な皮脂も同時に剃り落としてしまうため肌荒れや黒ずみ・痒みの原因になってしまいます。
シェービングクリームの代わりに、ワセリンを適度な量塗るのもOK!
ただし、その場合量は多くても少なくてもダメなので注意すること。
そして何度も剃って処理してると毛が太くなってしまう可能性があるので、他の方法も試してね。

それ専用に市販されている家庭用光脱毛器を使うだとか、毛抜きだとか。
自分での処理に不安が拭えない方はそれこそプロの専門技術にお任せした方が無難です。
一人でやるカミソリでの処理はやはり見えない部分のお肌を傷付けるリスクもありますし、
永久脱毛を目指すレーザー処置以外でも、お好みの方法を対応可能なサロンでやって貰うってのが安全です。

アレです。お手入れは美容院と一緒ですよ!
にへ的には慣れてきたらお家でも少しずつ気軽に出来ちゃうブラジリアンワックスがお勧めですよん♪

-最後に。大切な保湿について-
除毛後に付ける化粧水やクリーム等は、抑毛・除毛効果のあるローションやクリームを用いるとなお宜しいかと。
根気強く使い続けてると段々と毛も細く、少なくなっていきますよ。
パパイヤとかパイナップルの成分が入ってるのだとかまあ色々。好きな香りで楽しんでみるのも良いよ☆
敏感肌さんへのおすすめは炎症も痒みも同時に対応出来る安定のオロナインH軟膏です。

※ 注 意 ※
尚、パイパンにすると2日目位に再び生えてきた部分があると猛烈な痒みに襲われますが
それに耐えて暫くの間丁寧に処理を続けてるその内に慣れるので、まずは掻かないように耐えて下さい。
保湿してればそんなに痒くならないはずだけど、
それでも痒いなら冷水で少しずつ冷やしてあげましょう。

あ、お腹を冷やしすぎないようにね!ぽんぽん痛くなっちゃうからね!

以上、 にへちゃんの『みやちゃんでもできるパイパン講座』でした☆
他の人にやるってんならマジで。みやちゃんの事だから、テンション上げ過ぎないよう落ち着いて。
優しくしてあげて。ではでは、頑張ってねみやちゃーん☆ d(^_-)-☆


#―――――#

………ももには絶対に見られるわけにはいかない、と。
即座にスカートのポケットの中に捻じ込んだのは言うまでも無かった。


END

何だよこの長さは。本当、バカじゃないの。
前半部分のおふざけはもう昨日投下したんですけど。
後半の投下にメッチャ時間掛かりそうで既にげんなりしています…w
あー、寝るのは朝方だな、これはな。

……夕方からの勤務で本当に良かったと思う記念の瞬間(おい


ではでは、しーゆーあげいん☆

推敲と投下済みの方

取り敢えず投下が終わってホッとしていますのでざっくりと。

推敲って言うか色々綿パンツとかそういうのを追加前の文章は前日の日記にもありますので比較してみたい方はどうぞ。
まとめさんにタイトルを付けて貰ってから当店にも収納します。
時系列的には君とのリゾナンスの数か月後、もう6月ですのでまあ今からだと…今年の年末位のお話だと思いねぇ(謎設定乙)

…あっ、リゾナントの方も纏めないとorz

全てが希望通りなものが出来るかどうかは別として。
心を乱さないように大人なのよ!系の作品を作れてる間はCPヲタとしてきっと問題ない。
忙しいのは自分にとってはきっと良い事だと思う事にしています。
それでは推敲と追加後の全文をどうぞ。
前後の投下時コメントも含めたら22,000字もあって流石に草不可避。
アフォか。

あ、安定のみやもも(R-18)ですが切な甘いのが苦手な方はお気を付けて。まあ、最後甘ければどうでも良いよね派です。

※ちなみに作中に出てくるCDの『The Flame』は実際に存在する洋楽のタイトルです。Cheap Trick の The Flameってやつです。

https://youtu.be/muhFxXce6nA

直訳だとただの炎って事なのですが、意味を持たせた和訳だと永遠の愛の炎もしくは恋人って意味ですんで。内容も女々しいけども。
……まあ雅ちゃんったらロマンチストって貰った時のももちゃんに思われてれば良いのにって思って付け足して書きました。
その辺も誰か書いて!ってまぁ、自分で書くしかないんだけどさw

尚、熱い感想を掲示板でのレスやコメント等で頂くと次回作にもやる気が出ます。あ、本スレ内で誤字脱字してた所は直しました。


「おーい、みやー」

一人暮らしだしいつでも来て良いからと以前言っていた住人の名を呼び、三度目のインターホンを押す。
しかし相変わらず反応は一切無い。

お仕事終わりに寄ってみただけだし、
そもそも借りっぱなしのCDを返しに行くからねって事前連絡もしていない。
折角美味しそうなプリンも見つけたのに、な。
タイミングが悪かったかなと出直そうかとも思った。

しかし、ふと何気なしにドアノブを握って回してみると、それはなんの抵抗も示さなかった。
それをそのまま引っ張ってみても、同様に抵抗はなく、すんなりと開いた。

なにを思ったか、桃子は一度振られたはずの相手の家に勝手に踏み込もうとしていた。
自分の意思に関わらず足が勝手に動いているような気もした。
だがこの足を動かしているのは自分の未練にほかならない事ぐらい、わかっている。
それでも、屋内へと進もうとする足を止めることは、できなかった。

「みやー……いないの?」

すこし遠慮気味に、もう一度呼びかけてみる。
だがやはり反応はない。
いないの、かな?とも思ったが、桃子が来る時はいつも雅が居る時で、決まって鍵が掛かっていない。
家の中から物音もしないし寝るには明らかに早い時間だが、昼夜が逆転してる時もあるし既に寝ている可能性も高い。

桃子が脳内で採用したのは、後者の可能性であった。
――それは、このプリンとCDと一緒だ。部屋に入る口実を、みやに会う口実を作る為じゃないのか――
素直になれないらしくもない良心にそう指摘されるも、それでもゆっくりと寝室へ足を進めた。


おそるおそる、一番奥に位置している寝室のドアを開ける。
人の気配はなく、ベッドを確認してみてもやはり誰もいない。

はぁ、と桃子は落胆したようなため息をつく。
どうもみやはタイミング悪く出かけているらしい。
それが分かると、桃子は買って来たプリンを置いてすぐそばのベッドに腰掛け、しばしぼんやりとしていた。

出直すべきか。というより、出直すべきだろう。
そういう考えはあったが、おろした腰を再び上げる気にはなれなかった。

そうしてみやに会って果たす要件はと言えば、借りっぱなしだったCDを返すだけなのだから、
そのままメモでも書いてCDとプリンを置いて出て行けば済む話であることも、理解していた。
それでも尚、桃子は動けなかった。

住人が居ないのに鍵が開けっぱなし、折角プリンも持って来たし、
一人暮らしなのにみやが不用心だから仕方なく待ってた、うん、これで行こう。

「……はぁ」

勝手な理論で自分を納得させた所でもう一度ため息を付いて、そのまま仰向けに倒れる。
静かな部屋の中に、時計の針の音がやけに響いている。
その数を数えてみたが、なんだか虚しくなってやめた。

「……あ」

桃子は、ふと気がついて身を起こす。
そして、しばらくベッドを見つめた後、赤面する。

「……よく考えたら、なんで私みやのベッドで勝手に寝てるの!?」

雅が桃子の物を私物化すること、そして逆も。今に始まったことではなかった。
『ももの物は私の物』なんてことを平然と言っていた事もあったぐらいだ。

だが、今は事情が違う。
桃子と雅の関係はある日を境に変わってしまっていた。
それに、そのことを差し引いても、
桃子には『勝手に雅のベッドで眠る』という行為が大変『いけない』ことだと感じられた。

「えーと……」

思わず、あたりに誰も居ないのに意味もなくつぶやいてしまう。
雅のベッドに眼をやると、さっきまでは綺麗にベッドメイクされていたことが伺える。
だが、桃子がベッドでいつもの様に寝転がったという証拠は、しっかりと残ってしまっていた。
これを何事も無かったような状態に桃子が今から戻す、というのは無謀な事に思えた。

「えーい、もういいや!」

今日は覚悟を決めて来たんだから。
半ばやけくそ気味にそう言うと、桃子は再び布団へ飛び込んだ。



その、十数分後。

マンションの階下でのちょっとした用事を終え、雅が自分の家へ帰ってきた。
いつものようにドアノブに手をかけ、ドアを開ける。


そういえばなぜ、このドアの鍵は開けっ放しになっていたのか。
そもそも最初からこの部屋には鍵と呼べる固形物はこの世に存在していないのだ。


雅は、何事もなかったかのように、自然に静まり返った屋内へと足を踏み入れた。
昼間だというのにどこか薄暗い部屋で、愁いを帯びた顔をしたままの雅は一息つく。
それと同時に、ふと違和感を覚えた。
その原因である少しだけ開いている寝室のドアに、すぐに気がついた。
確かにさっきまでの記憶の中ではちゃんと閉めてあったはず。

ただの記憶違いで最初から閉め忘れていたのか、それとも泥棒にでも入られたか。
しかし泥棒なら家に入った時点で何かしら物が散乱しているはずである。
そもそもセキュリティはしっかりしろと言われて、指紋認証のオートロックにしてある。
通常の装備の泥棒では外から窓でも割らない限り入ることはおろか、
そもそも侵入者に対しては警報が鳴るらしいし、即座に出る事もまず無理だろう。

あれこれ考えていたが、部屋を確認すれば少なくとも泥棒かどうかは分かると、
万が一の為にと掃除用のモップを手に、雅は開きかかっていた寝室のドアを開けた。

そして、既視感と驚きとともに慌ててドアを元に戻した。

そこには、傍に来なくなって久しいはずの、よく見知った女性の姿があった。
例え何年経ったとしても見間違えるはずもない。
雅は、とりあえず気付かれないようにゆっくりとドアを閉めた。

ゆっくりと、大きく深呼吸をする。
鼓動が早くなるのを、少しでも鎮めようとした。
そして、今の状態に頭の理解を追いつかせようとする。

しかしこれで、オートロックの扉が開いていたのも寝室のドアが開いていたのも合点がいった。
住人である雅は勿論だが、桃子に対しても開錠するようにしていたままだったのだから。

しばらく雅は扉の前で佇む。
そして、これからの行動、展開に思いを巡らせていた。

桃子が一人で、自分の意志で、雅の元へ再びやってくるとは、思いもしていなかった。
一度、恋人関係を打ち切った相手と顔をあわせるのは、少々辛い。
だがそれは、決して桃子のことが嫌いなわけではなかった。

少しだけドアを開けて、部屋の中をのぞき込む。
桃子は、雅の方向から背を向けて寝転んでいた。

桃子の方からは、今のところ何の音も無い。
ドアをそのまま開いて、中へ侵入する。
雅は耳を澄ましながら、ゆっくりとベッドへと歩を進める。

桃子は無防備に寝息を立てている。
その無邪気な寝顔は、雅が以前から知っているそのままであった。

どうしたものかと、しばらく雅は思案していたが、
どうもこうも、起こすしかないかと考え至った。

だが起こすまでもなく、桃子は起きそうな素振りを見せた。
少し雅は身を離し、桃子を見つめる。

目を覚ましかけた桃子は、雅の存在に気づき目を向ける。

「おはよう、もも」

おはよう、と、寝ぼけた声で言ったのが聞き取れた。
そのぼんやりした反応と可愛い声には少しも変わりが無くて胸の奥がざわついた。

桃子が飛び起きたのは、その数秒後だった。

「あ、みや……えと、その、これは……」

ももの顔は、真っ赤になるかなと雅は思っていたのだが、
それを通り越したか、真っ青だった。

「ごっ、ごめん、その、CDを……返しに来ただけだったのに……」

「……なにをそんなに慌ててるの?」

ごく自然に、雅は言葉を返した。
確かに一時的に恋人関係だった相手との話であるとはいえ、
桃子がただ寝ていただけでここまで慌てなくてはいけない理由が、雅には見当たらない。
やはり何かやましいことがあるのかとさえ思ってしまう。

「まさか、何か変なことでもしてた?」

「へ、変なこと?いや、ももは寝てただけだよ?」

訊いた雅の方が恥ずかしくなるような、全く素の返し方であった。
桃子の口ぶりから、本当に寝ていただけだということがはっきり伺える。
実際、桃子の服装は、せいぜい寝ていたためについた皺ぐらいの乱れしか無い。

「あ、その、ごめん、みやのベットなのに、勝手に寝ちゃって……」

「……ああー、そんな事?別に気にして無いから。
 というか、いつも疲れ果ててはここで寝てたのに、何を今更」

「え、ああ……そんなもん?」

「……なに?他になんかあった?」

しばらく、二人の間に沈黙が流れる。
その沈黙にすぐ音を上げて、桃子は何かを喋ろうとするも、
それがはっきり言葉になるには数秒ほどかかった。

「……あ、いや、絶対嫌われたんだと思ってたから、ちょっと、拍子抜けしちゃって……」

桃子は苦笑いとも照れ笑いともつかない笑いを浮かべて、弁明する。
雅はそれを、複雑な心境で見ていた。

「あ、それとも……もう、ももの事なんて、みやはなんとも思って…」

「そんなことない」

唐突に眉を落としはじめる桃子に、雅は即答する。
自分でも驚くぐらいに、すっとその言葉が出てきた。
当然、桃子も驚いたのか、声も出ない様子だった。

再び、沈黙が場を支配する。
それを破ったのは、今度は雅だった。

「あ、その……確かに、恋人関係を打ち切ったのはみやだけど……。
 でもあの時も言ったけど、別にももを嫌いになったって訳じゃないから。
 ももは何も悪くなんてないし、…自分勝手なみやがいけないだけだから」

「……そ、そう」

だがそれも一時のことで、またすぐに気まずい沈黙に引き戻される。
もう耐えられないと言う感じに、桃子は机の上に置いたCDと紙袋を手にとる。

「あ、あのさ、返しに来ただけだから。…これ、ありがと。
 あと、プリン美味しそうだったから、ついで!折角だし、食べてみてよ!
 ……じゃ、じゃあ、確かに渡したから!」

そう早口でまくし立てて雅の両手に押し付けるように渡すと、
桃子は自分の鞄をひっつかみ、ドアへ向けて歩き出そうとした。

「あ……待って!もも!」

雅は、思わず呼び止めていた。

「……お茶ぐらい、飲んで行きなよ。……プリン、2個あるし。みや1人で2個も食べられないから」

「……え、……あ。でも」

「良いから。さっさとその辺に座りなよ」

これ以上の沈黙と桃子との終わりの見えない押し問答を避けるように、
有無を言わさず雅は背を向けて、キッチンへと消えていった。
残された桃子も、しばらくなにやら沈んでいたが、
その後に目をキュッと瞑ると、リビングへと足を向けた。


雅がお茶の準備をする、カチャカチャと言う音だけが聞こえてくる。
それもいずれ止み、代わりに雅の足音が近づいてきた。

「はい、どうぞ?お砂糖は2つで良かったよね?」

「あ、うん、ありがとう」

紅茶とプリンが机に並んでからは、味の感想と感謝を言う位でまた沈黙の時間であった。
雅は、桃子の様子を伺いながら、少しずつ紅茶を飲んでいた。
桃子は、雅の方をじっと見たり、かと思えば視線をそらしてそわそわしたりと、落ち着かない様子であった。

雅は、この先のことに思いを巡らせていた。

この紅茶を飲み終わったら、この溶ける様に甘いプリンをももが食べ終わってしまったら。
もう二度とももはこの家には来ないような気がした。
気がするだけでなく、考えが進むにつれてそれは確信めいたものに変わっていった。

見ると、ももの紅茶もプリンも三分の一も減っていなかった。
甘い物が大好きで、普段は我慢していてもいざとなったら食いしん坊なはずのあのももが。
ももの心情は、それから簡単に推し量れた。

だが、雅の胸中は複雑だった。
ももに早く帰って欲しくもあり、このままずっと帰らないでいて欲しくもあった。

雅の相反する思いは相殺し、その結果特に大したことは喋れずにいた。
そんな雅の雰囲気が、桃子の言葉も押しとどめていたのだろう。
天気の話や、食事の話、最近どう?元気?とかいった、何でもない会話がぎこちなく続く。
そしてそれらの殆どが、一言二言、多くても三回程度で打ち切られた。

間が持たずに、お互いに何度かプリンを載せたスプーンと紅茶を口に運ぶが、
その頻度は目に見えて減っていき、しまいには紅茶を飲むふりさえしていた。

その間、雅は二人が恋人であった時のことを思い出していた。

体を重ねることはおろか、唇に深くキスすることもなかった。
撮影やらLIVE中のどさくさ紛れだったり、皆と一緒のおふざけの延長線で、
肩や腰を抱いたり隣に居たり、目線を合わせたりすることは誰よりも多かったけれど。
2人だけの時に手を繋いだことも抱きしめたことさえも数えるほどの、本当にプラトニックなものだった。
それでも、ただ一緒に居れるだけで、笑い合えるだけでこの上なく幸せだった。
雅は、そう記憶している。

アイドルを追及するももがそれらの行為を求めていないと勝手に判断していたからというのもあったが、
最後までそんな関係で、ももは不満ではなかったのだろうか。
そんなことが、雅の脳裏をよぎる。

すこし唐突なその考えの原因は、雅自身がそうだったからか。
実際雅は、桃子を思っての一人での行為にふけることが今でも少なくなかった。
立場が逆ならそうしてしまうかもしれない、と言う考えは否定できなかった。

実は、CDを返すなんて口実で、
未練を晴らしに、納得をしに来たのかもしれない――

そんな考えが、無いでもなかった。
だが、ももの事だ。それはないだろうとすぐに振り払っていた。

そのまま何もなければ、それはちょっとした気の迷いで済まされ、
すぐに脳内の混沌の彼方へ追いやられる程度の話だ。

そんな時だった。

ももが、突然、ゆっくりと立ち上がった。
何事かと思っていると、ももは雅の方へとゆっくりと歩いてくる。

まさか、と、雅は思った。
馬鹿馬鹿しいとさえ自分で思っていたような考えが、急に現実味を帯びてきた。

そうしている間にも、ももはテーブルを回り、雅の目の前にまで近づいてきていた。
自分の頬が急激に紅潮するのを、雅は感じていた。


どうしよう、まだ、心の準備が出来ていない。


などと考えるうちに、ももは雅の頭に両手を伸ばし、顔を自分の方へと向けさせる。
そして、雅の目をじっと見つめた。

「……みや」


ももの瞳の中に、自分の顔が映っている。
それは、自分とももの物理的な距離を示していた。

「あっ、な、な、何、もも!?」

動揺が明らかに声に出ているのを、雅自身感じていた。
情けない声だったが、取り繕っている余裕は無かった。

「……期待、させないで」
「え?」

そう一言告げて、ももは雅から手を離す。
また少しだけ、ふたりの距離が離れる。
だが桃子は変わらず、じっと雅を見つめていた。

「……多分、だけど。みやはももとはやっぱり友達でいたいんでしょ?」

泣きそうな声で、ももは告げる。
その声が、雅をひるませた。

「……だよね。恋人じゃなくなっても、即絶縁とは限らないよね。どこまでいってもメンバーだし。
 ……本当、昔から誰にでも優しいもんね、みやってば」

雅が何かを切り返す間もなく、ももの震えた声がそのまま続く。

「……でも、私には無理。どうしても、みやと友達にはなれないや」

ももの目から、一粒、涙がこぼれた。

「……やっぱり、わたしは、みやが、好き、なんだ」

それを皮切りに、ぼろぼろと、涙がとめどなく溢れる。

「やっぱり、どうにも出来ないよ……こんな気持ちを忘れろなんて無理だよ。……みやが大好き、なの」

搾り出すように言うと、それきりももは沈黙してしまった。

雅は、一瞬で胸がつまるような感覚に襲われた。
それは頭にまで昇り、冷静な思考を阻害する。

そして、

「っ……そんなの、みやだって大好きだよ!」

その感情は、言葉となって考えるよりも先に口に出た。
それだけではなく、目にも涙となって現れた。

その言葉には、言った雅自身が驚愕していた。
言われた桃子はというと、言葉の意味を理解するのに、脳が追いついていなかった。

しまった、と雅が思っている間に、桃子はようやく言われたことを理解する。

「じゃ、じゃあ……どうして」

言うまでもなく、桃子の言葉は理解できた。
雅は背を向けて、少しの沈黙ののち、口を開いた。

「だって……単純なことじゃない」

雅の声は、どこか弱々しかった。

「今はいいよ?でも、ももは。子供が欲しいっていつも言ってたじゃない……」

そこまで言って、雅の言葉は自身の涙に遮られる。
それでも桃子は理解したらしく、俯いてしまった。

こらえきれない雅の嗚咽が、しばらく響いた。
桃子はそれを見ながら、ただただ佇んでいた。

「……そっか、なるほど。……単純な話だったわ」

そう呟いて、桃子は机の上に置いてあったCDを手に取った。

「……みや、悪いけどやっぱりこのCD、もう少し借りておくね」

その声に、雅は顔をあげる。
その表情は、既に涙でぐちゃぐちゃだった。
だがそれにも構わず急に立ち上がり、桃子に詰め寄る。

「……もも、は」

「え?」

突然のことに驚く桃子に、雅はそのまま言葉を続ける。

「ももは、どれだけ単純で鈍いの!?
 なんでみやが別れてって言った理由を隠してたか、分かんないの!?」

「ちょ、ちょっと!」

詰め寄られた拍子に、桃子はCDを取り落とす。
そのCDのタイトルには『The Flame』――

「みやのために無理してまで一生添い遂げろなんてこと、ももにして欲しくなかったから……」

「あ……」

桃子はすぐには言い返せず、視線を落とした。
それと同時に、目頭が熱くなるのを自分で感じていた。

「……別に、みやのためなんかじゃないし、無理なんてしてない」

雅を直視することのできないまま、桃子はつぶやく。
雅に届かずにそのまま地面に落ちてしまいそうな、小さな声だった。

「はっ、そんなお情けみたいなバレバレの嘘はやめてよ。ももからみやに触れてもくれなかったのに?
 じゃあなんで、今更になって返しに来たの?それに……それは、あげるって言ったはずだよ」

「……い……、うそじゃ、ない」

桃子はうつむいたまま、ぽろぽろと涙を流していた。
涙を袖で拭ってから、再び言葉を続ける。

「……それこそ、単純な話だもん。
 ももにとってはみやが最初の恋人で最後の恋人、なんだもん。
 そのつもりで、あの時のみやがこれをももにくれたんだって分かってた!
 でも、どうして良いかなんて!みやにどこまで触れて良いのか、なんてももには全然分かんないよ。
 みやはいつも優しいから。ももの事をただ受け止めてくれてるだけなんだなって思ってたから。
 だって、一人になって……人生最期の時、『その時』に。やっぱりみやと別れたくなかった、
 ずっと一緒に居たかったって、なっても。みやの事、好きなのにって想ってても……遅いじゃない」

『その時』を想像してしまったか、桃子の目からは再び涙が溢れる。
最後の方は、完全に涙声だった。

「私は……自分自身が選んだ人生を諦めたくもないし、否定も後悔も、したくないっ……!」

「でも……」

ももの悲しい声に胸を痛めながも、雅は言葉を返す。

「……ずっと考えてたの。本当に、ももはこれでよかったのかなって、
 ももは男の人と結婚して、可愛い子供を産んで。可愛い奥さんになって、可愛いお婆ちゃんになって。
 ももが心の底から幸せになって生きて行くって選択肢もあるんじゃないか、って。
 このまま関係を続けて。みやが、もものこの先の未来を奪ってしまって本当に良いの、かなって」

桃子の涙につられたか、自分で言っていて悲しくなったのか。
一度止まりかけた雅の涙は、再び溢れ始めていた。
それを抑えながら、雅はどうにか言葉を続ける。

「……特に、ももを好きになってから、ももと付き合うようになってからもっと深く後悔した。
 それと同時に、ももには……そんな思いをして欲しくない、と思った。
 だから、ももの心と身体がみやの我儘で取り返しがつかなくなる前にって、ももの気持ちが。
 ううん…違う、みやの自分勝手なももへの欲求が、落ち着くまで離れていようって思ってたのに」

雅の言葉を聞いて、桃子まで胸が痛くなる。

「……そんなの……みや、そんな風に……」

二人の言葉は少しの間止まり、いろいろな、複雑な思いの涙に濡れながら、
二人して、ポロポロと泣いていた。

少しだけ、涙が引いたところで、桃子が先に口を開いた。

「でも……さ」

もう一度涙をぬぐって、桃子は続ける。

「そりゃ、絶対後悔しないなんてお互い言い切れないかもしれないけど……
 ……でも、それ以上に……当然、こんなにみやが好きなのに。
 生きてるのに、みやとお別れなんて絶対に嫌だし……」

「…………」

「それを抜きにしたって、このままバラバラに生きてって、この先いざ死ぬってなって、
 まだあれやってなかった、ああ、これもやりたかった……って思う方が。
 ……みやがこれから先、隣に居ないって方がももは嫌だよ」

「…………」

「それに……最初に言ったはずだよ、みやと一緒じゃなきゃ、ももは幸せになんてなれないって」

雅は、もうなにも反論できなかった。
ただ黙って、桃子の言葉を、告白を、聞いていた。

「だから……その、これ以上みやをこのまま泣かせたくない……てのも、なんか変かな」

「……そっか、ももはそういう風に考えてたの……」

そう答える雅の表情は、暗いままだった。
それを感じた桃子は、軽く息を吸った。

「そんな暗い顔しないでよ!
 みやの恐れているような選択肢には、未来にはならないし。
 ももはみや以外を選ばないし!選べるはずもない!」

これまでの空気を打ち破ろうとして、桃子は少し大きな声を出す。


『なっちゃんが仕事以外で心の底から笑わなくなった。絶対もものせいだから、早い所どうにかして』

言いながらそう佐紀ちゃんに言われた事を桃子は思い出していた。
何度もあった事じゃないけれど、しょっちゅう喧嘩しても仲直り出来ていた幼い日の懐かしい記憶と、
丁度雅から訳も告げられずただ別れてと一方的に言われて一ヶ月が過ぎた、昨日の事を。
ただ、雅には明るくいつも通りに笑っていて欲しい。
その気持ちは一緒なのに。ももだから任せるんだからね!って思いっきり背中を叩かれた時のあの笑顔を。

「なぜならこのももちさんは、いずれ大魔法使いになって、
 皆をシーンとさせるあのとびっきりの魔法以外にも一杯使えるようになって!
 みやがどう頑張ってももを拒否しようとも、何があろうとも傍に居てやるんだから!
 食らえ!みやはももの事をもっともーっと好きにナール!」

「な、なにそれ……ふふっ…あは、あっははは」

雅は、思わず笑みをこぼしていた。
さっき自分で、後悔しないとは言いきれないと言ったばかりなのに。全力で伝えてくる。
桃子の言葉に、根拠なんておそらく無いのだろう。でも、それでいい。
いつだって挫けそうな周りの人達をとびっきりの笑顔にして心を暖かくする為。ただそれだけだ。

桃子の気持ちは、十分過ぎる程雅に伝わった。
そして、雅の気持ちが、急に、僅かではあるが明るくなってきた。
もしかすると本当にももは魔法使いなのかもしれない、なんて思える程には笑う事が出来た。

それと同時に、雅はこんなことが以前にもあったと気づいた。
それも、二度や三度ではなく、数え切れるようなものでもなかった。
緊張し過ぎてどうしようもなくなった時、外部仕事で上手く返せなくて困ってしまった時。
そして一人でいると訳もなく寂しくなってしまう雅は、
いつも桃子の聡明さ、素直さ、強引さ、明るさに救われていた。

「ももには、みやが必要なんだよ?」

桃子を振ってからというもの、雅の心はずっと沈んでいた。
そしてそれは、深い場所まで触れられない桃子をあの手この手でようやく懐かせたのに、
突然一方的に突き放した罪悪感と勝手な未来への絶望からだけではなかった。

雅は落ちたCDを拾い、桃子に差し出す。

「……もも、このCDは今度こそあげるから」

「えっ?あ、えっと、良いの?」

「だって皆のアイドルの次は。みやの為に大魔法使いさんに、なってくれるんでしょ?」

「そ…そうだよ!任せてよ!」

CDを受け取って、桃子は軽くガッツポーズのようなものをして見せる。
涙の跡こそ残っているが、だんだんいつもの桃子の姿を取り戻しつつあった。
雅の心も、そこから元気を貰うように明るくなっていった。

しかし、突然桃子は真面目な表情になる。
かと思えば、急に桃子は赤面し、恥じらいの様子を見せた。
どうしたのか、と思って雅が顔を覗き込むと、少し桃子は目を逸らす。
少しの間ののち、桃子は再び雅に目を合わせ、口を開いた。

「…ねぇ、みや」

目を合わせて、少しふたりとも言葉が止まる。
だがそれは先程までのような気まずい沈黙ではなく、どこか甘さのあるものであった。

「その……さっき、大好き、って言ってくれたよね?」

「えっ!あ、ああ……た、確かに言った、ね……」

今度は、雅までもが赤くなった。

本来はももへ二度と言うつもりも無かった言葉を、勢いで言ってしまった。
そんな言葉を思い返すと、流石に恥ずかしかった。

「あ、あのさ……そ、それじゃあ……みや」

「…………」

あー、だとか、うー、だとか、言葉未満な、怪獣の子供の様な唸り声を上げる桃子を前に、
雅は愛おしそうに微笑んだまま黙って待っていた。
桃子の視線が助けを求めるようなものに変わっていったが、
それをじっと、雅は見守っていた。

「ももと、……ちゃんと、つきあって、ください」

「……本当に、みやで良いの?ももを一度傷つけたのに?……後悔しない?」

「しない!…みやじゃなきゃ嫌だ。……ももが好きなのは、
 何度考えたって、例え何度生まれ変わったって。いつだって、みやなんだもの」

「……ありがとう、もも。みやだって、ももの事が大好き、だから」

桃子の表情が、またパッと明るくなる。
それとほぼ同時に、雅が、そっと桃子を抱き寄せた。

「あっ、みや……」

「……本当はね、ずっと寂しかった」

少しだけ、抱きしめる腕に力を入れて、雅は、桃子の目を見た。

「ももの為だから、って思って強がってたけど、やっぱりももといないと元気が出ないの」

「そ、そうなの……?」

雅の言葉に照れ笑いを浮かべた桃子は、
それを隠すかのように雅を自分の方へ引き寄せ、逆に顔が見えないようにした。

「……もも、ちょっと、体温高い?」

「そ、そりゃ、そんな照れくさいこと言われたら……」

「ももの方こそ、……かなり凄い事言ってたけど」

これは顔どころか耳まで赤くなってるな、と雅は思ったが、
このままでは桃子の顔が見えない。

顔を見られまいと自分に張り付く桃子を、雅は引き剥がした。
桃子は表情を見られるのが少し嫌そうだったが、拒むこともできずにいた。
幾つになってもそんな風に可愛らしく恥ずかしがる桃子が、雅はどうしようもなく愛しくなった。

当然、我慢し続けた上にこんな状況で至近距離にありながら、
本当の意味で恋人になれた桃子の顔を見るだけで満足が出来るはずも無かった。

「――!?」

それは一瞬のことだった。
後は互いの唇に、感覚が残るのみ。

「あ……あ、あ、…………」

状況から、みや? と問いかけたいのだろうと思われるが、いかんせん言葉にならない。
桃子は、ただ金魚のように口をぱくぱくさせるのみであった。

一方雅は、してやったり、と言う表情を浮かべている。
桃子とは少し違っていたが、やはり顔は紅潮していた。

「……っもー!」

桃子の硬直がようやく解けると、少しだけ雅から距離を置いて突然叫びだした。

「い、いきなりチューするなんてずるい!」

「だって……前に付き合ってた時も、ももからキスしてくれたこと無かったじゃない?」

「う、あぅ、え、えっと……」

何か言い返そうと、桃子は頑張って言葉を探していたが、
なにも見つからないのか、少し拗ねたように雅から離れ、
落としっぱなしだったCDを机に置いて、そこにあった椅子に座る。
それを追うように、雅は反対側の椅子に座った。

「……もー、さっきまで泣いてたと思ったら、またももを手玉に取るんだから……
 なんなのみやってば。いっつも、ももより手慣れてますし?みたいなさぁ」

「そんな訳無いし、人聞きの悪いこと言わなーい。それに、泣いてたのはお互い様でしょ?」

完全に拗ねモードの桃子を楽しそうに暫く見つめていた雅だったが、
ふと、目についた紅茶が、完全に冷め切っていることに気づいた。

「……紅茶入れなおして、お茶菓子でも出すからさ。ご機嫌直してよ、ももちゃん?」

そこまで言って雅が立ち上がろうとしたところで、
桃子がなにやらぼそっと口にした。
聞き取れるようなものではなかったので、雅は再びそれを聞こうとする。

「ん?」

「……そんなのは、いいから……」

桃子は少し目をそらしながらそう言うと、続けて何かを言おうとしたが、諦めたように眉を落とす。
そして、そのまま目を閉じた。

「……はいはい」

雅は苦笑しながら、桃子に近づき、今度は少し長めのキスをした。
触れる瞬間小さく揺れる肩が愛おしくて。多分、今までで一番長く、優しく触れていた。

「……やっぱ、分かってくれるんだ」

「そりゃあ。何年の付き合いだと思ってるの」

「…………」

雅の言葉に、なにか思うところがあったのか、桃子は少し黙り込んで考える。
その様子が気になったのか、雅はティーカップを下げようとしながら、桃子の様子を伺っていた。

「あっ、あのさ……」

そうしているうちに、桃子が口を開く。

「……久しぶりに、…泊まっていい?」

「えっ!?」

どき、と自分の胸が高鳴ったのを、雅は感じた。

そう、久しぶりに。
以前は、桃子が早朝や深夜帯での仕事の都合の為に雅の家に泊まることは何度かあった。
その時でさえもお互いに寝相が悪いからとか、時間が無いからとか、なにかしら理由を付けては別々に寝ていた。

「み、みやは良いけど……着替えとかは、持って来てるの?」

「……いや、持って来てないけど……でも……あー、その」

桃子は、言葉を濁した。
その表情から、言わんとすることが予期され、雅まで顔を赤くする。
そして、それに答える心の準備を雅は整えていた。
もしかしてただ寂しいだけかもしれない。逃げ出す気なら今助け舟を出してやらないといけない。

「もも?……お客様用の布団、みやの家にはもう無いからね?」

「っ……分かってる。……あの。もし、みやが嫌じゃなかったら、だけど。……一緒に寝ていい?」

「……うん、勿論」

少しの間を置いて、桃子を腕の中に抱き寄せてから雅は答えた。
締め付けられそうな胸の高鳴りを、どうにか抑えながら。

「でも。良いの?みやは前よりもっと、ももが好きになってるし、
 ……ももに触りたいって思ってるんだよ?」

「え、えっと。もう触ってるよね?」

「もっと、だよ。キス以上の事だって、ももにしたいなって思ってたし。
 ずっと我慢してた分、これからは一杯ももを感じたいんだけど?てか…ももは我慢してなかったの?」

「……鈍感は……どっちだよ」


ちゃんとした返事の代わりに、ももにギュッと抱きしめられた。
お互いの体温が自然と高くなっていくのを感じずにはいられなかった。



そして、その夜は。

泊まるなんて予想すらしていなかったけど、それならばと。今日はずっとももと居たくて。
本当は今夜はしみちゃんとご飯しに出掛ける予定だったけど、キャンセルして貰った。
ドタキャンだったのに、全然怒ってなかったのは不思議だったけど。
じゃあまた今度ね~って軽く笑ってくれたその優しさが有難かった。

ももは何が食べたい?って聞いて。
オムライス!って言われて。いつも通りのフライパンで、可愛いのを作ってあげた。
ももはみやのを作るからね!って柄にもなく張り切ってて、そして。
出来上がったのはちょっとだけ破けてたけど、意外にもフワフワの卵が乗っかったオムライス。
卵の味付けが一切されてなくて、ケチャップ頼りだったのはまあ、ご愛敬って事で。
大好きな人が作ってくれたものがとっても美味しいんだな、って痛感した。


二人で片づけて、並んで歯磨きして。
コップは一つなのに、歯ブラシが二本に戻った。
以前よりももがくっついてくることにドキドキさせられて。
並んでソファーに座ってTVを見てるのに、内容なんて全然頭に入んなくて。
それはももも一緒だったらしくて。自然と見つめ合って、抱き締めて。
両手では数えきれないほどに触れるだけのキスを贈り合った。


照れてるくせに、こともあろうにお風呂、一緒に入ろっか?なんていつものノリでふざけ出したから。
流石にももの冗談でも。みやが平然と良いよ?なんて言おうものならみやのえっち!って逃げるはずだ。
馬鹿でしょ!ってバスタオルともこもこのパジャマを投げつけたら、予想通り笑って先に入ってくれた。

あ。下着、渡すの忘れた。
似合うかと思って買ってあったやつ、梱包したままだったからあげようと思ってたのに。
……まぁ、良いか。明日ちゃんとプレゼントしよう。


二人とも寝間着に着替えて、再び二人は寝室へ移った。
雅のベッドは一人で寝るには十分大きかったが、それでもダブルと言うには少々小さい。
枕は予備のものがあったので、それはなんとかなったのだけれど。

「じゃあ……おやすみ」

「あっ、ちょ、ちょっと待って、みや……」

ももは雅を手で制する。
そして、雅の目を見つめた。

ももが唾を飲み込む音が、雅には聞こえた。
察した雅は、ゆっくりと目を閉じた。
そして、五秒ほどたって、唇に柔らかく何かが当たる感触があった。

目を開けると、ももが布団をかぶって悶えていた。

「……おやすみのキス?」
「そ、そういう、こと……じゃ、じゃあ、おやすみっ」

一方的におやすみを告げて、ももは布団をかぶったまま横になった。
それを見て、雅は苦笑する。

とんでもなく可愛い事を今日は一杯してくれてたのに。
やっぱりまだ恥ずかしいって訴えるももにはやっぱりもう少し時間が必要だよね。
そう言い聞かせたけれど、以前のように不安になる気持ちはもう無かった。

「……うん、おやすみなさい、もも」

そうして、僅かな明かりを残して、寝室の明かりが消される。

――予想はしていたがキスだけで、電気を消してしまった。
  心は昨日までと違ってポカポカと温かい。だけど……これじゃ、望み薄いかな。
  でも、さっきからのももは……ももにしてはずいぶん積極的だった。
  なによりも、初めてももからキス、してくれた。
  嬉しくて調子に乗って何度もみやがお願いしたからか、凄い恥ずかしがってたけど。
  これは……もしかしたらもしかするかもしれない。手でも握ってみようか。

雅はそんなことを悶々と考えていたが、
散々泣いたり笑ったりして、今迄張り詰めていた心が疲れていたのか、
それとももものおかげで安心したのか、少しだけ眠くなってくる。

そんな時、不意にももの手が伸びて、雅の肩に触れた。
突然のことに、びくっ、と雅の体が跳ね上がる。

驚きすくんでいると、そのままももが接近してきた。
そして、ついには抱きしめてきた。

「ちょっ、もも?」

「…………」

寝ているのか、それとも照れているのか、返事はない。
そのかわりに、ももの手が雅の胸に触れる。

「ひゃっ!?」

「あっ……い、嫌だった?」

ももの、不安げな声が聞こえてくる。それと同時に、ももは手を引っ込めた。
起きていた、ということは、これはももの意志だ。

「……ううん、違くて。びっくりしただけだから……」

「そ、そっか……ごめん」

ももは返事を返したが、そこからは何もしようとしない。
一瞬触れられたままの雅の気持ちは昂るばかりで、しかもやり場が無い状態だった。

「……いいよ、もも。……ももの好きなようにして」

「う、うん……」

ももは、体をひっくり返し、雅に覆いかぶさった。
僅かな明かりが、ももの顔を照らしていた。

「……ごめんね、なんかさっきから、やられっぱなしで、
 ろくにお返しとかできなかったから……」

「それで、ちょっと強引にいってみた、ってわけ?」

「……う、うん」

ももは、その体勢から、雅に顔を近づける。
ゆっくり、だが先程よりは早く、唇は触れあう。
体を雅のすぐ隣に降ろして、雅の温もりを感じることに専念した。

触れて啄むだけのキスが、五秒ほど続いて、ようやく二人は離れた。
だが、そこでももは何かを言いたそうにしていた。
しかしそこで敢えて雅はなにも言わずにももを待っていた。

「あ、あのさ、みや?……その、えっちのときのって……えっと。
 ……舌って、入れるんだよね、やっぱり」

至近距離で、恥ずかしそうにしながらも、それでもどうにか目をそらさずにももは訊いた。
ももがこんな事を聞いてくるなんて。みやと身体を重ねる事を想像をしてくれてたなんて。
嬉しくて、照れくさくて、愛おしくて自然と笑いが溢れてしまった。

「まあ、そう。…かもしれないけど。そう言う時じゃなくても別に、良いんだけど。
 ……嫌だったら、別に無理にやらなくてもいいんだよ?」

「とっ、とんでもない!したい、みやとならしたいに決まってるじゃない!」

「…そう?じゃあ……んっ」

そう言って目を閉じた雅に促され、ももは再び顔を近づけてくる。
再び唇が触れ合い、そして恐る恐るではあったがももの舌が雅の唇を割って侵入する。
雅の方もその可愛らしい動きに少し驚きを示していたが、
こちらもまた、恐る恐る舌を動かし始めた。ももがビックリして逃げてしまわない様に。

ぎこちないながらも、二人の舌が絡み合う。
ぴちゃ、くちゅ、と、水音が二人の口から漏れ出す。

絡み合う音が、静かな寝室に響き続ける。
だが、恍惚の表情を浮かべていた二人の表情が、少しだけ歪み始める。
そして、とうとう雅の方から舌を抜いた。

「…はぁっ、ま、って、もも……さすがに、ちょっと苦しい……から」
「ご、ごめん、どこでやめていいのか、わかんなくて……」

あたりの音が二人の息遣いだけになり、会話がしばし途切れる。
桃子は明らかに初めてで。この次どうすれば良いのか戸惑っていた。
雅は流石に大体のことは分かるが、そこへどう不安がらせずに持っていくか思案していた。

「……と、とりあえず、服ぐらい脱がない、と」
「あ。そ、そっか」

そうして雅は、自分の寝間着のボタンを外していく。
桃子も少しためらった後、ゆっくりボタンを外していった。


そうして、二人は下着姿をお互いに晒すこととなった。
雅は既に上半身は何も身に着けてない。

「……ももって……ブラはこんな大人っぽいの、付けるようになったんだ……」

「……ぅ、うん……だって……みやみたいに可愛いの、って。入んない、し」

桃子は雅を直視できない恥ずかしさからか、それとも申し訳なさからか、
それ以上殆どなにも言えずにただ雅の視線を受けるばかりだった。

「むぅ、いいなぁ。大きいし……。大人っぽいけど、十分可愛いよ、もも」

そのまま、雅は桃子の胸を見つめ続ける。
そのうちに手が出そうになったが、途中でひっこめて、代わりに桃子の目を見た。

「えっと……触る?」

「……良いの?」

「う、うん。……みやになら触って欲しい、から」

お互いの胸中が照れでいっぱいで、ろくな言葉も交わせないまま、
雅は桃子に手を伸ばす。

レースに縁取られたブラをそっと外し、恐る恐る桃子の胸に触れる。

「……んっ……」

最初は、人差し指だけで。
それから、指先だけで。
桃子の目を見て、特に嫌がる様子を見せていないことを確かめた上で、
雅は手のひら全体で触れてみた。

「あ……柔らかい、ね」

ゆっくりと、その感触を確かめるように、
しかし優しく、桃子の肌に触れる。

「みやも、ちょっとは大きくなったのになぁ……」

雅は自分の胸に視線を落とし、落胆したような声を出す。
そこは、女性らしい曲線は見せているものの、
出る所はしっかりと出ている桃子と比べると、今はある程度の大きさではある雅。
それでも昔から若干のコンプレックスではあるらしかった。


「えーと……あっ!?」

桃子がなにかフォローの言葉を考えていると、
雅が今度は乳頭を口に含んだ。
そして、赤子のように吸い始めた。

「もも、ちょっと位みやにも分けてよ……」
「もう……」

喋るために一旦口を離したかと思うと、再び胸に吸いついて、
今度は乳頭を舌で転がし始めた。

「あっ……んっ……」
「……えっと、どう?こんな感じで……気持ちいい?」

桃子は声を抑えているためか、震えながらも無言で頷く。
しばらく雅は続けていたが、少しすると愛撫が緩くなり、やがて完全に止まった。

「……みや?」
「……その、もも……みやにも、して欲しい」

顔を赤くしながら、恥ずかしそうにいった雅に、桃子は頬を緩める。
それから、ゆっくりと雅の肌に指先から触れて、
手のひら全体で胸を刺激する。

「んぅっ……」

雅は、確かに本人の言う通り大人になるにつれて成長していた。
服だけじゃなく下着類にもこだわってきたせいか、鎖骨から胸にかけて、そして腰に至るまで。
華奢なのにふっくらと包み込むような女性らしさもあって時間を忘れて見惚れてしまいたい程に形が良い。
手の中にピッタリと納まるサイズだからなのかもしれないが、
とにかく桃子の動きに敏感に反応していた。

「みや?……大丈夫?」

先程の桃子同様に返事を返せない雅は、妙に必死に首を縦に振った。
それを見て桃子は、先程の雅と同じように、舌での愛撫を始める。

「ふぁっ、あっ、んっ、あっ!…ももっ」

敏感なところに触れる、特殊な感触に、
雅は声を抑えることができなくなった。
嬌声は、だんだんと大きくなってくる。
見かねた桃子は、愛撫を中断した。

「もう、そんなんじゃ次いったとき大変じゃない?」

「……次、って?」

言ったものの、桃子の表情には、まだ疑問符が浮かんでいる。
荒い息遣いと、その表情が、未知の行為への不安を物語っていた。

「ねぇ、もも……次、行って良いの?」

そんな桃子をあまり過剰に刺激しないようにしながら、雅は手を伸ばす。

「……ぁっ!?ちょっと、みやっ」

「……ここ、どう?」

下着越しに、敢えて小指の指先で秘所をなぞる。
驚きもあったのだろうが、それだけでももは大きく体を跳ねさせた。
触れた手を凄い勢いで掴まれる。

ももだって手違いって言うか、不可抗力って言うか。撮影中のみやに同じ事したことあるのに。
もう忘れてしまったのか、気付いていなかったのか。いや、気付いてない振りをしてたのか。

「……ど、どうって……」

「脱がせてみていい?」

「え、えっと……」

桃子はただただ困惑するばかりで、焦れた雅が少し大き目の柔らかいショーツに手をかける。
お腹が冷えるだとか、お尻が包み込まれてないと安心しないんだもんとか理由をつけて、
大人のくせに未だに可愛いのを身に付けてるから、脱がせるのも本当は勿体ないと思ってしまうんだけど。


「わ、わかった……あー、駄目!やっばり……自分で脱ぐから!」

「……そう?」

ももはベッドの外側へ足を向けて、少しためらった後、一気にショーツを脱いだ。
かと思えば、すぐに体育座りの姿勢になる。潔いんだか悪いんだか。
さっきまで恥じらってはいても平気そうだった顔も胸も何も見せてくれない。
いや、ご機嫌を損ねたか危機感を感じて丸まってしまったアルマジロみたいだ。

「……もう、そんな格好じゃなにもできないでしょ?」

「……だって、やっぱり、恥ずかしい」

桃子は絶対に見られまいと、足をしっかりと閉じている。

「もう……仕方ないなぁ」

そうつぶやいて、雅も同じように足をベッドの外側へ向けて、ショーツを脱ぐ。
そして桃子の方へ向き直り、膝でベッドの上に立つ。

「……ほら、私もだから、こっち見て。もも」

雅の、一糸纏わぬ裸体がももの前に現れる。
裸体を晒している本人はもちろん、ももまでひどく赤面する。

「ね?もも、……みやと、みやがこれからする事が怖い?
 ……怖いならここでやめてさ、手でも繋いでもう寝よう?
 みやの為って言ってももが一気に無理する必要なんて何にもないから」

「怖くなんて、ない。ない、けど……」

「けど?」

けど。
雅も恥ずかしそうにしながら裸でいるのに、
桃子もいつまでも恥ずかしがっているわけにはいかなくなった。

このままでいたら雅はまた優しく笑ってももを許して、包み込んでくれるだけだ。
そもそも、駄目ならこの先一人で生きても構わないとの覚悟を決めて今日は此処に来たんじゃなかったのか。
目的は既に半分以上過ぎる程果たした。以前の桃子ならこれで満足以上の気持ちで満ちていたはずだ。

でも今は違う。
あとは、自分自身の恥ずかしさに勝つ勇気とお互いの気持ちを信じるだけだ。

「……わかった、よ」

かなりの抵抗を感じながらも、ゆっくりと、ももは足を降ろす。
雅は平静を保っているようで、やはりしっかりとその一部始終を見ていた。

「あ、あんまり、見ないで欲しいんだけど……」

「……見なきゃ何もできないじゃない」

「いや、まあ、それは、そうなんだけど……あっ!?」

そんなことを言っている間に、雅はピタリと閉じられた太ももへ手を伸ばす。
そうして、優しく指先で、手で触れ、少しずつそこを開かせる。

先程からの反応で、多少は準備が進んでいるようだったが、まだ十分に潤ってはいなかった。
そうしている間も、ももはとても敏感に反応していた。

「……もしかしてもも、一人でちゃんと、気持ち良くなったり…って言うか。
 その。この中とか、も。触ったりしたことも無い?」

ももは言葉で答えることができず、そのかわりにこくりと頷いた。

「そっか……じゃあ、どうしようかな」

雅はさりげなく顔を近づけて、もものそこをまじまじと観察する。
それに気づいたももだったが、足の間に入られては今更ひっぺがす訳にも行かないと、どうにかこらえていた。

あまり負担をかけずに、まだ十分に濡れていないももを気持ち良く刺激するにはどうしたらいいか。
それを雅はしばらく思案していた。

そうする間に雅の顔は、少々ためらいながらも、ゆっくりとそこに近づいていた。
女の子を抱きたいと思うなんて、雅だってももが初めてなのに。
怖がらせないように出来るだけ優しくと、いつの間にか自然と体が動いていた。
だが、ももはその意図するところに気づかない。
ただ雅にじっくり見られてるだけだ、という羞恥心しかなかった。

しばらくして、恥ずかしさに耐えていると突然桃子のそこに、にゅるりとした感触が訪れた。

「んゃっ!?あ、みや、な、なにして!?」

雅の舌が、ももの潤い始めたばかりの、ごく浅い部分だけを這う。

「あ、みや!やめ、やめてって、きたないよ!?」

「……ううん、もものがきたない訳ないじゃない。お風呂だってさっき入ったでしょ」

「し、下着だって変えてないのに!」

「……それも、可愛いしみやは気になんないから」

ごめんね本当は新しいのあったのに。
もものいつものが見たかったから。……わざと、だけど。

「いや、でも……んぁっ、やっ!」

今度は、内側に隠れていた小さな突起を刺激する。
その刺激に耐えようとするも、ももは抑えきれず体を大きく跳ね上がらせる。
反応するその声が激しくなるに従い、もものそこも、だんだんと受け入れる態勢が整いつつあった。
頭に響くももの声が雅の心を昂らせていく。

「……もう、大丈夫かな?」

「は、ぁ……な……にが……?」

「指……入れるね?」

「え!? あっ、ふぁっ!」

今度は雅の白く細い指が、ももの中に侵入する。
しっかりと潤った肉壁をかき分け、すこしずつ奥へ進む。

「……本当にした事ないんだ、指一本でもきつい……」

「だ、だから……んぁっ……そ、う言ってるじゃない」

「いや、ももの事を疑ってるわけじゃなかったんだけど……」

指を入口でただゆっくりと出し入れするだけでも、ももは敏感に反応を返してくれる。
その初々しい様子に、声に、雅も強く昂らせられる。
気がつくと雅は、空いた手で自分のほうも弄っていた。

「あっ、んっ、やぁっ!あ、みっ、みや、はげ、し……」

「もも、…好き……ももっ」

「は、ぁっ……ふっぅ…み…やぁ……んんっ」

だが、自慰に慣れた自分の体に動きをあわせてしまったがために、
次第に蕩けていく思考がももには刺激が強過ぎる愛撫になってしまっていた。
もっとゆっくりと優しくしないと、と思っていたのに。
お互いにもはやまともな言葉も発することができず、ただ頂上へ押し上げられていった。

「み、やっ、っく、ふ、ぅ……あぁっ!」

ももの体が、一際大きく跳ね上がる。同時にギュウッと肩を掴まれる。
急な痛みを受けて雅は、しまった、と思い一旦愛撫を止める。
そしてももは、爪先までピンって伸ばしてしまう程の制御不能な力が抜けると雅に寄りかかった。

「……ごめん、もも。イっちゃった?」

「っ……わかん、ない……」

それだけ答えて、後に残ったのはももの息遣いだけだった。
想像以上にぐったりとしたももは、そのまま眠ってしまいそうだった。

「……もも、大丈夫?」

「……うん……だい、じょう……ぶ……大丈夫だよ、みや」

そう口では言ってても、アレだけ緊張してまで迫ってくれてたももが、
肉体的にはともかく、精神的にほぼ力尽きているのは明白であった。

「もも、無理なんてしなくて良いから、ちょっとやすみなよ」

「…うん……みや…大好き」

「うちも、好き。………キスして、もも」

肩に腕をまわしてお互いを安心させるようにキスを繰り返して、
抱きしめるような形でももを支えていると、暫くは起きててくれたけど結局そのまま眠ってしまった。

「……まあ、ももにしては凄い、頑張ってくれたよね」

素肌が触れ合っている温かさと隣に居てくれるももへの感謝と愛おしさのためか、雅まで自然と眠くなってくる。
ももをそっと寝かせて、自身も布団をかぶってそっとおでこに口付けると静かに眠りについた。

「ありがとう、もも。……おやすみなさい」


    - - -


翌朝。

目を覚ましてすぐに、雅は隣を確認した。
ももが、穏やかな寝息を立てている。
しかも、その姿は昨日のまま……裸のままだった。

そこでようやく、雅は自分も裸体のままであることに気づく。
布団の外は少し寒かったが、下着を付けて、着替えるついでにももの服も取りに行った。
いつだったか、ずっと置きっぱなしになっているももの、数点の着替え。
そして昨日渡さなかった、ピンク色な下着の入ったプレゼントを。
我ながらなんて未練がましいと思ってたけど。返さなくて、捨てなくて、良かった。

喜んでくれると良いけど、と思える日がこんなに愛おしいなんて。
ももを傷つけない様にって自分の事に一杯一杯で、大事な事を忘れてたのかもしれない。

二人分の服を持って寝室へ向かうと、突然大きな音がした。
あわてて中に入ると、ももが頭から床に落ちていた。

「ど、どうしたの!?もも、大丈夫?」

「あ、みや!よかった……」

足だけをベッドに残して逆さになったまま、ももは雅に手を伸ばした。
その手をとって、雅はももを引き上げる。

「いや、ごめんね」

「もう、朝から一体どうしたの?」

「いや……その……みやがいなくなっちゃった、と思って……慌てたら、落ちた」

それを聞いて、自分がいなくなって子供のように探し求めるももの姿を想像し、
思わず雅は吹き出してしまった。

「あっ、ちょっと!みや、笑わないでよ!」

「ご、ごめんごめん……とりあえず、服、着たら?
 ももが良いのならみやは別にウェルカムっていうか、そのままでも良いけど」

「……あっ」

そこでようやく自分の姿に気づき、ももは一瞬で赤面した。

「あと、今日はこれ、使ってくれるとみやが嬉しい」

「え。なに突然」

「……んー?あげたかったって言うか。恋人になった記念日のプレゼント、って感じ?」

雅の差し出す下着類と服を受け取り、すぐに着替えようと立ち上がった。
もう何度も裸を全部見られてるのに恥ずかしいのか
後ろ向きのまま真っ先にプレゼントを開けてくれる。
……ももの一番可愛いお尻が無防備なままさっきから見えっぱなしなんだけどなぁ。
ま、良いか。気付いて無いし。これも全部みやの特権だもんね。

「ちょっと、みやこれ…!水着じゃないんだからこんな、際どいの」

「えっ?みやが折角選んだのに。ももは使ってくれないの?…そっか」

「や、ちょっと。違う、違うの。…使わないとは言ってないから」

「だよねー、ももはみやの事が大好きで仕方ないんだもんねー。
 ……早く服着ないと、もっと凄い事するからね?」

「っ……な。ず、ずるいぃ……」

わざと一瞬しょんぼりした雅も、慌てるももを横目にからかいながらいつもの服装に着替えた。
みやの普段着の方が際どい、か。って後ろを見られたら呆れて言われる事も覚悟した上でだ。


「……じゃあ、改めて……おはよう、みや」

「うん、おはよう、もも」

そう言って、雅は目をつぶる。
ももはその意図に気付かず、疑問符を浮かべたまま雅を見ていた。

「……初めての恋人へのおはようのキスは、してくれないの?」
「! ……あ、ああ……」

雅から言われてようやく気づいたももは、再び赤面する。

「やっぱり、まだ恥ずかしい?」

「だって……慣れてないから」

「じゃあ、やめる?」

「……やだ」

一瞬のためらいの後、ももはそっと顔を近づけてキスをしてくれた。
そしてすぐに離れて、顔を伏せた。

「……うぅ、駄目だ。やっぱり恥ずかしい……」

「昨日、あれだけいろいろしてくれたのにねぇ。…舌まで入れて」

「そ、それは言わないでよぉ……」

顔を真っ赤にしたももの頭を、雅は微笑みながら片手で撫でた。

「もう、幾つになっても可愛いんだから」

そう言って、雅はもう片方の手でももを抱き寄せる。
ももはまた、顔を見られないようにしっかりと張り付く。

「……でも、みや」

しばらくそのまま過ごしていたが、
おとなしくしていたももが、口を開いた。

「もしかして……いや、多分、あれじゃ満足してないよね?」

「そんなこと無い。あれだけ可愛い告白までされて、それだけでも夢みたいなのに。
 初めてなのに慣れない事してあんなに可愛いももを見せて貰えたら、今回は十分。
 みやの方こそ、ももに無理させちゃったから」

雅はももの頭を撫でながら、即答する。

「う……で、でもさ、その……私ばっかり気持ちよくなっちゃって……
 こ、今度は、もっと、いろいろ覚えて、頑張るから……」

「そんなに焦らなくていいよ、もも」

ももの頭を、雅はもう一度優しく撫でる。

「だって、みや達の時間は沢山あるんだから」

「そっか……そうだよね」

自然と重なる唇から互いの温もりと愛おしさが伝わり、心が安らぐ。
そしてそれは、やはりこれで良かったのだと、二人に思わせた。

最初から雅を選んだ事は勿論だったが、
桃子は同時に、絶対雅に二度と後悔なんてさせないということを強く決意した。

そして、雅と一緒ならばももは何でも出来ると、ほぼ確信していた。

END

お休みなのにBSでの℃鑑賞もあったりで流石のイゴーさんも疲れ果てたので寝ます
おやすみやももー

こんな気持ちをぶつけるのは

もはや文章しか手段がございませなんだ。
まだカントリー対する言い知れない切なさと悲しみが拭えません、消える訳じゃないって分かっていてもカナシミブルーです。皆様こんばんは。

何度か幸せなみやももでも書き続けたらきっと落ち着くとは思いますが。といってお休みなのを良い事に、昨夜から一気に2万字書くとかなんなのお前と言われたって構わない。
だって西尾維新さんなんて一日で5~10万字は書くんやで!(比べるのもおこがましい)
でも予想通りの埋め立てエラーとの格闘なので少しずつなのは堪忍やで。

前半を投稿後、食事とBSを見る為と少々休憩していたのですが……
スレ住民からの熱い結束で行われるえげつない合法ロリ的な流れなのか夢を与えてくれる桃尻への永遠の憧れなのかももちゃんは綿パンツ!という需要が高くて若干の書き直しを余儀なくされる罠。
現場勢が戻って来たとたんに活気づく綿パンツなんなん。
ド畜生!お前らぁあああ。

℃-uteの卒業式なのに、お仕事自体はお前お休みのはずなのに何してんねん的なご意見は御座いましょうが、たった1日のお休みでは…日帰り出来へんねん。今月は絶対に外せない30日があるんだから。
それでも一部始終はスカパー!で見たから。堪忍やで。
まさかの裕ちゃん(大体20歳差)とみっしげさんが挨拶で来るとは思わんかったですが。
包帯グルグルな右手が痛そうだよ裕ちゃん!
取り敢えずその部分だけ、どうぞ。
https://youtu.be/IF9yPvWlBgA

……それにしても。これからのあやちょ。本当の意味で歴史を肌で知るたった一人になってしまうのかと思うと。
ハロプロ20周年目なんてヲタ的にはあんまり気にしてなかった事を引っ張ってくとか本当、大変になるなぁ。
唐揚げを投げつけない程度には無理しないで欲しいものです。
もしかしてキッズオーディションであの日あやちょが泣き出していなかったら、拒否していなかったら。
あやちょがべリか℃だったかもしれないと思うと、ねぇ?


さて、前フリはこの辺にして。
いつものようにイゴーさんのみやももを一気に読みたい方はこちらから!!
あ、ちょっと後半一部分が綿パンツ…追加前ですが。
まあそれも味ってことでここはひとつ。
いつも通りと言いますか、少し長いので暇潰しにどうぞ。



「おーい、みやー」

一人暮らしだしいつでも来て良いからと以前言っていた住人の名を呼び、三度目のインターホンを押す。
しかし相変わらず反応は一切無い。

お仕事終わりに寄ってみただけだし、
そもそも借りっぱなしのCDを返しに行くからねって事前連絡もしていない。
折角美味しそうなプリンも見つけたのに、な。
タイミングが悪かったかなと出直そうかとも思った。

しかし、ふと何気なしにドアノブを握って回してみると、それはなんの抵抗も示さなかった。
それをそのまま引っ張ってみても、同様に抵抗はなく、すんなりと開いた。

なにを思ったか、桃子は一度振られたはずの相手の家に勝手に踏み込もうとしていた。
自分の意思に関わらず足が勝手に動いているような気もした。
だがこの足を動かしているのは自分の未練にほかならない事ぐらい、わかっている。
それでも、屋内へと進もうとする足を止めることは、できなかった。

「みやー……いないの?」

すこし遠慮気味に、もう一度呼びかけてみる。
だがやはり反応はない。
いないの、かな?とも思ったが、桃子が来る時はいつも雅が居る時で、決まって鍵が掛かっていない。
家の中から物音もしないし寝るには明らかに早い時間だが、昼夜が逆転してる時もあるし既に寝ている可能性も高い。

桃子が脳内で採用したのは、後者の可能性であった。
――それは、このプリンとCDと一緒だ。部屋に入る口実を、みやに会う口実を作る為じゃないのか――
素直になれないらしくもない良心にそう指摘されるも、それでもゆっくりと寝室へ足を進めた。


おそるおそる、一番奥に位置している寝室のドアを開ける。
人の気配はなく、ベッドを確認してみてもやはり誰もいない。

はぁ、と桃子は落胆したようなため息をつく。
どうもみやはタイミング悪く出かけているらしい。
それが分かると、桃子は買って来たプリンを置いてすぐそばのベッドに腰掛け、しばしぼんやりとしていた。

出直すべきか。というより、出直すべきだろう。
そういう考えはあったが、おろした腰を再び上げる気にはなれなかった。

そうしてみやに会って果たす要件はと言えば、借りっぱなしだったCDを返すだけなのだから、
そのままメモでも書いてCDとプリンを置いて出て行けば済む話であることも、理解していた。
それでも尚、桃子は動けなかった。

住人が居ないのに鍵が開けっぱなし、折角プリンも持って来たし、
一人暮らしなのにみやが不用心だから仕方なく待ってた、うん、これで行こう。

「……はぁ」

勝手な理論で自分を納得させた所でもう一度ため息を付いて、そのまま仰向けに倒れる。
静かな部屋の中に、時計の針の音がやけに響いている。
その数を数えてみたが、なんだか虚しくなってやめた。

「……あ」

桃子は、ふと気がついて身を起こす。
そして、しばらくベッドを見つめた後、赤面する。

「……よく考えたら、なんで私みやのベッドで勝手に寝てるの!?」

雅が桃子の物を私物化すること、そして逆も。今に始まったことではなかった。
『ももの物は私の物』なんてことを平然と言っていた事もあったぐらいだ。

だが、今は事情が違う。
桃子と雅の関係はある日を境に変わってしまっていた。
それに、そのことを差し引いても、
桃子には『勝手に雅のベッドで眠る』という行為が大変『いけない』ことだと感じられた。

「えーと……」

思わず、あたりに誰も居ないのに意味もなくつぶやいてしまう。
雅のベッドに眼をやると、さっきまでは綺麗にベッドメイクされていたことが伺える。
だが、桃子がベッドでいつもの様に寝転がったという証拠は、しっかりと残ってしまっていた。
これを何事も無かったような状態に桃子が今から戻す、というのは無謀な事に思えた。

「えーい、もういいや!」

今日は覚悟を決めて来たんだから。
半ばやけくそ気味にそう言うと、桃子は再び布団へ飛び込んだ。



その、十数分後。

マンションの階下でのちょっとした用事を終え、雅が自分の家へ帰ってきた。
いつものようにドアノブに手をかけ、ドアを開ける。


そういえばなぜ、このドアの鍵は開けっ放しになっていたのか。
そもそも最初からこの部屋には鍵と呼べる固形物はこの世に存在していないのだ。


雅は、何事もなかったかのように、自然に静まり返った屋内へと足を踏み入れた。
昼間だというのにどこか薄暗い部屋で、愁いを帯びた顔をしたままの雅は一息つく。
それと同時に、ふと違和感を覚えた。
その原因である少しだけ開いている寝室のドアに、すぐに気がついた。
確かにさっきまでの記憶の中ではちゃんと閉めてあったはず。

ただの記憶違いで最初から閉め忘れていたのか、それとも泥棒にでも入られたか。
しかし泥棒なら家に入った時点で何かしら物が散乱しているはずである。
そもそもセキュリティはしっかりしろと言われて、指紋認証のオートロックにしてある。
通常の装備の泥棒では外から窓でも割らない限り入ることはおろか、
そもそも侵入者に対しては警報が鳴るらしいし、即座に出る事もまず無理だろう。

あれこれ考えていたが、部屋を確認すれば少なくとも泥棒かどうかは分かると、
万が一の為にと掃除用のモップを手に、雅は開きかかっていた寝室のドアを開けた。

そして、既視感と驚きとともに慌ててドアを元に戻した。

そこには、傍に来なくなって久しいはずの、よく見知った女性の姿があった。
例え何年経ったとしても見間違えるはずもない。
雅は、とりあえず気付かれないようにゆっくりとドアを閉めた。

ゆっくりと、大きく深呼吸をする。
鼓動が早くなるのを、少しでも鎮めようとした。
そして、今の状態に頭の理解を追いつかせようとする。

しかしこれで、オートロックの扉が開いていたのも寝室のドアが開いていたのも合点がいった。
住人である雅は勿論だが、桃子に対しても開錠するようにしていたままだったのだから。

しばらく雅は扉の前で佇む。
そして、これからの行動、展開に思いを巡らせていた。

桃子が一人で、自分の意志で、雅の元へ再びやってくるとは、思いもしていなかった。
一度、恋人関係を打ち切った相手と顔をあわせるのは、少々辛い。
だがそれは、決して桃子のことが嫌いなわけではなかった。

少しだけドアを開けて、部屋の中をのぞき込む。
桃子は、雅の方向から背を向けて寝転んでいた。

桃子の方からは、今のところ何の音も無い。
ドアをそのまま開いて、中へ侵入する。
雅は耳を済ましながら、ゆっくりとベッドへと歩を進める。

桃子は無防備に寝息を立てている。
その無邪気な寝顔は、雅が以前から知っているそのままであった。

どうしたものかと、しばらく雅は思案していたが、
どうもこうも、起こすしかないかと考え至った。

だが起こすまでもなく、桃子は起きそうな素振りを見せた。
少し雅は身を離し、桃子を見つめる。

目を覚ましかけた桃子は、雅の存在に気づき目を向ける。

「おはよう、もも」

おはよう、と、寝ぼけた声で言ったのが聞き取れた。
そのぼんやりした反応と可愛い声には少しも変わりが無くて胸の奥がざわついた。

桃子が飛び起きたのは、その数秒後だった。

「あ、みや……えと、その、これは……」

ももの顔は、真っ赤になるかなと雅は思っていたのだが、
それを通り越したか、真っ青だった。

「ごっ、ごめん、その、CDを……返しに来ただけだったのに……」

「……なにをそんなに慌ててるの?」

ごく自然に、雅は言葉を返した。
確かに一時的に恋人関係だった相手との話であるとはいえ、
桃子がただ寝ていただけでここまで慌てなくてはいけない理由が、雅には見当たらない。
やはり何かやましいことがあるのかとさえ思ってしまう。

「まさか、何か変なことでもしてた?」

「へ、変なこと?いや、ももは寝てただけだよ?」

訊いた雅の方が恥ずかしくなるような、全く素の返し方であった。
桃子の口ぶりから、本当に寝ていただけだということがはっきり伺える。
実際、桃子の服装は、せいぜい寝ていたためについた皺ぐらいの乱れしか無い。

「あ、その、ごめん、みやのベットなのに、勝手に寝ちゃって……」

「……ああー、そんな事?別に気にして無いから。
 というか、いつも疲れ果ててはここで寝てたのに、何を今更」

「え、ああ……そんなもん?」

「……なに?他になんかあった?」

しばらく、二人の間に沈黙が流れる。
その沈黙にすぐ音を上げて、桃子は何かを喋ろうとするも、
それがはっきり言葉になるには数秒ほどかかった。

「……あ、いや、絶対嫌われたんだと思ってたから、ちょっと、拍子抜けしちゃって……」

桃子は苦笑いとも照れ笑いともつかない笑いを浮かべて、弁明する。
雅はそれを、複雑な心境で見ていた。

「あ、それとも……もう、ももの事なんて、みやはなんとも思って…」

「そんなことない」

唐突に眉を落としはじめる桃子に、雅は即答する。
自分でも驚くぐらいに、すっとその言葉が出てきた。
当然、桃子も驚いたのか、声も出ない様子だった。

再び、沈黙が場を支配する。
それを破ったのは、今度は雅だった。

「あ、その……確かに、恋人関係を打ち切ったのはみやだけど……。
 でもあの時も言ったけど、別にももを嫌いになったって訳じゃないから。
 ももは何も悪くなんてないし、…自分勝手なみやがいけないだけだから」

「……そ、そう」

だがそれも一時のことで、またすぐに気まずい沈黙に引き戻される。
もう耐えられないと言う感じに、桃子は机の上に置いたCDと紙袋を手にとる。

「あ、あのさ、返しに来ただけだから。…これ、ありがと。
 あと、プリン美味しそうだったから、ついで!折角だし、食べてみてよ!
 ……じゃ、じゃあ、確かに渡したから!」

そう早口でまくし立てて雅の両手に押し付けるように渡すと、
桃子は自分の鞄をひっつかみ、ドアへ向けて歩き出そうとした。

「あ……待って!もも!」

雅は、思わず呼び止めていた。

「……お茶ぐらい、飲んで行きなよ。……プリン、2個あるし。みや1人で2個も食べられないから」

「……え、……あ。でも」

「良いから。さっさとその辺に座りなよ」

これ以上の沈黙と桃子との終わりの見えない押し問答を避けるように、
有無を言わさず雅は背を向けて、キッチンへと消えていった。
残された桃子も、しばらくなにやら沈んでいたが、
その後に目をキュッと瞑ると、リビングへと足を向けた。

- - -


雅がお茶の準備をする、カチャカチャと言う音だけが聞こえてくる。
それもいずれ止み、代わりに雅の足音が近づいてきた。

「はい、どうぞ?お砂糖は2つで良かったよね?」

「あ、うん、ありがとう」

紅茶とプリンが机に並んでからは、味の感想と感謝を言う位でまた沈黙の時間であった。
雅は、桃子の様子を伺いながら、少しずつ紅茶を飲んでいた。
桃子は、雅の方をじっと見たり、かと思えば視線をそらしてそわそわしたりと、落ち着かない様子であった。

雅は、この先のことに思いを巡らせていた。

この紅茶を飲み終わったら、この溶ける様に甘いプリンをももが食べ終わってしまったら。
もう二度とももはこの家には来ないような気がした。
気がするだけでなく、考えが進むにつれてそれは確信めいたものに変わっていった。

見ると、ももの紅茶もプリンも三分の一も減っていなかった。
甘い物が大好きで、普段は我慢していてもいざとなったら食いしん坊なはずのあのももが。
ももの心情は、それから簡単に推し量れた。

だが、雅の胸中は複雑だった。
ももに早く帰って欲しくもあり、このままずっと帰らないでいて欲しくもあった。

雅の相反する思いは相殺し、その結果特に大したことは喋れずにいた。
そんな雅の雰囲気が、桃子の言葉も押しとどめていたのだろう。
天気の話や、食事の話、最近どう?元気?とかいった、何でもない会話がぎこちなく続く。
そしてそれらの殆どが、一言二言、多くても三回程度で打ち切られた。

間が持たずに、お互いに何度かプリンを載せたスプーンと紅茶を口に運ぶが、
その頻度は目に見えて減っていき、しまいには紅茶を飲むふりさえしていた。

その間、雅は二人が恋人であった時のことを思い出していた。

体を重ねることはおろか、唇に深くキスすることもなかった。
撮影やらLIVE中のどさくさ紛れだったり、皆と一緒のおふざけの延長線で、
肩や腰を抱いたり隣に居たり、目線を合わせたりすることは誰よりも多かったけれど。
2人だけの時に手を繋いだことも抱きしめたことさえも数えるほどの、本当にプラトニックなものだった。
それでも、ただ一緒に居れるだけで、笑い合えるだけでこの上なく幸せだった。
雅は、そう記憶している。

アイドルを追及するももがそれらの行為を求めていないと勝手に判断していたからというのもあったが、
最後までそんな関係で、ももは不満ではなかったのだろうか。
そんなことが、雅の脳裏をよぎる。

すこし唐突なその考えの原因は、雅自身がそうだったからか。
実際雅は、桃子を思っての一人での行為にふけることが今でも少なくなかった。
立場が逆ならそうしてしまうかもしれない、と言う考えは否定できなかった。

実は、CDを返すなんて口実で、
未練を晴らしに、納得をしに来たのかもしれない――

そんな考えが、無いでもなかった。
だが、ももの事だ。それはないだろうとすぐに振り払っていた。

そのまま何もなければ、それはちょっとした気の迷いで済まされ、
すぐに脳内の混沌の彼方へ追いやられる程度の話だ。

そんな時だった。

ももが、突然、ゆっくりと立ち上がった。
何事かと思っていると、ももは雅の方へとゆっくりと歩いてくる。

まさか、と、雅は思った。
馬鹿馬鹿しいとさえ自分で思っていたような考えが、急に現実味を帯びてきた。

そうしている間にも、ももはテーブルを回り、雅の目の前にまで近づいてきていた。
自分の頬が急激に紅潮するのを、雅は感じていた。


どうしよう、まだ、心の準備が出来ていない。


などと考えるうちに、ももは雅の頭に両手を伸ばし、顔を自分の方へと向けさせる。
そして、雅の目をじっと見つめた。

「……みや」


ももの瞳の中に、自分の顔が映っている。
それは、自分とももの物理的な距離を示していた。

「あっ、な、な、何、もも!?」

動揺が明らかに声に出ているのを、雅自身感じていた。
情けない声だったが、取り繕っている余裕は無かった。

「……期待、させないで」
「え?」

そう一言告げて、ももは雅から手を離す。
また少しだけ、ふたりの距離が離れる。
だが桃子は変わらず、じっと雅を見つめていた。

「……多分、だけど。みやはももとはやっぱり友達でいたいんでしょ?」

泣きそうな声で、ももは告げる。
その声が、雅をひるませた。

「……だよね。恋人じゃなくなっても、即絶縁とは限らないよね。どこまでいってもメンバーだし。
 ……本当、昔から誰にでも優しいもんね、みやってば」

雅が何かを切り返す間もなく、ももの震えた声がそのまま続く。

「……でも、私には無理。どうしても、みやと友達にはなれないや」

ももの目から、一粒、涙がこぼれた。

「……やっぱり、わたしは、みやが、好き、なんだ」

それを皮切りに、ぼろぼろと、涙がとめどなく溢れる。

「やっぱり、どうにも出来ないよ……こんな気持ちを忘れろなんて無理だよ。……みやが大好き、なの」

搾り出すように言うと、それきりももは沈黙してしまった。

雅は、一瞬で胸がつまるような感覚に襲われた。
それは頭にまで昇り、冷静な思考を阻害する。

そして、

「っ……そんなの、みやだって大好きだよ!」

その感情は、言葉となって考えるよりも先に口に出た。
それだけではなく、目にも涙となって現れた。

その言葉には、言った雅自身が驚愕していた。
言われた桃子はというと、言葉の意味を理解するのに、脳が追いついていなかった。

しまった、と雅が思っている間に、桃子はようやく言われたことを理解する。

「じゃ、じゃあ……どうして」

言うまでもなく、桃子の言葉は理解できた。
雅は背を向けて、少しの沈黙ののち、口を開いた。

「だって……単純なことじゃない」

雅の声は、どこか弱々しかった。

「今はいいよ?でも、ももは。子供が欲しいっていつも言ってたじゃない……」

そこまで言って、雅の言葉は自身の涙に遮られる。
それでも桃子は理解したらしく、俯いてしまった。

こらえきれない雅の嗚咽が、しばらく響いた。
桃子はそれを見ながら、ただただ佇んでいた。

「……そっか、なるほど。……単純な話だったわ」

そう呟いて、桃子は机の上に置いてあったCDを手に取った。

「……みや、悪いけどやっぱりこのCD、もう少し借りておくね」

その声に、雅は顔をあげる。
その表情は、既に涙でぐちゃぐちゃだった。
だがそれにも構わず急に立ち上がり、桃子に詰め寄る。

「……もも、は」

「え?」

突然のことに驚く桃子に、雅はそのまま言葉を続ける。

「ももは、どれだけ単純で鈍いの!?
 なんでみやが別れてって言った理由を隠してたか、分かんないの!?」

「ちょ、ちょっと!」

詰め寄られた拍子に、桃子はCDを取り落とす。
そのCDのタイトルには『The Flame』――

「みやのために無理してまで一生添い遂げろなんてこと、ももにして欲しくなかったから……」

「あ……」

桃子はすぐには言い返せず、視線を落とした。
それと同時に、目頭が熱くなるのを自分で感じていた。

「……別に、みやのためなんかじゃないし、無理なんてしてない」

雅を直視することのできないまま、桃子はつぶやく。
雅に届かずにそのまま地面に落ちてしまいそうな、小さな声だった。

「はっ、そんなお情けみたいなバレバレの嘘はやめてよ。ももからみやに触れてもくれなかったのに?
 じゃあなんで、今更になって返しに来たの?それに……それは、あげるって言ったはずだよ」

「……い……、うそじゃ、ない」

桃子はうつむいたまま、ぽろぽろと涙を流していた。
涙を袖で拭ってから、再び言葉を続ける。

「……それこそ、単純な話だもん。
 ももにとってはみやが最初の恋人で最後の恋人、なんだもん。
 そのつもりで、あの時のみやがこれをももにくれたんだって分かってた!
 でも、どうして良いかなんて!みやにどこまで触れて良いのか、なんてももには全然分かんないよ。
 みやはいつも優しいから。ももの事をただ受け止めてくれてるだけなんだなって思ってたから。
 だって、一人になって……人生最期の時、『その時』に。やっぱりみやと別れたくなかった、
 ずっと一緒に居たかったって、なっても。みやの事、好きなのにって想ってても……遅いじゃない」

『その時』を想像してしまったか、桃子の目からは再び涙が溢れる。
最後の方は、完全に涙声だった。

「私は……自分自身が選んだ人生を諦めたくもないし、否定も後悔も、したくないっ……!」

「でも……」

ももの悲しい声に胸を痛めながも、雅は言葉を返す。

「……ずっと考えてたの。本当に、ももはこれでよかったのかなって、
 ももは男の人と結婚して、可愛い子供を産んで。可愛い奥さんになって、可愛いお婆ちゃんになって。
 ももが心の底から幸せになって生きて行くって選択肢もあるんじゃないか、って。
 このまま関係を続けて。みやが、もものこの先の未来を奪ってしまって本当に良いの、かなって」

桃子の涙につられたか、自分で言っていて悲しくなったのか。
一度止まりかけた雅の涙は、再び溢れ始めていた。
それを抑えながら、雅はどうにか言葉を続ける。

「……特に、ももを好きになってから、ももと付き合うようになってからもっと深く後悔した。
 それと同時に、ももには……そんな思いをして欲しくない、と思った。
 だから、ももの心と身体がみやの我儘で取り返しがつかなくなる前にって、ももの気持ちが。
 ううん…違う、みやの自分勝手なももへの欲求が、落ち着くまで離れていようって思ってたのに」

雅の言葉を聞いて、桃子まで胸が痛くなる。

「……そんなの……みや、そんな風に……」

二人の言葉は少しの間止まり、いろいろな、複雑な思いの涙に濡れながら、
二人して、ポロポロと泣いていた。

少しだけ、涙が引いたところで、桃子が先に口を開いた。

「でも……さ」

もう一度涙をぬぐって、桃子は続ける。

「そりゃ、絶対後悔しないなんてお互い言い切れないかもしれないけど……
 ……でも、それ以上に……当然、こんなにみやが好きなのに。
 生きてるのに、みやとお別れなんて絶対に嫌だし……」

「…………」

「それを抜きにしたって、このままバラバラに生きてって、この先いざ死ぬってなって、
 まだあれやってなかった、ああ、これもやりたかった……って思う方が。
 ……みやがこれから先、隣に居ないって方がももは嫌だよ」

「…………」

「それに……最初に言ったはずだよ、みやと一緒じゃなきゃ、ももは幸せになんてなれないって」

雅は、もうなにも反論できなかった。
ただ黙って、桃子の言葉を、告白を、聞いていた。

「だから……その、これ以上みやをこのまま泣かせたくない……てのも、なんか変かな」

「……そっか、ももはそういう風に考えてたの……」

そう答える雅の表情は、暗いままだった。
それを感じた桃子は、軽く息を吸った。

「そんな暗い顔しないでよ!
 みやの恐れているような選択肢には、未来にはならないし。
 ももはみや以外を選ばないし!選べるはずもない!」

これまでの空気を打ち破ろうとして、桃子は少し大きな声を出す。


『なっちゃんが仕事以外で心の底から笑わなくなった。絶対もものせいだから、早い所どうにかして』

言いながらそう佐紀ちゃんに言われた事を桃子は思い出していた。
何度もあった事じゃないけれど、しょっちゅう喧嘩しても仲直り出来ていた幼い日の懐かしい記憶と、
丁度雅から訳も告げられずただ別れてと一方的に言われて一ヶ月が過ぎた、昨日の事を。
ただ、雅には明るくいつも通りに笑っていて欲しい。
その気持ちは一緒なのに。ももだから任せるんだからね!って思いっきり背中を叩かれた時のあの笑顔を。

「なぜならこのももちさんは、いずれ大魔法使いになって、
 皆をシーンとさせるあのとびっきりの魔法以外にも一杯使えるようになって!
 みやがどう頑張ってももを拒否しようとも、何があろうとも傍に居てやるんだから!
 食らえ!みやはももの事をもっともーっと好きにナール!」

「な、なにそれ……ふふっ…あは、あっははは」

雅は、思わず笑みをこぼしていた。
さっき自分で、後悔しないとは言いきれないと言ったばかりなのに。全力で伝えてくる。
桃子の言葉に、根拠なんておそらく無いのだろう。でも、それでいい。
いつだって挫けそうな周りの人達をとびっきりの笑顔にして心を暖かくする為。ただそれだけだ。

桃子の気持ちは、十分過ぎる程雅に伝わった。
そして、雅の気持ちが、急に、僅かではあるが明るくなってきた。
もしかすると本当にももは魔法使いなのかもしれない、なんて思える程には笑う事が出来た。

それと同時に、雅はこんなことが以前にもあったと気づいた。
それも、二度や三度ではなく、数え切れるようなものでもなかった。
緊張し過ぎてどうしようもなくなった時、外部仕事で上手く返せなくて困ってしまった時。
そして一人でいると訳もなく寂しくなってしまう雅は、
いつも桃子の聡明さ、素直さ、強引さ、明るさに救われていた。

「ももには、みやが必要なんだよ?」

桃子を振ってからというもの、雅の心はずっと沈んでいた。
そしてそれは、深い場所まで触れられない桃子をあの手この手でようやく懐かせたのに、
突然一方的に突き放した罪悪感と勝手な未来への絶望からだけではなかった。

雅は落ちたCDを拾い、桃子に差し出す。

「……もも、このCDは今度こそあげるから」

「えっ?あ、えっと、良いの?」

「だって皆のアイドルの次は。みやの為に大魔法使いさんに、なってくれるんでしょ?」

「そ…そうだよ!任せてよ!」

CDを受け取って、桃子は軽くガッツポーズのようなものをして見せる。
涙の跡こそ残っているが、だんだんいつもの桃子の姿を取り戻しつつあった。
雅の心も、そこから元気を貰うように明るくなっていった。

しかし、突然桃子は真面目な表情になる。
かと思えば、急に桃子は赤面し、恥じらいの様子を見せた。
どうしたのか、と思って雅が顔を覗き込むと、少し桃子は目を逸らす。
少しの間ののち、桃子は再び雅に目を合わせ、口を開いた。

「…ねぇ、みや」

目を合わせて、少しふたりとも言葉が止まる。
だがそれは先程までのような気まずい沈黙ではなく、どこか甘さのあるものであった。

「その……さっき、大好き、って言ってくれたよね?」

「えっ!あ、ああ……た、確かに言った、ね……」

今度は、雅までもが赤くなった。

本来はももへ二度と言うつもりも無かった言葉を、勢いで言ってしまった。
そんな言葉を思い返すと、流石に恥ずかしかった。

「あ、あのさ……そ、それじゃあ……みや」

「…………」

あー、だとか、うー、だとか、言葉未満な、怪獣の子供の様な唸り声を上げる桃子を前に、
雅は愛おしそうに微笑んだまま黙って待っていた。
桃子の視線が助けを求めるようなものに変わっていったが、
それをじっと、雅は見守っていた。

「ももと、……ちゃんと、つきあって、ください」

「……本当に、みやで良いの?ももを一度傷つけたのに?……後悔しない?」

「しない!…みやじゃなきゃ嫌だ。……ももが好きなのは、
 何度考えたって、例え何度生まれ変わったって。いつだって、みやなんだもの」

「……ありがとう、もも。みやだって、ももの事が大好き、だから」

桃子の表情が、またパッと明るくなる。
それとほぼ同時に、雅が、そっと桃子を抱き寄せた。

「あっ、みや……」

「……本当はね、ずっと寂しかった」

少しだけ、抱きしめる腕に力を入れて、雅は、桃子の目を見た。

「ももの為だから、って思って強がってたけど、やっぱりももといないと元気が出ないの」

「そ、そうなの……?」

雅の言葉に照れ笑いを浮かべた桃子は、
それを隠すかのように雅を自分の方へ引き寄せ、逆に顔が見えないようにした。

「……もも、ちょっと、体温高い?」

「そ、そりゃ、そんな照れくさいこと言われたら……」

「ももの方こそ、……かなり凄い事言ってたけど」

これは顔どころか耳まで赤くなってるな、と雅は思ったが、
このままでは桃子の顔が見えない。

顔を見られまいと自分に張り付く桃子を、雅は引き剥がした。
桃子は表情を見られるのが少し嫌そうだったが、拒むこともできずにいた。
幾つになってもそんな風に可愛らしく恥ずかしがる桃子が、雅はどうしようもなく愛しくなった。

当然、我慢し続けた上にこんな状況で至近距離にありながら、
本当の意味で恋人になれた桃子の顔を見るだけで満足が出来るはずも無かった。

「――!?」

それは一瞬のことだった。
後は互いの唇に、感覚が残るのみ。

「あ……あ、あ、…………」

状況から、みや? と問いかけたいのだろうと思われるが、いかんせん言葉にならない。
桃子は、ただ金魚のように口をぱくぱくさせるのみであった。

一方雅は、してやったり、と言う表情を浮かべている。
桃子とは少し違っていたが、やはり顔は紅潮していた。

「……っもー!」

桃子の硬直がようやく解けると、少しだけ雅から距離を置いて突然叫びだした。

「い、いきなりチューするなんてずるい!」

「だって……前に付き合ってた時も、ももからキスしてくれたこと無かったじゃない?」

「う、あぅ、え、えっと……」

何か言い返そうと、桃子は頑張って言葉を探していたが、
なにも見つからないのか、少し拗ねたように雅から離れ、
落としっぱなしだったCDを机に置いて、そこにあった椅子に座る。
それを追うように、雅は反対側の椅子に座った。

「……もー、さっきまで泣いてたと思ったら、またももを手玉に取るんだから……
 なんなのみやってば。いっつも、ももより手慣れてますし?みたいなさぁ」

「そんな訳無いし、人聞きの悪いこと言わなーい。それに、泣いてたのはお互い様でしょ?」

完全に拗ねモードの桃子を楽しそうに暫く見つめていた雅だったが、
ふと、目についた紅茶が、完全に冷め切っていることに気づいた。

「……紅茶入れなおして、お茶菓子でも出すからさ。ご機嫌直してよ、ももちゃん?」

そこまで言って雅が立ち上がろうとしたところで、
桃子がなにやらぼそっと口にした。
聞き取れるようなものではなかったので、雅は再びそれを聞こうとする。

「ん?」

「……そんなのは、いいから……」

桃子は少し目をそらしながらそう言うと、続けて何かを言おうとしたが、諦めたように眉を落とす。
そして、そのまま目を閉じた。

「……はいはい」

雅は苦笑しながら、桃子に近づき、今度は少し長めのキスをした。
触れる瞬間小さく揺れる肩が愛おしくて。多分、今までで一番長く、優しく触れていた。

「……やっぱ、分かってくれるんだ」

「そりゃあ。何年の付き合いだと思ってるの」

「…………」

雅の言葉に、なにか思うところがあったのか、桃子は少し黙り込んで考える。
その様子が気になったのか、雅はティーカップを下げようとしながら、桃子の様子を伺っていた。

「あっ、あのさ……」

そうしているうちに、桃子が口を開く。

「……久しぶりに、…泊まっていい?」

「えっ!?」

どき、と自分の胸が高鳴ったのを、雅は感じた。

そう、久しぶりに。
以前は、桃子が早朝や深夜帯での仕事の都合の為に雅の家に泊まることは何度かあった。
その時でさえもお互いに寝相が悪いからとか、時間が無いからとか、なにかしら理由を付けては別々に寝ていた。

「み、みやは良いけど……着替えとかは、持って来てるの?」

「……いや、持って来てないけど……でも……あー、その」

桃子は、言葉を濁した。
その表情から、言わんとすることが予期され、雅まで顔を赤くする。
そして、それに答える心の準備を雅は整えていた。
もしかしてただ寂しいだけかもしれない。逃げ出す気なら今助け舟を出してやらないといけない。

「もも?……お客様用の布団、みやの家にはもう無いからね?」

「っ……分かってる。……あの。もし、みやが嫌じゃなかったら、だけど。……一緒に寝ていい?」

「……うん、勿論」

少しの間を置いて、桃子を腕の中に抱き寄せてから雅は答えた。
締め付けられそうな胸の高鳴りを、どうにか抑えながら。

「でも。良いの?みやは前よりもっと、ももが好きになってるし、
 ……ももに触りたいって思ってるんだよ?」

「え、えっと。もう触ってるよね?」

「もっと、だよ。キス以上の事だって、ももにしたいなって思ってたし。
 ずっと我慢してた分、これからは一杯ももを感じたいんだけど?てか…ももは我慢してなかったの?」

「……鈍感は……どっちだよ」


ちゃんとした返事の代わりに、ももにギュッと抱きしめられた。
お互いの体温が自然と高くなっていくのを感じずにはいられなかった。

- - -


そして、その夜。
折角だから、今日はずっとももと居たくて。
本当は今夜しみちゃんとご飯しに出掛ける予定だったけど、キャンセルして貰った。
ドタキャンだったのに、全然怒ってなかったのは不思議だったけど。
じゃあまた今度ね~って軽く笑ってくれたその優しさが有難かった。

ももは何が食べたい?って聞いて。
オムライス!って言われて。いつも通りのフライパンで、可愛いのを作ってあげた。
ももはみやのを作るからね!って柄にもなく張り切ってて、そして。
出来上がったのはちょっとだけ破けてたけど、フワフワ卵が乗っかったオムライス。
卵の味付けが一切されてなくて、ケチャップ頼りだったのはまあ、ご愛敬って事で。

二人とも寝間着に着替えて、再び二人は寝室へ移った。
雅のベッドはそこそこ大きかったが、それでもダブルと言うには少々小さい。
枕は予備のものがあったので、それはなんとかなったのだけれど。

「じゃあ……おやすみ」

「あっ、ちょ、ちょっと待って、みや……」

ももは雅を手で制する。
そして、雅の目を見つめた。

ももが唾を飲み込む音が、雅には聞こえた。
察した雅は、ゆっくりと目を閉じた。
そして、五秒ほどたって、唇に柔らかく何かが当たる感触があった。

目を開けると、ももが布団をかぶって悶えていた。

「……おやすみのキス?」
「そ、そういう、こと……じゃ、じゃあ、おやすみっ」

一方的におやすみを告げて、ももは布団をかぶったまま横になった。
それを見て、雅は苦笑する。

とんでもなく可愛い事をしてくれてたのに。やっぱりまだ恥ずかしいか、ももは。

「……うん、おやすみなさい、もも」

そうして、僅かな明かりを残して、寝室の明かりが消される。

――予想はしていたがキスだけで、電気を消してしまった。
  心は昨日までと違ってポカポカと温かい。だけど……これじゃ、望み薄いかな。
  でも、さっきからのももは……ももにしてはずいぶん積極的だった。
  なによりも、初めてももからキス、してくれた。
  嬉しくて調子に乗って何度もみやがお願いしたからか、凄い恥ずかしがってたけど。
  これは……もしかしたらもしかするかもしれない。手でも握ってみようか。

雅はそんなことを悶々と考えていたが、
散々泣いたり笑ったりして、今迄張り詰めていた心が疲れていたのか、
それとももものおかげで安心したのか、少しだけ眠くなってくる。

そんな時、不意にももの手が伸びて、雅の肩に触れた。
突然のことに、びくっ、と雅の体が跳ね上がる。

驚きすくんでいると、そのままももが接近してきた。
そして、ついには抱きしめてきた。

「ちょっ、もも?」

「…………」

寝ているのか、それとも照れているのか、返事はない。
そのかわりに、ももの手が雅の胸に触れる。

「ひゃっ!?」

「あっ……い、嫌だった?」

ももの、不安げな声が聞こえてくる。それと同時に、ももは手を引っ込めた。
起きていた、ということは、これはももの意志だ。

「……ううん、違くて。びっくりしただけだから……」

「そ、そっか……ごめん」

ももは返事を返したが、そこからは何もしようとしない。
一瞬触れられたままの雅の気持ちは昂るばかりで、しかもやり場が無い状態だった。

「……いいよ、もも。……ももの好きなようにして」

「う、うん……」

ももは、体をひっくり返し、雅に覆いかぶさった。
僅かな明かりが、ももの顔を照らしていた。

「……ごめんね、なんかさっきから、やられっぱなしで、
 ろくにお返しとかできなかったから……」

「それで、ちょっと強引にいってみた、ってわけ?」

「……う、うん」

ももは、その体勢から、雅に顔を近づける。
ゆっくり、だが先程よりは早く、唇は触れあう。
体を雅のすぐ隣に降ろして、雅の温もりを感じることに専念した。

触れるだけのキスが、五秒ほど続いて、ようやく二人は離れた。
だが、そこでももは何かを言いたそうにしていた。
しかしそこで敢えて雅はなにも言わずにももを待っていた。

「あ、あのさ、みや?……その、えっちのときのって……えっと。
 ……舌って、入れるんだよね、やっぱり」

至近距離で、恥ずかしそうにしながらも、それでもどうにか目をそらさずにももは訊いた。
ももがこんな事を聞いてくるなんて。みやと身体を重ねる事を想像をしてくれてたなんて。
嬉しくて、照れくさくて、愛おしくて自然と笑いが溢れてしまった。

「まあ、そうかもしれないけど。……嫌だったら、別に無理にやらなくてもいいんだよ?」

「とっ、とんでもない!したい、みやとならしたいに決まってるじゃない!」

「…そう?じゃあ……んっ」

そう言って目を閉じた雅に促され、ももは再び顔を近づけてくる。
再び唇が触れ合い、そして恐る恐るではあったがももの舌が雅の唇を割って侵入する。
雅の方もその可愛らしい動きに少し驚きを示していたが、
こちらもまた、恐る恐る舌を動かし始めた。ももがビックリして逃げてしまわない様に。

ぎこちないながらも、二人の舌が絡み合う。
ぴちゃ、くちゅ、と、水音が二人の口から漏れ出す。

絡み合う音が、静かな寝室に響き続ける。
だが、恍惚の表情を浮かべていた二人の表情が、少しだけ歪み始める。
そして、とうとう雅の方から舌を抜いた。

「…はぁっ、ま、って、もも……さすがに、ちょっと苦しい……」
「ご、ごめん、どこでやめていいのか、わかんなくて……」

あたりの音が二人の息遣いだけになり、会話がしばし途切れる。
桃子は明らかに初めてで。この次どうすれば良いのか戸惑っていた。
雅は流石に大体のことは分かるが、そこへどう不安がらせずに持っていくか思案していた。

「……と、とりあえず、服ぐらい脱がない、と」
「あ。そ、そっか」

そうして雅は、自分の寝間着のボタンを外していく。
桃子も少しためらった後、ゆっくりボタンを外していった。


そうして、二人は下着姿をお互いに晒すこととなった。


「……ももって……こんな大人っぽいの、付けるようになったんだ……」

「……ぅ、うん……みやだって」

桃子は恥ずかしさからか、それとも申し訳なさからか、
それ以上殆どなにも言えずにただ雅の視線を受けるばかりだった。

「むぅ、いいなぁ。大きいし……。可愛いよ、もも」

そのまま、雅は桃子の胸を見つめ続ける。
そのうちに手が出そうになったが、途中でひっこめて、代わりに桃子の目を見た。

「えっと……触る?」

「……ん」

お互いの胸中が照れでいっぱいで、ろくな言葉も交わせないまま、
雅は桃子に手を伸ばす。

ブラを外し、恐る恐る桃子の胸に触れる。

「……んっ……」

最初は、人差し指だけで。
それから、指先だけで。
桃子の目を見て、特に嫌がる様子を見せていないことを確かめた上で、
雅は手のひら全体で触れてみた。

「あ……柔らかい、ね」

ゆっくりと、その感触を確かめるように、
しかし優しく、桃子の肌に触れる。

「みやも、ちょっとは大きくなったのになぁ……」

雅は自分の胸に視線を落とし、落胆したような声を出す。
そこは、女性らしい曲線は見せているものの、
出る所はしっかりと出ている桃子と比べると、今はある程度の大きさではある雅。
それでも昔から若干のコンプレックスではあるらしかった。


「えーと……あっ!?」

桃子がなにかフォローの言葉を考えていると、
雅が今度は乳頭を口に含んだ。
そして、赤子のように吸い始めた。

「もも、ちょっと位みやにも分けてよ……」
「もう……」

喋るために一旦口を離したかと思うと、再び胸に吸いついて、
今度は乳頭を舌で転がし始めた。

「あっ……んっ……」
「……えっと、どう?こんな感じで……気持ちいい?」

桃子は声を抑えているためか、無言で頷く。
しばらく雅は続けていたが、少しすると愛撫が緩くなり、やがて完全に止まった。

「……みや?」
「……その、もも……みやにも、して欲しい」

顔を赤くしながら、恥ずかしそうにいった雅に、桃子は頬を緩める。
それから、ゆっくりと雅の肌に指先から触れて、
手のひら全体で胸を刺激する。

「んぅっ……」

雅は、確かに本人の言う通り大人になるにつれて成長していた。
服だけじゃなく下着類にもこだわってきたせいか、鎖骨から胸にかけて、そして腰に至るまで。
華奢なのにふっくらと包み込むような女性らしさもあって時間を忘れて見惚れてしまいたい程に形が良い。
手の中にピッタリと納まるサイズだからなのかもしれないが、
とにかく桃子の動きに敏感に反応していた。

「みや?……大丈夫?」

先程の桃子同様に返事を返せない雅は、妙に必死に首を縦に振った。

それを見て桃子は、先程の雅と同じように、舌での愛撫を始める。

「ふぁっ、あっ、んっ、あっ!」

敏感なところに触れる、特殊な感触に、
雅は声を抑えることができなくなった。
嬌声は、だんだんと大きくなってくる。
見かねた桃子は、愛撫を中断した。

「もう、そんなんじゃ次いったとき大変じゃない?」

「……次、って?」

言ったものの、桃子の表情には、疑問符が浮かんでいる。
荒い息遣いと、その表情が、未知の行為への不安を物語っていた。

そんな桃子をあまり過剰に刺激しないようにしながら、雅は手を伸ばす。

「……ぁっ!?ちょっと、みやっ」

「……ここ、どう?」

下着越しに、指先で秘所をなぞる。
驚きもあったのだろうが、それだけでももは大きく体を跳ねさせた。

「……ど、どうって……」

「脱がせてみていい?」

「え、えっと……」

桃子はただただ困惑するばかりで、焦れた雅がショーツに手をかける。

「わ、わかった……あー、駄目!やっばり……自分で脱ぐから!」
「……そう?」

ももはベッドの外側へ足を向けて、少しためらった後、一気にショーツを脱いだ。
かと思えば、すぐに体育座りの姿勢になる。
さっきまで恥じらってはいても平気そうだった顔も胸も何も見せてくれない。
いや、ご機嫌を損ねたか危機感を感じて丸まってしまったアルマジロみたいだ。

「……もう、そんな格好じゃなにもできないでしょ?」

「……だって、やっぱり、恥ずかしい」

桃子は絶対に見られまいと、足をしっかりと閉じている。

「……仕方ないなぁ」

そうつぶやいて、雅も同じように足をベッドの外側へ向けて、ショーツを脱ぐ。
そして桃子の方へ向き直り、膝でベッドの上に立つ。

「……ほら、私もだから、こっちを見て。もも」

雅の、一糸纏わぬ裸体がももの前に現れる。
裸体を晒している本人はもちろん、ももまでひどく赤面する。

「ね?もも、……みやとこれからする事が怖い?
 ……怖いならここでやめてもう寝よう?みやの為ってももが無理する必要なんてないから」

「怖くなんて、ない。ない、けど……」

「けど?」

だが、雅も恥ずかしそうにしながら裸でいるのに、
桃子もいつまでも恥ずかしがっているわけにはいかなくなった。
このままでいたら雅はまた優しく笑って許して、包み込んでくれるだけだ。
そもそも、駄目ならこの先一人で生きても構わないとの覚悟を決めて此処に来たんじゃなかったのか。
目的は既に半分果たした。以前の桃子ならこれで満足以上の気持ちで満ちていたはずだ。
でも今は違う。あとは、自分自身の恥ずかしさに勝つ勇気とお互いの気持ちを信じるだけだ。

「……わかった、よ」

かなりの抵抗を感じながらも、ゆっくりと、ももは足を降ろす。
雅は平静を保っているようで、やはりしっかりとその一部始終を見ていた。

「あ、あんまり、見ないで欲しいんだけど……」

「……見なきゃ何もできないじゃない」

「いや、まあ、それは、そうなんだけど……あっ!?」

そんなことを言っている間に、雅はピタリと閉じられた太ももへ手を伸ばす。
そうして、優しく指先で、手で触れ、少しずつそこを開かせる。

先程からの反応で、多少は準備が進んでいるようだったが、まだ十分に潤ってはいなかった。
そうしている間も、ももはとても敏感に反応していた。

「……もしかしてもも、一人でちゃんと、触ったりしたことも無い?」

ももは言葉で答えることができず、そのかわりにこくりと頷いた。

「そっか……じゃあ、どうしようかな」

雅はさりげなく顔を近づけて、もものそこをまじまじと観察する。
それに気づいたももだったが、足の間に入られては今更ひっぺがす訳にも行かないと、どうにかこらえていた。

あまり負担をかけずに、まだ十分に濡れていないももを気持ち良く刺激するにはどうしたらいいか。
それを雅はしばらく思案していた。

そうする間に雅の顔は、少々ためらいながらも、ゆっくりとそこに近づいていた。
だが、ももはその意図するところに気づかない。

しばらくして、突然もものそこに、にゅるりとした感触が訪れた。

「んゃっ!?あ、みや、な、なにして!?」

雅の舌が、ももの潤い始めたばかりの、ごく浅い部分だけを這う。

「あ、みや!やめ、やめてって、きたないよ!?」

「……ううん、もものがきたない訳ないじゃない」

「いや、でも……んぁっ、やっ!」

今度は、内側に隠れていた小さな突起を刺激する。
その刺激に耐えようとするも、ももは抑えきれず体を大きく跳ね上がらせる。
反応するその声が激しくなるに従い、もものそこも、だんだんと受け入れる態勢が整いつつあった。

「……もう、大丈夫かな?」

「は、ぁ……な……にが……?」

「指……入れるね?」

「え!? あっ、ふぁっ!」

今度は雅の白く細い指が、ももの中に侵入する。
しっかりと潤った肉壁をかき分け、すこしずつ奥へ進む。

「……本当にした事ないんだ、指一本でもきつい……」

「だ、だから……んぁっ……そ、う言ってるじゃない」

「いや、ももの事を疑ってるわけじゃなかったんだけど……」

指を入口でただゆっくりと出し入れするだけでも、ももは敏感に反応を返してくれる。
その初々しい様子に、声に、雅も強く昂らせられる。
気がつくと雅は、空いた手で自分のほうも弄っていた。

「あっ、んっ、やぁっ!あ、みっ、みや、はげ、し……」

「もも、…好き……ももっ」

「は、ぁっ……ふっぅ…み…やぁ……んんっ」

だが、自慰に慣れた自分の体に動きをあわせてしまったがために、
次第に蕩けていく思考がももには刺激が強過ぎる愛撫になってしまっていた。
もっとゆっくりと優しくしないと、と思っていたのに。
お互いにもはやまともな言葉も発することができず、ただ頂上へ押し上げられていった。

「み、やっ、っく、ふ、ぅ……あぁっ!」

ももの体が、一際大きく跳ね上がる。同時にギュウッと肩を掴まれる。
急な痛みを受けて雅は、しまった、と思い一旦愛撫を止める。
そしてももは、爪先までピンって伸ばしてしまう程の制御不能な力が抜けると雅に寄りかかった。

「……ごめん、もも。イっちゃった?」

「っ……わかん、ない……」

それだけ答えて、後に残ったのはももの息遣いだけだった。
想像以上にぐったりとしたももは、そのまま眠ってしまいそうだった。

「……もも、大丈夫?」

「……うん……だい、じょう……ぶ……大丈夫だよ、みや」

そう口ではいっても、アレだけ緊張してまで迫ってくれてたももがほぼ力尽きているのは明白であった。

「もも、無理なんてしなくて良いから、ちょっとやすみなよ」

「…うん……みや…大好き」

肩に腕をまわして抱きしめるような形でももを支えていると、結局そのまま眠ってしまった。

「……まあ、ももにしては凄い、頑張ってくれたよね」

素肌が触れ合っている温かさと隣に居てくれるももへの感謝と愛おしさのためか、雅まで自然と眠くなってくる。
ももをそっと寝かせて、自身も布団をかぶってそっとおでこに口付けると静かに眠りについた。

「ありがとう、もも。……おやすみなさい」


    - - -


翌朝。

目を覚ましてすぐに、雅は隣を確認した。
ももが、穏やかな寝息を立てている。
しかも、その姿は昨日のまま……裸のままだった。

そこでようやく、雅は自分も裸体のままであることに気づく。
布団の外は少し寒かったが、着替えるついでにももの服も取りに行った。
いつだったか、ずっと置きっぱなしになっているももの、数点の着替え。
我ながら未練がましいと思ってたけど。返さなくて、良かった。

二人分の服を持って寝室へ向かうと、突然大きな音がした。
あわてて中に入ると、ももが頭から床に落ちていた。

「ど、どうしたの!?もも、大丈夫?」

「あ、みや!よかった……」

足だけをベッドに残して逆さになったまま、ももは雅に手を伸ばした。
その手をとって、雅はももを引き上げる。

「いや、ごめんね」

「もう、朝から一体どうしたの?」

「いや……その……みやがいなくなっちゃった、と思って……慌てたら、落ちた」

それを聞いて、自分がいなくなって子供のように探し求めるももの姿を想像し、
思わず雅は吹き出してしまった。

「あっ、笑った!」

「ご、ごめんごめん……とりあえず、服、着たら?
 ももが良いのならみやは別にウェルカムっていうか、そのままでも良いけど」

「……あっ」

そこでようやく自分の姿に気づき、ももは一瞬で赤面した。
雅の差し出す下着類と服を受け取り、すぐに着替えようと立ち上がった。
雅も、そんなももを横目にからかいながらいつもの服装に着替える。


「……じゃあ、改めて……おはよう、みや」

「うん、おはよう、もも」

そう言って、雅は目をつぶる。
ももはその意図に気付かず、疑問符を浮かべたまま雅を見ていた。

「……初めての恋人へのおはようのキスは、してくれないの?」
「! ……あ、ああ……」

雅から言われてようやく気づいたももは、再び赤面する。

「やっぱり、まだ恥ずかしい?」

「だって……慣れてないから」

「じゃあ、やめる?」

「……やだ」

一瞬のためらいの後、ももはそっと顔を近づけてキスをしてくれた。
そしてすぐに離れて、顔を伏せた。

「……うぅ、駄目だ。やっぱり恥ずかしい……」

「昨日、あれだけいろいろしてくれたのにねぇ」

「そ、それは言わないでよぉ……」

顔を真っ赤にしたももの頭を、雅は微笑みながら片手で撫でた。

「もう、幾つになっても可愛いんだから」

そう言って、雅はもう片方の手でももを抱き寄せる。
ももはまた、顔を見られないようにしっかりと張り付く。

「……でも、みや」

しばらくそのまま過ごしていたが、
おとなしくしていたももが、口を開いた。

「もしかして……いや、多分、あれじゃ満足してないよね?」

「そんなこと無い。あれだけ可愛い告白までされて、それだけでも夢みたいなのに。
 初めてなのに慣れない事してあんなに可愛いももを見せて貰えたら、今回は十分。
 みやの方こそ、ももに無理させちゃったから」

雅はももの頭を撫でながら、即答する。

「う……で、でもさ、その……私ばっかり気持ちよくなっちゃって……
 こ、今度は、もっと、いろいろ覚えて、頑張るから……」

「そんなに焦らなくていいよ、もも」

ももの頭を、雅はもう一度優しく撫でる。

「だって、みや達の時間は沢山あるんだから」

「そっか……そうだよね」

自然と重なる唇から互いの温もりと愛おしさが伝わり、心が安らぐ。
そしてそれは、やはりこれで良かったのだと、二人に思わせた。

最初から雅を選んだ事は勿論だったが、
桃子は同時に、絶対雅に二度と後悔なんてさせないということを強く決意した。

そして、雅と一緒ならばももは何でも出来ると、ほぼ確信していた。

END


それではー!今日はこの辺で!!
悲しみをいやす為なら添削前の原稿出す事すら気にしねぇ!
もうあれですよね、勢い余っておぜちぃとかにへひかとかもう好きなものその内書き出してても許してにゃん☆
あ。次はメレンゲの続き書きます。今度こそ。

キャプも千奈美も帰って来てるし、舞波も来てたしで。
それだけなのになんか楽しくなっちゃうのはベリヲタの性。
今日は特別Ver.でお別れです。

おぱょ!からのこんばっきゅん!

いやぁっ!

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