ユヤーンユヨーンユヤユヨーン・・・
 
                       俺は心のブランコ乗りです。
                       宙吊りのままで今日も途方に暮れます。 


        ・・・・・・ ッて誰か降ろせよッ!
                           ハシゴはどうしたよクソッ!!

 
                        なので、宙ぶらりんのママ過ごします。



                                * 3 *    


 けどショックでデリな腹が痛くなりそう、ッていうか毎日差し込むように胃が痛いです。 今日も昨日も一昨日も、野郎だらけのカラオケで朝まで飲みました、もう死にそうです、吐き過ぎて吐血しそうで、照り付ける太陽が殺人級に輝いて、あぜ道の蜥蜴のようにカラッカラに俺を乾かそうとしています。 

―― お、俺がなにをしたッて言うんだよッ?!


なんてどっかの誰かのせいにしたいのですが、きっと俺がナンもカンもしたせいなので、お馴染みの 『卑怯者必須アイティム』 他罰の極みなその台詞を、今度ばかりは使う事が出来なくて、あぁマジ悲しい。 

でもなんで?

今まで恐ろしいくらいマッサラだったアイツの下半身事情はまぁソレも男としてどうかなと思っていたけど、でも、でも今更というか、なんで今になってそれも、でも、なんでサヤちゃんなわけ? なんで、あの秀吾なわけ? 

その秀吾はと云えば俺に、何一つ、その嬉しいはずの 『初☆彼女』 情報を話しません。 故意としか思えない華麗なスル〜に思わず痺れますが、そう、俺は相変わらず秀吾との自虐ホリディを満喫中なのです。 そのプランドゥ〜までの流れとは、ざっとこんな感じ。

  ↓ ↓ ↓


 「あ、俺じゃ、」

 「おうッ、秀吾ッ! ナニナニナ二? 元気か? だな、元気に決まってるよな、そんなで不健康ならソリャ実に無駄な身体だよアハハ無用の長物? で何? デート? デートの誘い? アハハ照れんなバカヤロいつ? 木曜? アホー、木曜はS短との合コン入ってるじゃん俺、あ、イヤイヤ大丈夫だよ秀吾君、大丈夫、おいブルーになんなよ? なってない? アー多分それブスばっかだから、うん、いや〜幹事がどうしようもないダメオでさァ、だから途中で抜けるし。 え? 無理? 無理してねぇッてかおまえ俺と会いたくねぇのかよ? あぁうん、抜けるからいつもの・・え? あそこ改装中? へぇならうん、うん、うん、そこでいい、もうそこでいい、あんま気にいらねぇけど我慢してやるよ、うん、うん、うん・・・・でサァ・・・おまえ今彼女とかいないの? ・・・・・ふぅん・・・・・・ッてアハハ!! 相変わらず俺しか友達いねぇ感じで可哀想ッ!」

 「・・・・・じゃ、またな」


   ―― 一部会話を省略致しました ――



・・・ というように毎回微妙にスリリングで、俺はまた、キリキリ腹が痛くなるのです。

そして実際会ってどうかというとこれがまた、 地雷除去に青春を捧げる見上げた心根の青年 になったような気持ちになり、テンパリ過ぎて脳貧血スレスレの帰り道 
―― 今日もそれを踏まなかったぞ俺は・・・・―― 
と安堵する以外には微塵も、ホッと安らぐという事がありませんでした。 何しろ気が抜けないのです。 『女』とか『彼女』とか『デート』とかそんな直球キーワードにピリピリするのは勿論の事、急に奴が黙りこくったりした時なんかは、


 「・・・・・・・なぁ、」

 「な、ななな何? 相談? 告白? 」

 「いや・・・たいした事じゃ、」

 「たいした事だよッ、すげぇよ、だから言ってみ? 騙されたと思って、俺に、この俺に、なんか言いたい事ある? あんだろ? ていうか俺に聞きたい事とかもあったりして、」

 「・・・・や、あのな、今さっき喰った鳥唐じゃけど、ちょっと、まだ中まで火ぃ通ってなかったのと違うかなって、」

 「しッ、知るか馬鹿野郎ッ! ソレ喰ったのおまえだけだろ? 俺は愛くるしい兎のようにスティックサラダしか喰ってねぇんだよ、人参ポリポリ齧ってた俺に何がわかるッてんだよアァ?」

 「そ、それもそうじゃ・・・・すまん・・・・」

 「ハ・・ハハ・・謝らなくてもねぇ〜ゴメ〜ン、ボクなんだか今日は気が短くて・・・つーか、ねぇ、他に言いたい事とかあったら俺聞くけどォ〜?」

 「や、これといって・・・」


あーもう心臓まで悪くなりそうです。 そして血圧がウナギ登りに上昇するのもリアルに感じます。 動悸がします。 明日から予防的な意味で朝昼晩、母親の高血圧の薬でも頓服しようかなと少し、思いました。 でも、なにしててもどうしても今の状況が一つとして変わらないであろう事を俺自身、よ〜く承知しているのだから、だから俺は、俺はどうしたら・・・ 

   知るか畜生ッ!

そして何より俺は恐れている。 ソレを自覚する事を恐れている。 怖い怖い怖い自分が怖い。 恐怖? 戦慄? 怖いのは振られた事実ではない、今度も当て馬にされた事実でもない、ましてや彼女の心代わりを責める自分の狭量さでもなく、そんな事より何より、怖いのはあぁも呆気なくその横に居座る事の出来た 「彼女」 と云う存在を激しく羨む自分。 それを受け入れて尚且つ、更に俺とは道を大きく違えて行こうとする、最早不可逆的に遠ざかっている奴との距離。 そんな恐怖と同じ勢いで噴出する感情は、まさに身を焦がす煉獄の独占欲。


   ヤーン、これって恋?!


バカバカ! 嘘だろ? 冗談じゃねぇよ、ソレばっかりはごめんだよ、冗談じゃない、冗談じゃないけどでもじゃァなんなんだよ他にこの感情をなんと呼べばイイんだよ? 

・・・で、俺は何をしようとしているんだろう? 

こうして虎視眈々と探りを入れ、引き出せぬ情報に苛々して酒浸りでキチガイ一直線で、声を聞けば叫びそうだし、会えば殺しそうな勢いだし、そう、アイツが自分から言わないなら言いたくないなら、ならば俺は知らぬ振りで勝手にするまでと、あぁいっそ、ならばいっそ口説くってのはどうだろう? 

   口説く? 

誰が? 俺が? アイツを? 俺がアイツを?
ひやー!!


ソリャ今まではそうだ、俺には前科があります、一度ならずも二度、いや、こないだので男口説くのは三人目、仏の顔も見飽きた四度目にアイツを口説くのはスペクタクルに飛ばした余興だと思えるけど、けどアイツを? アイツを俺が口説く? アイツをどうやって口説く? 例えばそうそう、今更この俺がブリッコ全開でしな垂れかかるのは付き合いも長いしアレだから、だからコイツが逃げられない、見捨てられない、腐れ縁の副作用的屈折友情の、とりわけ情に引き摺られる奴の隙間の弱いところに悪どく縋りついて 

 ―― 俺を見放すのかよ? もう死んでやるッ!―― 

と、まぁ名付けて 『人生ボロボロ助けて君作戦』 ッて言うのはどうだろう? とか、あー馬鹿じゃん、馬鹿馬鹿大馬鹿じゃん、でも落ちるかな、アイツ落ちるかな、おりしも俺ッてリアル人生ボロボロ君だし、ヨーシ頑張っちゃうッ! 見てみろッ、当て馬男の迫真の演技ッ! なぁんて、あぁだからお願いです、お願いしてるんです、頭なんかブランブラン下げます、土下座します、縋ります、だから見捨てんなよ、置いてくなよ、一人にするなよ、助けてくれよ、俺はもう、俺はもう、俺はこのままじゃ、

このままじゃ俺は、もう気が狂いそうッ! 


・・・だからこのまま帰るなら殺してからにしてくれ・・・


ッて、あの分厚い胸板にボロボロになって縋ったらアイツは、もしかしたら、もしかしたら? 


黙り込んで沼みたいな目をちょっと泳がせて、だけど心臓はどんどん早くなって、無骨で案外器用な手の平が俺の肩から背中に滑り落ちて、ギュ〜ッと力が入れば心地良い圧迫に俺の息が漏れ、耳朶に触れそうなところ、低く掠れた声で 


―― ・・・・俊二・・・・・



 ギャァ〜〜〜〜〜ッ! サム〜〜〜ッ!! 
 ナシッ! ナシナシナシッ今のはナシッ!

・・・という夢で危うく最後までイキそうになった俺が、物理的に距離をとろうと思ったのは全く正しい判断だといえます。

どうせ秀吾と会っても奴はそこに触れようとしないのです。 俺には彼女の話しなんかしないつもりなんです。 が、ペラペラ話されても、平静でいられる自信が俺にも全くアリマセン。 そして俺は今、ギリギリのギリギリを極め中で、「恐ろしい考え」に取り付かれ中でもあります。 だから、俺は得意の手段を使ったまでです。 
 

      逃げる。 


怖くなって逃げる。 もう会わない。 もう会わないのがいい、会ってはいけない、会ったら顔見たら声聞いたら触れちゃったら俺は何するかわからないから、だからもう会ってはいけない。

でも休みの日には連絡が来る。 来るけど自分から断る。 向こうがその日行けないとか言い出す前に俺は自分で断るんです。 断わります、嫌です、厭です、アイツの口からデートとか彼女とかハニカミながらの 『ボク、チョー幸せ!宣言』 とかなんて、うわ〜もうヤダヤダ、絶対聞きたくないんですッ!。


 「アーだめだめ、その日ゼミの連中と飲み会!」

嘘ばっか!

 「そうか、」

 「でその次の日はバイトの女子高生とイキナリデートしちゃうんですよウフフフフフ!!」

嘘ばっか!

 「頑張れよ、」

なんて応援されちゃう俺は苦しいです。 マジ苦しい。

 「あ・・・と、ソッチは・・・N大のヒーロー門脇秀吾クンははお変わりナシ?」

 「昨日、原田に会ったぞ」

 「え?」


キャー! エー! 嘘嘘嘘ッこれこそ嘘ッ! イキナリ酷いじゃないですかッ!? よして、止めて、勘弁してッ! イキナリ心のフラッシュ焚かないで下さいッ! こう見えてボクは心が弱いんです、準備ナシにそんなのピカッてされたら目ェとかプライドとかアチコチ潰れます、止めてください、なにげなくさり気にイキナリそういうのは止めてくださいッ!!

けれど、グルグル浮上する記憶に弱虫の俺は、みるみる爪先から巻き込まれて行きました。


 「一昨日、親睦会の打ち合わせでW大の連中が来とってな、原田もそこに居た」

 「ヘェェ、ソリャ懐かしい・・・・で、何? 変わらぬ美貌にクラッとしましたかァ?」



原田がW大に進んだ時、誰もが永倉も当然ついて行くと思っていた。

そしてそれは原田自身も、少し前までならそう思っていた筈だと思う。


 「・・で、相変わらずですかな? 姫さんは?」

 「相変わらずッちゃあ、そうだな、相変わらずヒヤッとッした目ぇして、ひとりで・・・」

 「よぉし! ナンパは独りを狙うのが鉄則ッ! ・・・・懐かしい初体験の姫君との突然の再会に、燃え上がる欲望の炎がムラムラと戸惑う元間男秀吾君のココロを焼き尽くしたのでアリマスッ! 姫ッ! もう一辺気持ちイイコトさせてッ!」

 「・・・・阿呆、」


阿呆で結構! 

嫉妬に狂った般若と呼ばれるくらいなら阿呆と呼ばれる方が百倍もマシです。 アハハ独りか? 原田は独りか? 結構! 結構! ま、しょうがないよな。 もうアイツの横にあの男は居ない。 あの男の見えるところにアイツは立っていない。


甲子園の熱も覚めやらぬあの頃、奴らに何があったかどんな遣り取りがあったかはわからないが、春、永倉はK大に進んだ。 永倉はK大の医学部に進んだ。 そしてその名コンビといわれたバッテリー崩壊が騒動だったのはいうまでもなく、一部のスポーツ紙が面白おかしく書きたてた記事に地元の私設応援団の連中が噛み付き、ファンとアンチ派のネットバトルまで発生するちょっとした椿事があの頃、奴らの周辺では起こっていた。 

けど、まァそうだろうな〜と俺は一つも不思議を感じない。 兆しなんてのは、とっくの昔にあったのだ。 永倉がそうする他無いのは、あの頃から、既に明らかだった。 だけどあの時まで、甲子園で全て焼き尽くすまで、奴は天才に並ぶ苦痛をギリギリまで味わったのだろう。 ハハご苦労さん! 辛かったろ? でもやっぱ根をあげるだろう? 生意気言いやがってソラ見ろ、言わんこッちゃない、お前も同じなんだよ、同じ、悔しいだろ? 歯痒いだろ? なのに離れた瞬間どこか、溜息が出るほど安心しただろ? 

そう、その一瞬だけは、一瞬だけだが、たとえようのない脱力と未だ味わった事の無い安堵があった。 

なるほど、無は幸福に近い。


 「フゥン・・・・姫さんも、今は下僕に逃げられて一人になったというわけか・・・・」

俺は自分に似たソイツを思い、そいつに離反された孤独な天才を思い、ひっそり心の中で貶めて笑う。


 「いや、そういう雰囲気じゃあない。」

 「え?」

 「原田は相変わらずの一人じゃったが。 けどもそういうんが当たり前ンように、そうじゃな、ハブにされとるとかそういうのと違って、普通に、アイツは一人じゃった。 だからおや? と思った。 甲子園も終わって、バッテリー解散て、な? 色々騒がれとったろ? さすがの原田も少々へこんどるんじゃないかとな・・・・。 で、永倉の事を聞いたんだが、アイツ、整形外科の医者を目指しとるらしいぞ。 ・・・アイツも大した男じゃなぁ・・・ 野球選手と整形は切っても切れん関係じゃて、カタチを変えても奴らはバッテリーなんじゃろうなァと、なんや、羨ましい気もしたわ」


 なんで? 

なんで? なんで泣かないんだ? なんで途方に暮れないんだ? なんで自分を壊さず人を壊さずアイツはそうして一人で突っ立っていられるんだよ? なんで? なんで? なんで?


 「俊?」


なんだよッ!

あー電話で良かった、俺の顔今見せられません、シークレットです、俺は今、嫉妬と憎悪で気が狂いそうな般若です。 なんで? なんで? なんでですか? なんでこうも違うんですか? 悪足掻きして、懲りずにいじましく何かを引き摺る自分がいて、何事もなく在った事すらなかったように平然とソコに一人で屹立する奴らがいて、そんな原田の気味悪いくらい綺麗な姿が目の前の男と重なり雪崩のように崩れる何かは息も出来ないほど俺を押し潰し、俺はもう、もう溺死寸前の水脹れの醜悪な瀕死。


 「俊? 」


・・・だな・・  ひんやりした闇の中でも、アイツはきっと輝いているのだろう。 ひんやりした氷の闇の中でもアイツは求められ、そして欲せられ、なのに一つもそれらを受取ろうともせず、というより何も見ずに、気付かずに、興味もなく、ただ、ただ己の欲するままそこに、ただそこに独り居るのだろう。 そして立ち位置は違えど寄り添うように、そこに、あの男が居る。 遠くの同じ一点を見つめ、二人でそこに居るのだ。 



  畜生ッ!


 「あぁそう、うん、うん、皆さん相変わらずでお達者で何より。 ・・・・で何? なんだっけか? この電話。 アーそうだよ来週のアレさァラーメンよかあそこはギョーザがツゥらしいぞって今日ゼミの」

 「俊、それな、」

 「ハセッて奴なんだけど、これが自称B級グルメの帝王とか言いやがって」

 「あのな俊、それなんだがな、」

 「まァ、ジャガリコにお湯入れて食ってる味音痴のいうことだから話半分に」

 「俊、」

 「なに? なんだよなに?」

 「でな・・・聞いとるか? ・・・今度の金曜じゃが、ちょっと抜けられん予定が入って・・・」

え?

 「後出しするような感じで、悪いとは思っとるんじゃが、どうしても、」
 

 キタッ?! キタ? キタァ〜〜〜ッ!?


その瞬間、俺の脳味噌は未だかつてないフル回転をして 『来週の金曜』 イコール 『11月26日』 それが更なるイコールで 『モトカノのサヤちゃんの誕生日』である事を弾き出す。 ビンゴ! そーか、そうだよね〜やっぱ彼女の誕生日は二人ッきりでしっぽり祝うもんだよね〜、そんでましてや金曜だもの、あぁいいな、週末じゃん、お泊り確定じゃん
 

 『・・秀ちゃん・・・・あたし、今夜はミカんちに泊まるってママに言っちゃった・・・』
 『お、おう・・・じゃ、ゆっくり・・・できるな・・・』
 

とかとかとかとかクソッ! 秀吾の奴、秀吾の奴、秀吾の奴ッ! あーなんで? なんでそんな、たかが一ヶ月ちょっとの付き合いでその位置に収まるわけ? ねーなんで? なんで? 女の子だから? 


・ ・ッてソッチに俺は言ってるんかい?

・  きゃぁ〜俺ってばサヤちゃんにジェラシィ〜? こわッ! 超怖ッ! 

けどでも、なんでそれって俺じゃァないのッ?

 ッて、イヤァ〜〜〜ッ!


 ―― 俺よりあの女を取るのかよッ?!



・・・・ ソリャ取るだろう、普通。


嘘、嘘、嘘、嘘ッ!! そんなビンゴは嫌ッ!


俺は俺の頭の良さが怖い、こんなリアルにシミレーションしちゃう察しの良さが怖い、そしてこの事実に何か仕出かそうとする己の思考回路が何よりも怖い、やっぱ怖い、もう怖過ぎて死にたい・・・・

 「俊、」

死にたい・・・・

 「寝とるんか? ・・・おい、俊?」

もう俺は死にます・・・・

 「寝とるんならもう、」

 「切るなッ!」

 「俊?」

ちっぽけな携帯の心許無い電波で俺達は繋がっているのだと、だからまだ、まだ少しの間は切れていないのだと言い聞かせないと俺はもう、きっとこのまま死んでしまってもいいと思ってしまうから、


 「・・・・うぅ〜〜んだって、喋ってないとウッカリ永眠しそうだからぁ〜」


どうかこのまま切らないでこのまま、トイレくらいは行ってもいいから途中バカウケを二枚くらいボリボリしても怒らないから、だから俺と繋がっていてください、俺と、俺とこうして今だけで良いですから、今だけ、今は俺からプツンと切れないでください、お願い、勝手に目の前に居た癖に、あんなに消えろと願ったのにしぶとく居た癖に、今更、今になって勝手に消えるなんて酷いじゃないですか? 

酷いです。
あんまりです。 


けれどそんな当たり前の事実が許せず、惨たらしい今に身を捩り歯軋りして、俺はもうすぐホントの般若になってしまうでしょう。 そしてアンタを殺したい、喰い殺したい。 噛み砕いて啜り上げて全部俺の血と肉と骨とウンコにして明日への希望と活力にしたいんだけど、アンタは美味いのかな? 


美味い?



          喰っちゃえ! 喰っちゃえ!
          マヨネーズつけてペロンて、ペロ〜ンって!!






                          堅そうだけど、身体には良さそう!







                                                NP 3 へつづく