課題B 痛いBL
『放課後の嘘吐き』
あなたなら、大丈夫・・・。そう言って、親父とお袋はドイツへ旅立った。ソレが、三日前。
成田からのリムジンの景色、流れるヘッドライトが、やけに綺麗で、光のパレードに眼が染みた。
戻ったマンションは、ガランとして、だだっ広くて、静か過ぎて、情けないけど、寂しいと感じた。
一緒に行こう、と 親父は言った。でも、俺は、断った。ドイツへ行くのが嫌なんじゃない、
まして、別に俺は、親と不仲って訳じゃない。理由は一つ、俺は、まだ、日本を離れたくはなかったから。
日本を離れ、外国の土地で、何も無かったように仕切り直す事なんて出来なかったから。
俺はまだ、ミチタカの事を、綺麗に記憶の引き出しに、しまい込めずに居る。
6ヶ月前、ミチタカは、ここのベランダから飛び降りた。
引き篭もりから7ヶ月目、小雨が降る日曜の朝、ミチタカはふらりとダイニングに顔を出す。
水色のパジャマ、薄っぺらに痩せた身体を泳がせて、妙に柔らかい、
まるで引き篭もる前みたいな笑顔を見せて、
新聞を読む親父の横、茫然とトースターの前立ち尽くすお袋に構わず、ミチタカは俺に尋ねた。
『ねぇ、クロッカスは咲いたかな?』
突然の問いに、オレは戸惑って、でもミチタカは俺の返事なんて待たず、
スゥッと小雨に濡れたベランダへ出る。
開け放ったサッシからの冷たい風、そして、一瞬だった。
水色がふわりとひるがえり、振り向きもせず、迷いもせず、ミチタカはベランダを越えた。
遺書も残さず、ミチタカは15年で人生を終えた。
俺は、まだ、ミチタカの事を引き摺っている。このままずっと
って訳じゃないが、逃げるようにミチタカを忘れるなんてそれじゃ、ミチタカの15年が、あんまりに悲しい。
俺を心配するお袋を見かねて、親父の知人に進められた、郊外の全寮制。
俺は、二学期から、そこで、寮生活をする。 自分を見つめるには良い機会かも知れない。
そして、俺は、ミチタカの孤独を知るだろう。
香月蛍、奴の瞳に、出逢って俺は、本当の孤独を知るのだった。
* *ポイント
冒頭一人称は変らず。しかし コイツは攻め設定 、一人称は『俺』が無難。
ここでカタカナ「オレ」にすると、ヘナチョコ馬鹿文に成り下がる為、様子を見て使用。
何しろ、痛いのだ。
惜しみなく、 ワケアリ臭 を振り撒くが吉!
身内の死、不燃感、葛藤、時に腹立たしい周囲の無理解だの偏見だの、
今流行り トラウマ虐待ネタ もまぁ、美味しい。
ミゼラブルなテンコ盛りで、この先更なる怒涛のメロ設定に拍車をかけろ!!
痛い系の場合、文体進行は、BLっちゅうより ジュネ 、
もしくは、ちょびっと賢そうなアダルト色が漂う。
しかし、侮るな! BLだってばよう!!
ちょっと、コレ、好きかなぁとか思っちまったよ、迂闊だ・・・
塾長ッ!! 自分、 私情を挟んでしまいましタァッッ!!
押忍!!
読者を都合良く翻弄し、呆気ないっつうか、 御都合的エロ展開 に事は進む予定。
近い所で、昼メロ乗り。無駄なスリルが好印象。
次!!
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