縛られた両手はベットにつながれ、一糸まとわぬ姿を晒す。
拘束されていない両足を折り畳み少しでも体を隠して横たわる。
「解いて ・・・ お願い ・・・・。
覚悟は ・・・・・ 覚悟は出来てるから ・・・・・」
涙を浮かべたを無表情で見下ろす。
何の感情も浮かべない瞳は、じっくりとその姿を舐めるようにの体を滑る。
「・・・・・ 綺麗だ ・・・・ それに柔らかい 」
「?! あっ ・・・・ ・・・・・ ぁぁ ・・・・」
視線を胸へと移し長い指で掴む。
持ち上がった先端を唇で包むと舌でころころと転がすように舐めた。
「気持ちいい?」
唇を噛みしめて答えないを見て、咥えた先端を鈍く咬んだ。
「ぅっ! ・・・・ ひどいことしないで ・・・・ お願い ・・・・」
の言葉を無視して、同じ問いを繰り返す。
すると、は小さく首を振った。
「・・・・ わからない」
小さく呟いた言葉に、雲雀はから体を離し、両足を掴んで大きく左右に開いた。
「いや! ・・・・ ゆ ・・・ 許して ・・・ 本当にわからないの ・・・・」
雲雀の視線に晒された華芯は、頬と同じ様にかぁっと熱くなるけれど、まだ、乾いたままだ。
初めてとの問いに、黙って頷く。
自分ではと更に聞かれて、小さく何度も首を振る。
ただ、この羞恥にまみれた姿から解放される事を願って、言霊のように聴覚に届く雲雀の言葉に答える。
「君の忘れられない男になるんだね。嬉しいよ ・・・・
もっとも、忘れさせる気はないけれどね」
その余裕からは予測つかなかった高潮した頬に、一瞬状況を忘れる。
しかし、薄っすらと笑みを浮かべた雲雀にすぐに引き戻されると誘うように下ろされた視線の先に息を飲んだ。
細いが要所要所に筋肉が付き、決して華奢ではない雲雀の体。
それにそぐわない質量の雄が、割れた腹に張り付くように直立し先を濡らし光らせていた。
「い ・・・ いや ・・・・・ ゆるして ・・・・・」
覚悟は出来ていたのだけれど、みせつけられたソレが自分の中に入ると思う恐怖に涙が零れてきた。
「誰でもシてることさ。 何、怖がってるの? ・・・・」
「あ ・・・・・・・ んっっ ・・・・・」
顔を寄せて囁くように言葉かけると唇を重ねてきた。
咬みつくような始まりは、いつもと同じだけれど、舌はいつもと違い不安を拭い取るように柔らかく蠢く。
限界まで重なられた唇は、銀の名残りを引きながら耳へと滑っていった。
「ここだったよね、確か ・・・・」
「ぁっ ・・・ やぁ ・・・ ん ・・・・」
「それに、ここ」
耳朶を舐めたり甘噛みしながら耳全体をジワンワリと責める。
涙を指ですくい取ると、片方の胸を掴み先端の蕾にこすり付けた。
「ここは ・・・・ どうかな ・・・・・ 」
「ひゃぁっ ・・・・ だ め ・・・・」
零れる声に喉が笑う。
片方は掌と長い指で、もう片方は首筋を滑る舌と時折重なる雲雀の胸で弄ばれ、硬い雄は、雲雀の体の動きに合わせて茂みに隠れる花弁の一番上の部分を擦りあげる。
次第に華芯が熱く火照り始め、じんわりと何かが滲んできているのが解かる。
少し両腿を立たせられると、擦れる雄に何かつきはじめる。
それが『蜜』と呼ばれるものだと、も解かっているから、涙の意味が恐怖から恥かしさへと変わっていった。
「そろそろ ・・・・・ か ・・・・」
急に温もりが消えて淋しさが体を駆け抜けた。
最初は嫌悪しか感じなかったのにと、自分自身の反応に戸惑っていると、体を離して見下ろした雲雀が口の端を歪めた。
「あ?!! やぁ 待って ・・・・」
なんの前触れもなく押し当てられた雄は、濡れた花びらの上からでも、十分に硬さと熱さをに伝えた。
「力抜かないと、裂けるよ」
「?! ・・・・・」
再び蘇った恐怖に涙を滲ませ、力を抜くどころか更に硬くなる。
それを見て今度は、少し拗ねたように口の端を歪めた。
「信じたの? 僕がそんなにヘタだと?」
「えっ? ううん ちがっ?!!! あぃぁぁぁぁ」
一瞬緩んだ緊張を逃さず、雲雀は、グイッと腰を前に突き出した。
「ワォ ・・・・ 想像 ・・・・ 以上にキツくて狭くて ・・・ いぃ ・・・・ もっと挿入(イレ)たくなるよ ・・・ 奥まで ・・・」
痛みにのけぞったの腰を押さえつけると、両膝を立てて、さらに大きく開く。
「いっ ・・ いたい ・・・ 抜いて ・・・ お願い ・・・・」
懇願するの頭を押さえると唇を塞ぐ。
少しして大人しくなったから唇を離し耳元へと滑らせた。
「 ・・・・」
「・・ きょう・・ん 」
名を呼ぼうとした唇を再び塞ぎ、すぐに離すとまた、耳元で名を囁く。
囁くと触れるだけのキスを何度も降らせて、また、囁く。
押さえつけていた手は優しく髪を撫で始め、全てをへ収めるまで繰り返された。
痛みが消えた訳ではないのだけれど、言葉から指先から、唇から伝わる雲雀はとても優しくて穏やかで、少しずつ挿入(はい)ってくる雄からさえ、その優しさを感じる。
「これが ・・ ・・・・ いいね とても 」
雲雀の言葉に胸がきゅんと締め付けられた。
その時、少しだけ彼の顔が歪んだ。
「思ったより、大分キツいね。 さあ、今度は、僕を教えてあげるよ。
ほら、ココ ・・・ それから ココも ・・・・・」
驚くほど優しい微笑みを浮かべて、腰を動かしだす。
破瓜の痛みも消えないのに、雲雀の言葉の通りに擦られると、痛み以外の何かも少しずつ伝わり始めた。
それが何か解からないは、突き上げられる度に、啼き声とも知らずに啼いた。
煽られた雲雀の動きは、だんだん激しさを増して、最奥部の何かに擦れたと感じた瞬間、熱い欲望がの中で解き放たれた。
紅潮した頬と少しだけ潤んだ瞳で満足げに見下ろす雲雀の艶に、貫かれたままの秘部が蜜を零しながら雲雀を求めてしまう。
そんな自分が恥ずかしくて背けたの顎を取り、己の視線で縛りつける雲雀。
「嬉しいよ、僕と同じ気持ちで ・・・・」
「んっ ・・・・ ふぁ ・・・・ やぁ ・・・・」
繋がったまま、くちづけで始まりを告げると熱い舌は、銀の糸を引きずりながら首筋から鎖骨へと滑り始める。
の感じる部分に赤い華を重ね咲きさせるたびに、のソコは熱と硬さを保ったままの雄を締め付ける
決して腰を動かさない雲雀は、の心と体のアンバランスな反応を楽しんでいるようだ。
「そんなに僕が欲しい?」
限界に達している羞恥心は理性をあっさりと飛ばし、は小さく頷いた。
「・・・・・ 僕が欲しい?」
言葉を重ねる雲雀の意図に、収まりかけていた涙が再び滲む。
「・・・・ 欲し ・・・ い 」
「何が?」
「・・・・ ぜん ・・・ ぶ ・・・」
「・・・・ 全部・・・? 」
意外だという表情で、雲雀はまた言葉を重ねた。
「うん ・・・・ 全部 ・・・ きょう やの ・・・」
「・・・ 欲張りだね ・・・ でも、嫌じゃない ・・・
ご褒美に、叶えてあげる ・・・ 僕の全てを、君に注ぎこんでね ・・・」
「あぁぁ ・・ ・・ っゃぁ ・・・ !!」
の右足を持ち上げると、激しく腰を打ちつけはじめた。
そして、逃がさないように押さえ込みしっかりと唇を重ねた。
そのまま、息継ぎだけを許されると、再び唇を塞がれながら、雲雀の熱に蹂躙され続けた。
息苦しさと激しい攻めに、意識が途切れそうになった時、再び自分の体の中に熱が放たれた。
に覆い被さり、赤く染まった頬で熱い視線で見つめを見つめながら、肩で息をする雲雀。
夢に描いていたソレとは程遠く、優しさではなく荒々しさばかりが支配する獣にも等しい行為。
でも、始めてみる彼のそんな姿に、なぜか安堵しては意識を手放した。
2009/8/30
執筆者 天川 ちひろ