意図せず、気がつけば五条大橋まで歩いて来ていた。
別になんてことなく、昨日もここを歩いたはずだ……でも、この京はおそらく、今弁慶が生きる京とは違うところだからか、妙に懐かしさを感じてしまう。
ここで九郎と出会った日は遠い。遠すぎてもう、必死に記憶を辿らなければ思い出せもしないから、ただひたすらに懐かしい。
『幼馴染ですね!』といつだったか望美は弁慶たちの関係をそう呼んだが、言われてもなお、全く実感がないのは、育ちが全く違うからだろうか。
幼馴染といえばヒノエと敦盛の二人のほうがしっくりくる程だ。
彼らが熊野で遊ぶ姿は本当に数えるほどしかないものの、見た事はある。
仲睦まじい様子に、当時はまだ少し若くて少し性悪だた弁慶でさえ和んだ程だった。
弁慶はその頃を思い出すと微笑んでしまう
A ヒノエは同じ年頃の子供がまわりにいなかったから本当にうれしそうにしていましたね
B 敦盛くんにとっても熊野が大切な場所になっていたらいいんですけれど