それにしても、随分と歩いてきたけれど、弁慶がここへ来てからどれくらいの時間が過ぎただろう?
歩くこと自体は構わないのだけれど、自分の消えた元の世界が気になった。
自分を探してくれたりするのだろうか? ふと思ったけれど、
そういえばそもそも白龍と望美が絡んでいるのだ、誰も心配などしないだろう。
せいぜい九郎が理解できなくて首を傾げるくらいだろうか。
それはそれで、少しだけ寂しいような気がした
なんだか自分などいなくてもいいように思えて、そんな風に感傷的になってしまって、弁慶は笑ってしまう。
「らしくないな」
もしかしたら、この京は、弁慶が薬師として潜入していた頃の京なのかもしれない。
だからこんなにもの悲しくなってしまうのだろうか…?
そう思えば、心なしか五行の力が街に満ちているような気さえしてくる。
弁慶は空を見上げた。
その空は、今朝に見た秋空と、なんら変わらないように見えた。
A もしここが過去ならば、このままここにいれば、罪を背負わずにいられるのだろうか
B いいえ、現実から目をそむけても仕方ないでしょう