弁慶は改めて、今ここの事を考えることにした。
ここは勝浦、それは確かだったけれど、それ以外の事はほとんど分からない。
ヒノエほどこの街に詳しくない弁慶には、せいぜい今が秋ではないことくらいしか分からなかった。
多分、過去なのだと思う。
そこまでは推測できたけれど、その先が分からない
どうして弁慶がここにいるのかということだ。
これが全て白龍と望美の戯れにしたって、今、この勝浦にいる意味がひとつくらいなにかあるのではないだろうか、ということだ。
言うならば、ここは山の頂、分水嶺のようなもので、弁慶の些細な心の加減で、瞬く間に別の時空へ導かれてしまうのではないか、上手くはいけないけれど、そんなような気がした、
それはただの予感だ。
けれど、予感が正しいのなら、きっと弁慶は、
A 過去の誰かに呼ばれているのではないだろうかと思った
B 弁慶の中のなにかしらの気がかりを晴らすためにいるのだろうかと思った