弁慶は北へ向かう事にした。
京はどこも山に囲まれているが、比叡で育った弁慶は特に北方の山々に縁が深い。
とはいえ、九郎と違って京を出て平泉に身を寄せてからも、ひとり入京していた弁慶だけれど、その頃も、そして源氏の軍師として京へ入った今も、あまり北方には近づいていなかった。
比叡には弁慶の事を知っている人が多いから、あまりいさかいを起こしたくなかったというのはひとつあったけれど、
もしかしたらもっと簡単に、見知った場所を歩いても面白くなかったからかもしれない。
京は広い、まだ弁慶の知らぬところもたくさんある。

歩いているうちに、何故か雪がちらついてきた。
よく分からないままに時間も季節も土地もめぐって、なんだか目がまわりそうだ。


ふと、望美たちの世界にあるという『ゆうえんち』というものを思い出した。

A 将臣が言っていた『じぇっとこーすたー』というのはこういう感じなのだろうか
B それとも譲が言っていたお化け屋敷というものの方が近いのかもしれない