弁慶が熊野へ来る事があっても、用があるのは本宮大社であることが多いので、実はあまり勝浦の方は詳しくない。
そんな彼の目に映る景色は綺麗だった。穏やかで、柔らかい。
人は生き生きと笑っている。
それは戦いを忘れさせるものだった。
現に熊野は平和だ、ヒノエはこれを守りたいから源氏に加わらないと言っていたが、それも正しいように思える。それほどに平和だ。
歩きながら、ありえない過去を思う。


弁慶もここで育ったならば、また少し違う暮らしをしていたのだろうか?

A そうしたら京を滅することもなかったのだろうか
B ……いえ、そんなことを考えても仕方ないですね