「鎌倉殿はお元気ですか?」
尋ねると、彼は
「当然にございます」
と、緊張した面持ちで答え、
「景時殿はご気分のすぐれない様子でしたが」
と、付け加えた。
「景時が」
「ええ」
景時はやはりここにいるのか?
だとしたらやはり景時に会いに行くべきなのかもしれない。
ああでも、きっとここの景時は白龍を知らないのだから、余計な事になるのだろうか?
「そうでしたか。ありがとうございます」
思案しながらも、弁慶は相手が更に疑問を抱くより先に礼を云い、そこを立ち去った。
ここはどうにも、弁慶が思うより厄介な世界らしい。
望美と白龍は、一体何を思ってこんなところへ弁慶を飛ばしているのだろう?
彼女たちのやることだから、悪意があるとは思えないのだけれど……
A 弁慶はもう一度ゆっくり考えてみようかなと思い、路地裏に身を隠す
B いえ、てっとり早く景時に会いに行ってしまいましょう