などと、過去で過去に思いをはせていたら、また白い光に包まれて、弁慶は移動していた。
今度は京だった。
「どうして京…?」
疑問だったが、けれど熊野よりはずっと歩きやすい。
なんといっても京なら土地勘がある。
熊野出身なのに、甥っ子と違ってかの地をほとんど知らない弁慶としたら、京の方がずっと都合は良かった。

けれど、土地勘があるという事は、困ることもある。
なんといっても京では弁慶は顔が割れすぎていて、もう迂闊に悪いこともできはしない。
……と、自然に考えてしまって、弁慶は苦笑してしまう。


A 自分で言うのも変な話ですけど、僕も若くないですからね、そういったことからは引退すべきだと思います
B 今悪い事をしたら、景時に補導されることになりますからね。それはちょっと恥ずかしいですね