ここがどこだかは分からないけれど、弁慶は音がする方が気になって、そちらを見た。
すると途端、再び白い鱗が眩く光り、視界の全てを奪う。
目を開けたら再び闇の中だった。
けれど、さっきのような本当の闇ではなく、これはただの夜の闇。
しかも、どうやら……ここはどこかの戦場、誰かの陣のはずれのようだった。
幕と旗が広げられ、松明の灯りが天から勝利を呼びこむように、煌々とあたりを照らしている。

幸いなことに源氏の陣ではあるようだった。
弁慶は手の中の白い鱗を見つめる。この力で、ここまで飛んできたのだろう。
『時空を超える』とは、こういうことだったようだ。
こっそりと、あたりをうかがうと、刃の重なる音がそこらかしこで鳴っている。
が、それはただ、稽古をしているだけという風に見えた。
とはいえ、白龍の力だから悪意はないのだろうが、いくらなんでもいきなりこんなところへ飛ばされても困惑してしまう。


さて、これからどうしよう?

A 源氏の陣だったら九郎はいるのだろうか
B とはいえ、ここが源氏の軍だということ以外は何も分からないのだから、誰かに会わない方がいいかもしれないですね